ワイヤープランツの育て方
公開日 2025年08月21日
更新日 2025年08月30日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

ワイヤープランツの基本情報
名称 | ワイヤープランツ |
学名 | Muehlenbeckia |
英名 | Maidenhair Vine |
別名 | ミューレンベッキア |
原産地 | ニュージーランド |
科名 | タデ科 |
属名 | ミューレンベッキア属 |
ワイヤープランツは、その名の通りワイヤーのように細くて長い茎が特徴的な植物です。
耐寒性があるため、適温を維持することで冬でも美しい緑の葉を豊富に茂らせます。
根が元気であり続ける限りは繰り返し新芽を出して育つので、長く栽培を楽しみたい人に人気です。
冬場の寒さ対策やこまめな剪定などを行うことで、元気に成長し続けます。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
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肥料
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種類と品種

ワイヤープランツには、複数の種類と品種が存在しています。
最も一般的な「ミューレンベッキア アクシラリス」をはじめ、葉の形や斑の有無が異なる人気の品種5種類の特徴を紹介するので、選び方の参考にしてみてください。
品種 | 葉の形 | 斑 | 葉っぱの大きさ | 育てやすさ | レア度 |
---|---|---|---|---|---|
アクシラリス | 丸くて小ぶり | なし | 約1cm | 初心者向け | ★ |
コンプレッサ | 丸くて大きい | なし | 約2~3cm | 初心者向け | ★ |
スポットライト | 丸くて小ぶり | あり | 約1~1.5cm | 初心者向け | ★★★ |
スペード | スペードの形 | なし | 約2~3cm | 少し難しい | ★★★ |
アストニー | ハートの形 | なし | 約2~3cm | 初心者向け | ★★ |
アクシラリス
ワイヤープランツのなかで最もよく見かけるのが「ミューレンベッキア アクシラリス」と呼ばれる品種です。
適切な環境下であれば屋内外問わずどんどん大きく成長していくので、全体のバランスを整えるためにも定期的な剪定が欠かせません。
庭にボリュームのある植物を加えたい場合や、室内でも存在感のあるインテリアを求める場合におすすめです。
コンプレッサ

アクシラリスよりもさらに存在感のあるワイヤープランツを求める場合は「コンプレッサ」がぴったりです。
葉のサイズが2〜3cmほどと非常に大きいのが特徴ですが、植物の健康状態によってサイズ感が分かりやすく変化するため、都度水や肥料の量を調整して育てます。
スポットライト
「スポットライト」は、葉にピンクと白の斑が入ったワイヤープランツです。
茎も赤やピンクに近い色をしていて華やかなので、インテリアとしても人気があります。
斑は徐々に消えてしまうため、都度斑が消えた葉を取り除いていくのが斑入りの葉を多く維持するためのポイントです。
スペード
葉に入った切り込みが、まるでスペードの形に見えることからその名がついた「スペード」は、ほかの品種と比較すると少しお世話にコツが必要です。
寒さに弱くて生育スピードも遅めなので、とくに冬場は弱りやすい傾向にあります。
育てる環境にはなるべく暖かい室内を選び、必要に応じて肥料を与えながら育成を見守りましょう。
アストニー

「アストニー」は、葉の形がハートのように見える品種です。
寒さにはあまり強くないため室内での栽培が向いていて、寒さに負けると落葉してしまいます。
葉は小ぶりですが、見た目の愛らしさから幅広い人に人気があるワイヤープランツです。
ワイヤープランツの葉っぱの特徴

ワイヤープランツの葉っぱは、小ぶりで丸っこい形をしています。
つやがある鮮やかな緑色の葉を豊富に茂らせるのが特徴です。
品種によってはピンクや白の斑が入ったり、葉のサイズにも差があったりします。
ワイヤープランツはどんな花が咲く?

適切な環境下にて生育が順調に進むと、春から夏頃に白い花を咲かせることがあります。
非常に小さいため目立たないものの、ひとつひとつがとても可愛らしいのでぜひ注意深く観察して見つけてみてください。
ワイヤープランツの花言葉
ワイヤープランツの花言葉は「憧れ」「純愛」「あなたを思っています」です。
ワイヤープランツの育て方

ワイヤープランツを育てる際には、主に以下の項目を意識しましょう。
- なるべく直射日光を避け、日当たりの良い場所で育てる
- 栽培環境の温度は0~5℃以上をキープする
- 定期的に剪定を実施する
水やりの頻度
ワイヤープランツは葉が小さくて水分を蓄えにくい植物なので、とくに水が切れやすい夏場にはこまめな水やりが必要です。
しかし過度な水やりは根腐れの原因となるため、水やりは必ず土が乾いたタイミングで実施するようにしましょう。
冬場は土がしっかりと乾くまで時間が掛かるので、少し乾燥気味に育てるのがおすすめです。
肥料のあげ方
生育期を中心に、適切な時期に肥料を与えるとより元気なワイヤープランツが育ちます。
肥料は緩和性または液肥を選び、種類に応じて与える量や頻度を調整しましょう。
緩和性の場合
夏場は月に一度、春や秋は2か月に一度の頻度で与えます。
生育期と重ならない冬場は、3か月に一度を目安に与えれば十分です。
液肥の場合
春から秋頃まで2週間に一度のペースで定期的に与え続けます。
病害虫・害虫対策
ワイヤープランツは、基本的には病害虫や害虫の被害があまり見られない植物のひとつです。
しかし、剪定を怠って葉が過度に茂るとハダニが発生することがあるので、定期的な剪定や事前の対策を実施しておきましょう。
ハダニ
- 葉に白くて細いクモの糸のようなものが付着する
- 葉に斑点や傷、小さな虫の付着などが見られる
ハダニは夏場の高温多湿の時期になると発生し、放っておくとどんどん数を増やすので注意が必要です。
葉や茎の状態に違和感を感じたらハダニの存在を疑い、葉の裏に虫が居ないかよくチェックしてください。
発見次第、なるべく早めに虫や影響のある葉を取り除き、殺虫剤や薄めた牛乳などを噴霧します。
日頃から葉の様子をよく観察して剪定や葉水を実施し、育成環境には風通しの良い場所を選ぶのがおすすめです。
株の選び方
園芸店やホームセンターにてワイヤープランツの株を選ぶ際には、まず何よりも見た目にボリュームがあって元気な株を選ぶと良いでしょう。
艶のある葉が豊富に茂っていて、株が全体的に鮮やかな緑色をしていると健康である証拠です。
葉や茎に張りがなかったり色が薄くなったりしている株は、日照不足で弱っている可能性が高いので避けましょう。
植え方|グランドカバーにするには?

ワイヤープランツは、元気に育つとどんどん茎を伸ばして葉を茂らせるため、グランドカバーとしてもよく選ばれています。
なるべく日当たりと水はけに優れた場所を選び、表面が揃うように丁寧に植えて土を被せたら、最後にたっぷりと水を与えてください。
成長すると何倍にもボリュームが出る可能性があるので、初めて植える場合には株の数は控えめにして、様子を見ながら理想のグランドカバーへと仕上げましょう。
切り戻し剪定
元気に育つとどんどん枝や茎を伸ばして葉を増やしていくワイヤープランツには、定期的に「切り戻し剪定」を実施する必要があります。
園芸用のハサミを使用し、伸びすぎた枝を3分の1から半分ほどの長さにカットして、茎や葉の量を調整しましょう。
切り戻し剪定によって風通しが良くなって害虫の発生を防ぐことができ、カットした箇所から新芽も出やすくなるので、必ず年に一度以上は実施します。
葉っぱが落ちる・黄色くなる原因は?
ワイヤープランツは、真冬の過度な寒さのなかで育てると葉っぱが落ちてしまうことがあります。
耐寒性はあるものの、低すぎる気温には耐えられないので冬の間はなるべく室内で育てるのがおすすめです。
また、寒さのほかに日照不足や水不足などが原因で葉が黄色くなることもあります。
一方で水を与えすぎた場合にも、根腐れを起こして葉が黄色くなる恐れがあるので、水やりの量や日当たりには注意が必要です。
ワイヤープランツの栽培環境

耐陰性や耐寒性に優れているワイヤープランツですが、元気に成長するためには当然ある程度適切な日当たりや温度が必要です。
育てる場所や季節に合わせながら適した栽培環境を整えて、より健康で丈夫なワイヤープランツを育ててください。
置き場所と日当たり

ワイヤープランツは屋内外問わず育てることが可能です。
庭植えやグランドカバーとして楽しみたい場合には、なるべく日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。
強い直射日光に当たり続けると葉焼けを起こしてしまう可能性があるので、夏場は遮光が必要です。
耐陰性があるため半日陰や室内でも育てることはできますが、日照不足が続くと元気がなくなってしまうので、栽培環境には必ず明るい日陰や日光が当たる窓際といった場所を選びます。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
耐寒性のあるワイヤープランツですが、真冬の過度な寒さには耐えられず落葉してしまうことがあります。
栽培環境の温度は最低でも0〜5℃を下回らないようにして、冬場は可能な限り室内で育てると安心です。
用土

ワイヤープランツには、水はけや通気性に優れた用土が適しています。
市販の「草花用培養土」で十分問題ありませんが、自分で土を混ぜる場合の配合は、小粒の赤玉土6に腐葉土3と軽石またはパーライトを1の割合がおすすめです。
ワイヤープランツを種から育てると大変?
ワイヤープランツは、一般的に園芸店やホームセンターではポット苗の状態で売られていることが大半ですが、種から育てることも可能です。
しかし、苗から育てる場合と比較すると当然手間も時間も掛かり、発芽率もあまり高くはないため、園芸に慣れていない方は避けたほうが無難でしょう。
ワイヤープランツの開花時期
適切な環境下で育てると、春から夏頃のタイミングで花を咲かせることがあります。
具体的には5〜8月頃に開花するので、ワイヤープランツが元気に育っている場合には、小さな花が咲いていないかよく観察してみましょう。
開花時期は5~8月
ワイヤープランツの開花時期は5〜8月と、春から夏にかけた暖かい時期です。
環境が整った状況でのみ開花するとされているので、水はけや通気性に優れた用土に植えて、適切な水やりや日当たりを意識しながら丁寧に育てましょう。
ワイヤープランツの花が咲かない原因は?
開花時期になっても花が咲かない場合、最も多い原因としては「日照不足」があげられます。
とくに室内での栽培では日照不足になりやすいので、日頃からよく日光の当たる窓際をはじめ、なるべく明るい場所に鉢を設置して育てるようにしましょう。
開花には十分な栄養も必要となるため、用土を工夫したり肥料を与えたりと、ワイヤープランツの状態をよく観察しながら適切なお世話を実施してください。
ワイヤープランツの増やし方

ワイヤープランツは「株分け」「水挿し」「挿し木」と、さまざまな方法で数を増やすことが可能です。
剪定や増やし方について、適した時期や方法を紹介します。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
剪定や株分けを実施するタイミングは、生育期と重なる4〜6月頃が最も適しています。
春頃に実施すると新芽が生えやすくなり、夏にはまた豊富に葉を茂らせるので、より元気な状態を維持することが可能です。
株分けのやり方
株分けは、ワイヤープランツの親株を分割することで数を増やす方法です。
- ワイヤープランツを根ごと土から出し、2~3分割する
- 古い土を払い落とし、それぞれ新しい用土を入れた鉢へと植える
- 水をやってしばらく様子を見る
① ワイヤープランツを根ごと土から出し、2~3分割する
まずは、親株となるワイヤープランツを土から掘り起こしましょう。
根が切れてしまわないように注意して根の周りの土も一緒に取り出したら、手やハサミを使って根を2〜3つに分けます。
分割した株と比較した際に根が多すぎると感じる場合は、株の大きさに合わせて根をカットして減らしてしまっても問題ありません。
② 古い土を払い落とし、それぞれ新しい用土を入れた鉢へと植える
根についた古い土を優しく払い落とし、分割した株をそれぞれひとつずつ新しい鉢へと植えていきます。
土を払い落とす際には、同時に土の表面に不要な草が生えたり虫が付着したりしていないかもチェックし、取り除きながら実施すると良いでしょう。
また、新しい鉢には事前に鉢の半分ほどまで新しい用土を入れておくとスムーズです。
③ 水をやってしばらく様子を見る
最後にすべての鉢に水をたっぷりと与え、明るい日陰で1〜2週間ほど管理して様子を見ます。
葉や茎が元気になってきたら、通常通り日当たりの良い場所で育てましょう。
水挿しのやり方
水挿しは、カットした枝を水に入れておくだけと、非常に手軽な増やし方のひとつです。
- 水挿しに使用するための枝をカットして挿し穂を用意する
- カットした枝を水を入れた容器に入れて明るい場所に設置する
① 水挿しに使用するための枝をカットして挿し穂を用意する
親株から葉がついた健康な枝を選び、6〜7節ほどの長さでカットします。
水挿しを実施する際には、同じタイミングで剪定を済ませておくと、剪定時にカットした枝をそのまま使うことができるのでおすすめです。
水挿し用の枝を選んだら、下の節の葉を取り除いて「挿し穂」を用意しましょう。
ワイヤープランツは1本ずつが非常に細いため、挿し穂を作った枝を複数用意してまとめて挿せるようにしておきます。
② カットした枝を水を入れた容器に入れて明るい場所に設置する
水挿し用に用意した容器に水を準備しておき、挿し穂の部分が浸かるように枝を入れます。
容器は枝が入るものであればどんなものでも問題ないので、気に入った容器を見つけてインテリアとして楽しむのも良いでしょう。
容器ごと直射日光の当たらない明るい場所に設置しておくと、順調にいけば数日で発根します。
根が十分に成長したら鉢に植え替えて、通常通りお世話を開始してください。
挿し木のやり方
挿し木のやり方は、水挿しとほとんど同じです。
- 挿し木用の枝をカットして挿し穂を用意する
- 挿し穂を用土に挿す
- 明るい日陰で水を与えながら発根を待つ
① 挿し木用の枝をカットして挿し穂を用意する
挿し木の場合も、やはり剪定のタイミングに合わせて実施するのがおすすめです。
水挿しと同様に、挿し木に使用する枝を選別してカットしたら、下の部分の不要な葉を取り除いて挿し穂を用意します。
② 挿し穂を用土に挿す
水挿しでは挿し穂を水に入れるところを、挿し木の場合は直接土に挿して発根を待ちます。
挿し木に使用する枝は複数本用意しておき、1本ずつではなくある程度まとめて一緒に挿すようにしましょう。
しっかりと土を被せて固定したら、全体のバランスを見て改めて不要な葉を取り除いておくと、風通しが良くなってスムーズな成長が促進されます。
鉢はもちろん、あえて苔玉に挿して可愛らしいインテリアにするのも人気です。
③ 明るい日陰で水を与えながら発根を待つ
乾燥しないように水を与えながら、明るい日陰で1〜2か月ほど発根を待ってください。
しっかりと根が生えたら、栽培用の鉢に植え替えても大丈夫です。
植え替え時期はいつがいい?
ワイヤープランツの植え替えは、2年に一度ほどを目安に実施します。
植物全体の成長が非常に早く、放っておくと根詰まりを起こしやすいので定期的な植え替えによる鉢替えが大切です。
時期は剪定と同じく4〜6月頃に実施すると、植え替え後も元気に成長し続けます。
鉢替えのやり方
植え替え時には、鉢をこれまでよりもひと回り大きなサイズへと変更する「鉢替え」を同時に実施します。
鉢替えをすることで根詰まりを防ぎ、丈夫で健康なワイヤープランツが育ちやすくなるので、必ず行うようにしてください。
- 事前に鉢底石や用土などを入れた新しい鉢を用意する
- 株を取り出し、余分な土を払って新しい鉢へと植え替える
① 事前に鉢底石や用土などを入れた新しい鉢を用意する
鉢替えで新しく使用する鉢には、これまで使用していた鉢よりもひと回りほど大きなサイズを選びます。
植え替え先の鉢には、事前に新しい鉢底石や用土を入れておき、ワイヤープランツをすぐに植えられるようにしておきましょう。
② 株を取り出し、余分な土を払って新しい鉢へと植え替える
枝や根を傷つけてしまわないように注意しながら、株をそっと取り出して新しい鉢へと移動させます。
植える前には根の周りについた古い土をある程度払い落して、上から新しい土をしっかりと被せながら植えてください。
最後にたっぷりと水をかけて、しばらくは明るい日陰に置いて様子を見ながら育てましょう。