ピレア ディプレッサの育て方
公開日 2024年12月25日
更新日 2025年09月12日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
ピレア ディプレッサの基本情報
ピレア ディプレッサは、色鮮やかな小型の葉が特徴的な植物です。
葉が垂れ下がる姿から装飾的な魅力があり、ハンギング栽培やテラリウムなど室内のインテリアとして人気があります。
原産地はメキシコや南アメリカの熱帯地域で、高温多湿の環境が好みです。
寒さに対する耐性はないため、年間通して室内で育ててあげると元気に育ちます。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種
種類・品種 | 葉っぱの色 | 葉っぱの形 | 育てやすさ | レア度 |
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ピレア ディプレッサ | 明るい緑 | 葉の先端に鋸歯 | 育てやすい | 普通 |
ピレア グラウカ | 灰緑色 | 先が尖った卵型 | 育てやすい | 低い |
ピレア サンパウロ | やや濃い緑色 | 丸い | とても育てやすい | 普通 |
ピレア ディプレッサと同じつる性のピレアには以下のような品種があります。
ピレア サンパウロ
やや濃い緑色の葉っぱで艶があり、形が丸く可愛らしい印象の品種です。
ピレア グラウカ

明るい灰緑色の葉っぱの色が特徴で、長く伸びたつるに2mmほどの小さな葉がびっしりと付きます。
ピレア ディプレッサの葉っぱの特徴

ピレア ディプレッサの葉っぱは、艶やかでみずみずしい見た目をしています。
小さくて可愛らしい印象ですが、先端部の周縁には細かい鋸歯があるのが特徴です。
葉の形はやや丸型で、クローバーの葉にも似ています。
ピレア ディプレッサはどんな花が咲く?
ピレア ディプレッサの多くは晩春〜夏に花を咲かせますが、室内で観葉植物として育てている場合、開花することはほとんどないと言えます。
花は白い星形で花びらがなく、房状に咲くのが特徴です。
大きさは数ミリ程度と非常に小さく、目立たないくらいひっそりと咲きます。
ピレア ディプレッサの花言葉
ピレア ディプレッサの花言葉は「少女の恥じらい」「救われる人々」です。
ピレア ディプレッサの育て方

ピレア ディプレッサは室内で育てるのが基本です。
成長が速くつるがぐんぐん伸びるので、手入れが簡単で初心者にも向いています。
水やりの頻度
季節 | 頻度 | 水の量 |
---|---|---|
春夏 | 乾いたらすぐ | たっぷり |
秋冬 | 月2〜3回 | 控え目 |
生育期の春〜夏は、土の表面が乾いたら週2回のペースで水をあげてください。
加えて、霧吹きなどで葉水を行うとみずみずしい葉を保てて害虫予防にもなります。
秋〜冬は土の表面が乾いてから更に2〜3日経った後が水やりの目安で、水の与えすぎは葉落ちの原因になるため注意しましょう。
肥料のあげ方
春〜夏の生育期は、肥料をあげることで成長を助けることができます。
薄めに希釈した液体肥料を2週間に1回与えましょう。
そして、秋は月1回に減らし、冬は施肥するのを避けてください。
病害虫・害虫対策
生育が旺盛で意外と丈夫なピレア ディプレッサですが、以下の害虫に注意が必要です。
カイガラムシ
- 植物の汁を吸うことで生育が悪くなる
- 葉が変色したり茎が枯れたりする
- 暗くてじめっとした環境で発生しやすい
カイガラムシが付いているのを見つけたら、タオルや歯ブラシですぐにこそぎ落としましょう。
卵や幼虫の段階であれば、株全体にまんべんなく薬剤を散布しても駆除できます。
ハダニ
- 蜘蛛の巣のような糸がつく
- 植物の汁を吸うことで葉に斑点や傷がつく
虫の数が少ない場合は、手やピンセット、テープで取り除きます。
大量発生してしまった場合は、ハダニ専用の薬剤を散布して駆除しましょう。
アザミウマ
- 新しい葉の表面にかさぶたのような傷ができる
- 樹液を吸って弱らせる
アザミウマは別名スリップスとも呼ばれ、夏の高温乾燥期に発生しやすいです。
薬剤を使用したくない場合は、水洗いで一気に落としましょう。
葉っぱの乾燥を防ぐための定期的な葉水が予防になります。
植え方
植木鉢を用意し、鉢底ネット、鉢底石、土を8分ほど入れたら株を入れるための穴を準備します。
株を入れたら、根の隙間を無くすように優しく土を入れてください。
植え付けた後すぐに水を与えて土壌を固定させましょう。
間延びする原因と対処法

ピレア ディプレッサが間延びする主な原因は日照不足です。
光合成をするための光が足りないと、光を求めて必要以上に茎が伸びてしまいます。
間延びを防ぐには日当たりと風通しの良い環境に置いてあげることが大切です。
常に日当たりが確保できない場合は、ベランダや庭などで定期的に日光浴してあげると良いでしょう。
ピレア ディプレッサの栽培環境

ピレア ディプレッサは高温多湿の環境を好みます。
十分に日光を当て、冬場は寒さ対策をしつつエアコンによる乾燥に注意しましょう。
置き場所と日当たり

ピレア ディプレッサの置き場所は、直射日光を避けた明るい室内が適しています。
耐暑性に優れていますが、直射日光は葉焼けの原因になるため、レースカーテン越しの半日影の場所に置いてあげましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ピレア ディプレッサの生育に適切な温度は25〜32℃です。
寒さに弱く、霜が降りるような環境には耐えられないため、冬場は8℃以上を保つように室温を管理してください。
外の寒気を受ける窓際などは避け、できるだけ部屋の中央に置くといいでしょう。
用土
ピレア ディプレッサは熱帯地方原産で湿った土を好むため、ある程度保湿性のある土が適していますが、過剰な水分には敏感なので水はけの良さも重要です。
基本的には、粒が小さく水はけの良さを重視した観葉植物用や多肉植物用の土を使用すれば問題ないでしょう。
自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)を7、腐葉土3の割合で混ぜて使用するのがおすすめです。
ピレア ディプレッサを種から育てると大変?
ピレア ディプレッサは開花自体が珍しいため種ができにくく、種の流通も少ないため入手するのは困難です。
入手できても、実生の際は自然に近いライフサイクルに留意しつつ発芽まで30〜40日と時間がかかるため、種から育てるのは大変でしょう。
ピレア ディプレッサを増やしたい場合、切った茎を使って増やす「挿し木」がおすすめです。
ピレア ディプレッサの増やし方
ピレア ディプレッサは挿し木で簡単に増やすことができます。
うまく成長させるために、暖かくて高湿度な環境を用意しましょう
剪定の時期はいつがいい?
ピレア ディプレッサは、春〜夏の生育期中であればいつでも剪定を行えます。
生育期には新芽が次々に展開するため、適度に剪定して広がりを抑えつつ空気の循環を良くしてあげてください。
消毒したハサミを使用して全体を均一に剪定しましょう。
挿し木のやり方
挿し木する際は、以下の手順を参考にしてください。
- 健康な茎を選んで5~6cmの長さで切る
- 上葉を残して他を取り除く
- 切った茎の切り口を水につけて発根させる
- 根が育ったら鉢に植えつける
① 健康な茎を選んで5~6cmの長さで切る
上葉が2〜3枚ある健康的な茎を選び、節の部分から5〜6cm切りとります。
剪定の際に出た茎を使っても大丈夫ですが、必ず消毒した清潔なハサミを使用して切り落としてください。
③ 上葉を残して他を取り除く
蒸散を防ぐため、上の方の葉2~3枚を残して他の葉を取り除きます。
④ 切った茎の切り口を水につけて発根させる
茎を水につけて発根させる時は、きちんと吸水させることで根が良く成長してくれます。
丸一日ほど水につけておくと良いでしょう。
⑤ 根が育ったら鉢に植えつける
根っこがある程度育ってきたら、土に植え付け通常の苗のように育てます。
植え替え時期はいつがいい?
ピレア ディプレッサの植え替えに適しているのは、5〜6月です。
温度と湿度が丁度良く、生育期に当たるため植え替え後の根つきも安定するため、植え替えに適しています。
鉢替えのやり方
鉢替えは以下の手順で行います。
- 少し大きい鉢を用意する
- 元の鉢から株を取り出し、古い根や枯れている根を取り除く
- 株を置き、根の隙間がなくなるように残りの土を入れる
- 土にたっぷりと水を与える
① 少し大きい鉢を用意する
元の鉢よりも少し大きい鉢を用意してください。
新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を入れ、その上から土を8分目まで入れておきます。
② 元の鉢から株を取り出し、古い根や枯れている根を取り除く
株を鉢から取り出す際は、逆さまにして鉢底を優しく叩くと取りやすくなります。
根を傷つけないよう優しく作業を行ってください。
③ 株を置き、根の隙間がなくなるように残りの土を入れる
株を入れ替えた後は、根の間の中までしっかりと土を入れ込むことがポイントです。
④ 土にたっぷりと水を与える
鉢替え後は葉に水がかからないように水を与え、土壌を安定させてあげましょう。