フィロデンドロン ピンクプリンセスの育て方
公開日 2025年11月11日
更新日 2025年11月11日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
INDEX
目次
フィロデンドロン ピンクプリンセスの基本情報
| 植物名 | フィロデンドロン ピンクプリンセス |
| 学名 | Philodendron ‘pink princess’ |
| 和名 | フィロデンドロン ピンクプリンセス |
| 英名 | Philodendron ‘Pink Princess’ |
| 別名 | ピンクプリンセス |
| 原産地 | 南ブラジル |
| 科名 | サトイモ科 |
| 属名 | フィロデンドロン属 |
| 開花時期 | 6~7月 |
フィロデンドロン ピンクプリンセスは葉にピンクの斑が入る観葉植物で、緑とピンクが混ざった独特の色合いが美しく、フィロデンドロンの中でも希少な品種のため、観葉植物愛好家の間でも人気があります。
葉だけではなく茎にもピンクのラインが入り、全体的にピンク色が際立つ姿が特徴です。
目に見える部分だけでなく、根や樹液もピンク色をしています。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種類と品種
フィロデンドロン ピンクプリンセスの主な品種を紹介します。
フィロデンドロン ピンクプリンセス ギャラクシー
葉全体に薄い斑があり、通常のピンクプリンセスよりも細かい散り斑が入っている品種です。
ほかにも「ホワイトプリンセス」や「プリンセスオブオレンジ」といったフィロデンドロンありますが、名前に「プリンセス」とつけば必ずフィロデンドロン ピンクプリンセスと近い品種というわけではありません。
「プリンセス」という名前は、その品種の美しさや魅力を表現するために使われています。
フィロデンドロン ピンクプリンセスの葉っぱの特徴

フィロデンドロン ピンクプリンセスの葉っぱの特徴は、ピンクの斑が入った色合いです。
艶やかな濃緑の葉っぱに、優しいピンクが混ざって可愛らしい見た目をしています。
斑入りのパターンは個体によって様々です。
葉っぱの半分がピンク色になる斑入りのパターンは「ハーフムーン」と呼ばれることもあります。
フィロデンドロン ピンクプリンセスの花言葉
フィロデンドロン ピンクプリンセスの花言葉は「華やかな美しさ」「壮大な美」です。
「華やかな美しさ」「壮大な美」は、フィロデンドロン全般の植物に共通しています。
フィロデンドロン ピンクプリンセスの育て方

フィロデンドロン ピンクプリンセスの育て方のポイントは以下のとおりです。
- 水は土の表面が乾いてから
- 肥料は生育期に月2回程度
- 支柱などに活着させて育てると大きく美しく育つ
水やりの頻度
水やりは土の表面が完全に乾いてから行います。
土を指で触ったときに、指に土がくっついてこなければ水を与えましょう。
水やりの頻度の目安
| 時期 | 頻度 |
|---|---|
| 生育期(春~秋) | 1日2回程度 |
| 休眠期(冬) | 2~3日に1回程度 |
水やりに適したタイミングは気温や湿度などの生育環境によって異なります。
目安を参考に、葉や土の状態を確認しながら行いましょう。
葉水
季節を問わず、葉水は2~3日に1回程度行うのが理想です。
葉の表と裏に丁寧に霧吹きで水を吹きかけます。
葉水の後は風通しの良い場所で乾かし、カビや病気の原因となる水分の溜まりを防ぎましょう。
肥料のあげ方
肥料は液体肥料を観葉植物用に薄めたものや、固形肥料を与えます。
成育期には定期的に与え、休眠期には肥料を与えません。
休眠期の肥料や、肥料のあげすぎは肥料焼けを起こしてしまうので注意が必要です。
肥料をあげる頻度の目安
| 肥料のタイプ | 頻度 |
|---|---|
| 液体肥料 | 成育期に月2回程度 |
| 固形肥料 | 成育期に月1回程度 |
各肥料の用量を守って与えましょう。
肥料焼けしてしまったら、土の肥料濃度を下げるために多めの水を与えます。
病害虫・害虫対策
フィロデンドロン ピンクプリンセスは、ハダニやカイガラムシ、アブラムシに注意が必要です。
ハダニ
- 20~30℃で活発化
- 乾燥を好む
- 葉の裏側に寄生
- 寄生すると葉全体に白い斑点が出る
- 葉が変色し枯れる
ハダニは観葉植物全般に被害が出やすい害虫ですが、フィロデンドロン ピンクプリンセスも例外ではありません。
フィロデンドロン ピンクプリンセスの育ちやすい温度と、ハダニが活発化する温度の範囲が近いためです。
水やりや葉水のタイミングで葉の裏側を確認し、ハダニを見つけた場合はすぐに洗い流しましょう。
殺虫剤の散布も有効です。
一度枯れた葉は回復しないため、切り落とします。
カイガラムシ
- 葉の裏側に寄生
- 植物の樹液を栄養源としている
- 微弱な殺虫剤はあまり効果がない
- 排泄物で葉の表面がべたつく
- 葉が変色し枯れる
カイガラムシは植物の樹液を栄養源とするため、樹液が豊富なフィロデンドロン全般の植物に好んで寄生します。
カイガラムシが寄生した植物は、食器用洗剤を泡立てて丸洗いすると効果的です。
殺虫剤を散布する場合は、カイガラムシ専用のものを選んで使いましょう。
アブラムシ
- ホームセンターなどで安売りされているものに寄生していることが多い
- カイガラムシなどの排泄物に誘引されて寄生する
- 植物の栄養を吸収し弱らせる
葉の表面についているアブラムシは流水で洗うことで駆除できます。
茎の隙間に入り込んでいるものには殺虫剤を使用しましょう。
仕立て方
フィロデンドロン ピンクプリンセスなどつる性の植物を大きく元気に育てるには、支柱に沿わせて仕立てるのが効果的です。
支柱にはモスポールや猫の登り棒を使用します。
| 支柱の種類 | モスポール | 猫の登り棒 |
|---|---|---|
| 素材 | 水苔 | プラスチックや木材+土 |
| 耐久性 | 普通 | 高い |
| 植え替え | できない | できる |
今回は植え替えが可能な猫の登り棒を使った方法を紹介します。
猫の登り棒を使った仕立て方
手順は以下のとおりです。
① 猫の登り棒に用土を入れる
登り棒の下側、フィロデンドロン ピンクプリンセスの背の高さ位のところまで用土を入れます。
登り棒の長さの目安は、半年~1年ほどでトップまで登りきるくらいです。
用土を入れる際は、大きな衣装ケースの中で行うと用土が飛び散らずにやりやすくなります。
② 根の部分を登り棒の中に入れてさらに土を入れる
茎は登り棒の中に埋めずに外側に沿わせましょう。
③ 茎と登り棒を結束バンドで固定する
結束バンドはきつめに留めることで、植物が安定します。
葉の上で留めるのは避けた方が良いので、節間の上あたりを目安にしましょう。
④ 植物の上まで用土を入れる
植物の上10cmくらいまで用土を入れます。
⑤ 鉢の底に用土を入れる
まずは鉢の底から3分の1程度のところまで用土を入れましょう。
1mの登り棒に対して、6号の鉢を使用すると安定します。
気根が伸びてきたらどうする?
フィロデンドロン ピンクプリンセスの気根が伸びてきた場合は、以下の対処方法がおすすめです。
- 気根を支柱に沿わせて仕立てる
- 土に挿す
- 剪定する
剪定する場合は成育期の春から夏の間に行いましょう。
気根を切りすぎてしまうと、フィロデンドロン ピンクプリンセスの成長を妨げてしまいます。
フィロデンドロン ピンクプリンセスの栽培環境

フィロデンドロン ピンクプリンセスの栽培環境で気を付けるポイントを紹介します。
置き場所と日当たり

フィロデンドロン ピンクプリンセスは窓辺の明るい場所に置くのがおすすめです。
強い直射日光が当たると、葉焼けしてしまうので、レースカーテン越しなどの半日陰に置きましょう。
冬場は窓際が冷えるため、窓から離した温かい場所に置きます。
葉っぱがピンクにならない・緑色になってしまう原因は?

フィロデンドロン ピンクプリンセスの葉がピンクにならない原因は、正確には解明されていません。
以下のような原因があるとされていますが、実際のところ関連性は薄いようです。
- 日光不足
- 栄養不足
- 株によってはピンクの葉が出ないものがある
日光や栄養を増やせば成長が促進され、新芽の出現が増えることでピンク色の葉がでる可能性は高くなります。
また、緑の葉しかなかったフィロデンドロン ピンクプリンセスが、成長とともにピンクの葉が出てきたという栽培実例もあります。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
フィロデンドロン ピンクプリンセスの成長に最適な温度は15~25℃です。
15℃を下回ると傷んでしまうので注意しましょう。
フィロデンドロン ピンクプリンセスの土の配合比率(用土)

フィロデンドロン ピンクプリンセスの用土には通気性と排水性に優れた用土を使用しましょう。
おすすめの用土は以下のとおりです。
- 軽石(マグァンプKを少量混ぜる)
- 日向石+ココチップ(2:1)
フィロデンドロン ピンクプリンセスを種から育てると大変?
フィロデンドロン ピンクプリンセスは交配品種のため、一般的に種から育てることはできません。
成長した株を使って、挿し木や株分けで増やします。
フィロデンドロン ピンクプリンセスの増やし方

フィロデンドロン ピンクプリンセスは挿し木や株分けで増やすのが一般的です。
挿し木や株分けでフィロデンドロン ピンクプリンセスをカットする際は、赤紫の樹液が飛び散る場合があります。
レジャーシートなどを敷いておくと、樹液が飛んでも安心です。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
フィロデンドロン ピンクプリンセスの剪定・株分けは生育期である春~夏にかけて行います。
生育期内でも、晩夏や秋になってしまうと葉が育ち切らないうちに休眠期に入ってしまうため、なるべく生育期の早い時期に行いましょう。
挿し木のやり方
フィロデンドロンピンク プリンセスの挿し木は以下のように行います。
- 茎をカットする
- カットした茎を水または土に挿す
- 発根を待つ
- 発根したら土に植え替える
① 茎をカットする
茎をカットする際は、節を2つ以上残します。
節とは葉の根元にある、新芽が出てくる場所です。
樹液の飛び散りに注意しましょう。
② カットした茎を水/土に挿す
水に挿す場合は茎が水によく浸かるようにしましょう。
③ 発根を待つ
節から根が伸びてきて、2週間後くらいには根が大きく成長します。
水挿しの場合は1週間に1回程度水を取り替えましょう。
④ 発根したら土に植え替える
肥料入りの土を使用すると葉焼けしてしまうため、赤玉土など肥料成分を含まない土を使いましょう。
植え替えたら水をたっぷりを与えます。
取り木のやり方
フィロデンドロン ピンクプリンセスは気根を利用すれば、簡単に取り木ができます。
茎の皮を剥く必要はありません。
気根を利用した取り木の手順は以下のとおりです。
- 弱っている気根をカットする
- 気根が出ている茎の部分に水苔を巻きつける
- 水苔の上からラップで覆う
- 気根が表面に見えてきたら根元からカットする
- 土に植え付ける
① 弱っている気根をカットする
弱っている気根は使わないのでカットしましょう。
支柱がある場合は、外してから行うとやりやすいです。
② 気根が出ている茎の部分に水苔を巻きつける
完全に気根を覆う位の水苔を、茎に巻き付けます。
③ 水苔の上からラップで覆う
水苔の上から、くるくると2~3回ラップを巻きます。
外した支柱は、ラップを巻き終えたタイミングで戻しましょう。
水やりは水苔が乾いたら、水苔を巻いた下の部分から水が染み出す程度で行います。
④ 気根が表面に見えてきたら根元からカットする
気根が伸びてくる目安は1か月程度です。
水苔の中から気根が見えてきたら、取り木箇所の下の根元部分からカットします。
⑤ 土に植え付ける
カットしたフィロデンドロン ピンクプリンセスを清潔な土に植え付けます。
少し変わった取り木のやり方
密閉可能な袋と結束バンドを使った、さらに簡単な取り木の方法を紹介します。
手順は以下のとおりです。
- 密閉できる袋と結束バンドを用意
- 取り木を行う気根に水を入れた袋をかぶせる
- 結束バンドで茎と袋を固定
- 根が伸びたら茎をカットする
- 土に植え付ける
① 密閉できる袋と結束バンドを用意
ジッパー付きのビニール袋を用意し、袋の上部に穴を開けます。
穴を開ける大きさは結束バンドが通る程度です。
② 取り木を行う気根に水を入れた袋をかぶせる
ビニール袋に水を入れ、取り木を行う気根にかぶせます。
気根の先が水に浸かるようにしましょう。
③ 結束バンドで茎と袋を固定
袋に結束バンドを通し、茎に巻き付け固定します。
固定出来たらビニール袋の口を閉じ密閉しますが、完全に密閉しきらなくても問題ありません。
④ 根が伸びたら茎をカットする
気根から、さらに白い根が出てきたら、節を3つ程度の長さを確保してカットします。
⑤ 土に植え付ける
肥料成分のない清潔な土に植え付けましょう。
植え替え時期はいつがいい?
フィロデンドロン ピンクプリンセスの植え替えは5~8月に行うのが最適です。
この時期は植物が新しい環境に適応しやすく、根の成長も促進されます。
鉢替えのやり方
フィロデンドロン ピンクプリンセスの鉢替えのやり方は以下のとおりです。
① 株を鉢から抜く
鉢替え前のフィロデンドロン ピンクプリンセスを、鉢から優しく出します。
② 根に付いた用土を落とす
根をほぐしながら土を落とします。
この際に、水洗いしながら土を落としても問題ありません。
③ 鉢の3分の1に用土と肥料を入れる
新しい鉢の3分の1程度に用土と、一つまみ程度の元肥を入れます。
④ 株を鉢に入れて用土を入れる
⑤ 水やりで土を締める
水をたっぷり与えて土を締めてあげ、土が沈んで少なくなったら、その分用土を追加します。
鉢替え後は半日陰に置いて管理しましょう。

