スキンダプサスの育て方
公開日 2025年09月24日
更新日 2025年09月24日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
スキンダプサスの基本情報
名称 | スキンダプサス |
学名 | Scindapsus pictus |
英名 | Satin pothos |
別名 | シラフカヅラ |
原産地 | 東南アジア、マレー諸島 |
科名 | サトイモ科 |
属名 | スキンダプサス属 |
耐陰性に優れ乾燥にも強いスキンダプサスは、観葉植物を初めて育てる方にもおすすめな品種のひとつです。
サイズも小さめなものから選べるので、栽培スペースに不安がある方や限られたスペースでも安心して挑戦することができます。
成長に伴ってツルが長く伸びていくので、設置の際にはある程度の高さが確保できるハンキングで育てると良いでしょう。
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種類と品種

品種 | 葉っぱの色 | 斑 | 葉っぱの大きさ | 育てやすさ | レア度 |
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ピクタス | 深い緑色 | あり | 約15~25cm | 初心者向け | ★ |
トレビー | 深い緑色 | あり | 約22~50cm | 初心者向け | ★★ |
オルモストシルバー | シルバーグリーン | なし | 約15~25cm | 初心者向け | ★★★ |
スキンダプサスは、葉の大きさや班の入り方によって複数の種類が存在します。
最も一般的な種類であるピクタスのほかに、ボリュームのあるトレビーや班が入っていないオルモストシルバーなど、それぞれの特徴を理解して気になる種類を見つけてみてください。
ピクタス

「ピクタス」と呼ばれる品種は最もポピュラーなスキンダプサスで、葉にシルバーの斑が入っているのが特徴です。
育てる品種に悩んだ際には、まずはピクタスを選んでおくと間違いありません。
トレビー

「トレビー」の見た目はピクタスとほとんど変わらず、葉にシルバーの斑が入っている点も同じです。
葉の大きさがピクタスと比較すると1.5〜2倍ほど大きいので、ボリュームのあるスキンダプサスを求める方に人気があります。
オルモストシルバー
スキンダプサスと言えば基本的に葉の斑が特徴的ですが、なかには「オルモストシルバー」のように斑が出ない品種もあります。
葉全体の色味がシルバーっぽくキラキラと輝いて見え、高級感があるのが魅力です。
スキンダプサスの葉っぱの特徴

スキンダプサスの葉は、大きなハートのような形をしています。
ほとんどの品種にシルバーの斑が入っていて、成長とともに葉を増やしながら下に伸びていくので、高さのある場所で育てるのがおすすめです。
スキンダプサスの花言葉
スキンダプサスの花言葉は「小さな愛」です。
スキンダプサスの育て方

スキンダプサスを育てる際に気を付ける点は、主に以下の3つです。
- 土の表面や鉢の内部までしっかりと乾いたタイミングで水を与える
- 植え替え時や剪定の時期に緩効性肥料を与える
- 栽培環境に応じて、病害虫や害虫の予防や対策を実施する
水やりの頻度
過度な水やりは根腐れの原因となるため、水は鉢の土が完全に乾いたタイミングのみ与えるようにします。
土が乾きやすい春や夏は、土に触れた際に水分を感じなくなった時に、鉢底から流れるほどたっぷりの水を与えてください。
一方で水分が残りやすい秋や冬の時期には、土の乾きを感じてからさらに2〜3日ほど経過したタイミングで水を与えましょう。
肥料のあげ方
スキンダプサスには、緩効性の肥料を与えると丈夫な成長を促すことができます。
与え方も土に混ぜ込むだけと非常に簡単なので、植え替えのタイミングに合わせて実施してください。
緩効性肥料を与えずに育てる場合は、生育期にあたる5〜10月頃を目安に置き肥や液肥などを与えます。
病害虫・害虫対策
スキンダプサスを育てる際には、いくつかの病害虫の発生を防ぐための対策を実施する必要があります。
事前の対策はもちろん、万が一発生してしまった場合でもすぐに適切な処置を行えばスキンダプサスの健康が守れるので、しっかりと確認しておきましょう。
ハダニ
- 葉に斑点や傷がつき、葉っぱの色が薄くなる
- 白くて細いクモの糸のようなものが付着する
葉に糸が付着しているのに気付いたら、まずはハダニの発生を疑ってください。
放置すると数が増えていくので、見つけ次第早めに影響のある葉を取り除いたり、殺虫剤や薄めた牛乳や酢などを噴霧したりしましょう。
スキンダプサスにハダニがつくのを避けるには定期的な葉水で乾燥を防ぐことが最適です。
アブラムシ
- 葉や茎などがベタベタになる
- 新芽や葉が縮れ、元気がなくなる
植物全体の成長に違和感を感じたら、アブラムシの影響を疑って新芽や葉に付着していないかよく確認してください。
萎縮やベタつきが見られる箇所はなるべく早めに取り除き、アブラムシ本体を除去したり殺虫剤や牛乳、重曹などを噴霧したりします。
繁殖力が非常に高いので、なるべく専用の殺虫剤を使用しましょう。
そもそもの発生を予防するには、定期的に剪定を実施して葉が茂りすぎないようにするのが大切です。
カイガラムシ
- すす病が発生し、葉や幹がベタつく
- 殻状や粉状の物質で覆われた虫が葉に付着する
カイガラムシもアブラムシと同じく繁殖力が高いため、見つけ次第速やかな対処が必要です。
布やブラシなどでカイガラムシを取り除いたら、水で洗い流し葉をきれいにしましょう。
室内を換気して葉の風通しを良くしつつ、こまめな葉水でスキンダプサスの葉の潤いと清潔さを維持することが大切です。
ハンギングのやり方

スキンダプサスは、成長とともに葉が垂れ下がるように伸びていくので「ハンキング」での栽培が向いています。
天井やカーテンレールといった安定した場所にS字フックをかけて、鉢を紐やロープなどで吊るすのが基本のやり方です。
吊るす場所が無い場合は、壁にプランターを固定する「壁掛けプランター」でハンキングを楽しむこともできます。
葉っぱが丸まる原因は?

スキンダプサスの品種や栽培環境によって、時折葉っぱが丸まってしまうことがあります。
葉が丸くなる原因は主に以下の二つがあり、どちらにも共通するのが「乾燥」です。
- 水の不足:水やりの量や頻度が不足することで、土が乾きすぎてしまう。
- 空気の乾燥:冬場の乾いた空気や冷暖房の影響により、スキンダプサス全体から水分が奪われてしまう。
こまめに霧吹きで葉に水を与える「葉水」や加湿器を使用して、乾燥によるダメージを受けにくい環境を維持しましょう。
スキンダプサスの栽培環境

丈夫で健康なスキンダプサスを育てるためには、適した栽培環境が必要です。
スキンダプサスにぴったりな置き場所や温度といった条件を理解し、なるべく工夫して環境を整えてください。
置き場所と日当たり

スキンダプサスは耐陰性があるため、室内でも問題なく育てることができます。
しかし適度な日当たりを好み、暗い場所で育て続けると葉色や全体の丈夫さに影響が出てしまう恐れがあるので、なるべく明るい場所に設置するようにしましょう。
強い直射日光は葉焼けの原因となるため、日光を浴びさせる場合には日陰やレースカーテン越しといった場所を選んでください。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
明るくて暖かい環境を好むスキンダプサスにとって、過度に寒い環境は成長に悪影響を及ぼします。
温度は常に10℃を下回らないようにするのがベストで、屋外で育てる場合でも気温が下がる季節には室内に移動させるのがおすすめです。
屋内では暖房で室温を管理しつつ、冷たい空気が流れてきやすい窓際や床の上を避けて設置すると良いでしょう。
用土

根腐れを予防するために、土は必ず水はけの良いものを選んでください。
悩んだ際には市販の「観葉植物用の培養土」を選び、自分で配合する場合には赤玉土やピートモス、パーライトなどを使用します。
赤玉土やパーライトは小粒タイプを選ぶと水はけを良くできるのでおすすめです。
おすすめの配合比率
- 赤玉土:6
- ピートモス:3
- パーライト:1
スキンダプサスを種から育てると大変?
スキンダプサスは、基本的に園芸店やホームセンターなどである程度成長した状態から購入して栽培を開始するため、一般家庭で種から育てるのは推奨されていません。
種から育てる場合は、種選びから環境の管理まで注意する点が多くて専門的な知識が必要なうえに発芽率が低いので、非常に大変です。
スキンダプサスの増やし方

スキンダプサスの増やし方は「挿し木」が最も適切です。
剪定や植え替えのタイミングに合わせて実施します。
剪定の時期はいつがいい?
スキンダプサスを剪定するのに適した時期は、生育期にあたる5〜10月です。
なかでも新芽が出る季節と重なる5〜7月頃を選ぶと、新芽がスムーズに成長しやすくなるため、なるべくこのタイミングで剪定をすると良いでしょう。
剪定のやり方
剪定は、主に以下の手順で実施します。
- 剪定用のハサミで傷んだつるや葉などを取り除く
- 伸びすぎたつるを切り戻して葉の間隔を詰める
① 剪定用のハサミで傷んだつるや葉などを取り除く
剪定の目的である「傷んだつるや葉」を一か所ずつ丁寧に取り除いていきます。
茎やつるをカットする際には、事前にしっかりと除菌をした園芸用のハサミを用意して使用してください。
枯れたり変色したりしてしまった葉もすべて取り除きます。
② 伸びすぎたつるを切り戻して葉の間隔を詰める
つるが長く伸びすぎると、葉と葉の間隔が空きすぎて不格好な見た目になってしまいます。
そのため、伸びすぎたつるも切り戻して葉の間隔を詰めておきましょう。
万が一切りすぎてしまっても、切り口からすぐに新しいつるが伸びてくるので心配はいりません。
挿し木のやり方
スキンダプサスの挿し木を実施する際は、先に剪定をして挿し木用のつるを取り分けておきましょう。
挿し木の手順は以下の通りです。
- 挿し木用のつるを適切な長さにカットする
- カットした株を5~10分水に浸ける
- 用土に挿し、株ごと袋の中に密閉して新芽が出るのを待つ
① 挿し木用のつるを適切な長さにカットする
挿し木に使用するために、スキンダプサスのつるを適切な長さにカットします。
節や根のバランスを見ながら、つるには最低でも1枚以上葉が残るようにしてカットしてください。
節は多めに残しておくと安全ですが、根や株の状態が元気であれば一節でも問題ありません。
② カットした株を5~10分水に浸ける
事前に活力剤を混ぜた水を用意しておき、①でカットした株を5〜10分ほど浸けます。
株からアクを抜きつつ、全体に活力剤を行き渡らせる目的があるので、欠かせない工程のひとつです。
③ 用土に挿し、株ごと袋の中に密閉して新芽が出るのを待つ
水に浸けた株を用土に挿し、容器ごと袋に入れて密閉します。
袋に入れなくても挿し木はできますが、密閉したほうが新芽が出るまでの期間が短くなる傾向にあるのでおすすめです。
約2週間で発根するので、ある程度新芽が増えたら袋から取り出して、新しい鉢に植え替えます。
水苔を使った挿し木のやり方
挿し木の際に一節で切り分けた株を使用する場合は、乾きを防ぐために「水苔」を使用した方法が適しています。
手順は以下の通りです。
- 水苔にスキンダプサスの節を埋める
- 乾燥対策をしながら発根と新芽の成長を待つ
① 水苔にスキンダプサスの節を埋める
挿し木用に株よりひと回り大きな容器を用意して、水苔は容器に入るサイズのものを使用してください。
水苔にたっぷりと水を含ませたらしっかりと絞り、スキンダプサスの節の部分を埋めてよく密着させます。
② 乾燥対策をしながら発根と新芽の成長を待つ
挿し木に使用する容器が蓋つきであれば蓋をして、無ければ上からラップを被せるなどなるべく容器を密閉させるようにすると、早めの発根や発芽が期待できます。
水苔が乾かないようにすることが目的なので、定期的に水を与えて湿度を管理することができれば、蓋やラップをする必要はありません。
発根や発芽をしたあとは、通常の挿し木と同じように用土を入れた新しい鉢へと植え替えましょう。
植え替え時期はいつがいい?
植え替えはスキンダプスの成長をよく観察しながら、2〜3年に一回程度の間隔で行います。
生育期となる5〜10月頃を目安に、真夏の日中といった暑い時間帯は避けて、なるべく早朝や夕方、春や秋頃の涼しい時に実施するのがおすすめです。
鉢替えのやり方
植え替えのタイミングで鉢をひと回り大きなサイズのものに変更することを「鉢替え」と言います。
鉢替えによって根詰まりを防ぎ、スキンダプサスの健康を守ることができるので、植え替え時には必ず合わせて実施するようにしましょう。
- 新しい鉢に鉢底石や用土などを入れておく
- 株から余分な土を払って鉢に植え替える
① 新しい鉢に鉢底石や用土などを入れておく
鉢替えの際に用意する鉢は、必ずこれまで使用していた鉢よりもひと回り大きなサイズのものを選んでください。
実際に植え替えをする前に、鉢底石や用土を鉢の半分ほどまで入れておくとその後の作業がスムーズに実施できます。
② 株から余分な土を払って鉢に植え替える
植え替えのために、株を古い鉢から取り出します。
株を傷つけないように注意しつつ、まずは根の周りについた土も一緒に掘り出して、新しい鉢に移す前に余分な土を払い落しましょう。
新しい鉢の中央に株を置いたらしっかりと土を被せ、最後にたっぷりと水を与えたら完了です。