ネフロレピスの育て方
公開日 2025年10月03日
更新日 2025年10月03日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。

INDEX
目次
ネフロレピスの基本情報

観葉植物 タマシダ
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植物名 | ネフロレピス |
学名 | Nephrolepis |
英名 | Nephrolepis |
和名 | タマシダ(玉羊歯)、セイヨウタマシダ(西洋玉羊歯) |
原産地 | アジア、アフリカ、アメリカなど世界の熱帯~亜熱帯地域 |
科名 | ツルシダ科 |
属名 | タマシダ属 |
ネフロレピスは熱帯~亜熱帯地域に自生するツルシダ科の植物です。
羽のような形状のしなやかな葉が美しく、観賞価値の高い観葉植物として人気があります。
丈夫で耐陰性があるため室内で管理しやすく、長く伸びる葉を活かしてハンギング仕立てで吊るして飾られることも多いです。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
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肥料
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種類と品種

品種 | 葉の形 | 葉身の長さ | 斑の有無 | 育てやすさ |
---|---|---|---|---|
タマシダ | 円形 | 30~40cm | 無 | 初心者向け |
ダッフィー | 円形 | 20~30cm | 無 | 初心者向け |
ボストン タマシダ | 細長 | 100cm程度 | 無 | 初心者向け |
ツデー | ウェーブ | 20~30cm | 無 | 初心者向け |
ハッピー マーブル | 緩いウェーブ | 30~100cm | 有 | 初心者向け |
ビセラータ フルカンス | 尾びれ形 | 70cm | 無 | 初心者向け |
ネフロレピスの品種は世界に約30種あり、東南アジアやアフリカ、アメリカなどの熱帯~亜熱帯地域に広く分布しています。
「タマシダ」という和名は、ネフロレピスのコルディフォリア種(Nephrolepis cordifolia)が地下茎に球状の塊茎をつける様子から名付けられました。
観葉植物として流通しているものの多くはアメリカ熱帯地域原産のエクサルタータ種(Nephrolepis exaltata)で塊茎は無く、和名は「セイヨウタマシダ」といいます。
ネフロレピスの代表的な品種は以下の通りです。
タマシダ(Nephrolepis cordifolia)

日本では伊豆半島以南の地域に原生するコルディフォリア種のネフロレピスで、地下茎に1cm程の球状の塊茎をつけるのが特徴です。
葉先が尖ったセイヨウタマシダの品種と違い、丸みを帯びた葉をつけます。
ダッフィー(Nephrolepis cordifolia ‘Duffii’)

日本に原生するタマシダから派生した品種で、全体が30cm程度に収まるコンパクトなサイズのネフロレピスです。
非常に小さな丸っこい葉が連なっているのが可愛らしく、ちぎれた葉からレモンの香りがすることから「レモンボタンシダ」とも呼ばれます。
ボストン タマシダ(Nephrolepis exaltata‘Bostoniensis’)
セイヨウタマシダの突然変異種で、ボストンファーンやボストニエンシスとも呼ばれます。
葉は垂れ下がるように伸びて1mほどの長さになるのが特徴で、流通している多くの園芸品種はこの株をもとにして作られました。
ツデー(Nephrolepis exaltata ‘Teddy Junior’)
ネフロレピスの園芸品種の中でもっとも流通している品種で、テディー・ジュニアとも呼ばれます。
葉のフチが波打つのが特徴で、全体的にコンパクトでまとまりやすく育てやすい品種です。
ハッピー マーブル(Nephrolepis exaltata ‘Happy Marble’)
葉に明るい黄色の斑が入り、マーブル模様になる品種です。
日当たりが強い場所では黄色が濃くなるなど、日照条件によって斑の出方が変化するのを楽しめます。
ビセラータ フルカンス(Nephrolepis biserrata ‘Furcans’)
葉の先端が2つに分かれ、更に3つに裂ける個性的なネフロレピスです。
独特な葉の形状が魚の尾びれのように見えることから「フィッシュテールファーン」とも呼ばれます。
ネフロレピスの葉っぱの特徴

ネフロレピスは羽のような形の柔らかな葉をつけるのが特徴で、長さは40cm程度になるのが一般的ですが、大きくなる品種では1mに達するものもあります。
一枚一枚小さな葉が集まって羽のような形状を構成している点はどの種も共通していますが、品種によって丸いものや細長いもの、波打つものなど様々です。
葉色は基本的に明るい緑色が多いですが、ハッピーマーブルのように斑入りの葉をつける品種もあります。
ネフロレピスは花が咲く?
ネフロレピスはシダ植物のため、胞子や子株を作って増殖するので花は咲きません。
ネフロレピスの花言葉
ネフロレピスの花言葉は「魅惑」「愛らしさ」「愛矯」「誠実」です。
ネフロレピスの育て方

ネフロレピスは次のポイントを意識して育てましょう。
- 水やりは土が乾いてから行う
- 葉水は毎日する
- 肥料は生育期に与える
- カイガラムシやナメクジ、炭疽病に注意する
水やりの頻度
季節 | 頻度 |
---|---|
春~秋 | 土の表面が乾いていたら |
冬 | 指を差し込んで乾いていたら |
ネフロレピスは水を好む植物ですが、過度に与えると根腐れを起こすので土の乾燥具合を確認しながら水やりを行ってください。
生育期の春~秋にかけては土の表面がかわいてからたっぷりと、休眠期である冬は土に指を2、3cm差し込んで乾いているのを確認してからたっぷりと水を与えます。
ネフロレピスは葉が密集して茂るため蒸れやすいので、水やりの際は上からではなく葉に水がかからないように株の脇から与えるのがポイントです。
また、受け皿に溜まった水は根腐れの原因になるのでこまめに捨てましょう。

観葉植物 タマシダ
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葉水
ネフロレピスは湿度も好む植物なので定期的に葉水を与えるのが大事です。
葉全体がしっとり濡れる程度で水滴が垂れないくらいを目安にし、基本的に1日1回、朝の涼しい時間帯に与えましょう。
葉がチリチリするのは水不足や乾燥しているサインです。
特にエアコンをつけている室内は空気が乾燥しやすいので、葉をチェックして必要に応じて葉水の回数を増やしましょう。
肥料のあげ方
ネフロレピスは肥料が必ず必要な植物ではありませんが、施肥によって葉がより元気に育ちます。
肥料は生育期に液体肥料もしくは、緩効性の置き肥を与えてください。
冬場は成長が緩やかになるので肥料は必要ありません。
液体肥料のあげ方
液体肥料は春~秋にかけて2週間に1回程度、水やりの際に与えてください。
根を痛める恐れがあるので、初めのうちは規定量の半分程度に薄めて様子を見ながら与えるのがポイントです。
緩効性肥料のあげ方
緩効性肥料は春~秋に2ヶ月に1回の頻度で与えます。
株に直接触れないように鉢の縁近くの土に置き肥しましょう。
病害虫・害虫対策
ネフロレピスはカイガラムシやナメクジ、炭疽病が発生する場合があります。
全体的な対策のポイントは次の通りです。
- 風通しを良くし株が蒸れないようにする
- 虫や病変箇所を見つけたらすぐに取り除く
- 殺虫剤や薬剤で駆除、予防する
カイガラムシ
- 貝殻のような殻を被った虫
- 株を吸汁し生育に悪影響を及ぼす
カイガラムシは吸汁によって生育に悪影響を及ぼし、光合成を阻害する「すす病」やカビが広がる「こうやく病」を誘発します。
5~7月に発生する幼虫にはオルトラン水和剤を散布して駆除しましょう。
成虫はブラシなどでこそぎ落とすのが基本ですが、ネフロレピスの葉は柔らかく傷つきやすいため、殻が覆われた成虫にも効果のあるカイガラムシエアゾールを使用するのがおすすめです。
ナメクジ
- 新芽や若い葉などの柔らかい部分を食害する
- 光る筋がついている
葉にテカテカと光る筋があればナメクジが這った跡の可能性が高いです。
ナメクジは夜行性のため、昼間は鉢底の下などに潜んでいるので見つけたら取り除きましょう。
雨上がりの夕方などにナメクジの誘殺剤を撒いておくと効果的です。
炭疽病
- カビが広がる病気
- 進行すると葉全体が枯れる
炭疽病は高温で多湿の状態が続くと発生しやすい病気で、褐色の病斑が葉に出現し、拡大していくとやがて全体が枯れてしまいます。
発病した葉はすぐに取り除き、これ以上被害が広がらないようにし農薬を散布しましょう。
茂り過ぎた葉を剪定して風通しを良くし、蒸れないように株の脇から水やりをするなど、普段からの適切な管理が病気の予防に大切です。
植え方・仕立て方

ネフロレピスは葉が長く伸びるため、高い所から吊るして葉を垂れ下がらせるハンギング仕立てがおすすめです。
ハンギング仕立ては壁やダクトレールにハンギングバスケットや吊り鉢を吊るすだけなので簡単にでき、省スペースで飾れます。
あまり重くなると落下する恐れがあるため用土や鉢は軽量のものを使用し、設置個所の強度にも注意してください。
葉っぱが枯れる原因は?
葉がチリチリになる、ぽろぽろと落ちるといった症状が出るのは乾燥が主な原因です。
特にエアコンなどによる室内の乾燥によって葉がダメージを受けている可能性があるため、葉水の回数を増やす、加湿器をつけるなどの対策をしてください。
葉が黄色く変色するのは、日光の当たりすぎや水のやりすぎが原因かもしれません。
ブラインドやサンシェードなどで日差しを柔らかくしたり、水やり頻度を減らしたりして様子を見てみましょう。
枯れた葉っぱはどうすればいい?
枯れた葉や黄色く変色した葉は元の緑色の元気な葉には戻らないので取り除きましょう。
枯葉などを放置せずに取り除き、株を綺麗にしておくと他の症状が出たときにすぐに気づけます。
ネフロレピスの栽培環境

ネフロレピスは明るく風通しのよい場所で管理するのが基本です。
日当たりがよいほうが徒長せずに成長しますが、直射日光は苦手なため注意してください。
耐寒温度は品種によって異なるので、それぞれにあった冬越しの対応をしましょう。
置き場所と日当たり

ネフロレピスはシダ植物なので暗くてジメジメした環境を好む印象があるかもしれませんが、実際は明るい環境を好む植物です。
屋外では明るい日陰のような環境が最適ですが、直射日光の強い光が長時間当たるような場所では葉焼けを起こすので注意しましょう。
室内では午前中だけ日が当たるような方角で、レースカーテン越しの柔らかい光が入る窓辺などに置くのが理想的です。
耐陰性に優れていますが、日照があまりに不足すると葉色が悪くなり徒長します。
葉が密集して生える植物なので、日当たりだけでなく風通しもよい場所に置きましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ネフロレピスの栽培に最適な温度は15~25℃です。
セイヨウタマシダを元に派生した「ツデー」などの園芸品種は寒さに比較的弱く、耐寒温度は5~8℃程度となっています。
5℃以下になると枯れる恐れがあるため、冬は室内に取り込んで10℃以上で管理すると安心です。
一方で、タマシダなどのコルディフォリア種は多少の霜に当たっても耐えられるほどに寒さに強いため、鉢植えでも屋外で冬越しができます。
用土
ネフロレピスはシダ植物のため、ジメジメした場所で育つイメージがありますが、水もちがよく保水性のある用土は向いておらず、逆にカビや根腐れの原因になります。
用土は排水性のよいものを必ず使用しましょう。
市販の観葉植物用の培養土でも十分に育ちますが、自作するなら以下の割合で混ぜてください。
- 赤玉土(小粒):5
- 腐葉土:3
- 軽石(小粒):2
ネフロレピスの増やし方

ネフロレピスは株分けやランナー(走出枝)の先にできる子株を利用して増やせます。
株分けとは文字通り一つの株を分割してそれぞれを別の鉢に植え替えて増やす方法です。
株分けの時期はいつがいい?
株分けで根が痛んだ後の回復を考えると生育が活発で気候も安定した5~6月に行うのが最適です。
ネフロレピスは成長すると葉がぎゅうぎゅうになり蒸れるため、生育不良や病害虫の発生が起きやすくなるので、株分けは少なくとも2年に1回は行いましょう。
株分けのやり方
- 鉢から株を抜く
- 株を分ける
- 分けた株を植える
① 鉢から株を抜く
株を抜いたら、根鉢をほぐして軽く土を落としましょう。
なかなか抜けない時は鉢を叩くと抜きやすいです。
② 株を分ける
自然に分かれる箇所があれば手で分け、なければナイフで切れ目を入れて手で割いてください。
黒ずんだ根や傷んだ根があれば取り除きます。
③ 分けた株を植える
分けた株をそれぞれの鉢に植え付けます。
鉢は今までと同様か、小さいサイズを使用してください。
④ 水やりをする
たっぷり水を与え、明るい日陰で1か月ほど管理しましょう。
子株で増やす株分けのやり方
ネフロレピスはランナーを伸ばした先に子株をつけます。
この子株を利用すると、親株の根を傷つけずに株を増やすことが可能です。
- 新芽を確認する
- 新芽を土に植埋める
- 子株を切り離す
- 新しい鉢に植える
① 新芽を確認する
親株から出たランナーの先に新芽がついているかどうかを確認します。
② 新芽を土に植埋める
新芽部分を軽く土に埋め、発根するのを待ちます。
ランナーはまだ繋がったままにしてください。
③ 子株を切り離す
しっかりと根が張り、葉が出て子株になったら親株と繋がっているランナーを切り離します。
④ 新しい鉢に植える
根を傷つけないように子株を取り出し、新しい鉢に植え付けます。
植え付け後は明るい日陰で水切れをしないように管理してください。
剪定の時期はいつがいい?
剪定は4~9月が適期で、特に梅雨に入る前の5月頃に古い下葉をカットして株元の通気性を確保します。
葉が茂りやすく古い葉も残ったままになりやすいため、新芽の促進のためや病害虫の予防のためにも剪定が必要です。
冬場の剪定はなるべく避け、する場合でも必要最低限にしましょう。
剪定のやり方
- 枯れた葉を取り除く
- 伸びすぎた葉をカットする
- 古い下葉をカットする
① 枯れた葉を取り除く
枯れた葉や黄変した葉があれば取り除きます。
中軸だけになったものなどは根元からカットしましょう。
② 伸びすぎた葉をカットする
伸びすぎた葉は全体の樹形を見ながら良い所でカットしてください。
③ 古い下葉をカットする
去年出た下葉は根元からカットし、新しい葉の成長を促します。
剪定後は水やりをし、数日は直射日光を避けて管理してください。
植え替え時期はいつがいい?
ネフロレピスの植え替えは最低気温が10℃以上で安定してくる5~9月頃に行いましょう。
真夏の気温が高い時期の植え替えは株への負担が大きいため避けてください。
鉢替えのやり方
- 鉢から株を抜く
- 新しい鉢に土を入れる
- 新しい鉢に株を植える
- 水やりをする
① 鉢から株を抜く
株を抜き、根鉢をほぐしてながら土を落とします。
なかなか抜けないようなら、鉢を叩いて振動させると抜けやすいです。
② 新しい鉢に土を入れる
一回り程度大きい鉢を準備し、鉢底ネットと鉢底石、土を少し入れます。
土は市販の観葉植物用の培養土か、赤玉土(小粒):5、腐葉土:3、軽石(小粒):2を混ぜたものを使用します。
オルトランなどの防虫剤を使用するなら、このタイミングで混ぜましょう。
③ 新しい鉢に株を植える
株を新しい鉢の中央に置き、高さや位置を調整しながら土を充填していきます。
葉に土がかからないように持ち上げながら、慎重に土を入れてください。
④ 水やりをする
植え替えが完了したらたっぷりと水やりを行い、明るい日陰で管理します。

観葉植物 タマシダ
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