ドドナエアの育て方
公開日 2025年10月07日
更新日 2025年10月07日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
ドドナエアの基本情報
植物名 | ドドナエア |
学名 | Dodonaea viscosa |
和名 | ハウチワノキ |
英名 | Hop bush |
別名 | ポップブッシュ |
原産地 | オーストラリア |
科名 | ムクロジ科 |
属名 | ハウチワノキ属 |
開花時期 | 4~5月 |
ドドナエアは、上向きに伸びていく細長い形の葉が特徴的な常緑低木です。
常緑性でありながら、夏場は緑色、冬場は赤銅色と、季節によって葉色が変化する品種が多く出回っています。
葉の形と色が相まってスタイリッシュな雰囲気があり、耐暑性・耐寒性とも高いことから、住宅や店舗の目隠しとしても人気の植物です。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け
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植え替え
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肥料(鉢植えは2月頃)
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開花
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種類と品種

品種 | 葉の色 | 葉の付き方 | レア度 | 育てやすさ |
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ドドナエア ビスコーサ パープレア(プルプレア) | 緑色→赤銅色 | 密集する | 普通 | やや簡単 |
ドドナエア ビスコーサグリーン | ほぼ緑色 | バラツキあり | 高い | やや簡単 |
ドドナエア ビスコーサ パープレア(プルプレア)は、美しい葉色の変化を楽しめるタイプの品種です。
葉がびっしりと密集して付くことから目隠し効果も期待でき、日本ではもっとも多く出回っています。
ドドナエア ビスコーサ パープレア(プルプレア)

寒くなると紅葉するほか、初夏には花のように見えるピンク色の鞘(さや)が付くのも特徴的です。
ドドナエア ビスコーサグリーン
葉は基本的に緑色ですが、寒さで薄紫色に変化することもあります。
ドドナエアはどんな花が咲く?

ドドナエアは春になると数mm程度の小さな花を咲かせます。
色は、ドドナエア ビスコーサ パープレア(プルプレア)が赤色、ドドナエア ビスコーサグリーンが黄緑色です。
開花後の初夏には、雌株にピンク色の鞘が付き、実際の花よりも存在感があります。
ドドナエアの葉っぱの特徴

葉の形 | 長楕円形 |
葉の質感 | 光沢があり、パリッとした乾いた質感 |
葉の色 | 緑色→赤銅色(パープレアの場合) |
ドドナエアの葉は細長く光沢感があり、オリーブにも似ています。
多く出回るドドナエア ビスコーサ パープレア(プルプレア)は、寒暖差によって葉色が緑色から赤銅色に変化するのが大きな特徴です。
また、種小名の「ビスコーサ」はラテン語で「粘着性のある」などを意味し、葉や茎に粘性のある成分を含むことに由来しています。
葉の表面はかさついた質感ですが、こすったり折ったりするとねばつきを感じる場合もあります。
ドドナエアの花言葉
ドドナエアの花言葉はありません。
ドドナエアの育て方

ドドナエアは、いわゆる「オージープランツ」と呼ばれるオーストラリア原産の植物のひとつで、地植え・鉢植えとも育てやすいことから人気が高まっています。
耐暑性・耐寒性があり丈夫なため、日当たりと水はけが良ければそれほど手間はかかりません。
水やりの頻度
地植え | 植えた直後はたっぷり与える その後は降雨のみで十分 |
鉢植え | 土の表面が乾いたタイミングでたっぷり与える |
ドドナエアは、雨が少ないオーストラリア原産なだけに、どちらかというと乾燥した環境を好みます。
湿りすぎている土は根腐れにつながるため、鉢植えであっても水を頻繁に与えるのはやめましょう。できるだけ湿気がこもらない、通気性の良い場所で管理することがポイントです。
肥料のあげ方
ドドナエアは、あまり肥料を必要としない植物です。
ただし成長が鈍い場合は、次の肥料が効果を発揮します。
- 地植え:液体肥料(春~秋、2週間に1回程度)
- 鉢植え:緩効性肥料(2月頃に1回)
ドドナエアは多肥のほかリン酸肥料に弱いため、量や成分には注意しましょう。
心配な場合は、ドドナエアを含むオージープランツに特化した肥料の利用がおすすめです。
病害虫・害虫対策
ドドナエアは病害虫に強いことで知られ、とくに虫がつきにくい植物です。
ただし以下の病気になることがあるため、注意しましょう。
黒点病(黒星病)
- 葉に黒い斑点が出る
- 斑点の範囲が広がり、落葉する
黒点病(黒星病)による斑点は糸状菌という名のカビで、高温多湿な状況下で発生します。
弱った葉は自然に落ちるため過度な心配は不要ですが、剪定や雑草の除去を定期的に行い、風通しを確保することが大切です。
地植えの植え付け方
種・ポット苗とも、ある程度大きくなるまで鉢で育ててから地植えするほうが、生育が安定しやすいといわれています。
植え付けの時期は春か秋が適していますが、冬までに根付かせるには、初夏頃までに済ませておくと安心です。
なるべく日が当たり、水はけの良い場所を選びましょう。
剪定に適した時期とやり方
ドドナエアは丈夫なため、基本的にいつでも剪定できます。
ただしほかの樹木と同様、剪定によりダメージを受けやすい真夏や真冬は避けたほうが良いでしょう。
また、ドドナエアは自然体の樹形が魅力でもあるため、密集しすぎている部分や枯れ枝を取り除くだけで十分といえます。
ドドナエアの葉が落ちる原因は?
以下の場合に、落葉することがあります。
- 黒点病(黒星病)にかかる
- 過度な水分不足
- 極端な寒さ
ドドナエアは乾燥気味でも育ちますが、あまりにも水分が足りなければ枯れてしまいます。
また、耐寒性もあるとはいえ、過酷な寒さには耐えられません。
寒冷地では、地植えより室内で育てたほうが良いでしょう。
ドドナエアの栽培環境

ドドナエアの原産地はオーストラリアで、日差しが届く場所と水はけの良い土を好みます。
耐陰性もあるため日陰でも育ちますが、日光不足だと葉が色あせやすいので、きれいな葉色を楽しみたいなら日当たりの良い場所を選びましょう。
置き場所と日当たり

地植え・鉢植えとも、年間を通してよく日が当たる場所が適しています。
ただし、直射日光に当てると葉焼けすることがあるため、日差しが強すぎない場所が良いでしょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
耐寒性にすぐれていますが、気温がマイナス5℃を下回ると弱り、落葉する可能性があります。
また、気温がマイナス5℃以上でも積雪により枝が折れることもあるので、寒冷地では地植えより鉢植えで育てるほうが安心です。
鉢植えを屋外に置いている場合、冬場は軒下などに移動するか、室内に取り込むようにしましょう。
用土

ドドナエアは過度な湿気を嫌うため、水はけの良い土に植えることがポイントです。
痩せ地でも育ちますが、以下のような用土が向いています。
ドドナエアに適した用土
- 鉢植え:赤玉土5割、腐葉土3割、川砂2割
- 地植え:庭土6割、堆肥2割、腐葉土2割
赤玉土は粒同士の間に隙間ができることで空気や水分の通りが良くなり、堆肥と腐葉土をすき込んだ土も隙間が増えて通気性の改善が期待できます。
川砂を含め、上記はいずれも園芸店やホームセンターなどで入手可能です。
ドドナエアの種まき
ドドナエアは主にポット苗が多く出回っていますが、種から育てることもできます。
ただし芽が出るまで時間を要し、条件によっては発芽しない可能性もあるため、根気よく育てる必要があるといえるでしょう。
種まきにおすすめの時期は春または秋
ドドナエアの発芽には20℃前後の温度が必要なため、種まきは春か秋に行いましょう。
ただし発芽してからすぐに気温が下がると生育が悪くなるため、寒い地域では春に種まきしたほうが無難です。
種まきのやり方
- 種を浸水処理する
- 浅めに種をまく
地植えする場合も生育を安定させるため、まずは育苗用のポットかトレイで発芽させてから植え替えるのがおすすめです。
① 種を浸水処理する
種はをそのまま植えても構いませんが、水かぬるま湯に数時間浸けてからまいたほうが発芽しやすくなります。
② 浅めに種をまく
ドドナエアは根が広がりにくいことなどから、種は浅めにまき、覆土は薄くしましょう。
ドドナエアを種から育てると大変?
ドドナエアの種をそのまま土にまいた場合、発芽までに1〜2カ月程度かかるといわれ、生育環境が整っていないと芽が出ないこともあります。
種を湯に浸けるなど浸水処理してからまけば発芽率は高まりますが、温度や時間の加減が難しいといえるでしょう。
そのため初心者の場合は、リスクが少ないポット苗からの育成がおすすめです。
ドドナエアの増やし方

ドドナエアは、挿し木で増やすことが可能です。
また、生育を促すには、定期的な植え替えが必要になります。
挿し木のやり方
- 枝を切る
- 下葉を取り除く
- 枝を水に浸す
- 切り口に発根促進剤を塗布し土に植える
挿し木のタイミングは、6月頃の初夏に行いましょう。
土に植えた後はある程度の湿度を保つため、置き場所は明るい日陰がおすすめです。
① 枝を切る
なるべく元気な若い枝を選び、10cm程度切ります。
② 下葉を取り除く
植えたときに土に隠れる下のほうの葉を取り除きます。
③ 枝を水に浸す
枝が乾かないよう1時間ほど水に浸します。
④ 切り口に発根促進剤を塗布し土に植える
根を生えやすくするため切り口に発根促進剤を塗布し、水はけの良い土に植えましょう。
植え替え時期はいつがいい?
挿し木を植え替える場合は、発根してから行いましょう。
発根までに2〜3週間かかりますが、環境によっては1〜2カ月かかることもあります。
鉢替えのやり方
- 株を抜く
- 根を軽くほぐす
- 新しい鉢に入れる
- たっぷり水やりをする
根詰まりを防いで生育を促すため、1〜2年に1度は大きめの鉢に植え替えるようにしましょう。
植え替えのタイミングは、冬前の9〜11月頃が適しています。
① 株を抜く
根を傷めないよう離れた場所からスコップを入れ、ゆっくりと慎重に引き出します。
② 根を軽くほぐす
根が絡まっていたら、そっとほぐしましょう。
③ 新しい鉢に入れる
根元を新しい鉢にセットし、周りに土を入れてならしたら軽く押さえます。
用土は新しくても古くても使えますが、排水性が良く、劣化していない土を選びましょう。
また、根が傷つくと弱りやすいため、もともと付いている古い土はなるべく落とさないことがポイントです。
④ たっぷり水やりをする
植え替え直後は、鉢の底からあふれるくらいたっぷりと水やりをします。
その後は、土の表面が乾いたタイミングで水を与えるようにしましょう。