アスプレニウム パーバティの育て方

更新日 2025年12月09日

育てやすさ

育て方の難易度は普通レベルです。

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監修者情報

株式会社HanaPrime|植物アドバイザー

覚張大季

覚張大季

植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

アスプレニウム パーバティの基本情報

植物名アスプレニウム パーバティ
学名Asplenium ‘Parvati’(Asplenium dimorphum × Asplenium difforme)
英名Mother Fern, Bird’s Nest Fern ‘Parvati’
原産地オーストラリア ノーフォーク島(交配親種の自生地)
科名チャセンシダ科
属名アスプレニウム属
開花時期花は咲かず、胞子で繁殖する

アスプレニウム パーバティは、熱帯アジアを中心に分布する着生シダで、中央がくぼんだ放射状に広がる葉姿から「バードネストファーン」ともよばれ、空間に立体感を添える植物として人気を集めています。

明るい日陰にもよく耐え、室内の弱光でも順応しやすいため、インテリアグリーンとしてもおすすめです。

月別栽培カレンダー

胞子からの育成

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植え替え

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肥料

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胞子の熟す時期

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種類と品種 

品種名葉の形状ロゼットサイズ管理難度レア度
パーバティ光沢のある広葉約30〜50cm育てやすい普通
クリーシー細く波打つ葉約20〜40cmやや難しい希少
アビス幅広で短い葉約40〜60cm育てやすい普通
アンティクム波打つ均一葉約50〜80cm普通普通
ブラクテアツム厚く光沢の葉約60〜90cmやや難しいやや希少

アスプレニウム パーバティはノーフォーク島原産の2種を親に持つ、アスプレニウムの園芸交配品種です。

アスプレニウム属には、世界中でおよそ700種以上が確認されていて(※Royal Botanic Gardens, Kew)観葉植物として流通しているのは、葉の形状や質感、耐陰性などに優れた品種が中心です。

ここでは、国内外で安定して流通していて、かつ葉形や質感などの違いがはっきりとした代表的な品種を紹介します。

クリーシー

フリルのように波打つ細長い葉が、軽やかに広がる姿が印象的な園芸品種です。

葉の質感はやや柔らかく、風に揺れるたびに表情が変わるため、空間に動きをもたらす観葉植物として高い人気を集めています。

アビス

シマオオタニワタリをルーツに持つ園芸品種で、幅広く短めの葉がコンパクトにまとまる姿が特徴です。

厚みのある葉面は強い光沢を放ち、小さなスペースにもインパクトを与えるインテリア性の高い種とされています。

アンティクム(オオタニワタリ)

アンティクム(オオタニワタリ)

日本南部から台湾にかけて広く自生し、園芸界では「オオタニワタリ」として広く知られるシダ植物です。

葉にはほどよい厚みがあり、ゆるやかな波形を描く姿が、落ち着いた風格を漂わせます。

また、葉裏に現れる胞子のう群の並びは分類学的にも重要な手がかりとなり、じっくり観察する魅力を備えています。

ブラクテアツム

重厚な光沢を帯びた肉厚の葉が外向きにゆったりと広がり、全体として堂々とした存在感を放つ大型品種です。

ロゼットの直径が60cmを超えることもあり、広い空間でも主役級のボリュームを発揮します。

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アスプレニウム パーバティの葉っぱの特徴

パーバティの葉は、厚みと光沢を備えた深緑色で、中央をくぼませながら放射状に広がり株全体が鳥の巣のような姿となります。


成熟すると葉裏に胞子が現れ、繁殖の準備を進める過程で葉っぱの色も褐色に変化します。

アスプレニウム パーバティは花が咲く?

パーバティは、花を咲かせないシダ植物です。

その代わりに、葉裏に形成される小さな胞子のう(ソーラス)から胞子を放出して繁殖します。

胞子による繁殖は、アスプレニウム属をはじめとするシダ植物全般に共通する、原始的な生殖様式です。

アスプレニウム パーバティの花言葉

パーバティ固有の花言葉はありませんが、シダ植物全体としては「愛らしさ」「真実の愛」「秘めたる思い」といった花言葉がつけられています。

アスプレニウム パーバティの育て方

アスプレニウム パーバティは、適切に管理すれば、数十年にわたって育成できる長寿種です。

湿度を好む性質を持つ反面、根腐れに弱いため環境づくりには工夫が必要です。

水やりの頻度


熱帯性のアスプレニウム パーバティは、空気中の湿度を好む一方で、過湿による根腐れには十分な注意が必要です。

通年で葉を展開するため、季節ごとの水分の減り方や土の乾き具合を見ながら、適切なタイミングで水を与えると良いでしょう。

季節頻度の目安水やりの量
5〜7日に1回普通
3〜5日に1回しっかり
7〜10日に1回控えめ
10〜14日に1回控えめ

アスプレニウム パーバティは通年で葉を展開するため、季節や室内環境に応じた水やりが重要です。

夏は朝のうちにたっぷり与えて蒸れを防ぎ、冬は過湿を避けて表土が乾いてから控えめに与えましょう。

また、葉先が内側に巻く・葉がしおれるなどのサインは、水切れの目安として見逃さないよう注意してください。

肥料のあげ方

アスプレニウム パーバティは、肥料が少なくても育つ性質を持つため、過剰な施肥は避けた方が無難です。

とくに、緩やかに生育するシダ類の特徴として、肥料を効かせすぎると葉が薄くなったり、根を痛める原因になるため注意してください。

季節肥料の有無頻度代表的な肥料例
月1回マグァンプK(中粒)
×与えない
月1回(控えめに)バイオゴールドオリジナル
×与えない

パーバティにとって肥料は「控えめに、適切な時期だけ」が基本です。

特に植え替え直後や気温の不安定な時期は避けるべきで、肥料による負担を減らすことが株の健康維持につながります。

液体肥料を使う場合は、パッケージに記載された標準希釈倍率よりも薄め、1,000倍程度にするのが安全です。

肥料焼けや根傷みを防ぐためにも、着生植物では控えめな施肥が基本とされています。

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病害虫・害虫対策

アスプレニウム パーバティは、基本的に病害虫の被害を受けにくい丈夫な植物です。

ただし、乾燥や風通しの悪化、過湿などの環境ストレスが続くと、ハダニ・カイガラムシ・キノコバエの幼虫などが発生しやすくなります。

これらの害虫は、株の体力が落ちたときに繁殖しやすく、根腐れや用土の劣化を知らせるサインにもなるため、日頃の観察と環境管理が欠かせません。

ハダニ(葉を劣化させる乾燥害虫)

  • 葉裏に潜んで吸汁し、葉の色を白く変色させる
  • 乾燥と高温で爆発的に繁殖しやすく、初期発見が遅れがち
  • 放置すると葉が脱落し、株全体が弱る恐れもある

パーバティは光沢葉のため、被害が目立ちにくく気づきにくい特性があります。

日頃から葉裏に霧吹きすることで湿度を保ち、予防と早期発見の習慣を心がけましょう。

また、風通しの良い場所に置き、エアコンや暖房の直風は避けてください。

カイガラムシ(吸汁とすす病の引き金)

  • 葉や茎に密着し、吸汁によって株を徐々に衰弱させる
  • 排泄物がすす病の原因になることもある
  • とくに室内越冬中など、風のない空間で増えやすい傾向

表面が硬い殻状になり薬剤が効きにくいため、早期発見が何より重要です。

見つけたら、乾いた歯ブラシやアルコール綿棒で表面を傷つけないよう丁寧に拭き取るとよいでしょう。

日頃から葉の表面と付け根部分を観察する習慣が、発生の抑止につながります。

キノコバエ

  • 成虫は小バエとして飛び回り、幼虫は土中で根をかじる
  • 特に腐敗した用土や過湿の鉢で発生しやすい
  • 株の元気がないとき、根の障害として潜んでいることもある

キノコバエは見落とされがちな土中害虫ですが、過湿や風通しの悪化を知らせるサインになるので、見つけたら表土の交換や排水性の見直しを行いましょう

パーバティは、空気中の湿度を好む一方で、根が常に湿っている状態には弱いという性質を持っているため、キノコバエが発生するような状態を放置すると根腐れしてしまいます。

植え方

アスプレニウム パーバティを植える際には着生シダとしての性質を踏まえた、根を傷めないやさしい植え方を心がけましょう。

  1. 鉢の通気性と水はけを整える
  2. 古い土や傷んだ根を取り除く
  3. 根元が埋もれないよう浅植えにする
  4. 植え付け後は数日落ち着かせてから水を与える

① 鉢の通気性と水はけを整える

パーバティは湿気を好みますが根腐れに弱いため、水はけの悪さは大敵です。

底穴のある鉢に鉢底石を敷いて水はけを良くしましょう。

素焼き鉢やスリット鉢を選ぶと、余分な湿気が抜けやすく、蒸れのリスクを下げられます。

② 古い土や傷んだ根を取り除く

植え替える際は、根鉢を軽く崩し、古く固まった土や黒ずんだ根を丁寧に取り除きます。

黒く変色した根や柔らかくなった部分は、はさみでカットし、風通しの良い場所で数時間乾かすとよいでしょう。

③ 根元が埋もれないよう浅植えにする

植えるときは、根がふんわり広がるよう軽く整え、株元が土に埋もれないよう浅めに配置します。

葉が土に触れると腐敗しやすくなるため、ロゼットの基部が空気に触れる位置を意識してください。

土は上から押さえすぎず、やさしく寄せるように固定することで、根の呼吸を妨げず安定させられます。

④ 植え付け後は数日落ち着かせてから水を与える

植え付け直後は、根が軽く傷ついている可能性があるため、すぐに水を与えるのは避けましょう。

2〜3日、明るい日陰で落ち着かせた後、様子を見ながら少量の水を与えると、根が安定しやすくなります。

着生(板付け)のやり方

アスプレニウム パーバティは、コルクや流木に板付けすることで、自然の自生環境に近い姿を楽しめるようになります。

ただし、板付けは乾燥しやすくなるため、湿度管理には注意が必要です。

  1. 生板と水苔を用意する
  2. 株を軽く水に浸す
  3. 根元に水苔を巻きつける
  4. 着生板に固定する
  5. 明るい日陰で管理する

① 着生板と水苔を用意する

コルク板や流木、焼杉板など通気性に優れた素材を選びましょう。 

水苔は無菌のものを使い、ぬるま湯でふっくら戻しておくと扱いやすくなります。

② 株を軽く水に浸す

植え付け前に、株ごと軽く水に浸しておくと、根と水苔が柔らかくなり扱いやすくなります。

この工程で根がほぐれやすくなり、作業中に傷めにくくなるのが利点です。

③ 根元に水苔を巻きつける

株の根元にふんわりと水苔を巻きつけ、全体を包み込むように整えます。

乾燥を防ぎつつも、内部に空気が通る厚みに調整するのがポイントです。

④ 着生板 に固定する

麻ひもやナイロンの釣り糸を使い、水苔ごと株を板にしっかりと固定します。

茎や葉を締めつけないように気を配りつつ、安定する位置に留めましょう。

⑤ 明るい日陰で管理する

直射日光は避け、風通しのよい明るい場所に吊るして育てます。

水やりは霧吹きでこまめに行い、水苔が乾きすぎないよう注意が必要です。

アスプレニウム パーバティの栽培環境

パーバティの健康な育成には「置き場所・気温・用土」の3点をバランスよく整えることが重要です。

とくに湿度と風通しは成長に大きく関わるため、環境に合わせて調整しましょう。

置き場所と日当たり

アスプレニウム パーバティは直射日光を嫌う陰性植物なので、強い光は葉焼けや乾燥の原因になります。

室内のレースカーテン越しや明るい日陰が最も適していて、窓辺でも午前中のやわらかな光が当たる程度が望ましいです。

一方向からの光ばかりを浴びると株姿が偏るため、定期的に鉢の向きを変えると美しいロゼット状を保ちやすくなります。

風通しの悪い空間ではハダニなどの害虫リスクが高まるため、空気の循環にも配慮が必要です。

冷暖房の風が直接当たる場所は避け、一日の温度差が少なく、急な冷え込みや蒸れが起きにくい環境で育てると、株の健康状態も安定しやすくなります。

適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?

パーバティの理想的な生育温度は15〜28℃前後で、温暖な室内環境では一年を通して美しい葉姿を維持できます。

10℃を下回ると代謝が低下し、5℃以下では葉が黄色く変色したり落ちたりするため、冬場は室内管理が基本です。

一方で夏季の高温多湿にも弱いので、30℃を超える環境では通気と遮光を組み合わせて株の蒸れを防ぎましょう。

アスプレニウム パーバティの土の配合比率(用土)

アスプレニウム パーバティの土の配合比率

アスプレニウム パーバティは湿潤な環境を好みつつも根腐れに弱い着生シダのため、適度な保水力と高い通気性の両立が欠かせません。

市販の観葉植物用培養土に赤玉土(小粒)や鹿沼土を加えることで、水はけと通気のバランスが整います。

おすすめの配合例

  • 赤玉土(小粒):5
  • 鹿沼土(小粒):2
  • ピートモスまたは腐葉土:2
  • パーライト(または軽石):1


この配合は、根の過湿を防ぎつつ、適度な湿度を保てるため、パーバティのような森林性の観葉植物におすすめです。

アスプレニウム パーバティを胞子から育てることはできる?

家庭でアスプレニウム パーバティは株分けやメリクロン(組織培養)によって増やすのが一般的で、胞子から育てるのは、かなり難しい方法です。

シダの仲間は葉の裏にできる「ソーラス」から胞子を集め、特別な土にまいて育てる必要があります。

胞子が発芽しても最初はごく小さな「前葉体」という段階にとどまります。

そこから成長させるには、長い時間をかけて丁寧に管理しなければなりません。

受精がうまく進まないと育たないため、自然のままでは成功率がかなり低いです。

アスプレニウム パーバティの増やし方

アスプレニウム パーバティは、胞子による繁殖が可能なシダ植物ですが、家庭では株分けが主流です。

春〜初夏など気温が安定する時期に作業を行うことで、負担が少なく成功しやすくなります。

株分けの時期はいつがいい?

株分けの適期は、春(4〜6月)または秋(9〜10月)です。

根の動きが活発で、湿度も安定しやすい時期は切り分け後の回復も順調に進みます。

生育が穏やかになる梅雨入り前や、寒暖差が小さい初秋は成功率が特に高いでしょう。

植え替え時期はいつがいい?

植え替えに適しているのは、春(4〜6月)の気温が安定した時期です。

根が動きやすく、傷んだ部分の修復も進みやすいため、負担を最小限に抑えられます。

気温が下がる前の初秋(9月頃)も可能ですが、冬越し準備を意識して早めに行いましょう。

アスプレニウム パーバティは根詰まりや用土の劣化に敏感なため、2年に1回程度は鉢替えによる環境リセットを行いましょう。

水やり後に表土の乾きが遅くなってきたら、鉢替えのタイミングです。

鉢替えのやり方

  1. 鉢からやさしく株を取り出す
  2. 傷んだ根や古い土を取り除く
  3. 鉢底石を敷き、通気性を高める
  4. 新しい用土で植え直す
  5. 植え替え後は水を控える

① 鉢からやさしく株を取り出す

土が乾いた状態で、鉢の縁を軽く押しながら株をゆっくりと引き抜きます。

無理に引っぱると根を傷めるため、側面をもみ崩すように丁寧に取り出すのがコツです。

② 傷んだ根や古い土を取り除く

根の状態を確認しながら、黒ずみや柔らかくなった部分は清潔なハサミでカットします。

絡まった根は軽くほぐし、古くなった用土は手で優しく落としましょう。

③ 鉢底石を敷き、通気性を高める

新しい鉢の底に軽石や鉢底ネットを敷いておくと鉢の中に水がたまらず、根が呼吸しやすくなるため、根腐れの予防につながります。

④ 新しい用土で植え直す

あらかじめ中央をやや盛り上げるように用土をセットし、株を真ん中に据えて根を放射状に広げます。

用土はふんわりと包み込むように足し入れ、押し固めないよう注意しましょう。

⑤ 植え替え後は水を控える

作業直後は根がデリケートなため、3〜5日間は水やりを控えて日陰で休ませます。

傷口がふさがり、再び根が動き出してからごく少量ずつ水やりを再開しましょう。

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