トックリランの育て方
公開日 2025年10月02日
更新日 2025年10月31日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
トックリランの基本情報
観葉植物 トックリラン ポニーテール
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| 植物名 | トックリラン |
| 学名 | Beaucarnea recurvata |
| 英名 | ponytail palm |
| 別名 | ノリナ、ポニーテール |
| 原産地 | メキシコ |
| 科名 | リュウゼツラン科 |
| 属名 | トックリラン属 |
| 開花時期 | 6~7月 |
トックリランは南メキシコを原産地とする観葉植物です。
根元がぷっくりと太りそこから細い幹が伸びていく、とっくりのような形をしています。
耐暑性・耐寒性ともに優れているとても丈夫な植物です。
乾燥にも強いため、初心者でも簡単に育てることができます。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種

トックリランはトックリラン属に含まれる植物のひとつです。
ここにはトックリランととても似ているノリナ グアテマレンシスや、長く伸びる葉が特徴的なノリナ ロンギフォリアなどが含まれています。
| 品種名 | 葉の形状 | 葉の色 | 育てやすさ | レア度 |
|---|---|---|---|---|
| トックリラン | 細長い | 緑 | 育てやすい | 低 |
| ノリナ グアテマレンシス | 細長い | 緑 | 育てやすい | 低 |
| ノリナ ロンギフォリア | 細長くよく伸びる | 緑 | 育てやすい | 高 |
ノリナ グアテマレンシス
ノリナ グアテマレンシスはトックリランと非常に似ている品種です。
見た目上の特徴はほぼ同じですが、ノリナ グアテマレンシスの方が葉がやや長くなると言われています。
ほとんど差はないため、トックリランとの大きな違いは感じられないでしょう。
ノリナ ロンギフォリア

ノリナ ロンギフォリアはとても希少な品種です。
長く伸びる細長い葉が特徴的で、成長するとどんどん垂れ下がっていきます。
他の品種より耐寒性に優れている点も特徴のひとつです。
トックリランの葉っぱの特徴

トックリランは幹の先端から、細長い緑色の葉を放射状に生やします。
葉が伸びていくとゆるいカーブを描くのが特徴のひとつです。
その見た目が馬の尾に似ているため、トックリランは「ポニーテール」という別名でも親しまれています。
トックリランはどんな花が咲く?
トックリランは6~7月頃に黄色い小さな花を咲かせることがあります。
ただ、大きく育ったものしか花をつけないため、自生地ではない日本で開花することは稀です。
トックリランの花言葉
トックリランの花言葉は「多くの才能」です。
小さな花がまとまって咲く姿や開花する機会の少なさが由来になっています。
トックリランの育て方

トックリランは乾燥に強いとても丈夫な品種ですが、湿気の多い環境には弱く水を与えすぎると枯れてしまうこともあります。
水やりの頻度や肥料の量には十分注意しましょう。
水やりの頻度
| 時期 | 水やりの頻度 | 水の量 |
|---|---|---|
| 4~10月 | 土が完全に乾いてから2~3日後 | たっぷり |
| 11~3月 | 土が完全に乾いてから4~5日後 | 1週間で乾く程度 |
トックリランは4~10月にかけて生育期を迎えるため、この時期は上記のタイミングで水をたっぷり与えてください。
受け皿にたまった水はすぐに捨てましょう。
それ以外の時期は成長が緩くなるため、土が乾いてから4~5日後を目安に、1週間で土が乾き切る程度の量をあげてください。
冬場に水をあげすぎると、根腐れに繋がるので注意しましょう。
冬は暖房の影響で過度に乾燥し、葉の先端が枯れてくることがあります。
その場合は霧吹きなどで軽く葉水を与え、最低限の湿度をキープしてあげましょう。
観葉植物 トックリラン ポニーテール
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肥料のあげ方
トックリランは肥料がなくても十分に育ちます。
肥料で成長を促進したい場合は、生育期の4~10月に緩効性の化成肥料をあげるとよいでしょう。
ただ、それほど日当たりがよくない場所で育てていると、肥料がストレスになる場合もあります。
トックリランを育てている環境を考慮しながら、適切な量を与えてください。
病害虫・害虫対策
トックリランはとても丈夫な植物ですが、日当たりや風通しの条件が悪いと虫がつく場合があります。
虫が発生した際はすぐに駆除し、置き場所などの見直しを検討しましょう。
ハダニ
- 葉の裏などにつき汁を吸う害虫
- 成長を阻害する
トックリランにつく代表的な害虫がハダニです。
葉の裏などについて汁を吸い、成長の阻害や葉の損傷を引き起こします。
傷んだ葉を見つけた場合は、清潔なハサミですぐにカットしましょう。
少量のハダニであれば水で洗い流す程度で十分ですが、駆除しきれない場合は殺虫剤を使用してください。
カイガラムシ
- 葉などにつき植物の汁を吸う
- 病気の原因にもなる
トックリランを屋外で育てる際、特に注意して欲しい害虫がカイガラムシです。
ハダニ同様、こちらも葉などに付着して汁を吸い、植物の成長を阻害します。
貝殻をかぶったような見た目の成虫は薬が効きにくいため、柔らかいブラシなどで直接除去してください。
カイガラムシの排泄物はすす病を引き起こす原因になります。
葉のベタつきを見つけた際は、清潔な布巾などですぐに拭き取ってください。
他の虫よりも退治しにくいので、心配な方は防虫剤の使用を検討しましょう。
トックリランの根元を大きくするには?
- しっかり日光を浴びせる
- 水やりの頻度を抑える
- 実生の苗から育てる
トックリランの根元を大きくしたい場合は、日に当てることを意識してください。
4~10月の生育期はベランダや光が入る窓際に置き、しっかり日光を浴びせましょう。
加えて、水やりの頻度を抑えることも重要なポイントのひとつです
乾燥させてから水をあげることで、水を蓄えている根元部分が成長するといわれています。
また、挿し木で増やした個体は発育が少々悪くなってしまいます。
根元が大きいトックリランにしたいのであれば、種まき(実生)で増やすのがおすすめです。
剪定
- 頻繁な剪定は不要
- 剪定する場合は5~9月頃がおすすめ
トックリランは頻繁な剪定を必要としない品種です。
枯れた葉や傷んだ葉を見つけた際に、随時カットする程度で十分でしょう。
葉が茂りすぎると虫の発生に繋がるため、葉が密集してきた場合はその都度間引いてください。
わき芽が出てきたらどうする?
トックリランは根元からわき芽が出てくることがあります。
そのままにしておくとメインの幹が成長しづらくなるため、わき芽はカットしてしまうのがおすすめです。
切った芽はそのまま挿し木に利用できます。
トックリランを増やしたい方は、わき芽の剪定と併せて挿し木も行うとよいでしょう。
トックリランの栽培環境

トックリランは耐暑性と耐寒性に優れている、とても育てやすい植物ですが、極度に寒い環境だと枯れてしまうことがあります。
普段は屋外に置いても問題ありませんが、冷え込みが厳しい時期は室内で育てることを検討しましょう。
置き場所と日当たり

- 日当たりと風通しのよい場所に置く
- エアコンの風が直接当たる場所は避ける
トックリランは日当たりと風通しのよい場所に置きましょう。
日光を好む品種なので、生育期の4~10月はしっかり日に当ててください。
鉢植えにして日の入る窓際やベランダなどに置くとよいでしょう。
葉を光に向けて伸ばす習性があるため、1~2週間に1度鉢を回し、全体に光を当てると綺麗に成長してくれます。
寒さにも強い品種ですが、極端に冷え込む時期は屋内で育てるのがおすすめです。
部屋に置く場合は過度な乾燥を避けるため、エアコンの風が直接当たらない場所を選びましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
トックリランは耐寒性が高く、0℃程度までは耐えるといわれています。
ただ、雪や霜の影響で枯れることもあるため、少なくとも5℃以上はキープしてあげましょう。
20℃以上が栽培適温とされ、春から夏にかけてぐんぐん成長します。
トックリランの土の配合比率(用土)

トックリランを育てる際は水はけのよい土を使いましょう。
一般的な観葉植物用の土などを使用すれば問題ありませんが、少量のパーライトを混ぜ、排水性を高めるのもよいでしょう。
自身で配合する場合は、以下の割合を参考にしてください。
おすすめの配合
- 赤玉小粒土:7
- 軽石:3
トックリランの種まき(実生)
トックリランは種まきで増やすことができます。
トックリランはほとんど開花しないため、種を自身で採取するのは困難です。
種が欲しい場合は、ネット通販などで購入するとよいでしょう。
トックリランの種まき(実生)に適した時期
トックリランの種まきは生育期の5~9月頃に行うのがおすすめです。
なるべく早い時期に種をまき、成長期間を長くとってあげましょう。
トックリランの種まき(実生)のやり方
- ポットなどに種まき用の土をセットして種を植える
- 乾燥させないようこまめに水やりをする
- 発芽するまで様子を見る
① ポットなどに種まき用の土をセットして種を植える
ポットなどに種まき用の土を入れ、そこに種を植えてください。
1cm程度を目安に土をかぶせましょう。
土が多いと発芽の妨げになることもあるので注意が必要です。
② 乾燥させないようこまめに水やりをする
乾燥しないよう、こまめに水をあげてください。
湿度を保つためにラップをかぶせる、もしくは水を入れた容器に鉢を入れる腰水管理なども有効です。
③ 発芽するまで様子を見る
1ヵ月ほど経つと発芽が始まります。
根がしっかり張ったら、通常通りの環境で管理してください。
トックリランの増やし方

トックリランは種まきや挿し木で増やすことが可能です。
ただ、トックリランは成長が遅い植物なので、種まきや挿し木から大きく育てるには時間がかかります。
部屋の景観を早く整えたい場合は、ある程度成長した苗を購入するのがおすすめです。
挿し木の時期はいつがいい?
挿し木は種まきと同様、5~9月頃に行うのがおすすめです。
わき芽を挿し木として利用するため、剪定のタイミングと併せて実施するとよいでしょう。
ただ、トックリランを挿し木で増やした場合、その個体は育ちがやや悪く、根元がぷっくりと太りません。
トックリラン特有の見た目を楽しみたい方は種まきで増やす、もしくは苗の購入がおすすめです。
挿し木のやり方
- 挿し木用のわき芽をカットする
- 土をセットした鉢に植える
- 水をこまめにあげながら明るい日陰で管理する
- 2ヵ月ほどで根付き始める
① 挿し木用のわき芽をカットする
ある程度伸びたわき芽を清潔なハサミでカットしてください。
下部に葉がある場合は剪定し、葉を5~6枚程度に減らしましょう。
② 土をセットした鉢に植える
土は挿し木用の土を使用してください。
肥料成分が含まれていなければ、赤玉土を使っても問題ありません。
土を湿らせてくぼみを作り、そこに優しく植えましょう。
③ 水をこまめにあげながら明るい日陰で管理する
土が完全に乾燥しないよう、水はこまめにあげましょう。
直射日光を受けない、明るい日陰で管理してください。
④ 2ヵ月ほどで根付き始める
うまくいけば2ヵ月ほどで根付き始めます。
しっかり根が張ったら、通常通りの環境で管理しましょう。
トックリランの挿し木は難易度が少々高いため、根付かない場合は改めてチャレンジしてください。
植え替え時期はいつがいい?
トックリランの植え替えは5~9月頃に行いましょう。
生育期の最中に実施することで、成長期間をしっかり確保できます。
暑すぎる環境だとトックリランのストレスになる場合があるので、5月頃にすませてしまうのがおすすめです。
鉢替えのやり方
トックリランは2年に1度くらいの周期で鉢替えをしてください。
成長速度が遅いため頻繁な鉢替えは必要ありませんが、長く放置すると土質が悪化することもあります。
定期的に鉢替えを行い、良好な栽培環境をキープしましょう。
- トックリランを鉢から取り出す
- 新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を設置し、土を1/3程度入れる
- トックリランを植え、土を足しながら固定する
- 水をあげ明るい日陰で1~2週間管理する
① トックリランを鉢から取り出す
トックリランを鉢から出し、根についた土を落としながら優しくほぐしましょう。
傷んだ根や腐った根があった場合は、清潔なハサミでカットしてください。
② 新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を設置し、土を1/3程度入れる
新しい鉢に土などをセットしてください。
自身で土を配合する場合は事前に作業を行い、すぐに使える状態にしておきましょう。
③ トックリランを植え、土を足しながら固定する
トックリランは浅めに植え、根元の部分をしっかり表に出してあげましょう。
根元まで植えてしまうと、トックリラン特有のぷっくりとした姿にならないこともあるので注意が必要です。
④ 水をあげ明るい日陰で1~2週間管理する
植え替えが終わったら水を与え、明るい日陰で管理してください。
1~2週間様子を見て、問題ないようであれば通常通りの環境に戻しましょう。
植え替え直後の植物には大きなストレスがかかっています。
置き場所・水やりの頻度・肥料の量など、いつも以上に栽培環境に気を配ってください。
観葉植物 トックリラン ポニーテール
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