チランジア アエラントスの育て方
公開日 2025年05月02日
更新日 2025年05月04日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
チランジア アエラントスの基本情報
植物名 | チランジア アエラントス |
学名 | Tillandsia aeranthos |
英名 | Tillandsia aeranthos |
原産地 | アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、パラグアイ |
科名 | パイナップル科 |
属名 | チランドシア属 |
開花時期 | 不定期 |
チランジア アエラントスは、茎が長く伸びる有茎種です。
アルゼンチンやブラジルといった南米地域を原産とし、葉っぱは緑色で硬質、ほかのチランジアに比べてトリコームが少ないという特徴を持ちます。
チランジア アエラントスには多くの変種や栽培品種が存在し、花の色や葉っぱの形がさまざまな点も魅力のひとつです。
乾燥や寒さに強い丈夫な品種で、温暖な地域であれば冬でも屋外で栽培できます。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
不定期
種類と品種
チランジア アエラントスには、多くの変種や栽培品種があります。
南米の広い地域に自生しているため、さまざまな環境に適応した結果変種が生まれやすくなりました。
ほかのチランジア種と交配しやすかったため栽培品種も豊富です。
以下の品種が一例なので参考にしてください。
品種 | 花の色 | 育てやすさ | レア度 |
---|---|---|---|
ミニアータ | 赤系 | ◎ | △ |
ニグラ | 赤系 | ◎ | △ |
マージナータ | 白系 | 〇 | 〇 |
アルバ | 白 | △ | ◎ |
アエムラ | 紫系 | △ | ◎ |
ミニアータ
アエラントスの仲間の中でも特に小型の栽培品種。
成長が早く子株をたくさん出すため、短期間で群生を楽しめます。
ニグラ(ミニパープル)
黒に近い紫色の葉っぱが特徴的な栽培品種で、ミニパープルの名でも知られています。
コンパクトなサイズ感で葉は非常に硬質です。
マージナータ
白い花びらに青いまだら模様が入る珍しい栽培品種です。
まだらの模様は個体差が大きく、美しく咲くのは大変レアになります。
アルバ
基本種のチランジア アエラントスの白花変種で、純白の花が咲きます。
水やりや光量の管理が難しい品種です。
アエムラ
基本種より大きく成長して茎が長くなり、子株が増えやすい変種です。
花はチランジア アエラントスによく似て、ピンク色の花苞から濃い紫色の花を咲かせます。
チランジア アエラントスはどんな花が咲く?

チランジア アエラントスは、濃いピンク色の花苞から、鮮やかな紫色の三弁花が開花します。
花の形は筒状で、長く伸びた花序の先端が3つに分かれて開くのが特徴です。
品種により花の色や形状がさまざまで、純白やまだらなど多彩な花を楽しめます。
チランジア アエラントスの葉っぱの特徴

チランジア アエラントスの葉っぱは、硬質で緑色を帯びた形状をしています。
トリコームと呼ばれる微細な毛の器官が少ない緑葉種なので、銀葉種のチランジアと比べて葉っぱの表面は滑らかです。
乾燥すると葉っぱが丸まってくる性質があり、この変化によって水やりのタイミングがわかりやすいでしょう。
また、チランジア ベルゲリと非常に似ているため株だけで見分けるのが困難です。
チランジア アエラントスの花苞や花弁は鮮やかで濃い色ですが、ベルゲリは薄い色なので開花すると判別しやすくなります。
チランジア アエラントスの花言葉
チランジア アエラントスの花言葉は「不屈」です。
チランジア アエラントスの育て方

基本的な水やりの頻度から、病害虫対策や枯れる原因まで解説します。
水やりの頻度
春夏(生育期) | 週2~3回程度 |
秋冬(休眠期) | 週1回程度 |
チランジア アエラントスは水を好む植物で、適切な頻度の水やりが大切です。
生育期である春から秋には週2~3回、夕方から夜の涼しい時間帯に水やりを行います。
一方、休眠期の冬は週1回程度、午前中の水やりが良いでしょう。
水やり後は2~3時間濡れた状態を保つのが理想的ですが、長時間濡れたままにすると蒸れにより枯れる場合があります。
屋内で育てる場合は、水やり後にサーキュレーターなどで風を当て、しっかり乾燥させてください。
また、夕方以降の気温が下がる時間帯の水やりは株が冷えるので避けるようにしましょう。
肥料のあげ方
時期と頻度 | 生育期に週1回程度 |
与え方 | 液体肥料を1,000~2,000倍に希釈して使用 |
チランジア アエラントスは肥料がなくても育ちますが、施肥することで成長を促進できます。
チランジア アエラントスは葉っぱから水分を吸収するため、液体肥料を使用して必ず1,000~2,000倍に希釈しましょう。
肥料を与える際は霧吹きを使用し、葉っぱ全体に均一に吹きかけます。
次回の水やり時に葉っぱを洗い流すようにたっぷり水をかけて、余分な肥料を落としてください。
着生のさせ方
チランジア アエラントスは、原産地では樹木や岩に着生して生息しています。
着生させると、自生地に近い環境となり生育が安定しやすいです。
また、直置きでは葉っぱの形が崩れて成長してしまうこともありますが、着生させることで美しい草姿を保てるメリットもあります。
- 着生材と道具の用意
- チランジア アエラントスの準備
- 着生材へ穴あけ
- 着生材へ固定
- 取り付け後の管理
- 根の成長管理
① 着生材と道具の用意
バークチップ、流木など着生材を選んでおきます。
用意するものは、固定する紐やワイヤー、ペンチやハサミ、穴をあける道具です。
② チランジア アエラントスの準備
チランジア アエラントスの根元に枯れた葉っぱや根がある場合、取り除いてきれいにしておきます。
③ 着生材へ穴あけ
吊るす場合は吊り下げ用の穴1つと、株の固定用の穴2つを開けます。
着生材に乗せる場合は固定用の穴2つです。
④ 着生材へ固定する
紐やワイヤーを穴に通し、押し付けない程度に株に巻き付けて着生材に固定します。
根がある場合は、傷つけないように注意して着生材に触れさせるように置きましょう。
⑤ 取り付け後の管理
着生後は週に2~3回、霧吹きで水をかけて乾燥させないように管理します。
⑥ 根の成長管理
白い根が伸びてきたら、マスキングテープをゆるく貼って着生材に向け誘導します。
しっかりと根が活着するまでは数か月かかるので、毎日観察して管理しましょう。
病害虫・害虫対策
チランジア アエラントスに起こる病害虫は、環境によって変わりますが、以下のようなものが代表的です。
早期発見のために定期的によく観察し、異常が見られたらすぐに隔離しましょう。
ハダニ
- 葉の裏に付着し、養分を吸われざらざらとした質感になる
- 葉が変色して黄色い斑点ができる
症状を発見次第、シャワーで洗い流すか葉っぱを取り除いてください。
ハダニは乾燥した環境を好むため、湿度を上げるのが効果的です。
カイガラムシ
- 葉に赤茶色や黒い斑点ができる
- 生育が悪くなり最悪の場合枯れる
- 白い綿のように見える卵が付着する
定期的にチランジア アエラントスを観察し、白い綿のようなものが付いていないか確認することが大切です。
付着していたら、歯ブラシなどでこすりカイガラムシを取り除いてください。
すす病
- 葉の表面が黒く汚れる
- 光合成が阻害され生育が悪くなる
すす病の原因は、害虫が植物の葉から養分を吸って排出する甘い蜜がカビの栄養源となり発生します。
殺虫剤を散布するか、直接害虫を取り除きましょう。
高い湿度はカビの繁殖を促すため、風通しを良くすることも大切です。
枯れる原因と対策
乾燥に強いチランジア アエラントスですが、栽培環境が適切でなければ枯れてしまう場合があります。
以下のような原因が枯れにつながるので、しっかり対策を取りましょう。
- 水やり不足
- 日光の管理ミス
- 湿度対策
水やり不足
水分が不足すると葉っぱの変色や徒長が発生し、徐々に枯れていきます。
週2~3回程度株全体が濡れるようにしっかり葉水をしてください。
日光の管理ミス
直射日光は葉焼けの原因になるので、カーテンで遮光率30〜50%の環境を作りましょう。
日光が足りない場合は、育成ライトを使用して光量を確保することも大切です。
湿度対策
風通しの悪い環境は、カビや害虫が発生して枯れの原因になるので、サーキュレーターなどで風通しを確保します。
逆に乾燥しすぎると葉先が茶色くなり枯れてしまうので、葉水を多くしたり加湿器を使ったりして湿度に気を配ってください。
チランジア アエラントスの栽培環境

丈夫で育てやすいチランジア アエラントスですが、置き場所や温度など、注意が必要な点を解説します。
また、着生材の紹介もするので参考にして選んでください。
置き場所と日当たり

置き場所
- 直射日光が当たらない半日陰
- 風通しの良い場所
チランジア アエラントスは、風通しの良い明るい日陰を好みます。
春から秋にかけては、風通しの良い屋外の半日陰が理想的な環境です。
冬は温暖な地域以外では、室内での管理が推奨されます。
エアコンなど暖房の風が直接当たる場所を避けて置くようにしましょう。
日当たり
- 30~50%の遮光された日差し
- レースカーテン越しの木漏れ日のような柔らかい光
直射日光を長時間浴びると葉焼けを起こしてしまうため、30~50%程度遮光された柔らかい光が理想的です。
室内では、レースカーテン越しの光が当たる窓辺が適しています。
光量が足りないと葉っぱが徒長したり、色が悪くなったりすることがあるため、不足している場合は植物用LEDライトを使用してください。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
適切な温度 | 20〜30℃ |
耐寒温度 | 10℃以上 |
チランジア アエラントスの生育に最適な温度は20~30℃です。
株を健康に育て充実させるには、この範囲内の環境で管理しましょう。
耐寒温度は10℃で、それを下回ると生育が鈍くなるため、冬は温暖な地域以外は室内に入れるのが安全です。
同様に、気温が30°Cを超える場合は、扇風機やサーキュレーターで風を当てるか、日陰に移動させましょう。
置き場所・着生材
着生材に活着させたチランジア アエラントスの置き場所は、風通しが良く直射日光を避けられる場所が適しています。
ダクトレールやハンガーを使い吊り下げると、おしゃれなインテリアグリーンのディスプレイを楽しめるでしょう。
着生材 | 撥水性 | 通気性 | 耐久性 | インテリア性 |
---|---|---|---|---|
バークチップ | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ |
コルク材 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
ヘゴ板 | ◎ | ◎ | △ | 〇 |
流木 | △ | △ | 〇 | ◎ |
バークチップ
松の木の樹皮を砕いたもので丸みをおびた形。
害虫が湧きにくく、軽量で加工しやすいため着生材に使いやすい。
コルク材
コルク樫の樹皮で柔らかく弾力がある。
バージンコルクは水分を適度に保持し、カビや腐敗にも強い。
ヘゴ板
シダ植物の幹を板状に加工したもの。
撥水性と通気性に優れ根が成長しやすい。
流木
自然な形状と質感が魅力。
インテリア性が高く水苔とも相性が良く着生しやすい。
チランジア アエラントスを種から育てると大変?
チランジア アエラントスを種から育てることは可能ですが、難易度が高く大変といえます。
増やすだけなら、株分けの方法が簡単で確実です。
種からの育成が難しい理由
- 温度、湿度、光量など非常に細かい環境管理が必要
- 常に湿った環境で育てるためカビが発生しやすい
- 発芽に成功しても、成長速度が遅いため何年もかかる
チランジア アエラントスの開花時期

チランジア アエラントスは、紫の美しい三弁花を咲かせます。
ここでは開花時期と花が咲かない原因を解説します。
アエラントスの開花時期は春頃
一般的に、チランジア アエラントスの開花時期は春頃です。
春は気温が上昇し日照時間も長くなり、チランジア アエラントスに最適な生育環境に近づくため、多くは春頃に開花します。
ただし株の充実度、栽培環境により個体差が大きいため、開花のタイミングは一定ではありません。
アエラントスの花が咲かない原因は?
- 日光不足
- 水やり不足
- 株の成長度
- 病害虫の被害
また、花芽ができているのに開花しない場合は、株のエネルギー不足が考えられるので液体肥料や活力剤を与えてみましょう。
チランジア アエラントスの増やし方

チランジア アエラントスは株分けで増やすことができます。
とても簡単で、親株の寿命が伸びるというメリットもあるので、やり方を参考にして増やしてみてください。
株分けのやり方
子株が親株の3分の2程度まで成長した頃が株分けのタイミングです。
生育期の春から夏の間に行いましょう。
- 子株の選定
- 子株の切り離し
- 子株が取れない場合はハサミで切り離す
① 子株の選定
チランジア アエラントスは開花が終わると3〜4個の子株ができるので、葉っぱにハリがあり良く成長しているものを選びましょう。
② 子株の切り離し
親株の根元と子株を持ちゆっくり倒して2つに分け、思い切って一気にもぎ取ります。
③ 子株が取れない場合はハサミで切り離す
子株が手で取れない場合は、消毒したハサミやカッターで根元から切り取ってください。