ミルクブッシュの育て方
公開日 2025年11月12日
更新日 2025年11月12日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
INDEX
目次
ミルクブッシュの基本情報
| 植物名 | ミルクブッシュ |
| 学名 | Euphorbia tirucalli |
| 和名 | ミドリサンゴ、アフリカミルクブッシュ |
| 英名 | Pencil Tree、Milk Bush |
| 別名 | ペンシルツリー、アフリカンミルクブッシュ |
| 原産地 | アフリカ熱帯地方、インドなど |
| 科名 | トウダイグサ科 |
| 属名 | ユーフォルビア属 |
| 開花時期 | 7月~10月 |
ミルクブッシュは、トウダイグサ科ユーフォルビア属に分類される多肉質の常緑低木です。
細い枝がペンのように真っ直ぐ伸びるスタイリッシュなシルエットから、ペンシルツリーという英名を持ちます。
原産はアフリカの乾燥地帯やインドなどで、強い日差しや乾燥に適応して育つ丈夫な植物です。
鉢植えとして観葉植物に用いられる場合は1〜2メートルほどで楽しめますが、原産地では数メートル以上に成長することもあります。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種
ミルクブッシュは、枝が細長く伸びるユニークな姿で知られる観葉植物で、園芸用に出回っているものには色や枝の模様が異なる品種があります。
主な品種と特徴を以下にまとめました。
| 品種 | 葉っぱの色 | 班の有無 | サイズ | 育てやすさ | レア度 |
|---|---|---|---|---|---|
| ユーフォルビア | 黄緑〜緑色 | × | 2〜3m | ◎ | 普通 |
| ファイヤースティック | 赤〜オレンジ | × | 1〜2m | ◯ | やや高い |
| ピンクカメレオン | ピンク | × | 50cm〜1m | △ | 高い |
| バリエガタ | 緑に白や黄色 | ◯ | 1m前後 | ◯ | やや高い |
最も一般的に出回っているのは枝が緑色の基本種ですが、日光を浴びると赤やオレンジに変化するタイプや、枝に白い斑が入るものなども人気です。
また、鉢植え向きに改良された矮性タイプもあり、インテリア性を重視した栽培にも向いています。
ユーフォルビア

もっとも一般的なミルクブッシュで、鮮やかな緑色の枝が特徴です。
細長い枝を多数伸ばして大きく育ち、屋外では2〜3m以上の高さに達することもあります。
繁殖力が強く、観葉植物としてはシンプルで飽きが来ず、育てやすい定番品種です。
ファイヤースティック

枝先が赤やオレンジ色に染まる、美しいカラータイプのミルクブッシュです。
特に秋から冬にかけて色が濃くなり、まるで炎のように見えることから「ファイヤースティック」と呼ばれています。
インテリア性が高く、華やかさを楽しみたい方に人気です。
ピンクカメレオン
淡いピンクが枝や葉に入り、やわらかい印象を持つ品種です。
緑とのコントラストが美しく、優しい雰囲気を演出してくれます。
比較的コンパクトにまとまりやすいので、室内の観葉植物として取り入れやすいタイプです。
バリエガタ
緑の枝に白や黄色の斑が入る斑入り品種で、独特の模様が特徴です。
成長はややゆっくりですが、その分、形が崩れにくくインテリアに適しています。
明るい場所に置くことで斑がはっきりと現れ、美しい姿を長く楽しめるでしょう。
ミルクブッシュの葉っぱの特徴

ミルクブッシュは葉っぱというよりも、細い枝が集まっているように見える姿が特徴的な植物です。
実際には枝の先端付近にわずかに葉が付きますが、長さ数ミリ程度と非常に小さくて目立ちません。
成長が進むと葉は早く落ちてしまい、枝だけの姿になることが多く、ぱっと見たときには葉がない植物と誤解されやすいです。
観葉植物としては、葉ではなく枝のシルエットを鑑賞する植物として楽しまれています。
ミルクブッシュはどんな花が咲く?
ミルクブッシュは観葉植物として人気がありますが、実際に花を目にする機会は少ない植物です。
基本的には枝のフォルムを楽しむものですが、条件が揃うと小さな黄色い花を咲かせます。
枝先や節に集まって咲くユーフォルビア属特有の小花で、数ミリ程度と非常に小さく、よく観察しないと気づかないほどです。
原産地では 7月〜10月頃に咲きやすいですが、日本で室内栽培する場合は環境が合わず時期になっても花が咲かない場合もあります。
ミルクブッシュの花言葉
ミルクブッシュの育て方

ミルクブッシュは丈夫で育てやすい多肉質の観葉植物です。
乾燥に強く、比較的手がかからないため、初心者から上級者まで楽しめます。
水やりの頻度
ミルクブッシュは多肉質の枝に水分を蓄える性質があるため、乾燥に強い反面、過湿に弱い植物です。
ミルクブッシュの水やり頻度は以下の通りです。
- 春〜秋の生育期は土がしっかり乾いてからたっぷり与える
- 夏の猛暑時の水やりはやや控えめにし、夕方〜朝に行うのがおすすめ
- 冬は回数を減らし、月1〜2回程度の控えめにする
- 常に乾かし気味を意識し、受け皿に水をためない
- 枝がしわっぽくなったら水不足のサイン
春から秋にかけての成長期は、土が完全に乾いてからたっぷりと与えるのが理想です。
ただし真夏の猛暑時は根が蒸れやすくなるため、日中の水やりは避け、気温が下がった朝や夕方に行います。
一方、冬は水を必要としないため、月に1〜2回程度の控えめな水やりで十分で、水をやりすぎると根腐れを招くため注意が必要です。
枝が少ししわっぽくなった場合は水分不足のサインなため、様子を見て水を与えましょう。
肥料のあげ方
ミルクブッシュは多肉植物の性質を持ち、少ない栄養でも丈夫に育つ植物です。
栄養過多になると枝がひょろ長く徒長したり、根腐れを起こしたりするため、肥料は必要以上に与える必要はありません。
成長が活発になる春から秋にかけて緩効性の固形肥料を2か月に1回置くか、液体肥料を薄めて月に2回程度与えれば十分です。
特に夏の猛暑期は株が高温で弱りやすく、吸収力も落ちるため、肥料は控えめにしましょう。
冬の間は生長がほとんど止まるので、肥料を与えると根を傷める原因となり、この時期は完全に肥料をストップするのが基本です。
病害虫・害虫対策
ミルクブッシュは丈夫な植物で、病害虫の被害は少ないです。
しかし、乾燥しすぎた環境や、枝が込み合って風通しが悪くなったとき害虫が発生することもあります。
細い枝が密集しているため、一度害虫がつくと見つけにくく、広がりやすい点には注意が必要です。
ミルクブッシュに発生しやすい代表的な害虫を以下にまとめました。
カイガラムシ
- 白や茶色の小さな殻のような虫が枝につく
- 固くこびりつき、動かないため発見しづらい
- 樹液を吸い取り、株を弱らせる
見つけた場合は歯ブラシや綿棒でこすり落とすのが基本です。
数が多いときは園芸用の殺虫剤を使用しましょう。
普段から枝を間引いて風通しを確保することが予防になります。
アブラムシ
- 新芽や枝の先端に群生しやすい
- 吸汁して成長を妨げる
- 排泄物が「すす病」の原因になる
少数なら水で洗い流すか、テープで取り除きます。
多発時は多肉植物対応の殺虫スプレーの使用が有効です。
室内で発生した場合は換気を心がけ、鉢を清潔に保つことが予防になります。
ハダニ
- 乾燥した環境で発生しやすい
- 葉の裏に寄生し、細かい斑点やクモの巣状の糸を張る
- 吸汁で葉が黄変し、植物が弱る
ミルクブッシュは、水をかけるよりも霧吹きで周囲の湿度を保つ方法が適しています。
発生した場合は枝葉裏を水で洗い流し、被害がひどい部分は剪定するのが効果的です。
植え方・仕立て方
ミルクブッシュは乾燥に強く、鉢植えでも地植えでも育てやすい植物です。
観葉植物として楽しむ場合は鉢植えが一般的で、樹形を整えながら仕立てることでインテリアに合わせやすくなります。
乾燥を好むため、水はけの良い多肉植物用の培養土を使用し、鉢の底には軽石や鉢底石を敷き、根が蒸れないようにするのが基本です。
枝が自由に伸びるため、自然樹形を楽しめますが、剪定によって高さを抑えたり、枝を分岐させてボリュームを出したりすることも。
スタイリッシュな樹形に仕立てると、モダンなインテリアにもよく映えるでしょう。
ハンギング
ミルクブッシュは鉢植えで育てるのが主流ですが、ハンギング仕立てにすると独特の枝ぶりがより映えて、空間演出に役立ちます。
ハンギングにする際のポイントは以下の通りです。
- 軽量の鉢やプランターを選び、吊り下げやすい環境を整える
- 室内で楽しむ場合は明るい窓辺に吊るし、風通しを確保する
- 水やりの際は鉢底から流れた水が下に落ちるため、床や家具を汚さない工夫が必要
ハンギング仕立てにしたミルクブッシュは、通常の鉢植え以上に存在感が増し、空間に動きや軽やかさを与えてくれます。
床や家具を汚さない工夫として、受け皿付きのハンギングプランターを使用しましょう。
受け皿が使えない場合は、鉢を一度外し浴室や屋外で水やりをしてから吊るします。
特にモダンなインテリアやミニマルデザインの部屋におすすめの飾り方です。
剪定
ミルクブッシュは成長が早く、枝が自由に伸びて樹形が乱れやすいです。
定期的に剪定することで形を整え、見た目も美しく管理しやすくなります。
ミルクブッシュの枝の切り方のポイントは以下の通りです。
- 分岐しやすい植物なので、あまり難しく考えずにカットして大丈夫
- 剪定後の枝分かれは深めに詰めると、よりバランスの良い樹形になる
- 枝を短めに切ると密集した枝分かれが生まれ、コンパクトな姿に仕立てやすい
- 間延びした枝は思い切って株元近くまで切り戻しても問題ない
作業時の注意点も以下にまとめました。
- 切り口から出る白い樹液は肌に触れるとかぶれる恐れがあるため、手袋や長袖で作業する
- 剪定時には床に新聞紙やビニールシートを敷いて、樹液や切り屑で汚れないようにする
- 切った枝はそのまま挿し木に利用できるので、捨てずに活用すると良い
剪定は風通しや日当たりを改善し、病害虫予防にもつながるため、上記のポイントを抑えて上手に剪定を実施しましょう。
ミルクブッシュが大きくなりすぎたらどうする?
ミルクブッシュは旺盛に育つため、室内では場所を取りすぎると感じることもあります。
そんなときは、剪定で高さを抑え、形を整えるのが一番の対処法です。
背丈を低くカットすれば樹形をコンパクトに保てるだけでなく、切った枝を挿し木にして新しい株を育てることもできます。
また、鉢替えの際に大きな鉢に移すとさらに成長が促されるため、サイズを抑えたい場合は今の鉢サイズを維持したまま根を軽く整理しましょう。
ミルクブッシュの栽培環境

ミルクブッシュは、比較的栽培しやすい観葉植物です。
置き場所と日当たり

ミルクブッシュは、比較的育てやすい植物ですが、置き場所や日当たりを気を付けると立派に育ちます。
室内での置き場所
ミルクブッシュは日光を好む植物で、日当たりの良い場所で育てると枝の色が鮮やかになり、樹形も丈夫に育ちます。
屋内で育てる場合は、南向きの窓辺や日光がしっかり当たる場所が最適です。
半日陰でも生育は可能ですが、枝が間延びして徒長しやすくなるため注意しましょう。
屋外での置き場所
屋外で育てる場合は、真夏の強い直射日光は葉焼けの原因になることがあります。
そのため、午前中や夕方の柔らかい日差しを利用するか、遮光ネットなどで軽く日差しを和らげると安心です。
冬の管理
寒い季節は室内の明るい窓辺に移動させ、光不足による枝の徒長や弱りを防ぐことが大切です。
特に冬場は日照時間が短くなるため、できるだけ日光を確保できる場所に置くよう心がけましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ミルクブッシュは熱帯原産の植物で、寒さには弱いのが特徴です。
生育に適した温度は20〜30℃程度で、10℃以下になると枝や株が傷むことがあります。
冬は室内で管理し、最低でも10℃以上を保つことが大切です。
寒さに当たると生長が止まり、場合によっては凍傷で株が枯れることもあるため、冬の気温管理には特に注意しましょう。
用土
ミルクブッシュは乾燥に強く、過湿には弱い植物です。
そのため、排水性の良い土を使うことが非常に重要で、市販の多肉植物用培養土を利用すると手軽で管理しやすくなります。
自作する場合は、赤玉土(小粒)や軽石、腐葉土を以下のような配合にすると、水はけが良くなりおすすめです。
- 赤玉土(小粒):5
- 軽石:3
- 腐葉土:2
鉢底には必ず鉢底石を敷き、根腐れを防ぎましょう。
水やりの際も、土が常に湿った状態にならないよう注意することが大切です。
ミルクブッシュを種から育てると大変?
ミルクブッシュは観葉植物として流通しているほとんどの株が挿し木で増やされたものです。
そのため、種から育てることは珍しく、難易度が高い方法とされています。
難易度が高いとされる理由は以下の通りです。
- 25〜30℃程度の暖かい環境が必要
- 乾燥や低温では発芽しにくい
- 発芽後も苗を健康に育てるには細かい管理が必要
- 株として観賞できるサイズになるまで数年かかる
- 挿し木では数か月で株が育つのに比べ、非常にゆっくり
種から育てるミルクブッシュは時間と手間がかかる一方で、成長を観察する楽しみや達成感が得られるでしょう。
一般的には、観賞用やインテリアとして早く楽しみたい場合は、挿し木から育てる方法が向いています。
ミルクブッシュの増やし方

ミルクブッシュは比較的丈夫で、コツをつかめば挿し木で簡単に株を増やせます。
ミルクブッシュの増やし方のポイントは、以下の通りです。
挿し木の時期はいつがいい?
ミルクブッシュの挿し木は、春から初夏(4〜6月)が最適です。
この時期は気温が暖かく、株の成長が活発なため、切り取った枝も根付きやすいでしょう。
秋や冬に挿し木を行うと、生育が鈍く発根まで時間がかかるため、注意が必要です。
また、初心者は成長期に挿し木を行うと成功率が高いと言われています。
挿し木のやり方
ミルクブッシュは比較的簡単に挿し木で増やせます。
基本の手順は以下の通りです。
- 枝を選んで切り取る
- 切り口を乾かす
- 新しい用土を用意し植え付ける
- 発根するまで明るい日陰で育てる
① 枝を選んで切り取る
元気で太めの枝を10cm前後切り取ります。
切る際に出る白い乳液状の樹液はかぶれることがあるため、手袋を着用して作業しましょう。
② 切り口を乾かす
切り口から出る樹液を拭き取り、風通しのよい日陰で1〜2日ほど乾かします。
すぐに土に挿すと腐りやすいため、しっかり乾燥させるのが成功のコツです。
③ 新しい用土を用意し植え付ける
水はけの良い多肉植物用培養土、またはまたは赤玉土小粒5:軽石3:腐葉土2の配合土を使うと安心です。
鉢底石を敷いた小さめの鉢に、枝を挿し込みます。
④ 発根するまで明るい日陰で育てる
直射日光は避け、風通しの良い明るい日陰で管理します。
土が完全に乾いたら少量の水を与える程度にし、発根までは過湿に注意してください。
植え替え時期はいつがいい?
ミルクブッシュの植え替えも、春から初夏(4〜6月)が最適です。
ミルクブッシュにとって成長期なため、植え替えによる株のダメージからの回復が早いからのが理由と言われています。
秋以降や冬の寒い時期に行うと、根が活発に動かず失敗しやすいため注意しましょう。
鉢が小さくなったり、根詰まりが見られたりする場合は、状況に合わせて実施するのが大切です。
鉢替えのやり方
鉢替えの基本手順は以下の通りです。
- 新しい鉢を準備する
- 株を取り出す
- 新しい鉢に植え付ける
- 少なめに水をやる
- しばらく日陰で育てる
① 新しい鉢を準備する
新しい鉢と水はけの良い培養土を用意し、鉢底に軽石や鉢底石を敷きましょう。
今の鉢よりひと回り大きな鉢を選ぶのがポイントです。
② 株を取り出す
古い鉢から株をそっと抜き、根を軽くほぐし、傷んだ根は切り取ります。
根鉢を崩しすぎるとダメージが大きいため、表面の古い土を軽く落とす程度で大丈夫です。
③ 新しい鉢に植え付ける
新しい鉢に土を少し入れ、株を中央に置き、周囲に土を入れて軽く押さえます。
枝ぶりが広がるので、やや深めに植えて安定させると倒れにくいです。
④ 少なめに水をやる
植え替え直後は、根がダメージを受けやすいため控えめに水やりを行い、数日後から通常の水やりに戻しましょう。
➄ しばらく日陰で育てる
明るい日陰で数日間安静にし、株が落ち着くまで管理します。
新しい鉢に慣れて根が落ち着いたら、通常の管理に戻しましょう。

