チランジア イオナンタの育て方
公開日 2025年01月19日
更新日 2025年01月19日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。

INDEX
目次
チランジア イオナンタの基本情報
植物名 | チランジア イオナンタ |
学名 | Tillandsia ionantha |
和名 | なし |
英名 | Tillandsia ionantha |
別名 | なし |
原産地 | 中南米 |
科名 | パイナップル科 |
属名 | チランドシア属 |
開花時期 | 不定期 |
原種だけでも700以上あるというエアープランツの中でも、チランジア イオナンタは特にポピュラーで入手しやすい品種です。
粉砂糖をまぶしたように見える特徴的な葉っぱには、トリコームと呼ばれる毛が密集しています。
生息する中南米の砂漠地域で、強い日差しをガードし、空気中の水分を取り込むために生えている器官です。
チランジア イオナンタのように、トリコームの多い品種は銀葉種と呼ばれます。
土に植える必要がないチランジア イオナンタは育てやすく、初心者にもおすすめです。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
不定期
チランジア イオナンタの変種
名前 | 特徴 | レア度 |
---|---|---|
ストリクタ | 針のように細い葉 | 低い |
マキシマ | 大型で葉に厚みがある | 低い |
ピーナッツ | 丸みをおびた形 | やや高い |
イオナンタの品種は、変種と栽培品種で分かれ、数が非常に多いという特徴があります。
以下ではそれぞれの代表的な種類を紹介します。
いずれも実生から自然に生まれた新しい特徴を持った個体です。
ストリクタ

針のように細い葉を持ち、成長するにつれ背が高くなります。
群生しやすく、初心者でも育てやすい品種です。
マキシマ
イオナンタの中では大型な品種で、葉に厚みがあるのが特徴です。
開花の前には葉っぱがピンク色に染まります。
ピーナッツ
ピーナッツは流通名で、本来は「ファスティギアータ」と言います。
丸みをおびていて先端がすぼまった個性的な形で、開花しなくても株が増えていくのが特徴です。
チランジア イオナンタの栽培品種

名前 | 特徴 | レア度 |
---|---|---|
フエゴ | 開花時に鮮やかに赤くなる | 低い |
ルブラ | 開花時に赤くなる | 低い |
ロン | 葉がカールしている | 高い |
アルビノ | 白い花を咲かせる | 高い |
栽培品種とは、人為的に選抜と交配を繰り返し特定の性質を固定化させた個体です。
フエゴ
開花時に葉が鮮やかな赤色に染まるのが特徴で、名前の由来もスペイン語で炎を意味する「フエゴ」からきています。
ルブラ

フエゴと似ていますが開花時の赤みがやや薄い品種で、普段から葉っぱの先がほんのりとピンク色に染まっています。
ロン
松ぼっくりに似たフォルムで、葉がくるんとカールしています。
イオナンタの中では大型になる品種で、生産量も少なく希少です。
アルビノ
紫色の花が多いイオナンタのなかで、珍しく白い花を咲かせる品種です。
開花時には葉の色が薄いイエローに変わります。
チランジア イオナンタはどんな花が咲く?

チランジア イオナンタは、花序が筒状に突き出す筒状花という形の花を咲かせます。
ラテン語で「すみれ色の花」を意味するイオナンタという名前がついた通り、花の色は深く美しいすみれ色です。
開花後は分岐点の根元に子株が誕生し、それを繰り返し群生していきます。
チランジア イオナンタの葉っぱの特徴

チランジア イオナンタの葉っぱは、トリコームと呼ばれる銀色の小さな毛が密集しているのが特徴です。
トリコームに覆われているため、まるで白い粉砂糖がついているように見えます。
チランジア イオナンタが乾燥に強いのは、このトリコームが身を守ったり空中の微量な水分を取り込んだりできるからです。
シルバーグリーンの葉っぱが開花時期になると鮮やかな赤や黄色に染まるので、花が咲くタイミングが分かりやすいでしょう。
チランジア イオナンタの花言葉
チランジア イオナンタの花言葉は「不屈」です。
厳しい環境下でも育つ力強さからつけられました。
チランジア イオナンタの育て方

チランジア イオナンタは土を必要としないので管理が難しくなく、初心者にもおすすめです。
水やりや肥料といった基本的なことから、エアープランツならではの着生方法まで解説します。
水やりの頻度

生育期(春夏) | 2~3日に一回 |
休眠期(秋冬) | 週に一回程度 |
チランジア イオナンタの水やりの頻度は、生育期は2~3日に一回、休眠期は週に一回程度です。
水やりの時間は、気孔が開く夕方以降にしてください。
日中はチランジア イオナンタが水分を逃がさないように気孔を閉じていて、開くのが夕方以降になるからです。
2~3時間濡れた状態が適しているので、霧吹きで株全体に滴るくらい吹きかけます。
その後はしっかり水を切って風通しの良い場所に置きましょう。
エアープランツの水やりは葉水、ディッピング、ソーキングと乾燥具合によって方法が異なります。
株の状態に合わせて必要であれば行ってください。
葉水
霧吹きを使って濡らす方法で、普段の水のやりかたです。
株全体をまんべんなく湿らせることで、乾燥が原因で発生する病害虫の予防にもなります。
ディッピング
バケツや洗面器の水の中に、1~2分株を浸ける方法です。
水の中で軽く揺らすと、汚れや害虫を取り除けます。
乾燥が気になる場合に行うと良いでしょう。
ソーキング
ソーキングは、バケツや洗面器の水の中に1〜6時間株を浸ける方法です。
長期間水やりができなかった後の処置として有効で、浸ける時間は乾燥具合によって調整してください。
冬季に冷たい水で行うと枯れの原因になるので避けましょう。
■ポイント
ディッピングやソーキングは害虫の駆除にも有効です。
害虫が増えてしまった場合は水に薬剤を混ぜ、葉の間や裏側までしっかり浸すようにしましょう。
肥料のあげ方
基本的にチランジア イオナンタに肥料は必要はありません。
しかし春と秋に与えると株や花が大きく育ちやすいので、必要に応じて行うといいでしょう。
ハイポネックス原液を1000倍に薄めて、霧吹きやディッピングで与えてください。
肥料を与えた次の水やりでは、洗い流すように多めの水をかけるのがポイントです。
病害虫・害虫対策
チランジア イオナンタは病害虫に強い植物と言われていますが、株が増えて群生していくと害虫や蒸れのリスクがあります。
症状を放置すると枯れたり子株が育たなかったりするので、しっかり対策を行いましょう。
ハダニ
- やわらかな子株の根元で繁殖することが多い
- 葉のトリコームに影響が出てザラザラになり変色してしまう
- 水をかけるとクモの巣のような糸が見える
日頃の葉水は乾燥させないように株全体にかけましょう。
定期的に1時間程薬剤を混ぜた水の中に株を浸してソーキングすると予防になります。
カイガラムシ
- 重なった葉の根元に増えやすい
- 変色した斑点が葉や茎に付き、カイガラムシの排泄物により葉がベタつき変色する
見つけ次第歯ブラシなどで取り除き、薬剤入りの水でソーキングしてください。
黒カビ
- 蒸れによって葉の内側に黒カビが発生する
- 根元が変色してブヨブヨとした感触になる
症状のある葉は全て取り除きましょう。
風通しが悪いと発生しやすいので、環境を見直してみてください。
着生|活着させる方法
チランジア イオナンタは、土を必要としない着生植物です。
自生地では木の樹皮や岩に根を張って生きていて、これを着生と言います。
さまざまな素材に着生させられるのでインテリアとして人気ですが、飾るだけではなく根が伸びると大きく成長しやすくなるのもメリットです。
着生方法
- 着生材(バークチップや流木)のアク抜き処理をしておく
- 着生材にワイヤーを通す穴を2つ開ける
- 葉の間にワイヤーを通してしっかり固定する
- 活着するまで動かさずに置く
① 着生材(バークチップや流木)のアク抜き処理をしておく
着床材に使える素材は様々ですが、バークチップや流木などを使う場合は事前にアク抜き処理をしておきましょう。
② 着生材にワイヤーを通す穴を2つ開ける
ドリルやキリを使って、着生材に穴を開けます。
③ 葉の間にワイヤーを通してしっかり固定する
使用するワイヤーは、曲げやすく錆に強いアルミ製にしましょう。
着生材に取り付けるワイヤーの太さは1.2mmがおすすめ。
④ 活着するまで動かさずに置く
剪定は必要?
チランジア イオナンタは剪定をしなくても問題ありません。
ただし株が増えると、子株へ栄養を送るために成長を止めた親株の葉が枯れることがあります。
枯れた葉を放置するとカビが発生する恐れがあるので処理しましょう。
枯れ葉は引っ張るだけで簡単に取り除けます。
チランジア イオナンタの栽培環境

チランジア イオナンタが健康に育つには、日光や温度の管理が重要です。
適切な栽培環境を解説しているので参考にしてください。
置き場所と日当たり
チランジア イオナンタは、日当たりと風通しの良い場所を好む植物です。
日光不足は大敵で、葉がひょろ長く伸びてしまう徒長の原因になります。
しかし強い直射日光も、葉緑素が壊され葉焼けの原因になるため、30~50%の遮光が理想的です。
屋内ではレースのカーテン越しの、やわらかな日差しが当たる窓辺に置きましょう。
屋外でも直射日光が当たらないように日よけなどを作ってください。
また、風通しが悪いと水やり後に蒸れてしまい枯れる恐れがあります。
風通しの良い場所に置く、サーキュレーターで風を送るなどの工夫をして環境を整えましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
適切な温度 | 20〜30℃ |
耐寒温度 | 約10℃ |
チランジア イオナンタの適温は20~30℃、耐寒温度は約10℃です。
栽培環境はこの範囲内の温度を保ちましょう。
特に寒さに弱く、12℃を下回りはじめると生育に影響が出るので、冬季は室内で管理することが推奨されます。
用土・着生材
チランジア イオナンタをはじめ、エアープランツを育てる楽しみのひとつにインテリア性の高さがあります。
そのまま置くだけでも素敵ですが、着生させる材料を選んで手作りのオブジェにできる点が魅力です。
以下のように着生材には多くの種類があります。
チランジア イオナンタを使って、オリジナルのインテリアアイテムを作ってみてはいかがでしょうか。
着生材の種類 | 特徴 |
---|---|
バークチップ | 樹皮を細かく砕いたもの、通気性が良い |
コルク | 軽量で通気性がある |
流木 | 自然な形状と質感、着生しやすい |
珪藻土、軽石 | 保湿性と通気性が高い、根腐れを防ぐ |
水苔 | 保湿性が高く乾燥を防ぐ、着生しやすい |
チランジア イオナンタを種から育てると大変?
チランジア イオナンタを種から育てるには、長い時間と根気を必要とするため大変かもしれません。
発芽できても、自然に育てると成熟するまでの期間は4~5年です。
この期間を1年に短縮できる無菌播種という育成方法もありますが、非常に手間がかかるため苗から育てるのがおすすめです。
チランジア イオナンタの開花時期

チランジア イオナンタの開花時期についてや、花が咲かない場合の原因を解説します。
開花時期は不定期
一般的にエアープランツの開花時期は春や秋といわれますが、生育環境に大きく影響されるため一定ではありません。
販売されているチランジア イオナンタは実生から育てられることも多く、変異が起こりやすいため開花時期が不定期になります。
チランジア イオナンタの花が咲かない原因は?
花が咲かない大きな理由に、生育の不十分さが挙げられます。
花を咲かせるには大きなエネルギーを使うため、株が十分に成長していなければなりません。
成長が足りないうちは何年もかかってしまうでしょう。
また、実生から育ったチランジア イオナンタは変異が起こりやすく、個体差が大きいことも花が咲かない原因のひとつです。
ほかには次のような原因もあるので気をつけてください。
- 日光不足
- 水の過不足
- 病害虫の影響
チランジア イオナンタの増やし方
チランジア イオナンタを増やすには、種まきと株分けの方法があります。
種から育てると成熟するまでに4~5年はかかるため、株分けが手軽です。
株分けの手順や、植え替えについて解説します。
株分けのやり方
- 親株の葉を巻き込まないように押さえ、子株だけを持つ
- 親株から離すように、子株を傾けて捩じり取る
- 根が離れない場合は清潔なハサミを使い切り離す
開花後、親株は生育を止めて子株へと栄養を送ります。
子株が成長するのを待ち、親株の3分の2程度まで大きくなってから分けましょう。
① 親株の葉を巻き込まないように押さえ、子株だけを持つ
② 親株から離すように、子株を傾けて捩じり取る
③ 根が離れない場合は清潔なハサミを使い切り離す
株分けをすると風通しが良くなり蒸れにくくなる、栄養を分けずに済むので親株の寿命が延びる、といったメリットがあります。
ただし、子株の成長スピードは分ける前よりも落ちるので、大きく育てたい場合は株分けせずに群生させる育て方も考えましょう。
植え替えは必要?
土に植えないチランジア イオナンタに植え替えは必要ありませんが、着生材が劣化してくると交換が必要になります。
特に水苔は2~3年で吸水率が悪くなるので、定期的に交換が必要です。