カリフォルニアライラックの育て方
公開日 2025年09月10日
更新日 2025年09月10日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
カリフォルニアライラックの基本情報
植物名 | カリフォルニアライラック |
学名 | Ceanothus × edwardsii |
英名 | California lilac |
別名 | セアノサス レペンス |
原産地 | 北米南西部、カリフォルニア |
科目 | クロウメモドキ科 |
属名 | セアノサス属(ソリチャ属) |
開花時期 | 4〜6月 |
カリフォルニアライラックは、深い緑の葉と鮮やかな青紫の花が特徴の樹木です。
低木のため、庭への地植えはもちろん、鉢植えにしてベランダや玄関先でも育てることができます。
多くの品種があり、中でも常緑性の品種は花が咲かない時期でも緑の葉を楽しめるのが魅力です。
また、開花期には爽やかな芳香を放つため、見た目だけでなく香りでも楽しませてくれます。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
開花
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
剪定
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
挿し木
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種類と品種

品種 | 花の色 | 葉の色 | 葉の形 | 常緑/落葉 | 樹高 |
---|---|---|---|---|---|
パシフィックブルー | 濃い青 | 艶のある濃緑 | 長楕円形 | 常緑性 | 1~2m |
パールローズ | ピンク・薄紫 | 艶のある緑 | やや幅広な卵形 | 落葉性 | 1~2m |
スノーフリューリー | 白 | 艶のある濃緑 | 細長い卵形~披針形 | 常緑性 | 1~1.5m |
エルドラド | 淡い青 | 黄斑入りの緑 | 幅広な卵型 | 常緑性 | 1~2m |
マリーサイモン | 薄いピンク | 緑 | 幅広な披針形 | 落葉性 | 0.8~1.5m |
クールブルー | 薄い青紫 | 白斑入りの緑 | 丸みのある楕円形 | 半常緑性 | 0.3~0.4m |
ヘンリーデスフォッセ | 濃い青 | 艶のある緑 | 幅広な卵型 | 落葉性 | 1~2m |
カリフォルニアライラックには60種類以上の品種があり、それぞれ花の色や葉の形、樹高など特徴が異なります。
名前に「ライラック」と付いていますが、ライラックとは全く別の植物です。
代表的な品種には、青紫の花を咲かせる常緑性の「パシフィックブルー」や「エルドラド」、淡いピンクの花が特徴の落葉性品種「パールローズ」「マリーサイモン」があります。
パシフィックブルー

カリフォルニアライラックの中で最も流通している品種です。
艶のある濃い緑色の葉と、鮮やかな青い花が特徴で、常緑性のため観賞用として人気があります。
寒さには強くないので、育てる際は温度管理に配慮しましょう。
パールローズ
淡いピンクや紫の小さな花を咲かせる品種です。
落葉性なので冬には葉を落とします。
大きくなりすぎずコンパクトなので育てやすいですが、耐暑性がやや弱いため直射日光に当たりすぎないよう注意しましょう。
スノーフリューリー
雪のような白い花を咲かせる珍しい品種です。
葉は濃い緑で光沢があり、常緑性のため花のない時期でも鑑賞を楽しめます。
耐寒性は比較的強いため寒冷地以外では庭植えもできますが、寒冷地で育てる場合は鉢植えにして冬は室内で育てましょう。
エルドラド
涼しげな淡いブルーの花と、斑入りの葉が特徴の品種です。
常緑性で、葉ごとに斑の入り方が異なるので、花が咲いていない時期でも鑑賞を楽しめます。
寒さにはあまり強くないので、寒冷地で育てる場合は鉢植えがおすすめです。
マリーサイモン

薄いピンクの花を咲かせる、落葉性の品種です。
耐寒性、耐暑性ともに優れており、丈夫で花つきも良いため育てやすい品種として知られています。
ただし、他の品種と同様に多湿には弱いので、湿気には配慮が必要です。
クールブルー
白い斑入りの小さな葉っぱが特徴の半常緑性の品種です。
淡い青紫色の花を咲かせ、白斑入りの葉との組み合わせが、見た目にも涼やかな印象を与えてくれます。
樹高は30~40cmとコンパクトなため、鉢植え栽培もおすすめです。
ヘンリーデスフォッセ
特に濃い青紫の花色が魅力的な品種です。
秋には葉が落ちる落葉性で、葉は光沢のある幅の広い卵形をしています。
成長が早いので、花が終わったあとは短めに刈り込んでも問題ありません。
カリフォルニアライラックはどんな花が咲く?

4~6月にかけて、鮮やかな青や青紫の小さな花が密集して咲きます。
ライラックに似ていますが、花が小ぶりなため、よりふんわりと繊細な印象です。
品種によって白やピンクの花を咲かせるものもあり、多くのカラーバリエーションがあります。
花が石鹸のような爽やかでいい香りも魅力です。
カリフォルニアライラックの葉っぱの特徴

葉は約2cm程と小さめで、厚みがあり、光沢のある濃緑色をしています。
常緑種は冬でも葉が落ちないため、一年を通して美しい緑を楽しめるのが魅力です。
また、品種によっては斑入りの葉や、幅広の楕円形の葉、表面に細かな毛が生えているものなど、さまざまな特徴があります。
カリフォルニアライラックの花言葉
カリフォルニアライラックには「純朴」「初恋の思い出」「温厚」という花言葉がつけられています。
カリフォルニアライラックの育て方

美しい花を咲かせるには、適切な水やりや肥料の管理、剪定など、いくつかの基本的なポイントを押さえておくことが大切です。
水やりの頻度
カリフォルニアライラックの水やりは、鉢植えと地植えで頻度が異なります。
鉢植えの場合 | 土が完全に乾いてから |
地植えの場合 | 基本的に水やり不要 |
鉢植えの場合
鉢植えの場合は、「水やりの回数は少なめ、1度に与える量はたっぷりと」が基本です。
土の中まで完全に乾いてからすぐに行います。
乾燥したかどうかの判断が難しい場合は、割り箸や竹串を土に挿し、土の湿り具合を確認しましょう。
夏は暑さが和らいでいる朝か夕方に行い、植木鉢が蒸れることを防ぎます。
冬は気温が上がる日の午前中に、一週間に1度を目安に行いましょう。
地植えの場合
地植えの場合は、基本的に水やり不要です。
夏に日照りや猛暑が続き乾燥が気になる場合は、朝か夕方にたっぷりと水を与えます。
枝や葉がしおれ、だらんと下がっているのは水不足のサインです。
肥料のあげ方
肥料は植え付け時に緩効性のものを元肥として施すほか、春と秋に緩効性肥料を与えます。
与えすぎは根腐れの原因となるため、注意が必要です。
地植えは追肥が必要ない場合もあるため、花つきや葉の色、株の勢いなど様子を見て判断しましょう。
花つきが良いようであれば、無理に与える必要はありません。
追肥のタイミング
- 開花前(3~4月)
- 開花後(7月~秋頃)
追肥の与え方
- 株の周囲に緩効性肥料を撒く
- スコップ等で表土を軽く耕し、馴染ませる
病害虫・害虫対策
カリフォルニアライラックは病害虫に強い植物ですが、「葉枯病」や「カイガラムシ」「カミキリムシの幼虫」が発生することがあります。
葉枯病
- 葉に茶色や黒い斑点が発生する
カビによって引き起こされる病気です。
症状が出ている葉や枝は早急に切り落とし、殺菌剤を塗布します。
カイガラムシ
- 幹や枝につき、吸汁して植物を徐々に弱らせる
- 排泄物が原因となり「すす病」を引き起こす
カイガラムシの成虫は固い殻を被っており殺虫剤が効きにくいため、幼虫のうちに殺虫剤で駆除するのが効果的です。
成虫を見つけたら、歯ブラシやヘラなどを使ってこすり落として駆除します。
カミキリムシの幼虫
- 夏から秋に発生しやすい
- 木質部を食い荒らし、木を弱らせる
幹に穴が開いていて、おがくず状のフンが見つかった場合は、幼虫が中にいる可能性が高いです。
その場合は、スプレーか液体の薬剤を穴の中に入れて駆除します。
剪定
剪定は花が終わった直後の6〜7月が適期です。
冬に行うと秋にできた花芽を落としてしまうため、翌年の花つきに影響が出てしまいます。
もし冬に行う場合は、枯れている枝を切る程度にしましょう。
基本の剪定
- 今年花が咲いた枝をカットする。
- 枯れた枝や込み合った枝は付け根からカットし、蒸れを防止する。
切り戻し剪定
伸びすぎた枝をカットし、樹の大きさや形を調整する剪定のことを「切り戻し剪定」と言います。
- 全体の3分の1程度に切り戻しをするとコンパクトな株に仕上がる。
- 枝元や枝の途中をカットする。
植え方|地植えのやり方
地植えは、株を鉢植えでしっかりと育ててから行います。
植え付けの時期 | 3月下旬~4月、9月下旬~10月 |
適した場所 | 日当たりと水はけが良い場所 |
- 穴を掘る
- 堀り上げた土に腐葉土を混ぜ込む
- 根鉢を崩し、植え付ける
- たっぷりと水やりする
① 穴を掘る
根鉢より2~3倍の幅と深さの穴を掘ります。
カリフォルニアライラックは、排水性の良い土を好みます。
排水性が悪い場合は、植え穴の底に軽石や砕石を5〜10cm敷き、小山状に土を盛って「高植え」にしましょう。
② 堀り上げた土に腐葉土を混ぜ込む
掘り上げた土に対し、腐葉土を7:3の割合で混ぜ込みます。
③ 根鉢を崩し、植え付ける
根鉢を丁寧に軽く崩して植え付けます。
根に傷がつくと枯死しやすくなるため注意しましょう。
④ たっぷりと水やりする
植え付け後はたっぷりと水やりを行いましょう。
カリフォルニアライラックの栽培環境

カリフォルニアライラックは、夏は乾燥し冬は温暖な気候の北米南西部が原産地です。
そのため、日当たりと風通しの良い場所を好みます。
置き場所と日当たり

日当たりと風通しの良い場所に置きましょう。
日なたを好みますが耐暑性はやや弱いため、地植え・鉢植えともに、真夏は直射日光を避けてください。
鉢植えは半日陰に置くか、地植えの場合は遮光しましょう。
多湿も嫌うため、梅雨時期は鉢植えを雨が直接当たらない場所に移動させます。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
年間を通して温暖な気候で育つため、寒さにはやや弱い性質があります。
耐寒温度はマイナス5〜10℃程度とされており、寒冷地での地植えには注意が必要です。
気温が大きく下がる地域では、鉢植えで育てて冬の間は室内に取り込むなどの工夫をしましょう。
関東以西の太平洋側であれば地植えでも越冬できますが、株元にマルチングすると地温を保てます。
用土

排水性のいい、弱アルカリ性〜中性の土壌が適しています。
鉢植え | 赤玉土7:腐葉土3 |
地植え | 堀り上げた土7:腐葉土3 |
鉢植え
- 赤玉土:7
- 腐葉土:3
市販の花木用培養土でも問題なく使用できますが、多肉植物用の土を混ぜるとさらに排水性が上がります。
地植え
- 堀り上げた土:7
- 腐葉土:3
地植えの場合、排水性が悪い土壌であれば、川砂やパーライトを混ぜ込み土壌改良しましょう。
カリフォルニアライラックを種から育てると大変?
種から育てることも可能ですが、発芽率が低く、成長にも時間がかかるため、初心者には難易度が高い方法です。
また新鮮な種を入手することも困難なので、ポット苗から育てることをおすすめします。
カリフォルニアライラックの開花時期

カリフォルニアライラックの開花時期は春から初夏です。
環境や育て方により、花が咲かなかったり、花つきが悪くなる場合もあります。
開花時期は4〜6月
カリフォルニアライラックは4~6月に、青やピンクの花を咲かせます。
小さな花が密集してドーム状に咲くのが特徴です。
石鹸のようなさわやかな香りを放つ品種もあります。
カリフォルニアライラックの花が咲かない原因は?
カリフォルニアライラックの花が咲かない原因としては、次のようなことが考えられます。
- 日照不足
- 剪定の時期が遅い
- 肥料の与えすぎ
- 水やりが不適切
日照不足
日当たりの悪い場所に植えていると、枝葉は育っても花が咲かないことがあります。
開花を促すためには、一日に4〜5時間以上しっかりと日が当たる場所に置くのが理想的です。
剪定の時期が遅い
花が咲き終わってすぐの6〜7月に剪定を行うのが基本です。
秋以降に強く剪定すると、翌年に咲くはずの花芽を誤って切り落としてしまいます。
どうしてもカットしたい場合は、枯れた枝を切る程度にしましょう。
肥料の与えすぎ
肥料を多く与えすぎると、葉や枝ばかりが茂り、花がつかないことがあります。
特に窒素分が多い肥料は、花よりも葉の成長を促すため注意が必要です。
カリフォルニアライラックは痩せた土壌に自生している植物のため、地植えであれば肥料は必要ありません。
水やりが不適切
乾燥を好む植物のため、水やりが多すぎると根腐れの原因となります。
地植えの場合は基本的に水やり不要です。
カリフォルニアライラックの増やし方

カリフォルニアライラックは挿し木で増やすことが可能です。
挿し木のやり方や、植え替え、鉢替えの手順を解説します。
挿し木のやり方
挿し木とは、枝を切り取り土に挿して増やす方法のことです。
- 枝を切り取り挿し穂にする
- 挿し穂を水につける
- 土に挿す
- たっぷりと水やりをする
① 枝を切り取り挿し穂にする
6~7月頃に伸びた枝を10~15cm切り取りましょう。
枝は斜めに切ると吸水面積が増え、発根しやすくなります。
先端部以外の葉は取り除いてください。
② 挿し穂を水につける
挿し穂を1~2時間水につけます。
③ 土に挿す
赤玉土小粒や挿し木用の土など、排水性の良い土に挿し穂を挿します。
④ たっぷりと水やりをする
たっぷりと水を与えたあと、風通しの良い半日陰で育てます。
植え替え時期はいつがいい?
葉の色が薄くなったり、株の勢いがなくなってきたら植え替えを行いましょう。
植え替えの適期は3~4月と9月頃です。
2~3年に1度行うと根詰まりを防ぐことができます。
根詰まりのサイン
- 葉の色が薄くなる、黄色くなる
- 成長が鈍る
- 水はけが悪くなる
- 土表面から根が出ている
鉢替えのやり方
今の鉢より一回り大きな鉢に植え替えます。
大きすぎる鉢では水分過多となり根腐れの原因にもなるため気を付けましょう。
- 鉢から根株を抜く
- 新しい鉢に土を入れる
- 鉢に植え付ける
- 水やりをする
① 鉢から根株を抜く
根株を傷つけないよう、優しく引き抜きます。
カリフォルニアライラックは根が傷つきやすいため、丁寧に行いましょう。
傷がつくと枯死しやすくなります。
② 新しい鉢に土を入れる
排水性を高めるために、鉢底石を敷きましょう。
その上から、花木用の培養土や、赤玉土と腐葉土を混ぜたものなど、排水性の良い土を入れます。
③ 鉢に植え付ける
株を鉢の中央に植え付けます。
ウォータースペースを約2cmとり、株の周りに土を補填します。
④ 水やりをする
植え付け後はたっぷりと水やりを行います。
根が張るまでは水切れを起こしやすいので、表面の土が乾いたら水を与えてください。
植え付け直後は株が不安定なので、必要であれば支柱を立てましょう。