ユーカリの育て方
公開日 2025年01月16日
更新日 2025年01月15日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。

INDEX
目次
ユーカリの基本情報
植物名 | ユーカリ |
学名 | Eucalyptus |
英名 | Eucalyptus |
原産地 | オーストラリア |
科名 | フトモモ科 |
属名 | ユーカリ属 |
開花時期 | 品種ごと異なる 4~10月 |
ユーカリはコアラが食べることで有名な植物です。
かわいい葉っぱの形で、ドライフラワーとしても根強い人気があります。
また芳香成分を含んでいるので、切った枝葉を部屋に入れてユーカリの香りを楽しむのもよいでしょう。
エッセンシャルオイルや化粧品の原料としても利用されているので身近に感じる植物ではないでしょうか。
ユーカリは室内よりも屋外を好む常緑高木で、成長すると10m以上に成長します。
耐寒性が高く育てやすいので、初心者でも安心して育てることが可能です。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種
ユーカリはオーストラリア原産のフトモモ科ユーカリノキ属に分類される植物を指します。
ユーカリノキ属には1000種以上の品種が存在し、園芸店に流通しているのは100種ほどです。
このうち日本で購入できるのは30種ほどとなります。
品種名 | 葉っぱ | 香り | 育てやすさ |
---|---|---|---|
ユーカリ グニー(コマルバユーカリ) | ブルーシルバーの小さい丸葉 | 柑橘系の香り | ◎ |
ユーカリ ポポラス | 丸みを帯びたハート型の葉 | 渋めの香り | ◎ |
レモンユーカリ | 細長くうねりがある葉 | 強いレモンの香り | 〇 |
プレウロカルパ | 白銀色の大きく厚みがある葉 | 渋めの香り | △ |
ウェブステリアナ | 小さいハート型の葉 | 穏やかな柑橘系の香り | 〇 |
銀世界(ベイビーブルー) | 青みがあるシルバーの葉 | 優しく甘い香り | ◎ |
日本で購入できるユーカリの人気種は以下のようなものが挙げられます。
ユーカリ グニー(コマルバユーカリ)

ブルーシルバーの小さい葉が暴れるようにたくさん出るのが特徴で、柑橘系の香りがする人気種です。
ユーカリ ポポラス

丸みを帯びたハート型の葉で、蕾がドライフラワーとして人気が高いです。
レモンユーカリ

細長くうねりがある葉と強いレモンの香りが特徴で、ハーブとしても利用されます。
プレウロカルパ

オーストラリア西部原産で白銀色の大きく厚みがある葉と白い茎が美しいですが、育成難易度は高いです。
ウェブステリアナ

小さいハート型の葉をした小型種で、成長は比較的遅いです。
銀世界(ベイビーブルー)

青みがあるシルバーの葉と優しく甘い香りが人気の普及種です。
ユーカリはどんな花が咲く?

ユーカリの花は毛のような花びらが外に開く姿が特徴的です。
しかし、品種によって花の大きさや色は大きく異なります。
花の大きさは葉っぱより小さいものからソフトボール位の大きさのものまで様々です。
また、花の色は白色、クリーム色、黄色、ピンク、赤、オレンジなどで品種ごとに違いがあります。
開花すると1~2週間咲き続けるので生花としても人気です。
生花の場合、数日に1回枝を切り戻したり、新鮮な水に付けてあげると長持ちします。
ユーカリの葉っぱの特徴

ユーカリは、葉っぱの形状で品種が判別できるほどそれぞれに特徴があります。
例えば、ポプルネア(ポポラス)とニッコリーでは葉っぱの形も色も全く違います。
品種 | 形 | 形 |
---|---|---|
ポプルネア(ポポラス) | 丸みをおびたハート形で肉厚 | シルバーがかったグリーン |
ニッコリー | 細長い笹形で薄い | 薄いグリーン |
ユーカリの花言葉
ユーカリの花言葉は「再生」「新生」「思い出」「追憶」「慰め」「記憶」「永遠の幸せ」など複数あります。
いずれもユーカリの生命力の強さに由来する花言葉です。
ユーカリの育て方

ユーカリは丈夫な品種が多いので比較的簡単に育てることができます。
乾燥気味を好むので毎日水やりする必要はありません。
しかし、常緑高木なので1年に1回以上は剪定作業が必要です。
剪定しないと葉っぱの重みで枝が折れる危険性があります。
適切な栄養分を与えたり、支柱を立てたりして丈夫なユーカリに育ててあげましょう。
水やりの頻度
ユーカリの水やり頻度は少なめを意識しましょう。
しかし、水やりする際は鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えてあげてください。
鉢底から水が出ることで、土中の空気が入れ替わって根腐れを予防できるからです。
鉢植えの場合
地植えの場合
基本的に雨水だけで生育しますが、春から秋にかけての期間で長期間雨が降らない場合は水やりをしてください。
また、植え付け直後は根付いていないため、表面が乾いたら水やりして株を安定させましょう。
肥料のあげ方
肥料は4月頃に固形肥料か液体肥料を一度だけあげてください。
それとは別に、植え付けする際にはマグァンプKなどの緩効性肥料を用土に混ぜるとよいでしょう。
注意点
基本的にユーカリは多くの肥料分を必要としません。
肥料が多すぎると葉っぱが黄色くなったり、栄養過多で枯れてしまう可能性があります。
必ず肥料の規定量を守って、与えすぎに注意してください。
病害虫・害虫対策
ユーカリはコガネムシやアブラムシが付く可能性があります。
春から秋にかけて害虫被害が起こりやすいので、春から予防策を講じるとよいでしょう。
コガネムシ(幼虫)
- 根を食べて成長をストップさせる
- 対処しないと根がなくなって枯れる
ピンセットなどで取り除くか、殺虫剤(ダイアジノン)で駆除してください。
オルトランを土に混ぜておくと予防効果があります。
アブラムシ
- 葉について栄養分を吸収する
- 葉色が悪くなる
殺虫剤(ベニカXファインスプレー、・オルトラン)で駆除します。
コガネムシと同じく、オルトランを土に混ぜておくと予防になります。
植え方
ユーカリの植え方は鉢植え、地植えどちらでも育成可能です。
お住まいの地域、楽しみ方に応じて植え方を選んでください。
鉢植えの場合
季節に応じて置き場所を変えられるのが大きなメリットです。
来客の際、一時的に室内に置いてインドアグリーンとして楽しむこともできます。
鉢は通気性の良い素焼き鉢やスリット鉢を選んでください。
地植えと比べて成長速度が遅いので樹形を楽しみたい方にもおすすめです。
地植えの場合
関東以西で、ユーカリの周囲3~5mのスペースが確保できる場合は地植えが可能です。
地植えする際は、赤玉土や鹿沼土、軽石を根っこ付近に混ぜると排水性が増し根腐れを防止できます。
ユーカリをシンボルツリーにしたい場合や、花を咲かせたい場合は地植えにしましょう。
ただし、1年に最低1回は剪定が必要な点に注意してください。
支柱の立て方
ユーカリは幹が太くなって木質化するまでは支柱で支えてあげてください。
支柱をしないと枝や葉っぱが自重に耐えられず折れてしまいます。
また、強風や雨、降雪の影響で折れることもあるので、支柱は多めに立てるとよいでしょう。
用意するもの
- 支柱(直径10mm以上)
- 紐(麻紐またはビニール紐)
支柱の立て方のポイント
- 支柱は用土に深めに差す
- 支柱とユーカリの主幹を麻紐などで縛る
- ぐらつく場合は支柱を2本立てて八掛け(クロス)させる
剪定|株姿を整えるための剪定
ユーカリは1年に1回以上の剪定が必要です。
剪定適期は4~5月と9~10月で、真夏と冬の剪定は避けましょう。
ユーカリの剪定は、目的によって剪定方法が異なります。
- 株姿を整えるための剪定
- 大きくしすぎないための剪定
ユーカリは高木のため、上に伸びる性質を持っています。
頂芽優勢といって、背を高くするために株の上端部分に栄養を集める性質です。
このため、下部の葉っぱは栄養がいかずに枯れてしまいバランスの悪い姿となってしまいます。
バランスを整えるために、定期的に剪定を行いましょう。
【剪定の手順】
- 出来上がりの形をイメージする
- 枯れた枝を切る
- 伸びすぎた枝を切る
- 密集している部位を透かす
① 出来上がりの形をイメージする
② 枯れた枝を切る
③ 伸びすぎた枝を切る
④ 密集している部位を透かす
ユーカリは剪定した場所から2つの枝を新たに出すのでボリュームを持たせたい部分を剪定するとよいでしょう。
その際、枝分かれした先で剪定すると枝数が増えるスピードが早くなります。
また、コピシングと言ってブッシュ状の樹形を作る剪定も可能です。
理想的なユーカリの樹形をイメージしながら剪定してみましょう。
剪定|大きくしすぎないための剪定
ユーカリは成木になると10m以上の高さになります。
大きくなりすぎると自分で剪定が出来なくなるため、ある程度成長したら高さを抑える剪定作業が必要です。
【大きくしすぎないための剪定のポイント】
- 主幹の先端の枝分かれした先で切る
- 前面にある枝は残す
- 上部の枝を切るように意識する
剪定後は少し寂しい姿に感じるかもしれませんが、1ヶ月ほどで剪定部分から新しい芽が出てくるので安心してください。
ユーカリの栽培環境

ユーカリは屋内での育成には不向きなため、屋外で栽培できる環境を用意してください。
ユーカリ全般は丈夫で耐寒性があり、成長速度も早いです。
しかし、加湿や日光不足には弱いので適切な栽培環境を作ってあげましょう。
置き場所と日当たり
ユーカリは日当たりと風通しのよい屋外が適しています。
観葉植物ではないので屋内での育成は出来ません。
屋内でユーカリの姿や香りを楽しみたい場合は、1日だけなど短期間に抑えてください。
ユーカリに適した置き場所
- 南向きの良く日が当たる場所
- 風通しの良い場所
- 軒下など雨に当たらない場所
- 地植えの場合、ユーカリの周囲3~5mに空きスペースがある場所
ユーカリは日光が不足すると細い枝が伸びた徒長状態となってしまいます。
また、風が強すぎる場所だと風に煽られて枝が折れる可能性があるので注意しましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ユーカリ全般の適切な温度は15~25℃で、日本の春と秋が成長期です。
また、ユーカリは寒さに比較的強く、-6~-10℃まで耐えることができます。
関東以西であれば屋外で越冬可能です。
ただし、降雪には弱いので軒下などに移動させてください。
用土
ユーカリの用土は排水性を一番に考えてください。
原産地オーストラリアに自生するユーカリは、栄養分が少なく排水性の良い土で成長しています。
ユーカリに適した用土の配合例
地植えの場合、植え付け穴に腐葉土を混ぜると生育が早くなります。
排水性に不安がある場合は、軽石や赤玉土を多めに混ぜるとよいでしょう。
ユーカリを種から育てると大変?
ユーカリは種から育てることができます。
しかし、品種によって発芽率が大きく異なるので注意が必要です。
原産地オーストラリアに自生するユーカリは山火事で炙られることで発芽しますが、必ずしも山火事を疑似体験させる必要はありません。
準備するもの
ユーカリを種から育てる手順
- 1ヶ月程度、冷蔵庫で寝かす
- 撒く前に24時間ほどメネデール希釈水に浸ける
- 種が重ならないように撒く
- 種の上に薄く土をかぶせる
- 種が流れないように水を優しく与える
- 本葉が4対ほどになったら鉢に植え替える
ユーカリを種から育てるポイント
- 種まき適期は5~6月
- 平均気温20℃以上を保つ
- 種と用土を常に湿らしておく
- 直射日光が当たらない明るい場所で管理する
- カビが生えた種はすぐ処分する
- 発芽~双葉が生えるまで水を切らさない
ユーカリの種はネット通販やフリマアプリで購入可能です。
購入する際は、種の採取日を必ず確認しましょう。
種は新鮮さが重要なので1年前に採ったような種は避けてください。
ユーカリの開花時期
ユーカリの開花時期は春や秋が多いです。
どの品種も成木で2m以上まで大きくなると開花しやすくなります。
開花時期は品種によって異なる
ユーカリの品種ごとの開花時期は以下の通りです。
品種名 | 開花時期 |
---|---|
ユーカリ グニー | 9~10月 |
ユーカリ ポプルネア(ポポラス) | 4~5月 |
レモンユーカリ | 5~9月 |
プレウロカルパ | 7~9月 |
ウェブステリアナ | 2~5月 |
銀世界(ベイビーブルー) | 9~10月 |
ユーカリの花が咲かない原因は?
ユーカリの花が咲かない原因は以下の5つが考えられます。
- 鉢植えしている
- 成木になっていない(若い)
- 大きさが2m以下
- 栄養分が不足
- 害虫被害にあっている
花を咲かせるポイント
- 地植えする
- 2m以上の大きさに育てる
- 肥料を与える
- 害虫対策する
開花には多大なエネルギーを使うので2m以上の大きさと、十分な栄養分が必要となります。
それぞれの品種の開花時期に合わせて肥料をあげるとよいでしょう。
ユーカリの増やし方
ユーカリを増やしたい場合には、剪定で出た枝を挿し木で増やす方法をおすすめします。
また、適宜植え替えを行い成長を促進させてください。
挿し木のやり方
ユーカリはどの品種も挿し木のやり方は一緒です。
しかし、品種によって挿し木の成功率が違います。
成功率をあげるために、それぞれの品種の成長期に合わせて挿し木を行うのが良いでしょう。
挿し木で準備するもの
- 剪定ハサミ
- 活力剤(メネデール)
- 発根促進剤(ルートン)
- 鹿沼土
- 2~3号サイズの深鉢
挿し木のやり方
- できるだけ若い枝を選んで切る
- メネデール希釈水に2~3時間浸ける
- 鹿沼土単体に植える
- 新芽が出たら植え替える
① できるだけ若い枝を選んで切る
枝を10~15cmほどに切って、葉を2~3枚だけ残して取り除きます。
土に挿す側の切り口は斜めに切りましょう。
② メネデール希釈水に2~3時間浸ける
③ 鹿沼土単体に植える
植え付け前に発根促進剤(ルートン)を塗布すると発根率が上がります。
④ 新芽が出たら植え替える
半日陰に置いて土が乾かないようこまめに濡らして管理しましょう。
新芽が出たら発根した合図です。
2~3枚葉っぱが展開したら有機質入りの用土に植え替えしてください。
植え替え時期はいつがいい?
ユーカリを鉢植えで育てている場合、根詰まりを防ぐため1~2年に1回は必ず鉢替えしましょう。
植え替え時期は春と秋が適しています。
高温多湿になる梅雨や真夏はユーカリの成長が止まるため植え替えは避けてください。
水分が十分に吸えず、根腐れの原因となります。
鉢替えのやり方
ユーカリはどの品種も根をいじられるのを嫌います。
鉢替えの際は根と土は崩さずに、そのまま新しい鉢に植え替えてください。
鉢替えのポイント
- 根っこは崩さない
- 鉢を大きくしたい場合は一回り大きな鉢を用意する
- 植え替え後は半日陰で管理する
- 支柱で株を安定させる
植え替え用の鉢は排水性が良い素焼き鉢、スリットプラ鉢、不織布の鉢などがおすすめです。