胡蝶蘭の仕立て方|支柱の立て方に必要な道具は何?
公開日 2024年12月23日
更新日 2025年01月26日
本来、胡蝶蘭は熱帯地方のジャングルで高木の幹などに着生して生育する植物です。
従って通常の植物のように上には伸びずに横に伸びて垂れ下がるようにして開花します。
普段、私たちが園芸店などで見かける胡蝶蘭の姿は決して自然の状態ではありません。
日頃私たちを魅了して止まない胡蝶蘭は、もちろんそれ自体も美しいのですが、更にそれが美しく見える秘密の演出があるのです。
それが「仕立て」と呼ばれる工程です。
胡蝶蘭の「仕立て」とは何か
胡蝶蘭を、蝶が舞うような美しい姿に育てるには、「仕立て」という作業が必要です。
仕立て作業(「曲げ」とも呼ばれます)とは、支柱を使用して胡蝶蘭の花茎を支柱に留めていく作業のことです。
この仕立てを確実に行うことで、胡蝶蘭は蝶が文字通り一列になって飛んでいるような優美な花姿になります。
もし、仕立てを実施せずに胡蝶蘭を育てると、花茎は自由に伸び、花は自重で垂れ下がり、花びら自体も左右バラバラの方向を向くといったまとまりのない状態になってしまいます。
この仕立て作業自体は、慣れればそれ程難しくないので、是非一度トライしてみてはいかがでしょうか。
胡蝶蘭の「仮留め」作業
1~6月の間に、株の成長に合わせて仮留めとしての支柱立てを行います。
目安としては、花茎が15cm程度になったら支柱を立てた方が良いでしょう。
胡蝶蘭は春先から花芽が盛んに育ってきますが、成長すると自重で垂れ下がって、その重みで鉢が転倒してしまいます。
それを未然に防ぐ意味でも、支柱を立てて花茎を支柱に仮留めする作業が必要です。
用意する物
- 支柱(園芸用の緑色や茶色の鉄線で直径が2.5mm程度のもの)
- 胡蝶蘭専用の留めクリップ、またはビニールひもやカラータイなど
胡蝶蘭専用のクリップがあれば良いですが、無ければビニールひもやカラータイなどでも代用できます。
仮留めの支柱の立て方
- 支柱の長さは胡蝶蘭の根元から先端までの半分程度にする
- ゆっくりと慎重に、根を傷めないように深くまっすぐ立てる
- クリップや紐などで、支柱と花茎ゆるく留める
① 支柱の長さは胡蝶蘭の根元から先端までの半分程度にする
支柱を蘭自体の半分の長さにするのは、これから成長して更に花を咲かせる先端部分を、縛らずに自由にさせておくためです。
② ゆっくりと慎重に、根を傷めないように深くまっすぐ立てる
鉢の周りに根が張り付いているので、鉢の際ではなく1.5cm程度内側に立てましょう。
③ クリップや紐などで、支柱と花茎ゆるく留める
仮留めは2箇所くらいで十分です。
仕立て作業
胡蝶蘭の開花が始まったら、いよいよ本格的な仕立て作業をしていきます。
用意するもの
- 長めの支柱(園芸用の緑色や茶色の鉄線で直径が2.5mm程度のもの)
- 胡蝶蘭専用の留めクリップ、またはビニール紐やカラータイなど
用意するものは、仮留めのときと同じです。
但し、支柱は曲げて使うため、鉢の底から花までの長さよりも20cm程度長いものを用意して下さい。
仕立て作業の手順
- 支柱の片方の先端部分をZ字型に曲げておく
- 支柱を鉢の底にまで差し込む
- クリップや紐などで、支柱と花茎を下から上に留めていく
- 胡蝶蘭の花の下側で、下部に向けて支柱を大きく曲げる
- 曲げた支柱と花茎を留めていく
① 支柱の片方の先端部分をZ字型に曲げておく
支柱が回転しないように、差し込む側の先端部分を曲げておきます。
② 支柱を鉢の底にまで差し込む
③ クリップや紐などで、支柱と花茎を下から上に留めていく
④ 胡蝶蘭の花の下側で、下部に向けて支柱を大きく曲げる
花茎が複数本ある場合は、曲げの角度を同じにするときれいに仕上がります。
⑤ 曲げた支柱と花茎を留めていく
今後の成長分も見込んで、ゆるく留めましょう。
仕立て後の注意点
仕立て後は、サポート用に補強目的の短い支柱を立てて、最初の支柱と花茎を留めると安心です。
また、花が伸び切ったら、それ以上の成長はないのでしっかりと留め直すようにしましょう。
花茎が横に伸びるにつれて、バランスが崩れて鉢が転倒しやすくなるため、都度、上の方に伸ばしていきます。
こうすることで、最終的には花の向きを同一方向に揃えることになります。