テイカカズラの育て方
公開日 2025年10月01日
更新日 2025年10月01日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
テイカカズラの基本情報
植物名 | テイカカズラ |
学名 | Trachelospermum asiaticum |
和名 | テイカカズラ(定家葛) |
英名 | Asiatic jasmine、Japanese star jasmine など |
別名 | マサキノカズラ |
原産地 | 日本、朝鮮半島 |
科名 | キョウチクトウ科 |
属名 | テイカカズラ属 |
開花時期 | 5~6月 |
テイカカズラは、光沢のある濃い緑色の葉を持つ常緑のツル性植物です。
年間を通して美しい葉色を楽しめ、ツルを伸ばしながら自然に広がっていくため、グランドカバーや壁面緑化にも重宝されています。
和風・洋風どちらのテイストの庭にも調和しやすく、主張しすぎないナチュラルなたたずまいが魅力です。
ほかの植物ともなじみやすいことから、寄せ植えなどにもぴったりといえるでしょう。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種
品種 | 葉の色 | 斑の有無 | 花つき | 成長速度 | ツルの長さ |
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テイカカズラ | 濃い緑色 | なし | 良い | 速い | ~10m |
ハツユキカズラ | ピンク→白→緑色に変化 | あり | 悪い | やや遅い | 50cm~ |
日本で流通している主な品種は、濃い緑色の葉が特徴の基本種と、葉色の移ろいが楽しめるハツユキカズラの2種です。
基本種は控えめな印象で庭全体になじみやすく、ハツユキカズラは葉にピンクや白が混じるため見映えがします。
用途や好みに応じて選ぶと良いでしょう。
テイカカズラ

濃い緑色の葉には自然なツヤがあり、季節を問わず落ち着いた雰囲気があります。
初夏の手前には白い小花をつけ、控えめながらもほどよい華やかさを添えるのも魅力です。
ハツユキカズラ

芽吹きの頃は淡いピンク色を帯び、やがて白、緑色へと移ろっていく葉色が特徴的です。
花はあまり咲きませんが、そのぶん葉の色合いが彩り豊かなため、カラーリーフとしても高く評価されています。
テイカカズラはどんな花が咲く?

テイカカズラは春から初夏前にかけて、ツルの先端に2〜3cmほどの白い星形の小花をつけます。
花は甘く上品な香りを漂わせ、緑色の葉に映えるナチュラルな雰囲気です。
咲き進むにつれて、花色がほんのりクリーム色に変化するのも魅力といえるでしょう。
開花後にできる細長い実は緑色から深い茶褐色へと変化し、熟すと裂けて、綿毛のついた種子を風に乗せて飛ばします。
個性的な実の姿も、テイカカズラならではの特徴です。
テイカカズラの葉っぱの特徴

葉の形 | 長楕円形 |
葉の質感 | やや厚みがあり、ツヤを帯びた質感 |
葉の色 | 濃い緑色 |
テイカカズラの葉は、やや厚みのある革質で、ツヤを帯びた濃い緑色が特徴です。
一年を通して色あせにくく、季節を問わず落ち着いた美しさを維持します。
ツルは四方へ絡まりながら伸び、地面を覆うように広がるため、グランドカバーとしても人気です。
葉が密に茂り、全体としてまとまりのある姿になることから、庭植えはもちろん、寄せ植えや壁面緑化にも取り入れやすい植物といえます。
テイカカズラの花言葉
テイカカズラには「優雅」「優美な女性」「爽やかな笑顔」「依存」といった花言葉があります。
「優雅」「優美な女性」は純白の花や上品な香りに由来し、星形の花が「爽やかな笑顔」を連想させるとしてつけられました。
「依存」はツルが絡む性質が由来です。
テイカカズラの育て方

テイカカズラは暑さや寒さに比較的強く、乾燥にもある程度耐える丈夫な植物です。
特別な管理を必要とせず、肥料が少なめでも十分に育ちます。
病害虫の被害も出にくいため、水はけと通気性の良い環境さえ整えれば、日常的な手間はそれほどかかりません。
水やりの頻度
テイカカズラは、常に湿っている土壌だと根腐れを引き起こすことがあるため、水はけと風通しの良い場所で育てるのが基本です。
地植えの場合
植え付け後は一度たっぷりと水を与えて、根を落ち着かせます。
根付いた後は乾燥した日が続くときだけ控えめに水を与える程度で十分ですが、夏場は朝夕いずれかに十分水やりをしましょう。
鉢植えの場合
表面の土が乾いたのを確認してから、数日以内にたっぷりと水を与えましょう。
根を健やかに保つには、水を与えすぎない、乾かしすぎないことが大切です。
肥料のあげ方
テイカカズラは、肥料を多く必要としない育てやすい植物です。
地植えでは基本的に不要ですが、鉢植えの場合は緩効性肥料を控えめに与えるだけで十分に育ちます。
- 地植え:基本的に不要
- 鉢植え:春と秋に1回ずつ
生育が緩やかに感じられる場合は、液体肥料を薄めて補助的に使うのも効果的です。
ただし、肥料を与えすぎるとツルや葉が過度に伸びて株姿が乱れる原因になるため、量は控えめに調整しましょう。
病害虫・害虫対策
テイカカズラは病害虫の被害が比較的少なく、手入れがしやすい植物です。
より健やかに育てるためには、風通しの良い場所に植えることで蒸れや根腐れを防ぎ、病害虫の発生リスクもより低く抑えられます。
ただし、通気性が確保できないとカイガラムシやアブラムシが出現することがあるため、混み合った部分はツルを根元から間引くのがポイントです。
カイガラムシ
- 葉が黄変する
- ツルの成長が悪くなる
- 症状が重いと枯れる
カイガラムシは、貝殻状の外観やロウ質の被覆を持つ害虫です。
さまざまな植物に寄生することで知られ、枝が密集して通気性が悪化すると発生しやすくなります。
正しく剪定を行うことで予防できますが、もし発見した際は歯ブラシなどを使って物理的に除去しましょう。
アブラムシ
- 葉が変形する
- 植物がベタつく
- ツルの成長が阻害される
アブラムシも、数多くの植物に定着する害虫です。
とくに花や新芽などの柔らかい組織に集中し、アブラムシの排泄物により植物表面がベタつくことがあります。
植え付け時の殺虫剤散布が有効ですが、薬剤使用を避けたい場合は、水やりの際に葉裏も含めて洗い流すか、見つけしだい取り除きましょう。
植え方|地植えのやり方
- 植える場所を選び土を準備する
- 鉢やポットから株を取り出す
- 根の状態を確認する
- 株を植え付ける
- 植え付け後の水やり
テイカカズラの植え付けは、気温が安定して根が定着しやすい4〜7月上旬や9月頃が適しています。
元気に育てるには、日当たりと水はけの良い場所を選ぶことがポイントです。
植え付け後は根がしっかり張るように十分水分を供給し、過度な乾燥を避けるよう注意しましょう。
① 植える場所を選び土を準備する
日当たりと風通しの良い場所を選び、土をよく耕しましょう。
庭土には腐葉土や堆肥を混ぜておくと、根の張りが良くなります。
② 鉢やポットから株を取り出す
根を傷つけないよう、株元を支えながら丁寧に抜き取りましょう。
抜けにくい場合は鉢の側面を軽くたたくか、スコップなどで周辺を緩めてから抜き出します。
③ 根の状態を確認する
根が固く絡まっているようなら、軽くほぐして広がりやすくしておきます。
無理に崩す必要がなければ、そのままでも問題ありません。
④ 株を植え付ける
掘った穴に株を入れ、根元の高さが地面と合うよう調整してから、周囲の土を押さえてしっかり固定します。
水はけを考慮し、深植えしないよう気をつけましょう。
⑤ 植え付け後の水やり
根と用土がきちんとなじむように、たっぷりと水を与えます。
その後は、土の表面が乾いたのを確認してから給水を行うことが重要です。
誘引のやり方
- 支柱やフェンスを準備する
- ツルの伸び具合を確認する
- ツルをやさしく誘導する
- 固定する
- 定期的にチェックし調整する
テイカカズラは、支柱やフェンスなどに絡ませて育てることで、ツル性植物ならではの美しい姿を楽しめます。
とくに基本種の場合はツルの成長スピードが速いため、早めに誘引して形を整えることが大切です。
① 支柱やフェンスを準備する
ツルを誘導したい場所に支柱やフェンスを設置します。
格子状に組まれたラティスフェンスなど、丈夫で風通しの良いエクステリア用品を選ぶのがポイントです。
② ツルの伸び具合を確認する
成長しているツルの長さや向きをチェックし、どの方向に誘導するか検討します。
③ ツルをやさしく誘導する
手でそっとツルを持ち、支柱やフェンスに沿って軽く巻きつけていきます。
無理に引っ張らず、ツルが自然に沿える範囲で誘導することが大切です。
④ 固定する
必要に応じて、園芸用の紐や柔らかいテープで軽く固定します。
ツルを傷つけないよう、緩めに結びましょう。
⑤ 定期的にチェックし調整する
絡まりや混み合いを防ぐため、様子を見ながらツルの位置を調整します。
ツルが混み合ってきたら、早めに剪定しましょう。
テイカカズラの栽培環境

テイカカズラは暑さ・寒さにある程度耐え、関東以西の温暖な地域であれば屋外でも冬越しが可能です。
明るい日なたでよく育ちますが、一定の明るさがある半日陰でも葉色の美しさを保ちながら育成できます。
ただし、花をしっかり咲かせたい場合は、よく日の当たる場所で管理しましょう。
置き場所と日当たり
テイカカズラは地植え・鉢植えどちらでも育てやすく、日なたを好む植物です。
明るい半日陰でも育ちますが、花がつきにくくなることがあるため、開花を楽しみたい場合は日当たりの良い場所が適しています。
ただし、強い直射日光に長時間当たると葉が傷むことがあるため、とくに夏場は朝日が当たる程度、もしくは午後は日陰になるような環境で育てると安心です。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
テイカカズラは比較的寒さに強い性質を持ちますが、マイナス5℃を下回る厳寒期には葉が傷むことがあります。
地植えで根がしっかりと張っていれば、通常の霜や積雪程度なら越冬できますが、寒風が直接当たる場所だと枯れるおそれがあり注意が必要です。
寒さ対策
フェンスや支柱に絡ませている場合はツル全体を覆うのが困難なため、根元周辺に腐葉土やバークチップを敷いて根を保護しましょう。
とくに寒い時期は、不織布で株元を覆うなどの対策も効果的です。
寒冷地では移動可能な鉢植えで管理し、厳寒期のみ軒下や室内に取り込む方法が安全といえます。
用土
テイカカズラは湿気がこもる環境を嫌うため、水はけの良い土壌を用意することが大切です。
健やかに育てるには、以下のような用土のブレンドが適しています。
地植えに適した用土
- 庭土:6
- 堆肥:2
- 腐葉土:2
地植えの際は庭土をよく耕し、堆肥と腐葉土をしっかり混ぜることがポイントです。
混ぜ込むことで通気性と保水性のバランスが取れ、根の発育を助けます。
鉢植えに適した用土
- 赤玉土(小粒):6
- 腐葉土:2
- バーミキュライト:2
鉢植えの場合、排水性だけではなく適度な保水性も必要となるため、気候条件に合わせて赤玉土の割合を調整すると良いでしょう。
また、鉢の素材によっても通気性や乾燥しやすさが異なります。
素焼き鉢では保水性、プラスチック鉢では排水性をそれぞれ重視した用土を使うなど、鉢のタイプに応じて土の配合を調整するのがおすすめです。
テイカカズラを種から育てると大変?
テイカカズラを種まきで増やす方法は、あまり一般的ではありません。
もし種から育てる場合は、春頃にまくのが適していますが、発芽までに時間がかかる傾向があります。
条件がそろわないと芽が出にくいため、確実に株を増やしたいときは、苗から育てるか挿し木で増やすのがおすすめです。
テイカカズラの開花時期

テイカカズラは初夏前に、ツルの先に純白の星形の花をまばらに咲かせます。
光沢のある濃い緑色の葉と清楚な白い花のコントラストが美しく、甘くほのかな香りは上品な印象です。
開花時期は5~6月
地域によって前後しますが、テイカカズラの一般的な開花時期は5〜6月頃です。
ツルのあちこちに次々と花をつけ、株全体に広がるように咲くため、上品な香りとともに華やかな雰囲気を演出します。
一輪の花の寿命は短めですが、全体としては一定期間にわたって楽しめるでしょう。
テイカカズラの花が咲かない原因は?
花が咲かない主な原因は、日当たりの悪さや剪定のタイミングにあります。
テイカカズラの花は前年に伸びたツルの先にできるため、春や初夏にツルを多く切り落とすと、その年は花が咲きません。
また、極端な乾燥や肥料の与えすぎも、花つきを悪くする要因となります。
ツルや葉ばかりが茂るようなら、置き場所や管理方法の見直しが必要です。
環境が整えば、翌年には再び花を楽しめるでしょう。
テイカカズラの増やし方

テイカカズラについては、取り木や挿し木で容易に増やせます。
鉢植えの場合は根が詰まらないよう、成長に合わせて適宜植え替えをしましょう。
剪定の時期はいつがいい?
テイカカズラの剪定は、花が終わる初夏(6月頃)が最も適しています。
花芽は前年に伸びたツルの先にでき、冬から春にかけて剪定すると、次の開花に影響するためです。
剪定は伸びすぎたツルや絡まりを軽く整える程度にとどめ、混み合った部分があればツルを根元から間引いて風通しを良くしてあげましょう。
挿し木のやり方
- ツルを10cmほど切り取る
- 下葉を取り除く
- 水に浸けて吸水させる
- 挿し木用の土に挿す
- 十分に水を与える
新しく伸びた元気な若いツルがある6〜8月頃が最も発根しやすく、挿し木に最適な時期です。
挿し木を行った後は直射日光を避け、風通しの良い明るい半日陰で管理しましょう。
① ツルを10cmほど切り取る
新しく伸びた若いツルのなかから葉が2〜3枚ついた部分を選び、清潔なハサミで切り取ります。
② 下葉を取り除く
挿す部分に近い葉は取り除き、土に埋まる箇所をすっきりさせておきます。
③ 水に浸けて吸水させる
切り口を30分ほど水に浸し、吸水させます。
吸水させた後に、切り口に発根促進剤を塗布すると良いでしょう。
④ 挿し木用の土に挿す
赤玉土などを配合した水はけの良い清潔な土に挿し込みます。
⑤ 十分に水を与える
植え付け後は一度たっぷりと水やりをし、その後は乾燥しすぎないよう注意しながら与えましょう。
取り木のやり方
- 健康なツルを選ぶ
- ツルの外皮をリング状に取り除く
- 剥いだ部分に湿ったミズゴケを巻く
- ミズゴケの上からビニールをかぶせ固定する
- 発根を待つ
- 根が伸びたらツルを切り、鉢や土に植え付ける
- たっぷり水を与える
取り木は、枝やツルを切らずに途中の部分で発根を促し、根が十分に育ってから切り離す方法です。
親株への負担が少なく、挿し木より成功しやすいというメリットもあります。
取り木に適した時期は、成長が盛んな5〜7月頃です。
① 健康なツルを選ぶ
新しいツルで、太さや長さが十分あるものを選びます。
② ツルの外皮をリング状に取り除く
清潔なカッターやナイフを使い、ツルの途中の外皮だけを1〜2cm幅でリング状に剥ぎ取ります。
③ 剥いだ部分に湿ったミズゴケを巻く
取り除いた皮の部分に、湿らせたミズゴケを包むように巻きつけます。
④ ミズゴケの上からビニールをかぶせ固定する
水分を保つためビニールで覆い、輪ゴムや紐で留めます。
⑤ 発根を待つ
数週間から数カ月かけて、ミズゴケ内に根が出るのを待ちます。
⑥ 根が伸びたらツルを切り、鉢や土に植え付ける
根がしっかり出たらツルを切り取り、新しい場所に植え付けます。
⑦ たっぷり水を与える
新しい土に根をなじませるため、植え付けたらたっぷりと水を与えます。
以降は、土の表面が乾いてきたら適度に水やりをしましょう。
植え替え時期はいつがいい?
テイカカズラの植え替えは、気温が比較的安定している4〜7月上旬や9月頃が適しています。
真夏や冬の寒い時期は根に負担がかかりやすいので、植物が元気に活動できるタイミングを選びましょう。
鉢替えのやり方
- 株を抜く
- 古土を落とし軽くほぐす
- 新しい鉢に植え替える
- 水をたっぷり与える
テイカカズラの鉢替えは、根が鉢の底から出てきたり、土が固くなって水はけが悪くなったりしたときが時期の目安です。
成長に合わせて、1〜2年に一度の鉢替えをおすすめします。
① 株を抜く
鉢のフチを軽くたたきながら、根鉢にダメージを与えないよう丁寧に取り出します。
② 古土を落とし軽くほぐす
根を傷めない程度に古い土を落とし、やさしくほぐします。
③ 新しい鉢に植え替える
成長に見合ったひと回り大きな鉢に植え替えます。
根元が安定するよう、土を軽く押さえましょう。
④ 水をたっぷり与える
植え替えが済んだら、十分に水やりをします。
その後は表土が乾いてから水を与えるようにし、直射日光を避けた風通しの良い場所で管理しましょう。