ファグラエア ベルテロアナの育て方
公開日 2025年08月29日
更新日 2025年08月30日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
ファグラエア ベルテロアナの基本情報
植物名 | ファグラエア ベルテロアナ |
学名 | Fagraea berteroana |
別名 | Pua kenikeni |
原産地 | オーストラリア、太平洋諸島 |
科名 | リンドウ科 |
属名 | ファグラエア属 |
開花時期 | 4~8月頃 |
ファグラエア ベルテロアナは、オーストラリアや太平洋諸島が原産のリンドウ科ファグラエア属に属する常緑小高木です。
肉厚の葉っぱは濃い緑色で光沢があり、斑入りの品種は黄色がかった美しい模様が入るのが特徴です。
エキゾチックな香りがする花はハワイでは「プア ケニケニ」と呼ばれ、ハワイ伝統の花輪レイ作りに使われています。
耐陰性や耐寒性があるため室内でも育てやすいですが、霜には弱いので冬季は室内での管理が適しているでしょう。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種
ファグラエア属には多くの種が存在しますが、ファグラエア ベルテロアナ自体に明確な種類や品種の区別はありません。
葉っぱに黄色い模様が入る「斑入り」や、幹が曲がっている「曲がり」などの違いによって区別され流通しています。
ファグラエア ベルテロアナの葉っぱの特徴

ファグラエア ベルテロアナの葉っぱは、肉厚で光沢があります。
色は濃い緑色で、斑入り品種は鮮やかな黄色の斑が入るのが特徴的です。
2枚の葉っぱが対になって茎に対生し、密に茂ることでボリューム感のある樹形を作っています。
葉っぱの形は楕円形から卵形で、先端がやや尖っていて、縁は滑らかです。
ファグラエア ベルテロアナはどんな花が咲く?

ファグラエア ベルテロアナの花は、直径5〜8センチほどと比較的大きくトランペット型をしています。
咲き始めは白く、時間の経過とともにクリーム色から黄色、さらに橙色へと変わっていく色の変化も魅力の一つです。
肉厚の5枚の花弁が広がって開き、開花すると甘く豊かな香りが広がります。
ハワイでは「プアケニケニ(10セントの花)」と呼ばれ、伝統的な首飾り「レイ」に使われるなど非常に重要な花です。
ファグラエア ベルテロアナの花言葉
ファグラエア ベルテロアナの花言葉は「純潔」「尊敬」です。
ファグラエア ベルテロアナの育て方
比較的育てやすい樹木ですが、健康に育てるためには環境やお手入れのポイントを押さえることが大切です。
ここでは、水やりや肥料の与え方など、基本的な育て方のコツを紹介します。
水やりの頻度
生育期(春~秋) | 週2~3回 |
休眠期(冬) | 月2~3回 |
ファグラエア ベルテロアナは湿度を好む熱帯性の植物のため、春から秋の生育期にはしっかり水やりを行うことが大切です。
土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えてください。
夏季は水切れを起こしやすいので、土の状態をよく確認しましょう。
冬は休眠期となるため月2~3回に控え、土が完全に乾いてから与えて乾かし気味に管理すると根腐れを防げます。
肥料のあげ方
時期と頻度 | 生育期に月1~2回 |
与え方 | 緩効性の固形肥料を株本から離して置く |
肥料は生育期の春から秋にかけて、緩効性の固形肥料を月1~2回与えると葉っぱや花のつきが良くなります。
冬場は生育が緩やかになるため、肥料は基本的に必要ありません。
開花を促したい場合は、リン酸成分を多く含む肥料を選ぶと良いでしょう。
株本に触れると肥料焼けを起こすことがあるため、均等に数カ所に分けて離して置いてください。
病害虫・害虫対策
ファグラエア ベルテロアナは、病気や害虫の被害を受けることがあります。
健康に育てるためには、日頃からの観察と早めの対策が大切です。
ここでは、よく見られる病害虫とその対策について解説します。
アブラムシ
- 葉っぱの付け根などに小さな虫が群がり吸汁される
- ベタベタした排泄物が葉っぱの表面につき、すす病を誘発する
見つけ次第すぐにガムテープなどで除去し、広がっている場合は殺虫剤を使用します。
風通しの良い場所に置くと予防になります。
ハダニ
- 葉っぱに黄色や赤い点々が現れる
- 症状が進むと、葉っぱの色がかすれて白くなる
- 葉っぱの裏に糸状のクモの巣のようなものが張られる
ハダニは乾燥した環境で発生しやすいため、葉っぱの表裏に毎日霧吹きで葉水をしっかり行うのが効果的です。
特に乾燥しやすい時期は葉裏を重点的に濡らして、ハダニが発生しにくい湿度を保ちましょう。
カイガラムシ
- 葉っぱや茎に白い綿のようなものや、茶色い殻のようなものが付着する
- 排泄物としてベタベタした甘露を出し、すす病の原因になる
- 生育が悪くなり、葉が黄色くなったり枯れたりする
カイガラムシは硬い殻のような体で薬剤が効きにくいため、発見したら歯ブラシなどでこすり落とすのが基本です。
幼虫は殺虫剤や牛乳、木酢液をスプレーして駆除できます。
ファグラエア ベルテロアナの栽培環境

ファグラエア ベルテロアナをを元気に育てるためには、適した栽培環境を整えることが大切です。
ここでは、置き場所や適切な温度、用土などについて解説します。
置き場所と日当たり

置き場所
ファグラエア ベルテロアナは風通しが良く、湿度が保たれる場所を好みます。
屋外で管理する場合、春から秋にかけては午前中に日が当たり、午後は半日陰になるような場所が理想的です。
真夏の強い西日は葉焼けの原因となるため避け、冬場は最低気温が5℃を下回る前に必ず室内に取り込みましょう。
室内では、日中の暖かい時間帯に日光が当たる窓辺が適していますが、エアコンや暖房の風が直接当たる場所は乾燥を招くため避けてください。
日当たり
ファグラエア ベルテロアナは、強い直射日光に当たると葉焼けを起こすことがあるため、レースカーテン越しの柔らかな日差しや、明るい半日陰が適しています。
日照不足になると生育が鈍るため、適度な明るさを確保しましょう。
日中はできるだけ自然光が入る場所を選び、暗い場所に長期間置かないよう注意してください。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
栽培適温 | 15〜25℃ |
耐寒温度 | 5℃以上 |
ファグラエア ベルテロアナの生育に適した温度は15~25℃で、春と秋は屋外でも元気に育ちます。
比較的耐寒性もあり5℃程度まで耐えられますが、霜に当たると葉っぱが枯れる恐れがあるので冬期は室内に取り込みましょう。
用土

ファグラエア ベルテロアナの用土には、水はけと保水性のバランスが取れた中性~弱酸性の土が最適です。
自分で配合する場合は赤玉土6、腐葉土2、パーライト2の割合で混ぜると通気性が向上して軽く仕上がります。
鉢底には必ず軽石を敷き、余分な水分が溜まらないようにして根腐れを防ぎましょう。
ファグラエア ベルテロアナを種から育てると大変?
ファグラエア ベルテロアナの種は日本では流通していません。
鉢植えを購入して育てるか、すでに育てている株から挿し木や株分けで増やしましょう。
ファグラエア ベルテロアナの花が咲かない原因は?
- 日光が不足している
- 水やりが適切でない
- 害虫や病気の被害
- 肥料のリン酸不足
- 根詰まりや鉢のサイズ不足
日照不足は花が咲かない大きな原因です。
ファグラエア ベルテロアナは日光を好む植物なので、十分に光が当たらないと花芽ができにくくなります。
肥料は花を咲かせるために必要ですが、リン酸が不足してチッ素が多すぎると葉ばかり茂って花がつきません。
そのほか、水やりの過不足や長期間植え替えをせず根詰まりを起こすことでも開花に悪影響を及ぼします。
こういった点を見直して環境を整えてあげましょう。
ファグラエア ベルテロアナの増やし方
ファグラエア ベルテロアナは、株分けや剪定によって増やすことができます。
春から初夏の生育期は、発根や新芽の成長が促され、増やすために最適なタイミングです。
ここでは剪定や株分けの適期と方法について解説します。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
剪定や株分けは生育が活発になる春から初夏(4月~6月頃)にかけて行うのが最適です。
この時期は気温が上がり新しい芽が出やすく、切り口の回復も早いため植物に負担があまりかかりません。
ファグラエア ベルテロアナの負担になる、冬や寒い時期の作業は控えましょう。
剪定は古くなった枝を切って新しい枝や花芽の成長を促す作業で、株分けは根が込み合ってきた株を複数に分けて健康を保ちます。
挿し木のやり方
① 挿し穂の準備
今年伸びた元気な枝を選び挿し穂にします。
消毒した剪定ばさみを使って2~3節ほどの長さで切り、土に埋まる部分に葉っぱが残らないように、上に2〜3枚残して下の葉っぱはすべて取り除くようにします。
② 切り口を斜めにカットして2~3時間吸水させる
吸水面が増えるように斜めに切り、2〜3時間水に浸してしっかり水分を吸収させます。
③ 発根促進剤の塗布
水に浸した後、切り口に発根促進剤を薄く塗布します。
発根促進剤をつけると発根が促されますが、なくても挿し木は可能です。
④ 挿し穂を用土に挿す
事前に湿らせておいた清潔な挿し木用土を育苗ポットや鉢に入れます。
割り箸などで土に穴を開け、挿し穂を深さ3〜5cm程度に挿し入れてください。
挿し穂の周りの土を軽く押さえ、固定します。
⑤ ビニール袋やペットボトルをかぶせて温度を保つ
挿し穂の乾燥を防ぐため、ビニール袋やドーム状に切ったペットボトルをかぶせます。
毎日霧吹きで葉っぱに水をかけ、湿度を高く保ちましょう。
カビの発生に気をつけて、直射日光の当たらない明るい日陰に置いて管理します。
⑥ 発根まで管理
1か月程度で根が出始めます。
発根したら徐々に環境に慣らしながら鉢に植え替えましょう。
植え替え時期はいつがいい?
ファグラエア ベルテロアナの植え替え時期は5~6月、梅雨入り前の春から初夏にかけてが最適です。
ファグラエア ベルテロアナは根腐れを起こしやすいため、植え替え直後の弱った状態で過湿になると根が傷むリスクが高まります。
梅雨前の暖かくなり始めた時期が最も負担が少なく、根の活着もしやすいでしょう。
鉢替えのやり方
- 新しい鉢と用土の準備
- 古い鉢から株を取り出す
- 古い土と傷んだ根を取り除く
- 新しい鉢に植え替える
- たっぷりと水やりをする
- 鉢替え後の管理
① 新しい鉢と用土の準備
用意した一回り大きな新しい鉢に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を薄く敷き詰めます。
鉢底石が多すぎると土の量が減って根が張るスペースが少なくなるので気をつけましょう。
② 古い鉢から株を取り出す
水やりを控えて、土を少し乾燥気味にさせておくと株が取り出しやすくなります。
鉢の側面を軽く叩き、ゆっくりと引き抜きます。
根を傷つけないように丁寧に行いましょう。
③ 古い土と傷んだ根を取り除く
根鉢の土を軽くほぐし、古い土や傷んだ根などを消毒したハサミで丁寧に切り取ります。
④ 新しい鉢に植え替える
新しい鉢の鉢底石の上に土を少量入れ、株を鉢の中央に置きます。
根の周りに隙間ができないように土を丁寧に入れていきましょう。
⑤ たっぷりと水やりをする
土を入れ終えたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。
土が沈む場合があるので、必要であれば土を少し足てください。
⑥ 鉢替え後の管理
鉢替え後は株が新しい環境に慣れるまで、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。
水やりは土の表面が乾いたら与えるようにし、株が落ち着くまで肥料は控えてください。