観葉植物の土にカビが生えたらどうする?原因と対処法を解説
公開日 2025年05月30日
更新日 2025年05月30日
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

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目次
土にカビが発生しやすくなる原因と対策

観葉植物を室内で育てていると、土にカビが生えてしまうことがあるかもしれません。
土に発生するカビの胞子は空気中にただよっていて、どんな家庭でもカビが発生する可能性があります。
カビは日当たりや風通しが悪いなどの条件が整うと繁殖し、放置すると観葉植物や人の病気を引き起こす原因となるでしょう。
カビの発生および繁殖を防ぐためには、原因と対策を知っておくことが大切です。
原因 | 対策 |
---|---|
日当たりが悪い | レースカーテン越しの明るい場所に置く |
風通しが悪い | サーキュレーターを活用する |
土の乾きが遅い | 受け皿に水を溜めない、葉水が土にかからないようにする |
肥料がエサになっている | 化成肥料を使用する |
ここからは、カビが発生しやすくなる原因と対策について、さらに詳しく解説します。
① 日当たりが悪い

観葉植物は基本的に日当たりの良い場所を好みますが、直射日光に当たりすぎると葉焼けして弱ってしまうものがほとんどです。
同じく、カビ菌も直射日光や紫外線が苦手で、日の光が差し込む明るい場所では繁殖できません。
このように、観葉植物とカビ菌の好む日照条件は似ていて、家庭で観葉植物を育てていると必然的にカビが生えやすくなります。
カビの発生を防ぐためには、耐陰性に優れた品種であっても、できる限り優しい日の光が当たる明るい場所に置いてください。
② 風通しが悪い

観葉植物の土に発生するカビ菌は、風通しが悪いことで整う以下の条件を好みます。
- 空気の流れが滞っている(新鮮な空気が入らない)
- 気温が20~30℃
- 湿度が60%以上
梅雨は湿度が高くなるだけでなく、窓を開ける機会も少ないため、カビが発生しやすくなるでしょう。
また、葉水をしたり加湿器や暖房を使ったりすることが多くなる冬も、カビの発生条件がそろいやすくなります。
カビを防ぐためには、サーキュレーターを回したり窓を開けたりして空気を循環させてください。
風通しを良くすることで、葉っぱからの蒸散が促され、土が乾きやすくなるといったメリットもあります。
③ 土の乾きが遅い
観葉植物の土にカビが発生するのは、土の湿った状態が続くことも原因です。
土の乾燥を促すためには、以下の3つの対策を実施してください。
- 風通しを良くする
- 受け皿に水を溜めない
- 除湿機を使用する
小さい観葉植物の場合、葉水でも土が湿る原因となるので、葉水が土にかからないよう注意しましょう。
④ 肥料がエサになっている
カビ菌は、観葉植物の成長を促す肥料をエサとすることで繁殖しやすくなります。
以下のような動植物由来の有機肥料を使用している場合は、特に注意が必要です。
有機肥料の種類 | 主な有機物 |
---|---|
植物性 | 油かす、米ぬかなど |
動物性 | 魚かす、家畜由来の骨粉や糞など |
エサ(有機肥料)があり、土が湿って湿度が高い状態だとカビが好む環境が整います。
カビの発生を防ぐためには化成肥料を使用し、風通しを良くして土の乾燥を促すことが大切です。
土表面にカビを見つけたらどうすればいい?

どれだけ予防していても、土の表面にカビが発生してしまうことがあります。
観葉植物の土の表面にカビを見つけたら、新しい土に入れ替えたり枯れ葉を取り除いたりして対処しましょう。
ここからは、カビが発生した場合の対処法について、詳しく解説していきます。
表土を入れ替える

観葉植物の土の表面にカビを見つけたら、表土5cmを入れ替えましょう。
カビは目に見えない胞子が土に浸食して増えているので、見えているカビだけ取り除いても繁殖は止められません。
表土を入れ替える方法は、以下を参考にしてください。
カビ菌の胞子は空気中に浮遊して飛沫感染する恐れがあるので、必ず屋外で消毒および天日干しを行いましょう。
取り除いた土は、上記の方法で殺菌すれば再び使用できます。
ただし、株元に白いツブツブができる「白絹病」が発生した土は、アルコールスプレーや太陽熱でも消毒できません。
白絹病の菌が繁殖した土は再利用が不可となるので、ビニール袋に入れて回収業者に引き取ってもらいましょう。
根元の枯れ葉は取り除く
生え際に柄が残るタイプの観葉植物は、株元を定期的に観察しながら枯れ葉を取り除いてください。
株元の枯れ葉を放置すると、カビが発生しやすい状況が発生してしまいます。
- 水やりで濡れた枯れ葉が腐敗する
- 枯れ葉と土の間で空気が滞る
株元の枯れ葉は乾燥している状態のほうが除去しやすいので、水やりをする前に取り除くと良いでしょう。
枯れ葉にカビ菌が付着したまま放置すると、カビの胞子が空気中に飛ばされて、他の植物に感染してしまうので残さず除去してください。
枯れ葉を取り除いた後は、健康な葉っぱや茎に水で薄めた酢や木酢液を吹きかけることで、弊害を防げます。
暖かい時期に植え替えをする
カビが発生したら、土の表面だけでなくすべての土を入れ替える対策方法もあります。
この方法は、最も手っ取り早く完全にカビを取り除くことができ、再発も防げるでしょう。
ただし、寒い時期の植え替えは観葉植物にダメージを与えてしまうので、成長期の暖かい時期に行ってください。
植え替えの手順
続いて、観葉植物の植え替えの基本的な手順を紹介します。
- 土が完全に乾いていることを確認する
- 鉢から優しく根鉢を出す
- 根鉢を手で丁寧にほぐしながら、傷んだ根っこを切り落とす
- 鉢に鉢底石を敷き詰める
- 新しい土を鉢底から1/3ほどの高さになるように入れる
- 観葉植物を入れ、周りに新しい土を追加しながら株を固定する
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりの水を与える
- しばらく半日陰で管理する
古い土は、アルコール消毒してから天日干しすれば再利用も可能です。
ただし「白絹病」が発生した土は消毒しても再利用できないので、不用品回収などに依頼して引き取ってもらいましょう。
カビが生えにくい環境を整える
観葉植物の土にカビを発生させないためには、カビが生えにくい環境をつくることが大切です。
カビの発生を予防するには、以下のポイントを意識しましょう。
- 直射日光を避けた明るい場所に置く
- サーキュレーターを活用して空気を循環させる
- 乾燥時期にも加湿しすぎない
- 無機質なもの(有機物を配合していない土や化成肥料など)を使用する
- 枯れ葉を取り除いて清潔にする
- 鉢の底に鉢底石を敷き詰めて通気性を良くする
- マルチング材のウッドチップが蒸れに繋がっていないか確認する
ウッドチップはたくさん使用すると通気性が悪くなりカビの発生原因となるので、無機質な化粧砂利を代用するのもおすすめです。
カビ予防になる植え替えのポイント

カビが発生した場合、最も有効な再発予防の方法は植え替えとされています。
暖かい成長期であればすべての土を入れ替え、寒い休眠期であれば土の表面5cmほどを新しい土に替えましょう。
ここからは、カビ予防になる植え替えのポイントについて解説していきます。
カビが生えにくい土・肥料を使う
カビの発生を予防するためには、無機質な土や肥料を使用しましょう。
観葉植物のカビは有機物に生えやすい性質があるため、無機物には発生しません。
無機質な土
- 鉱物や火山灰などの無機物を原料とした土
- 赤玉土、鹿沼土、パーライト、軽石など
無機質な肥料(化学肥料)
- 窒素やリン酸、カリウムなどの化学物質でできた肥料
- 匂いがあまりしないので室内向き
カビが生えにくい無機物由来の土や肥料は、園芸店やホームセンターなどで購入することが可能です。
ウォータースペースは取りすぎない
観葉植物を植え替える際には、ウォータースペースを取り過ぎないように注意してください。
ウォータースペースは鉢の縁から土までの間隔を指し、水やり時に用土があふれないようにするための空間です。
ウォータースペースを取り過ぎると、以下の問題が起こります。
- 土表面から水分が蒸発しにくくなる
- 鉢の中の空気が循環されず土が乾きにくくなる
最適なウォータースペースは、2~3cmほどとされています。
購入した観葉植物のウォータースペースが深い場合、暖かい時期を待って植え替えましょう。
植え替え時期ではない場合は、部屋の最も明るい場所に置いて土の乾燥を促してください。
観葉植物の葉や茎にカビが発生する原因菌と対処法
観葉植物を育てるなかで、土だけでなく葉っぱや茎にもカビが発生してしまうことがあります。
葉っぱや茎に発生するカビは、大きく分けて白カビと黒カビの2種類です。
ここからは、葉っぱや茎にカビが発生する原因菌と対処法を紹介します。
白カビ|うどん粉病
観葉植物の葉っぱや茎に白くふわふわした白カビが付着している場合「うどん粉病」を発症している可能性が高いでしょう。
白カビを放置すると、光合成が阻害されたり生育が悪くなったりするだけでなく、最悪の場合枯れてしまうこともあります。
白カビが発生するうどん粉病は、多くの植物に発生し、春から秋にかけてまん延する病気です。
白カビの原因
白カビの発生には、主に以下の原因が考えられます。
- カビの胞子がついた土や枯れ葉を放置した
- ほかの植物が発病してうつった
- 窒素分の多い肥料を使用した
- 日当たり不足や肥料不足で生育が悪い
白カビの対処法
白カビが発生したら、以下の方法で対処しましょう。
- 葉っぱや茎の白カビをしっかりと拭き取る
- 水で薄めた木酢液や殺菌スプレーなどを散布する
うどん粉病による白カビの胞子が風に乗って空気感染する恐れがあるので、ほかの健康な植物に近づけないよう隔離してください。
万一ほかの植物にうつると、勢いを増しながらまん延してしまいます。
黒カビ|スス病、灰色カビ病
観葉植物の葉っぱや茎に黒カビが発生した場合、土の表面に発生するカビとは全く異なる種類のカビ菌や細菌類に感染しているかもしれません。
葉っぱや茎の色が悪かったり褐色(黒)の斑点が出たりした場合は、黒カビが発生する「スス病」や「灰色カビ病」を疑いましょう。
黒カビの原因
黒カビの発生には、主に以下の原因が考えられます。
- カビの胞子がついた土や枯れ葉を放置した
- ほかの植物が発病してうつった
- アブラムシやカイガラムシなどの病害虫を放置した
- 日当たりや通気性が悪い
黒カビの対処法
黒カビが発生したら、以下の方法で対処しましょう。
- 木酢液や殺菌スプレーなどを散布する
- 植え替えをする
黒カビが発生した場合は、季節を問わず早急に新しい土に植え替えることが大切です。
観葉植物のカビに関する良くある質問
ここからは、観葉植物に発生するカビに関する良くある質問に回答していきます。
観葉植物を育てている方にとって有益な情報ばかりなので、ぜひ参考にしてください。
土に白いツブツブがあるのは白絹病?
土に白いツブツブが発生した場合でも「白絹病」の可能性は低いとされています。
白絹病の菌糸なのか、白いキノコの菌糸なのか、実際に培養してみないとわかりません。
また、白絹病にかかっているのであれば、兆候を見つけた時点ですでに枯れている場合がほとんどです。
白いツブツブが出たからといって白絹病を疑わずに、まずは乾燥気味に育てて様子を見てください。
水耕栽培で根につく白いフワフワはカビ?
水耕栽培で育てている観葉植物の根っこに付着している白いフワフワは、水カビの可能性が高いでしょう。
水耕栽培は、肥料分を含む水を張った容器にスポンジを浸して育てる栽培方法で、常に湿っているためカビの温床になりやすいです。
水耕栽培を行う際は、カビが発生しにくくなる方法や発生した場合の対処法を知っておきましょう。
水耕栽培でカビが発生しにくくなる方法
水耕栽培でカビの発生を抑止するためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 容器に水を入れ、スポンジには水をかけない
- 1日1回は新しい水に替える
- 定期的にスポンジや容器を清掃する
- 湿度の高い時期は除湿機を活用する
- 水耕栽培に適した観葉植物育成ライトで明るさを保つ
カビは暗くジメジメした環境を好むので、できるだけ過湿を抑え、明るい場所で水耕栽培することが大切です。
また、水やスポンジの汚れはカビの発生原因となるので、清潔に保つことでカビの発生および繁殖を抑止できるでしょう。
水耕栽培でカビが発生した場合の対処法
水耕栽培のスポンジにカビが発生した場合、繁殖を防ぐためには以下の方法で早急に対処することが大切です。
- スポンジを水で洗う
- スポンジのカビが付着した部分をカットする
- 容器を水で洗う
スポンジや容器を洗う際は、観葉植物の根っこや茎を傷つけないように注意しましょう。
酢やエタノールはカビ除去に効果がある?
酢やエタノールは、観葉植物の土に発生したカビの除去に効果があります。
基本的には、カビの生えた土を取り除き、屋外で取り除いた土に酢やエタノールを吹きかけて消毒するのが望ましい方法です。
時間がない場合は、鉢植えのまま土に直接吹きかけても問題ありません。
ただし、濃度の高い酢やエタノールを使用する場合は観葉植物を傷める原因となるので、植物にカバーをかけて行いましょう。
その他にも、観葉植物の防虫対策で使われる木酢液もカビ除去に効果があります。
素焼き鉢・テラコッタ鉢のカビはどうすればいい?
素焼き鉢やテラコッタ鉢の表面に、白く粉っぽいカビや黒いツブツブのカビが発生することがあります。
なお、うっすら白くなっているものは石灰分が結晶化したもので、観葉植物や人体には無害です。
ここからは、素焼き鉢やテラコッタ鉢にカビが発生しにくくなる方法と発生した場合の対処法を紹介していきます。
素焼き鉢・テラコッタ鉢にカビが発生しにくくなる方法
素焼き鉢やテラコッタ鉢にカビを発生させないためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 土がしっかり乾いたのを確認してから水を与える
- 風通しを良くする
- 保水性の高い土を避ける
- 乾燥に強い観葉植物を植える
素焼き鉢やテラコッタ鉢は、基本的にどんな植物でも植えることが可能です。
しかし、加湿が必要な植物を植えると、鉢にカビが発生する可能性が高くなります。
ですので、素焼き鉢やテラコッタ鉢には、冬でも加湿が不要なくらい乾燥に強い植物を植えるのがおすすめです。
素焼き鉢・テラコッタ鉢にカビが発生した場合の対処法
素焼き鉢やテラコッタ鉢にカビが発生した場合、以下の方法で対処しましょう。
まずは、以下のものを用意してください。
- マスク
- ゴム手袋
- カビ予防スプレー(アルコール30mlにペパーミント精油8滴を加える)
- たわし
続いて、以下の手順で鉢を洗ってください。
- 素焼き鉢やテラコッタ鉢を観葉植物ごと屋外に出す
- ゴム手袋を着用する
- たわしで鉢全体を軽くこすりながら水で洗う
- たわしに植物性の洗剤をつけてゴシゴシとこする
- 鉢のぬめりがなくなるまでしっかりと水で洗い流す
- ペーパータオルで水気を拭き取る
およそ1年間はカビが生えにくくなりますが、鉢にカビを見つけたら早急に対処するのが良いでしょう。
観葉植物のカビは人の健康にも影響する?
観葉植物のカビは、以下のように人体にも影響があるとされています。
- カビの胞子を吸い込むことで咳や鼻水などのアレルギー反応もしくは呼吸器疾患が起こる
- カビに直接触れることで湿疹やかぶれなど皮膚疾患が起こる
さらに「肺アスペルギルス症」を発症すると、肺の中で真菌類が繁殖し、長期的な治療が必要です。
人への害を防ぐためにも、カビを見つけたら早急に対処しましょう。
観葉植物にカビが発生したらすぐに対処するのが大切!
観葉植物の葉っぱや茎、土にはカビが発生し、繁殖する可能性があります。
日当たりや風通しを良くしたり有機肥料を避けたりなどの対策で、カビの発生を防ぐことが可能です。
もし、対策してもカビが発生してしまった場合は、早急に対処することでほかの植物や人体への被害を減らせます。
ぜひ、本記事を参考にしてカビに正しく対処し、快適に観葉植物を育ててください。