スパティフィラム ダイヤモンドの育て方
公開日 2025年10月14日
更新日 2025年10月30日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
INDEX
目次
スパティフィラム ダイヤモンドの基本情報
| 植物名 | スパティフィラム ダイヤモンド |
| 学名 | Spathiphyllum ‘Diamond’ |
| 和名 | ササウチワ |
| 英名 | Spathiphyllum Diamond |
| 別名 | 斑入りスパティフィラム、ダイヤモンドピースリリー |
| 原産地 | 熱帯アメリカ |
| 科名 | サトイモ科 |
| 属名 | スパティフィラム属 |
| 開花時期 | 5~10月 |
スパティフィラム ダイヤモンドは、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる白い花のような部分と濃い緑色の葉が特徴的なスパティフィラムの品種の一つで、葉には白やクリーム色の斑が入ります。
玄関やリビングで育てやすくインテリアグリーンとして親しまれてますが、動物に対して有毒なため注意が必要です。
屋外では越冬できないため地植えではなく鉢植えにして育てましょう。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
開花
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種類と品種
| 大きさ | 斑の有無 | 草丈 | 花つき | 育てやすさ | レア度 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ダイヤモンド | 中型 | 白の斑入り | ~80cm | △ | 〇 | ☆☆☆ |
| ドミノ | 中~大型 | 白の斑入り | ~100cm | △ | 〇 | ☆☆ |
| メリー | 中型 | なし | ~70cm | ◎ | ◎ | ☆ |
| ミニメリー | 小型 | なし | ~30cm | 〇 | ◎ | ☆ |
| マウナロア | 中型 | なし | ~60cm | ◎ | 〇 | ☆☆ |
| センセーション | 大型 | なし | ~180cm | 〇 | 〇 | ☆ |
| トレリー | 小型 | なし | ~50cm | ◎ | 〇 | ☆ |
スパティフィラム ダイヤモンドは、約30種類あるスパティフィラムの品種の中でも希少かつ人気のある品種です。
その他、スパティフィラムの人気品種を紹介します。
ダイヤモンド

葉に白~クリーム色の斑入りの品種です。
ちりめん状の皺が入った葉に、ダイヤモンドのように美しい模様が入るのが特徴です。
葉の美しさを楽しむ品種なので、花はあまり咲きません。
ドミノ

白やクリーム色の斑が入る品種です。
でこぼこした皺が入った槍型の葉っぱをしています。
斑入りスパティフィラムの中でも、特に人気の高い品種です。
メリー
日本で生まれた品種で、流通量も一番多いです。
光沢のある濃緑色の葉と花つきの良さ、育てやすさに定評があります。
ミニメリー
メリーより花も葉も小型なので、成長しても草丈30cm程にしかなりません。
丈夫で花つきが良いことも魅力です。
マウナロア
濃い緑の光沢のある幅広の葉が特徴です。
花も大きく存在感があるため、切り花としても好まれています。
センセーション

葉は大きく、深い溝を持ちます。
名前に「バリエガータ」とつくものは斑入りのセンセーションです。
成長が早く丈夫な品種ですが、最大で約2m程の大きさになるため広いスペースが必要になります。
トレリー
小型でありながら、たくさんの花を咲かせる品種です。
葉は光沢のある濃い緑色をしています。
草丈40~50cmと小さいサイズなので、限られたスペースでも飾りやすいのが魅力です。
スパティフィラム ドミノとの違いは?
スパティフィラム ドミノもダイヤモンドと同様に斑入りの品種ですが、葉の形が異なります。
また、ダイヤモンドの方が斑の入りが安定していて、やや小型です。
スパティフィラム ダイヤモンドはどんな花が咲く?

スパティフィラム ダイヤモンドの花は、白い花びらのような部分=仏炎苞と、その中心にあるトゲトゲした棒のような部分=肉穂花序からできています。
花びらのように見えることから仏炎苞が花と思われがちですが、白~クリーム色をした肉穂花序の部分が花です。
肉厚な花軸に、柄のない小さな花をたくさんつけることを肉穂花序と言います。
スパティフィラム ダイヤモンドは葉の美しさを楽しむ品種のため、花つきは控えめです。
スパティフィラム ダイヤモンドの葉っぱの特徴

スパティフィラム ダイヤモンドの葉は、濃い緑に散りばめられた白やクリーム色の斑が特徴です。
笹のような形をしていて、株元から四方に伸びるので存在感があります。
仏炎苞と呼ばれる白い花のように見える部分は葉が変形したものです。
斑入りの葉と白い仏炎苞のコントラストが、スパティフィラム ダイヤモンドのスタイリッシュな印象をより際立たせます。
スパティフィラム ダイヤモンドの花言葉
スパティフィラム ダイヤモンドの育て方

スパティフィラム ダイヤモンドを上手に育てるには、日当たりと水やりが重要です。
水やりの頻度
| 生育期(春~秋) | 毎日水やり |
| 冬 | 3日に1回水やり |
スパティフィラムは水を好む植物です。
生育が旺盛で乾燥しやすい夏場は毎日水やりしましょう。
反対に、冬は生育がゆっくりになるので、乾かし気味に管理してください。
春~秋は葉全体がしっかりと濡れるくらい霧吹きで水を吹きかけましょう。
この方法を葉水と言い、乾燥防止に役立つため植物の健康を維持することができます。
葉っぱの先が変色してきたら?
葉っぱの先端が茶色や黒になってきた場合は水枯れしているサインです。
水切れを起こしているときは、受け皿に水を溜め、鉢の下から吸水させる「腰水」を行いましょう。
肥料のあげ方
生育期である5~10月に肥料を与えましょう。
ただし、真夏は暑さで生育が鈍るため肥料は控えます。
冬は肥料を与える必要はありません。
肥料の与え方
土の表面に直接肥料を置く「置き肥」が効果的です。
置き肥は水やりによってゆっくりと栄養が溶け込んでいくため、2ヵ月に1回のペースで与えます。
置き肥の代わりに液体肥料を与えても問題ありません。
液体肥料の場合は、1週間~10日に1回のペースで与えましょう。
病害虫・害虫対策
スパティフィラム ダイヤモンドにはハダニとカイガラムシがつきやすいため、日頃からチェックをし早期発見に努めましょう。
特に乾燥した環境ではハダニの被害に遭いやすいため注意が必要です。
ハダニ
- 葉の裏に寄生し、汁を吸う
- 被害を受けると白い斑点が発生し、光合成しにくくなりダメージを受ける
ハダニは高温と乾燥を好むので、1日に1回のペースで葉水を行い繁殖を抑えましょう。
植物全体、特に葉裏はしっかりと吹きかけると効果的です。
とても小さい虫なので見つけるのは大変ですが、葉に針でつついたような白い斑点や蜘蛛の巣が張ったような糸があればハダニがいる可能性があります。
ハダニを発見したときは、鉢ごと水に沈めるか、殺虫剤で駆除してください。
カイガラムシ
- 体長約3㎜の固い殻を被った虫
- 葉裏や茎につき、吸汁して植物を徐々に弱らせる
カイガラムシはベタベタした排泄物を出し、それが原因で黒いカビが発生する「すす病」にかかることがあります。
カイガラムシを発見したら、歯ブラシや布でこすり落としてください。
風通しの悪い環境で発生しやすいため、葉が茂りすぎている場合は剪定してください。
黄色く傷んでしまった葉や咲き終わった花も根本からカットしましょう。
種まきと植え方
スパティフィラムの種は市販されていないため、採取したものを使用します。
発芽までに1ヵ月かかり、その後の生育もゆっくりなため、初めて育てる方には難易度の高い方法です。
種を採取する場合は、白から緑に変色した仏炎苞をカットせず放置し、種がこぼれ落ちるようになるのを待ちましょう。
- 底が浅い容器に土を入れる
- 種を撒いて覆土する
- 水やりをする
- 株が大きくなったら鉢に植え替える
① 底が浅い容器に土を入れる
種まき用の容器に、赤玉土(小粒)と水苔を混ぜたものを入れます。
② 種を撒いて覆土する
種が重ならないようにばら撒いたら、上から4~5mm程度薄く土を被せます。
③ 水やりをする
水やり後は半日陰で管理しましょう。
発芽までは表面の土が乾かないように水を与えます。
⑤ 株が大きくなったら鉢に植え替える
ある程度大きくなったら鉢に植え替えましょう。
ただし、株が大きくなるのに1年以上かかります。
スパティフィラム ダイヤモンドの栽培環境
スパティフィラム ダイヤモンドに適している栽培環境は、日差しは当たらないが、十分に明るい場所です。
寒さには弱いので、冬季は外で栽培するのは避けましょう。
置き場所と日当たり

熱帯アメリカの森林地帯原産の植物のため、暖かく明るい日陰を好みます。
日差しが直に当たらない、レースカーテン越しの窓際や木漏れ日のようなやわらかな光が差す場所が最適です。
斑入り葉のため他の品種と比べて光量が必要ですが、直射日光で葉焼けを起こさないよう、外で育てる場合は、遮光ネット等を使用し40~70%程遮光してあげましょう。
耐陰性があると言われていますが、室内の暗い場所で育てると花を咲かせないことがあります。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
スパティフィラム ダイヤモンドの耐寒温度は5〜10℃です。
寒さに弱い植物のため、冬でも10℃以上を保つようにして育ててください。
鉢を屋外に置いている場合は、暖地でも屋内に取り込みます。
部屋の中でも、夜間に気温が極端に下がる場所や冷たい風が入る場所では枯れてしまうこともあるので注意しましょう。
葉の色が黒や黄色になっている場合、寒さによるダメージを受けている可能性があります。
スパティフィラム ダイヤモンドの土の配合比率(用土)

スパティフィラム ダイヤモンドは、水はけと肥料持ちがよい土で育てましょう。
観葉植物用の土を使用すれば間違いありませんが、自分でブレンドすることも可能です。
- 観葉植物用の土:6
- 赤玉土:2
- 鹿沼土:2
スパティフィラム ダイヤモンドの開花時期
スパティフィラム ダイヤモンドの開花時期は5~10月です。
ただ、斑入りの美しい葉を楽しむ品種のため、斑なしの品種に比べると花つきは控えめです。
スパティフィラム ダイヤモンドの開花時期は5~10月
スパティフィラム ダイヤモンドの白い仏炎苞が見られる時期は、一般的には5~10月です
気温20℃以上の環境であれば花は咲くので、冬場でも室内が暖かければ開花します。
仏炎苞は数週間~1ヵ月程度咲き続け、白い苞が緑に変色したら花は終わりです。
緑色になっても、根本からカットすればまた新しい花を咲かせます。
スパティフィラム ダイヤモンドの花が咲かない原因は?
スパティフィラム ダイヤモンドの花が咲かない原因は次の通りです。
- 日照不足
- 根詰まり
- 水の管理が間違っている
- 肥料不足
- 咲き終わった花を放置している
① 日照不足
スパティフィラムは耐陰性があるため日陰でも育ちますが、日照不足になると花が咲きません。
レースカーテン越しの明るい日陰で育てましょう。
ただし強い日差しや直射日光は苦手なので注意してください。
② 根詰まり
スパティフィラムは生育が旺盛な植物です。
根詰まりを起こすと花が咲かないため、1~2年に1回は鉢替えをする必要があります。
鉢の中で根が詰まってしまうと、新しい葉や芽が出にくくなるので、一回り大きな鉢に植え替えましょう。
買ったばかりの苗でも根が詰まっている場合があるので、以下のような根詰まりのサインが出ていたら植え替えの必要があります。
- 葉先が変色している
- 葉が丸まっている
- 鉢底から根が出ている
③ 水の管理が間違っている
スパティフィラムは湿地に自生する植物のため、水を好みます。
特に水を必要とする生育期に水切れを起こすと、花が咲きません。
葉っぱの先が変色してきたら水が足りていない可能性が高いです。
反対に、休眠期である冬に水を与えすぎると根腐れの原因となるため、水やりを控えましょう。
④ 肥料不足
生育期である5~10月に肥料切れを起こすと花が咲きません。
花を咲かせるにはリン酸の配合割合が高い肥料を与えましょう。
葉の色が黄色になったり薄くなってきた場合は肥料不足のサインです。
⑤ 咲き終わった花を放置している
スパティフィラムの花が終わると白い仏炎苞が緑色に変わってきます。
緑色になったら、根本からカットしましょう。
終わった花をそのままにしておくと種を作ることにエネルギーが使われるため、新しい花が咲きにくくなります。
スパティフィラム ダイヤモンドの増やし方
スパティフィラム ダイヤモンドは、株分けで増やすことが可能です。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
剪定・株分けともに4~6月または9~10月頃が適期です。
生育期である春から秋にかけて行うことで、健康な状態をキープできます。
休眠期や猛暑の時期は株にストレスを与えてしまい枯れる原因になるため避けましょう。
株分けのやり方
株を分けて増やす手順は次の通りです。
- 鉢から株を抜く
- 株を2~3つに分ける
- 変色した根や余分な茎をカットする
- 鉢に土をセットする
- 植え付ける
① 鉢から株を抜く
鉢から株を取り出します。
根を傷めないよう優しく扱いましょう。
② 株を2~3つに分ける
株の根本の半分の箇所にハサミやナイフで切り込みを入れて、手で分けます。
細かく分けすぎるとその後の成長に影響が出るので、多くても3つまでにしましょう。
③ 変色した根や余分な茎をカットする
根を少しほぐし、茶や黒に変色した古い根をカットします。
白くて太い根は切らないように注意してください。
花が咲き終わった茎や傷んだ葉も根本から切り取りましょう。
④ 鉢に土をセットする
鉢に鉢底石を敷き、その上から鉢の1/4程度のところまで培養土を入れます。
⑤ 植え付ける
根を広げて、セットした土の上に乗せます。
株が倒れないように片手で支えたまま、土を足してください。
根と土が馴染むように指や棒でつつきながら入れるのがポイントです。
最後はしっかりと水を与え、半日陰で管理します。
植え替え時期はいつがいい?
スパティフィラムは、生育が旺盛なので1〜2年に1度は植え替えましょう。
春から秋が適期ですが、真夏は避けた方がリスクが少なく安心です。
現在使用している鉢よりも一回り大きな鉢に植え替えて、根にゆとりを持たせましょう。
購入したばかりの株でも根がパンパンに張っていることがあるので、購入時には根のチェックをしておきましょう。
鉢替えのやり方
鉢替えの手順は次の通りです。
- 鉢から株を抜く
- 変色した根をカットする
- 鉢に土をセットする
- 植え付ける
① 鉢から株を抜く
根を傷めないように優しく取り出します。
② 変色した根や余分な茎をカットする
古い土を落とし、根をほぐします。
茶色や黒に変色した根はカットしてください。
鉢のサイズを大きくしたくない場合は、根の下部を1/3程度カットし、茎や葉も剪定しましょう。
③ 鉢に土をセットする
一回り大きな鉢に鉢底石を敷き、その上に1/4程度まで培養土を入れます。
スパティフィラムの根は縦に伸びるので、浅い鉢はおすすめできません。
直径と深さの比率か同じか、やや深いものを用意しましょう。
鉢増しせず、今までと同じ鉢を使用する場合でも、古い土は栄養が失われているので新しい土に入れ替えてください。
④ 植え付ける
株を土の上に乗せ、土を足していきます。
土を指や棒でつついて根と土が馴染むようにしたら、最後に水をたっぷりと与えます。

