リプサリス カスッサの育て方
公開日 2025年06月24日
更新日 2025年06月25日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

リプサリス カスッサの基本情報
植物名 | リプサリス カスッサ |
学名 | Rhipsalis baccifera |
和名 | 糸葦(イトアシ) |
英名 | Mistletoe cactus |
別名 | 森林サボテン、ヒモサボテン |
原産地 | 熱帯アメリカ、熱帯アフリカ、マダガスカル、スリランカなど |
科名 | サボテン科 |
属名 | リプサリス属 |
開花時期 | 2~6月 |
リプサリス カスッサは熱帯アメリカなどを原産地とするリプサリスの品種の一つです。
森林の岩や木に着生する多肉植物のため「森林サボテン」とも呼ばれています。
葉が無く、ひものような茎がニョキニョキと下に垂れて成長するのが特徴です。
また、茎はたくさん分岐するためボリュームがあり、成長すると鉢を覆い隠すほどになります。
耐陰性もあり乾燥にも強いため育てやすく、一般的な観葉植物とは少し違う個性的なグリーンインテリアとして人気です。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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剪定
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挿し木
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種類と品種

リプサリス属は熱帯気候地域に自生する多肉植物で世界に60品種以上あります。
茎が肉厚で平べったいものからサボテンに近いもの、太いひも状や赤く色づくものなど品種によって見た目が全然違うのが特徴です。
なお、リプサリス カスッサ(Rhipsalis cassutha)という名は同一の分類群に付けられた異名でリプサリス バッキフェラ(Rhipsalis baccifera)が正式な学名になります。
リプサリスの主な品種は以下の通りです。
品種 | 茎の形状 | 花の色 | 毛の有無 | 育てやすさ | レア度 |
---|---|---|---|---|---|
リプサリス カスッサ | 細ひも状 | 白 | 無 | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ |
リプサリス パラドクサ | 角ひも状 | 白、黄色 | 無 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
リプサリス ケレウスクラ | ひも状 | 白 | 有 | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
リプサリス クラバータ | ひも状 | 白 | 無 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
リプサリス カピリフォルミス | 細いひも状 | 白 | 無 | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
リプサリス ラウヒオルム | 楕円形 | 白 | 品種による | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
リプサリス パラドクサ
ドレッドヘアーや鎖を連想させるような、角ばった茎が互いに連結しているのが特徴です。
何本もの茎がダランと垂れ下がるように育ち、海外ではチェーンカクタスとも呼ばれています。
リプサリス ケレウスクラ

リプサリスの中でも生育が緩やかで、青柳という名でも流通しています。
ヒモ状の茎が垂れるようにじっくり成長し、数本ピョンピョンと上に伸びるのが特徴です。
プサリス クラバータ
毛が無くつるんとした質感の茎を伸ばすリプサリスです。
冬場の気温が下がる時期や日光をたくさん浴びると新芽が紅く染まります。
リプサリス カピリフォルミス
細いひも状の茎がたくさん分岐する品種です。
繊細な茎が涼し気な印象で、春に白い小花を咲かせます。
リプサリス ラウヒオルム
ムチムチとした平べったい楕円形の茎が連なり、葉のふちがのこぎり状になるのが特徴です。
一つの茎が2~3本に分かれ、成長してからも根元から新芽が出るためボリュームがある株姿になります。
リプサリス カスッサの葉っぱの特徴
リプサリス カスッサの茎はひも状で垂れ下がるように伸び、成長すると1m以上になるのが特徴です。
また、垂れ下がる茎とは別に、周辺の木に着生し分布を広げるためのランナーや匍匐茎に当たる茎を上や横にぴょんぴょんと無造作に伸ばします。
リプサリス カスッサはサボテンの仲間ですがトゲがないので安全に管理できるのもポイントです。
リプサリス カスッサはどんな花が咲く?
リプサリス カスッサは可愛らしい小さな白や黄色の花を咲かせ、ジャスミンのようなさわやかな香りがするのが特徴です。
満開時には垂れた枝先にたくさん咲き、花のシャワーのような美しい光景を楽しめます。
また、花の後には半透明の白い小さな実が成るのも魅力です。
リプサリス カスッサの花言葉
リプサリス カスッサの花言葉は「温かい心」「偉大」「枯れない愛」「燃える心」です。
これらはサボテン科に共通した花言葉になっています。

リプサリス カスッサの育て方
リプサリス カスッサは耐暑性があり丈夫で育てやすい植物ですが、健康に育てるにはいくつかポイントがあります。
- 水やりは土が乾いてから
- 生育期に液体肥料を与える
- 斑点病に注意する
以下で、リプサリス カスッサの育て方について詳しく紹介します。
水やりの頻度
リプサリス カスッサの基本的な水やり頻度は以下の通りです。
春から秋 | 土がしっかりと乾いてから2〜3日後 |
冬 | 月に1回程度 |
リプサリス カスッサは砂漠に自生するサボテンとは異なり適度な水分が必要になります。
ただ、常に土が湿っている状態は根腐れの原因になるので土がしっかりと乾いてから水やりすることが大事です。
乾燥気味に管理するのが基本ですが水不足が続くと枯れる恐れがあるので、株や土の状態をしっかりチェックし臨機応変に対応しましょう。
水不足のサイン
- 茎にしわが寄っている
- 茎がしぼむ
- 土にひびが入る
リプサリス カスッサは土の中が湿っているのは苦手ですが、空気は多湿の環境を好むためエアコンなどで乾燥している室内では定期的に葉水を与えてください。
水やりの際は鉢底からあふれるくらいたっぷりと与え、受け皿に溜まった水はこまめに捨てましょう。
肥料のあげ方
リプサリス カスッサは肥料が無くても十分に育ちますが、花をたくさん咲かせたい場合やボリュームを出したい場合などは追肥を行いましょう。
与える肥料はサボテンや多肉植物用の適量に希釈した液体肥料を与えてください。
春から初秋の生育期 | 3週間から1か月に1度 |
夏や冬の休眠期 | 肥料は与えない |
春から初秋の生育期には株の様子を見ながら3週間から1か月に1度与えましょう。
茎の色が悪い場合は、10日に1度ぐらいの頻度で与えると緑が美しく保たれます。
ただし肥料のあげ過ぎは肥料焼けを起こし、茎が変色したり萎れたりするので注意しましょう。
生育が緩慢になる真夏と冬は栄養分を吸収しないため肥料をあげる必要はありません。
病害虫・害虫対策
リプサリス カスッサは虫が付きにくく病気にも強い植物ですが、稀に斑点病やコナカイガラムシが発生します。
斑点病
- 茎に黄色の斑点がでる病気
- 放置すると枯れる場合もある
斑点病は主にカビが原因で、多湿の土や直射日光の当たり過ぎなどのストレスで発症しやすくなります。
発生した場合の対処法は以下の通りです。
- 殺菌剤を散布する
- 発症部分を取り除く
- 水はけのよい土に替える
- 直射日光を避け風通しを良くする
病気が進行し株全体に広がると枯れてしてしまうこともあるので、殺菌剤の散布や発症した茎をカットし取り除くなどの対処を早めに行いましょう。
殺菌剤のなかには残効性に優れたものもあるため、梅雨などの発症しやすい時期の前に散布すると予防にもなります。
また、普段から株に異変がないかチェックし、水はけや風通しを良くするなど病気になりにくい栽培環境を整えておくことが大事です。
コナカイガラムシ
- 1~4mm程度の白やピンクの虫
- 養分を吸い、生育を妨害する
茎に白い綿のようなものが密集していたらコナカイガラムシの可能性が高いです。
吸汁する際に病原菌を注入したり分泌物によって光合成を阻害したりするため、放置すると株が枯れてしまう恐れがあります。
対処法は以下の通りです。
卵 | 刷毛で払う |
幼虫 | オルトランなどの殺虫剤を使用する |
成虫 | 歯ブラシなどでこすり落とす |
コナカイガラムシの成虫は白い粉状の物質に覆われていて薬剤が効きにくいため、歯ブラシなどで物理的にこすり落とします。
5~7月にかけて孵化する幼虫には薬剤が効くので殺虫剤を使用して駆除しましょう。
大量に発生した場合は茎を切り落として拡大を防ぎます。
リプサリス カスッサが枯れる原因は?
リプサリス カスッサが枯れる原因は以下のことが考えられます。
- 根腐れ
- 水不足
- 日照不足
- 寒さ
根腐れ
排水性が悪い用土や水やりのし過ぎは根腐れの原因になります。
茎が黒くなりちぎれる、水をあげてもしわが治らないなどの場合は根腐れの可能性が高いです。
根からの吸水ができなくなりそのままでは枯れてしまうので、傷んだ根をカットして水はけのよい土に植え替えましょう。
水不足
リプサリス カスッサは乾燥に強いですがあまりにも水不足が続くと茎がしわしわになり枯れてしまいます。
土の表面が乾いてから2~3日後に水やりするのが基本ですが、春~初秋の成長期は水の吸い上げが良いので注意が必要です。
茎にしわが寄ってないかチェックし、株や土の状態をみて臨機応変に水やりをしましょう。
日照不足
日照不足だと茎が黄色くなり落ちてしまいます。
リプサリス カスッサは日光を好むため、暗い場所に置くのは避けて柔らかい光が当たる場所で管理しましょう。
逆に直射日光に当てすぎても葉焼けを起こすので注意が必要です。
寒さ
リプサリス・カスッサは耐暑性は高いですが寒さには弱いです。
冬の寒さや霜に当たると茎が黒ずんで枯れていきます。
冬場は室内に取り入れ、気温が低くなる夜間は窓辺から離れた場所に置きましょう。
リプサリス カスッサの成長速度は?
リプサリス カスッサはゆっくりと成長する植物なので、茎を茂らせてボリュームのある株になるには数年かかります。
勢いよく伸びて樹形が崩れることもないため、頻繁に剪定する必要が無く手間がかからない植物です。
リプサリス カスッサの栽培環境
リプサリス カスッサは熱帯気候の木や岩に養生している植物なので、森の木漏れ日のような柔らかい光と多湿の環境を好みます。
また排水性のよい用土と最低でも10℃以上の温度が生育に必要です。
置き場所や日当たり、用土などリプサリス カスッサの栽培環境について以下で詳しく紹介します。
置き場所と日当たり

リプサリス カスッサはサボテンの仲間ですが、砂漠に自生する肉厚の種類と違い直射日光は苦手です。
特に真夏の直射日光に当たりすぎると葉焼けを起こすので注意しましょう。
室内ではレースカーテン越しの柔らかい光が当たる場所、屋外では明るい日陰に置くのがおすすめです。
耐陰性はありますが、暗すぎる場所では光合成が少なくなり茎がひょろひょろに徒長したり、色が薄くなったりすることがあります。
明るい場所に常時置けない場合は、最低でも週に2回ほどは日光に当てるようにしましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
リプサリス カスッサの耐寒温度は8℃程度で、寒さには弱く霜に当たると茎が黒ずんで枯れていきます。
5~10月頃までは屋外での栽培も可能ですが、最低気温が12℃を下回る晩秋からは室内に取り込みましょう。
冬場の水やりを控えれば5℃まで耐えられるともいわれていますが、10℃以上の環境で育てるのが安心です。
用土

リプサリス カスッサは森林性のサボテンのため空気中の湿度が高い環境を好みますが、土中が常に湿った状態は苦手なため水はけのよい用土がおすすめです。
また、pHはやや酸性のものが適しています。
リプサリス カスッサにおすすめの配合は以下の通りです。
- ピートモス:4
- パーライト:3
- バークチップ:3
ピートモス、パーライト、バークチップを混ぜて作る用土は排水性が良いのはもちろん、適度に水分保持力があり、酸性寄りの土壌を好むリプサリス カスッサにぴったりです。
土は使用するにつれ硬くなり水はけが悪くなるので、定期的に新しいものに植え替えましょう。
ハンギングのやり方
ハンギング仕立てとは、植物を壁にかけたり吊るしたりして楽しむ飾り方で、茎が垂れて成長するリプサリス カスッサにおすすめの仕立て方です。
専用のプランターやバスケットを用いて壁やダクトレール、カーテンレールなどに吊るすだけなので簡単に仕立てることができます。
ハンギングの注意点
- 重い鉢は吊るさない
- 設置部の強度を確認する
- 乾燥に注意する
重いものを吊るすと設置部に負担がかかり落下の危険があるので、土や鉢は軽量のものを使用しましょう。
また、置いている時よりも通気性が良くなるため土の乾燥に注意が必要です。
設置部の強度が心配な場合や吊るす場所がない場合は、自立式で安定したハンギングスタンドやハンギングポールといったアイテムもあります。
リプサリス カスッサの開花時期
リプサリスカスッサは春頃になると開花します。
開花するには日当たりがよく暖かい環境と適切な水やりが必要です。
以下でリプサリス カスッサの開花時期や花が咲かない原因について紹介します。
開花時期は春頃
リプサリス カスッサの開花時期は3~6月頃です。
気温が上がり暖かくなってくる春頃に白や黄色の可愛らしい小さな花を枝先に咲かせます。
温かい室内で育てている場合は2月頃から咲くことも多いです。
リプサリス カスッサの花が咲かない原因は?
リプサリス カスッサの花が咲かないのは以下の原因が考えられます。
- 日照不足と温度
- 水やりの過不足
- 肥料の偏り
日照不足と温度
日当たりが悪い環境で育てると光合成が十分にできず、株が徒長して花を咲かせるためのエネルギーが不足します。
日光の当たる暖かい場所に鉢を移動させ、温度を15~30℃に保つようにし開花しやすい環境に改善しましょう。
水やりの過不足
水やりのし過ぎは根腐れ、不足は乾燥による生育不良で花が咲かない原因になります。
株の状態を見ながら、土の表面が乾いてから水やりを行いましょう。
肥料の偏り
茎だけがよく成長し花が咲かない場合、肥料成分が偏っている可能性があります。
窒素が多い肥料を控え、花の栄養素であるリン酸が多めのものを開花時期に与えると効果的です。
ただし肥料のやりすぎは根を痛めるので注意してください。
リプサリス カスッサの増やし方
リプサリス カスッサは繁殖力が旺盛なため、挿し木や株分けで比較的簡単に増やすことが可能です。
以下で挿し木や株分け、鉢替えのやり方などについて紹介します。
挿し木(挿し芽)のやり方
挿し木とはカットした茎を土に挿して発根させ、また一つの株として生育する方法です。
リプサリス カスッサの挿し木を行う時期は生育期の4~6月が適しています。
- 挿し木を用意する
- 茎を乾燥させる
- 土に植える
- 水やりをする
① 挿し木を用意する
茎は10㎝ほどの長さにカットしたものを用意します。
カットする箇所は茎の節目(茎と茎の継ぎ目)です。
② 茎を乾燥させる
カットした茎を日陰で乾燥させて発根するまで待ちましょう。
およそ3週間~1ヶ月ほどで切り口から発根します。
③ 土に植える
茎を寝かせるように土の表面に置き、発根部分に土をかぶせます。
用土は挿し木用のものがおすすめです。
④ 水やりをする
植えたらすぐに水やりをして風通しのよい日陰で管理しましょう。
茎が乾燥していたら霧吹きで適宜葉水をしてください。
その後は土がしっかり乾いたら水やりをしていくと根が張り新芽が出てきます。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
剪定 | 冬の終わりから初春 |
株分け | 4~6月 |
リプサリス カスッサの剪定は、花芽に干渉せずストレスがかかりにくい冬の終わりから初春にかけて行うのがおすすめです。
ゆっくりと成長するためほとんど剪定を必要としませんが、行う場合は繁りすぎた茎や伸びすぎた茎などをカットします。
株分けは気温が上がる生育期の4~6月に行いましょう。
植え替え時期はいつがいい?
リプサリス カスッサの植え替えに最適な時期は4~6月または9~10月です。
植え替えは株や土の状態を見ながら1〜2年に1回、気温が15〜20℃くらいの日に行います。
根が回り鉢がパンパンになっていたり水の吸水が悪かったりする場合は植え替えのサインです。
鉢替えのやり方
リプサリス カスッサは成長がゆっくりなため、株に対して大きすぎる鉢に植え替えると根腐れを起こす可能性があるので、一回り程度大きいものにするのがおすすめです。
また、植え替えの際は土がしっかりと乾燥している時に行いましょう。
- 鉢から株を抜く
- 新しい鉢に土を入れる
- 株を植える
- 明るい日陰で管理する
① 鉢から株を抜く
鉢の側面をほぐして取り出しやすくしてから、根を傷つけないように注意して株を抜きます。
傷んだ根や古い根があればカットしましょう。
② 新しい鉢に土を入れる
株の高さに合わせて新しい鉢に土を適量入れます。
用土はピートモス、パーライト、バークチップを同量混ぜて作るか、サボテン用もしくは多肉植物用の土がおすすめです。
③ 株を植える
鉢の中央に株を載せ、茎をもち上げながら鉢と株の隙間に用土を充填していきます。
株元には土をかけないように注意しましょう。
スコップを使用するより手で土を充填するほうが作業がしやすいです。
④ 明るい日陰で管理する
茎の先が埋もれてないかチェックして、鉢を軽く叩いて土の隙間をなくしたら植え替え完了です。
植え替え後は直射日光を避け、風通しのよい日陰で管理してください。
水やりは1週間ほど控えて根が土に馴染んでから行いましょう。