ハートホヤの育て方
公開日 2025年10月14日
更新日 2025年10月30日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
ハートホヤの基本情報
| 植物名 | ハートホヤ |
| 学名 | Hoya kerrii |
| 和名 | シャムサクララン |
| 英名 | waxplant |
| 別名 | ホヤ カーリー、バレンタインホヤ、ラブハート |
| 原産地 | タイ、ラオス、沖縄など |
| 科名 | ガガイモ科 |
| 属名 | サクララン属(ホヤ属) |
| 開花時期 | 6~9月ごろ |
ハートホヤは東南アジアを原産とするツル性植物で、自生地ではほかの樹木や岩に絡みついて成長します。
ハート型の葉っぱをつけることから「ハートホヤ」や「バレンタインホヤ」などといった、かわいらしい名前がつけられている品種です。
原産地のタイでは、ハート型の葉っぱにちなんで、ハートホヤを贈ると恋愛が成就するという言い伝えがあります。
日当たりの良い場所で適切に育てれば、初夏から初秋にかけて、ぷっくりとした星形の花をたくさん咲かせてくれるでしょう。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種
ハートホヤはサクララン属(ホヤ属)に分類される品種で、オーストラリアや熱帯アジアに約200種類の仲間が確認されています。
サクララン属(ホヤ属)の品種のほとんどは、ハートホヤと同じく樹木や岩に着生して育つツル性植物です。
ここでは、ハートホヤの特徴について「ホヤ カルノーサ」や「ホヤ マチルダ」など人気の高い品種と比べてみました。
| 品種名 | 葉形 | 花色 | 育てやすさ | レア度 |
|---|---|---|---|---|
| ハートホヤ | ハート型 | 乳白色 | やや慣れが必要 | ★★☆☆☆ |
| カルノーサ | 卵型 | 桜色 | 初心者向け | ★☆☆☆☆ |
| マチルダ | まんまる | 白 | 初心者向け | ★★★☆☆ |
ハートホヤ

ハートホヤは、伸びたツルにハート型の葉っぱをたくさんつけることから「バレンタインホヤ」や「ラブハート」などの別名がある品種です。
鉢に1枚の葉っぱだけ植えられているものも流通していますが、この葉挿しタイプはツルを伸ばさないため成長や開花は期待できません。
花の全体的な色味は乳白色で、中心だけ濃いピンク色をしています。
ホヤ カルノーサ

ホヤ カルノーサは、サクララン属(ホヤ属)のなかで最もメジャーな品種です。
肉厚で丸みを帯びた葉っぱには、縁に大きく白斑が入っています。
花の全体的な色味は桜色ですが、中心部分は濃いピンク色をしているのが特徴です。
ホヤ マチルダ
ホヤ マチルダは「ホヤ カルノーサ」と「ホヤ セルペンス」の交配によって生まれました。
丸々とした葉っぱは、表が鮮やかな緑色で裏がエメラルドグリーンをしているので、表裏のコントラストが楽しめます。
ツヤのある白い花は、中心部分だけ赤色をしているのが特徴です。
ハートホヤはどんな花が咲く?

| 色 | 乳白色 |
| 形 | 星 |
| 大きさ | 1cmほど |
| 香り | 甘い香り |
| つけ方 | 半球状に集まって咲く |
ハートホヤは、ぷっくりとした蠟細工のような星型の花を咲かせます。
全体は乳白色ですが、中心は濃いピンク色をしているのが特徴です。
初夏になると、伸びたツルに花座をつけ、半球状に集まって開花します。
ハートホヤの葉っぱの特徴

| 色 | ツヤのある緑色 |
| 形 | ハート |
| 大きさ | 5~7cm |
ハートホヤの葉っぱは、ハートの形をしているのが特徴です。
基本的には光沢のある緑一色ですが、縁に白斑が入るものもあります。
ハートホヤの花言葉
ハートホヤの花言葉は「恋が成就する」と「幸福を告げる」です。
ハート型の葉っぱをつける性質にちなんでつけられました。
ハートホヤの育て方

ハートホヤは、季節に応じて水やりの頻度を変えて育てるのが適切です。
生育期に肥料を与えることで、大きく元気に成長してくれます。
病害虫が発生したり葉っぱが黄色く変色したりした場合でも、正しい方法で対処すれば枯れるリスクを減らせるでしょう。
水やりの頻度
ハートホヤの水やりは、以下のように時期に応じて頻度を変えることが大切です。
| 春~秋(生育期) | 土(水苔)の表面が乾いたら |
| 冬(休眠期) | 土(水苔)の内部までしっかりと乾いたら |
時期を問わず鉢底から流れ出るくらいたっぷりの水を与えるのが基本ですが、過湿による根腐れを防ぐため、与えすぎには注意してください。
冬になると生育が緩慢になるので、水やりの回数を減らしましょう。
水不足により葉っぱが落ちるようであれば、水やりの頻度を増やしつつ、様子を見ながら調節してください。
肥料のあげ方
ハートホヤを大きく成長させて開花を促したいなら、生育期に正しく肥料を与えましょう。
固形の緩効性肥料と液体の速効性肥料を併用することで、生育をさらに促せます。
休眠期の肥料は、肥料焼けの原因となるので与えないでください。
緩効性肥料のあげ方
固形の緩効性肥料は、2ヵ月に1回の頻度で土にまいて与えます。
有機物由来の肥料は害虫を寄せ付けてしまうため、化成肥料を使用するのがおすすめです。
速効性肥料のあげ方
液体の速効性肥料は、10日に1回のペースで水やりの代わりに与えます。
液体肥料には、手間が少ない「そのまま使えるタイプ」とコスパが良い「希釈して使うタイプ」があるので、好みに応じて選ぶと良いでしょう。
病害虫・害虫対策
ハートホヤは、以下の病害虫が発生するリスクがあります。
- カイガラムシ
- アブラムシ
病害虫が発生したまま放置すると、排泄物をエサにカビが繁殖して最終的に枯れる恐れがあるので、対策や駆除の方法をしっかりと押さえておきましょう。
カイガラムシ
- 葉っぱから栄養を吸い取って衰弱させる
- 湿度の高い環境で繁殖する
カイガラムシは、ハートホヤの葉っぱから吸汁して、最終的に枯らしてしまう病害虫です。
風通しを良くして過湿状態を避けることで、発生を抑えられます。
すでに発生した場合は、薬剤を散布したりブラシでこすり落としたりして駆除しましょう。
アブラムシ
- 葉っぱやつぼみから栄養を吸い取って衰弱させる
- 日当たりと風通しの悪い場所で繁殖する
アブラムシは、ハートホヤの葉っぱやつぼみから吸汁して繁殖し、あっという間に大量発生する病害虫です。
日陰やジメジメした環境を好むので、日当たりと風通しの良い場所に置くことで対策できます。
すでに発生した場合は、薬剤を散布したり粘着テープで取り除いたりして駆除してください。
植え方・仕立て方
ハートホヤを植える際は、水はけの良い土や着生材を選びましょう。
土に植える場合は、市販されている観葉植物用の培養土のほか、鹿玉土1:パーライト1:ピートモス1の割合で混ぜ合わせたものでもOKです。
着生材に植える場合は、水を含ませた水苔を使用すると良いでしょう。
どんどん伸びるツルにたくさんの葉っぱと花をつけるので、ハンギングで吊るしたり行灯仕立てで飾ったりするのがおすすめです。
葉っぱが黄色くなる原因は?
ハートホヤの葉っぱが黄色く変色するのには、以下のようにさまざまな原因があります。
- 日照や栄養の不足
- 根詰まりや根腐れ
- 病害虫による食害
ツヤのある緑の美しい葉色をキープするためには、季節を問わず明るい場所に置き、生育期には正しく肥料を与えることが大切です。
根詰まりや根腐れを引き起こしている場合は、時期を問わず早急に新しい鉢(土または水苔)に植え替えましょう。
なお、葉っぱが1枚だけ植えられているタイプは成長点がなく、黄色く変色する原因のほとんどは寿命を迎えたためなので、元の葉色に戻ることは基本的にありません。
苗の選び方|葉っぱだけのハートホヤは育つ?

ハートホヤの苗を購入する際は、葉っぱがツヤのある緑色をしているものを選びましょう。
また、大きく育てたい場合は、ツルがある程度伸びているものがおすすめです。
鉢に葉っぱが1枚だけ挿されている苗もありますが、このタイプは基本的にツルや芽を出さないので成長や開花が見込めません。
ハートホヤの栽培環境
ハートホヤは、強い日差しを避けられる明るい日陰に置くのが適切です。
寒さに弱いので、20~30℃にキープして育てましょう。
水はけの良い土だけでなく、水を含ませた水苔で育てることも可能です。
置き場所と日当たり

ハートホヤは、室内の明るい日陰に置きましょう。
耐陰性はあるものの、暗い場所で育てると以下のようなリスクがあります。
- 弱弱しい見た目になる
- 開花しなくなる
- ツルが徒長する(ムダに伸びる)
ただし、夏の強い日差しや冬の厳しい寒さに弱いので、屋外で育てるのは避けてください。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ハートホヤは、耐寒温度が5℃程度と寒さに弱い品種です。
健康に育てるためには、年間を通して20~30℃を維持しましょう。
ハートホヤの土の配合比率(用土)

ハートホヤは、水はけの良い観葉植物用の培養土で育てるのに適しています。
自作する場合は、鹿沼土4:パーライト2:ピートモス2を配合した土がおすすめです。
清潔感を保ちつつ病害虫のリスクを減らしたい方は、水を含ませた水苔を使用すると良いでしょう。
水苔は土よりも劣化が早いので、環境によって異なりますが、1~2年に1回の頻度で新しいものに交換する必要があります。
ハートホヤを種から育てると大変?
ハートホヤは、種を入手すること自体が難しく、種から育てるのが一般的ではありません。
そのため、ある程度ツルが伸びて成長した苗から育てるのがおすすめです。
すでにハートホヤを栽培している方は、挿し木や水挿しで増やすと良いでしょう。
ハートホヤの開花時期

ハートホヤは、初夏から初秋にかけて開花します。
適切な環境で正しく育てれば、毎年同じ場所にかわいらしい花をつけてくれるでしょう。
開花時期は6~9月
ハートホヤは、6~9月ごろに開花します。
開花させるためには、日当たりの良い場所で適切に肥料を与えることが大切です。
ハートホヤの花が咲かない原因は?
ハートホヤの花が咲かないのには、以下のような原因が考えられます。
- 株の成長が乏しい
- 日光と肥料が不足している
- 花芽を傷つけた
ハートホヤは、ある程度ツルを伸ばして成長していないと開花しません。
そのため、日当たりの良い場所で育てながら、生育期には正しく肥料を与えて生育を促すことが大切です。
毎年同じ場所に花をつける性質があり、剪定や挿し木などで花芽を傷つけると開花しなくなるので注意しましょう。
ハートホヤの増やし方

ハートホヤは、挿し木や水挿しで増やすのが一般的な方法です。
いずれも、発根を促すために生育期の5~9月ごろに行いましょう。
ただし、高温や強い日差しにより大きなストレスを与えてしまう恐れがあるので、猛暑日かつ屋外で行うのは避けてください。
剪定の時期はいつがいい?
ハートホヤの剪定は、花が咲き終わった9月ごろに行うのが適期です。
毎年同じ場所に花をつけるので、花芽を傷つけないように注意しましょう。
挿し木のやり方
ハートホヤの挿し木は、生育期の5~9月ごろに行うのが適しています。
挿し木は、以下の手順で行いましょう。
- 健康なツルをカットする
- 切り口から吸水させる
- 土または着生材を用意する
- 挿し木を植える
- 明るい日陰で管理する
① 健康なツルをカットする
健康なツルを選び、先端から2~3節くらいのところを剪定ばさみでカットします。
3~4枚ほど残すようにして、切り口付近の葉っぱを落としましょう。
そうすることで、土に挿しやすくなります。
同様の手順で、複数本の挿し木を用意しましょう。
② 切り口から吸水させる
挿し木の切り口を水に浸してください。
1時間ほど浸けておくと、乾燥によるダメージを防ぐことが可能です。
③ 土または水苔を用意する
鉢に、観葉植物用の土または水苔を入れます。
土に挿す場合は、挿し木が傷付くのを防ぐため、つまようじなどで挿す箇所に穴をあけておきましょう。
④ 挿し木を植える
切り口に発根促進剤をなじませてから、土または水苔に植え付けます。
同じ鉢に複数本の挿し木を植え付けてもかまいませんが、3cmほどの間隔をあけるようにしてください。
鉢の縁に沿うように植え付けると、ツルが伸びたあとの見栄えが良くなるのでおすすめです。
⑤ 明るい日陰で管理する
挿し木直後にたっぷりの水を与え、土または水苔が乾燥しないようこまめに水やりしましょう。
また、強い日差しが当たらない明るい日陰で安静にします。
1ヵ月ほど経って発根したら、新しい土または着生材に定植してください。
水挿しのやり方
ハートホヤの水挿しは、挿し木と同じく生育期の5~9月ごろが適期です。
水挿しは、以下の手順で行ってください。
- 健康なツルをカットする
- 容器に水を入れてツルを浸す
- 明るい日陰で管理する
- 土または水苔に定植する
① 健康なツルをカットする
健康なツルの先端から2~3節くらいの箇所をカットします。
葉っぱからの蒸散を防ぐため、1~2枚ほど残して切り口付近の下葉は落としましょう。
同様の手順で、複数本のツルをカットしてください。
② 容器に水を入れてツルを浸す
ツルをカットしたら、切り口に発根促進剤をなじませて、すぐに水に浸します。
発根するまでは、最低でも2~3日に1回ほどの頻度で新しい水に替えてください。
水の減りが早い場合は、こまめに水を足しましょう。
③ 明るい日陰で管理する
強い日差しを避けて、明るい日陰で管理してください。
通常は、7~10日ほどで発根します。
④ 土または水苔に定植する
1ヶ月ほど水に浸けたままにして、しっかりと根っこが出てきたら土または水苔に定植しましょう。
複数本のツルは同じ鉢に挿しても問題ありませんが、3cmほどの間隔をあけて植え付けるのが適切です。
すべて植えたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷりの水を与えてください。
植え替え時期はいつがいい?
ハートホヤの植え替えは、生育期の4~7月ごろが適期です。
最低でも2~3年に1回の頻度で新しい鉢に植え替えないと、根詰まりを起こす危険性が高まります。
すでに根詰まりや根腐れを引き起こしている場合は、冬の休眠期であっても早急に新しい土または水苔に植え替えましょう。
根詰まりの症状
- 鉢底から根っこが出ている
- 鉢にヒビが入る
- 排水が極端に遅くなる
- 葉っぱが黄や茶に変色する
根腐れの症状
- 土からアンモニア臭がする
- 土にカビが生える
- 葉っぱが黄や茶に変色する
- 全体的に元気がない
鉢替えのやり方
ハートホヤの鉢替えは、以下の手順で行ってください。
- 古い鉢から株を抜き取る
- 新しい鉢に土を敷く
- 肥料を与え明るい日陰で管理する
① 古い鉢から株を抜き取る
まずは、古い鉢から優しく株を抜き取ります。
無理に引き抜かず、土ごと抜いて根鉢を丁寧に崩しながら土を落としてください。
傷んだ根っこがあれば、剪定ばさみで切り落としましょう。
② 新しい鉢に土を敷く
鉢の底に鉢底石を入れてから、水はけの良い土を敷きます。
土に株を置いて、周りに土を追加しながら固定してください。
水苔に植える場合は、水で湿らせた水苔で根っこを優しく包み、鉢に入れてから周りに水苔を足して固定しましょう。
③ 肥料を与え明るい日陰で管理する
新しい鉢に植え替えたら、緩効性肥料を土にまきます。
冬に植え替えた場合は、肥料焼けの原因となるので肥料を与えないでください。
植え替え後は大きなストレスがかかっている状態なので、1週間ほどは水やりを控えて明るい日陰で安静にしましょう。
葉っぱだけのハートホヤは増やせる?
ハートホヤは、葉っぱから芽を出す性質がないため、葉っぱだけの状態から増やすことは不可能です。
また、このような葉挿しタイプは、成長や開花も期待できません。
将来的に増やしたいと考えている方は、ある程度ツルが伸びて成長が見込める苗を選びましょう。

