マランタの育て方

更新日 2025年08月14日

育てやすさ

育て方の難易度は普通レベルです。

監修者情報

株式会社HanaPrime|植物アドバイザー

覚張大季

覚張大季

植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

マランタの基本情報

植物名マランタ
学名Maranta
英名Prayer plant
原産地熱帯アメリカ
科目クズウコン科
属名マランタ属
開花時期7〜9月

マランタは約30種類ほどが存在し、それぞれ異なる色合いの葉脈や斑の模様が美しい観葉植物です。

夜になると葉を閉じる休眠運動が手を合わせて祈る姿に見えたことから英名ではprayer plant(祈りの植物)とも呼ばれます。

元来地を這うように増えていく性質があり、プランターハンガーなどで吊り下げたり、高い場所に飾ったりすると、枝垂れる様や葉の裏表の色の違いが堪能できます。

熱帯アメリカ原産で寒さに弱く、もともと太陽の光が少ない場所に生えていた植物のため、室内で育てるのがおすすめです。

月別栽培カレンダー

植え付け・植え替え

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肥料

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開花

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種類と品種

種類と品種
品種葉の色葉脈の色斑の色レア度育てやすさ
レウコネウラ青緑色灰白色紫褐色やや高め初心者向け
レウコネウラ エリトロネウラ青緑色赤色深緑色やや高め中級者向け
レウコネウラ ファッシネーター深緑色ピンク色深緑色高め中級者向け
レウコネウラ ケルコビアナ薄緑色薄緑色濃緑色やや高め初心者向け
アマグリス銀緑色濃緑色灰緑色高め中級者向け

流通しているマランタはマランタ レウコネウラの変種が主で、上の5種の流通が多いです。

このほかにも多くの種類が流通していますが、いずれも希少種により入手が困難で、人気種よりも湿度などの条件が厳しく育てにくい可能性が高くなります。

レウコネウラ

レウコネウラ

マランタ レウコネウラはさまざまな種の元となった品種で、中央の葉脈から斜めに羽のように広がる斑が特徴です。

レウコネウラ エリトロネウラ

レウコネウラ エリトロネウラ

マランタ レウコネウラ エリトロネウラはレウコネウラの変種で、模様はそっくりですが葉脈が赤色をしています。

レウコネウラ ファッシネーター

マランタ レウコネウラ ファッシネーターはマランタ レウコネウラの変種で、葉の裏が鮮やかな赤色をしているのが特徴です。

レウコネウラ ケルコビアナ

レウコネウラ ケルコビアナ

マランタ レウコネウラ ケルコビアナはマランタ レウコネウラの変種で、点状の斑が入ります。

アマグリス

アマグリス

マランタ アマグリスは銀色がかった色合いが特徴で、葉の裏も銀色がかった赤色です。

斑は他の種類のマランタよりも控えめですが上品な印象で人気があります。

マランタの葉っぱの特徴

マランタの葉っぱの特徴

マランタの葉っぱの1番の特徴ははっきりとした独特な模様で、種類にもよりますが、葉と葉脈、斜めに入る斑の色がそれぞれ異なります。

葉の裏は赤みがかっている種類が多く、葉の表裏の違いが楽しめるのもマランタの魅力です。

光沢のある葉の形は楕円形で少し厚みがあり、縁は滑らかで、茎からやや垂れ下がるように付きます。

丸みを帯びた葉は風水で金運を上げるとされ、インテリア性も高いです。

マランタの葉っぱの休眠運動とは?

マランタの葉っぱが夜のうちは湿度を保つために閉じるように丸まるのを休眠運動といいます。

夜間も光が当たってしまうと休眠運動を阻害し、葉が乾燥してしまって変色する、柄が消えるなどの症状が現れるので注意が必要です。

1日のうちの変化が楽しめるのもマランタの人気のポイントの一つです。

マランタはどんな花が咲く?

マランタはどんな花が咲く?

マランタは7〜9月に白〜ピンクまたは薄紫の花を咲かせます。

大きさは1cmにも満たない小ささで、派手な葉っぱに比べると、控えめで可愛らしい印象です。

花をそのままにしておくと株全体の勢いがなくなってしまうため、花が終わったら摘むのを忘れないようにしましょう。

マランタの花言葉

マランタの花言葉「永遠の富」「温かい祈り」です。

「永遠の富」は派手で艶やかな葉が豊かさを象徴して見えることから「温かい祈り」は夜の葉を閉じる姿が祈りで手を合わせる姿に見えることから付けられました。

マランタの育て方

マランタの育て方

マランタはいくつかのポイントに注意すれば初心者でも簡単に育てられますが品種によって適切な日照量や湿度が違うので、注意しましょう。

熱帯アメリカ原産で寒さに弱く、もともと太陽の光が少ない場所に生えている植物のため、室内で育てるのがおすすめです。

水やりの頻度

春〜秋土の表面が乾いたタイミング
土が乾いた2〜3日後

マランタの中でもマランタ アマグリスは乾燥に弱いので、深めの水受け皿に石を入れるなどして水が根につかないよう調整し、流れ出た水が溜まっている状態にすると良いです。

水は水道水やミネラルウォーターだとカルキやミネラルがマランタに悪影響を及ぼし、葉が枯れてくるなどの症状が出ます。

そのため使用する水は雨水か、水道水を一晩おいてカルキ抜きした汲み置きのものにしましょう。

肥料のあげ方

肥料は成長期の5〜10月にあげましょう。

液肥の場合は2週間に一度、置き肥の場合は2ヶ月に一度が適切で、あげ過ぎたり、成長が緩慢になる冬にあげると根が傷む原因になるので気をつけてください。

病害虫・害虫対策

マランタは以下の病害虫に注意する必要があります。

  • ハダニ
  • アブラムシ
  • カイガラムシ
  • コバエ

それぞれ詳しく解説します。

ハダニ

  • 葉に斑点や傷をつくる
  • 葉に糸を張る
  • 繁殖力が高く薬剤耐性をもつ

ハダニを見つけたら早めに対処しないと、葉の色が薄くなって最終的には枯れてしまいます。

傷んだ葉は切り、葉と茎全体を水で洗い流したら市販の殺虫剤を使用しましょう。

アブラムシ

  • 葉を萎縮させる
  • 茎や幹がベタベタする
  • 繁殖力が高い
  • すす病(黒かび)の原因となる

茂りすぎた枝葉を剪定して風通しを良くすることで予防につながりますが、アブラムシが発生したら早めに対処しないとマランタを枯らしたり病気になる原因になったりします。

縮れた葉は切って、アブラムシは取り除き、市販の殺虫剤を使用しましょう。

カイガラムシ

  • 貝殻のようなもので覆われている
  • 葉や茎がベタベタする
  • すす病(黒かび)の原因となる
  • 繁殖力が高く薬剤耐性がある

枝葉を剪定して風通しを良くするのが予防になりますが、カイガラムシはマランタを弱らせ最終的に枯らしてしまうため、見つけたら早めの対処が肝心です。

布でカイガラムシを拭き取り、拭き取り切れない場合にはブラシで擦り取って市販の殺虫剤を使用します。

葉が丸まってくる原因は?

マランタの葉が丸まってくる原因は空気の乾燥または直射日光です。

乾燥は毎日の葉水や加湿器で防ぐことができ、特に葉水には病害虫を予防する効果もあるため、葉の表裏に丁寧に行いましょう。

特にマランタ レウコネウラ ファッシネーターとマランタ アマグリスは乾燥に敏感なので注意が必要です。

マランタはもともと直射日光が当たらない環境で育つ植物なので、室内でも日が当たる場所は避けましょう。

マランタの栽培環境

マランタの栽培環境を整えることで、長く元気な状態を楽しめます。

特に日当たりや温度に注意して育てましょう。

置き場所と日当たり

日当たりが良すぎる場所は苦手なので明るい日陰に置きましょう。

レースカーテン越しでエアコンの風が当たらない、昼は明るく夜は暗い場所が適切です。

屋外に置く場合は1日を通して日陰となる場所を選んでください。

強い耐陰性がありますが、長い間全く日の当たらない暗い場所に置くとだんだんと葉が黄色く変色してきます。

マランタの中でも特にマランタ ファッシネーターやマランタ アマグリスは必要とする日照量が多めなのでなるべく窓際に近い場所に置きましょう。

適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?

マランタを育てるうえでの適切な温度は15〜25℃です。

10℃までは耐えられますが、10℃を下回ると生育に問題が出て葉が枯れてくるので、夜間や冬の間の温度管理に注意してください。

用土

マランタは水はけの良い土を好むため、用土赤玉土7:腐葉土3で混ぜた土を使用します。

コバエの発生を防ぐために、土の表面3〜5cmは赤玉土で覆うと良いでしょう。

飾り方・仕立て方

マランタはプラントハンガーに吊る下げて、垂れ下がる葉の裏も表も楽しむのがおすすめです。

原産地で自生するように地面に置き、地面を這う姿を楽しむのも良いでしょう。

風水の上では金運の高まる西や北に置くのが良いとされています。

マランタを種から育てると大変?

マランタは種から育てるのが一般的ではなく、基本的には挿し木または株分けで育てます。

挿し木や株分けであれば初心者でも可能なのでぜひ試してみてください。

マランタの増やし方

マランタの増やし方

マランタは基本的に株分けまたは挿し木で増やします。

時期ややり方のポイントを押さえると、初心者でも難しくないのでぜひやってみましょう。

剪定・株分けの時期はいつがいい?

剪定・株分けは成長期である5〜7月に行うのが適切です。

剪定や株分けをすることで風通しが良くなり、病害虫の予防になるため積極的に行いましょう。

株分けは古く、大きくなりすぎた株を、新しく小さな株に替えることで生育を良くし、マランタを長く楽しめるようにする効果もあります。

株分けのやり方

マランタの株分けは以下のやり方で行います。

  1. 鉢からマランタを取り出す
  2. 株を分ける
  3. それぞれの株を鉢に植える
  4. 水をやって日陰に置く

① 鉢からマランタを取り出す

鉢の側面に沿ってシャベルを差し入れて根を傷つけないようにそっとマランタを取り出します。

取り出す際は茎の根本を持ちましょう。

室内の場合はこのとき下に新聞紙をひいておくと後片付けの作業が楽になります。

② 株を分ける

新しく出た茎と古い茎を両手でもち、なるべく根が傷まないように丁寧に割きます。

このとき、根腐れしている部分や根詰まりしている部分は取り除きましょう。

③ それぞれの株を鉢に植える

それぞれの鉢に土を半分ほど入れてから株を入れ、土を被せます。

このときの土は肥料を混ぜ込んでおくと良いでしょう。

④ 水をやって日陰に置く

鉢にマランタを植えたら鉢底から水が出るくらいたっぷりと水をあげて日陰に置きましょう。

しっかりと根付くまで2〜3週間ほどは日が当たらない場所に置いてください。

挿し木・水差しのやり方

挿し木は根が出る前に土に植える方法で、水差しは根が出てから土に植える方法です。

挿し木と水差しのやり方は以下の通りです。

  1. 挿し穂を切る
  2. 水に浸ける
  3. 土に植える

① 挿し穂を切る

茎を先から2〜3節の長さに斜めに切り落として挿し穂とします。

茎によっては上手くいかずに枯れてしまう場合もあるので、成功率を上げるために3本ほど用意してください。

挿し木の場合はそれぞれの挿し穂に1枚の葉が残るよう、葉を切り落として、残した葉は半分に切ることで水分の蒸発を抑えてください。

切る時にに使用するハサミはなるべく切れ味の良いものを選びましょう。

② 水に浸ける

挿し木ならば1時間程度、水差しならば根が出るまでの3週間程度水に浸けます。

水差しの際は明るい日陰に置いて水が葉につかないように水位を調整し、週に一度は水を換えてください。

③ 土に植える

挿し穂を土に植えたら水を鉢底から溢れるくらいしっかりとやります。

しっかりと根付くまで、挿し木ならば1か月ほど、差し水なら3週間ほどは日陰に置いてください。

植え替え時期はいつがいい?

マランタの植え替え時期は成長期の5〜7月が適切です。

根腐れや根詰まりを防ぐために1年に1度の頻度で植え替えをしましょう。

鉢替えのやり方

鉢替えのやり方は以下の通りです。

  1. マランタを鉢から取り出す
  2. 根の状態を整える
  3. 新しい鉢に植える

① マランタを鉢から取り出す

マランタの根本を持ってそっと鉢から取り出します。

このとき栄養分の補給と老廃物の除去のため、根についた土以外は新しい土と交換するため捨ててしまいましょう。

② 根の状態を整える

根腐れしている部分は正常な部分から切り落とし、根詰まりしている部分は切り落とすかほぐして根を整えます。

根を扱う際は丁寧に行い、なるべく傷つけないようにしましょう。

③ 新しい鉢に植える

今までの鉢より一回り大きなものを用意して、新しい土を半分くらい入れて、マランタを入れ、必要に応じて上から新しい土を被せます。

このときに土に肥料を混ぜ込んでおくと良いでしょう。

水を鉢底から溢れるくらいしっかりとあげて、根が落ち着くまでの1週間ほどは日陰に置きます。