トラデスカンチア パープルハートの育て方
公開日 2025年09月04日
更新日 2025年09月05日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
トラデスカンチア パープルハートの基本情報
植物名 | トラデスカンチア パープルハート |
学名 | Tradescantia pallida purpurea |
英名 | Tradescantia pallida、purple heart、purple queen、purple secretia、 purple spiderwort |
和名 | ムラサキゴテン、ムラサキオオツユクサ |
別名 | セトクレアセア |
原産地 | メキシコ |
科名 | ツユクサ科 |
属名 | トラデスカンチア属 |
開花時期 | 夏~初秋 |
トラデスカンチア パープルハートは現在のトラデスカンチア属に分類される前は、セトクレア属だったため「セトクレアセア」と呼ばれていました。
属名が変わった現在でもセトクレアセアや和名のムラサキゴテン(紫御殿)として流通しています。
メキシコ原産で乾燥や暑さに強く、育てやすいのも魅力のひとつです。
個性的な紫一色の葉っぱが目を引き、グランドカバーやハンギングなどさまざまな方法で楽しめるため人気があります。
月別栽培カレンダー
剪定・株分け
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類・品種

植物名 | 葉っぱの色 | 葉っぱの形 | 葉っぱの長さ | 葉っぱの幅 | 斑の有無 | 草丈 | 横幅 | レア度 | 育てやすさ |
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パープルハート | 濃く鮮やかな紫色 | 細長い楕円形 | 10㎝前後 | 2.5cm前後 | 無 | 50cm前後 | 50cm | 低 | 簡単初心者向け |
カルトゥズ ジャイアント | 濃く鮮やかな紫色 | 幅広の卵形 | 8~17cm | 7cm前後 | 無 | 15~30cm | 90cm | 中 | 簡単初心者向け |
ピンク ストライプ | 赤黒っぽい紫色 | 細長い楕円形 | 15cm前後 | 2~4cm | 有 | 30cm前後 | 60cm | 高 | やや慣れが必要 |
ペールプーマ | くすんだ紫色 | 幅広の卵形 | 6~8cm | 3~5cm | 無 | 30cm未満 | 30~60cm | 中 | 簡単初心者向け |
トラデスカンチア パープルハートのように葉っぱの色が個性的な紫色をしている品種を紹介します。
カルトゥズ ジャイアント
トラデスカンチア パープルハートよりも葉っぱの幅が広く、横に広がるためより存在感を放ちます。
国内よりも海外のほうが販売数が多い品種です。
葉色は似ていますが、細長い葉っぱと幅広の葉っぱという形状の違いから与える印象も大きく変わります。
ピンク ストライプ
肉厚でやや細長い葉っぱは赤黒く、鮮やかなピンク色の斑が入るのが特徴です。
斑は不規則なストライプ状に入り、葉っぱの縦半分全てがピンク色になることもあります。
ペールプーマ
トラデスカンチア ペールプーマは、トラデスカンチア パープルハートとトラデスカンチア シラモンタナとの交配種です。
そのため互い違いに付く葉っぱはシラモンタナ由来の丸みやシルバーの産毛があり、葉色はパープルハートの特徴である紫色をしています。
トラデスカンチア パープルハートの葉っぱの特徴

トラデスカンチア パープルハートの多肉質な葉っぱは全体が濃い紫一色で、表面に柔らかい産毛があるため、見る角度によって葉色が変わって見えるのが特徴です。
よく分枝するので葉っぱも多く付き、育てていくうちにどんどん株のボリューム感が出てきます。
茎が短いうちは葉っぱが立ち上がるように付き、成長すると横に広がって育つため、成長段階によって見た目の雰囲気が変わり、さまざまな姿を楽しめるでしょう。
トラデスカンチア パープルハートはどんな花が咲く?

トラデスカンチア パープルハートの花は、ピンクがかった紫色の小さな花が咲きます。
花全体が1.5〜2cmほどの大きさで花びらは3枚、おしべが6本、めしべが1本で構成され、おしべの根元には細かい毛がふわっと生えているのが特徴です。
開花している時間が短く、その日のうちにしぼんでしまいますが、夏頃には複数の花を咲かせてくれます。
トラデスカンチア パープルハートの花言葉
トラデスカンチア パープルハートの花言葉は「変わらぬ愛」「誠実」「優しい愛情」です。
トラデスカンチア パープルハートの育て方

暑さや乾燥には強いですが湿気には弱いため、株が蒸れないように風通しの良い場所で育てましょう。
日常のケアについて以下で詳しく紹介します。
水やりの頻度
トラデスカンチア パープルハートは生育期には水を多めに、休眠期には控えめにするなど、水やりの頻度を調整して育てます。
水やりのあとは鉢皿に水が残っていないか確認し、根腐れしないように必ず捨てましょう。
- 4~9月は成長が活発:土が乾いてから水やり
- 10~3月は成長が緩やか:土が乾いて2~3日経ってから水やり
水やりの時間帯を注意すると根腐れや負担を軽減できます。
- 春秋:午前中に1回
- 夏:早朝と夕方の2回
- 冬:昼前に1回
肥料のあげ方
トラデスカンチア パープルハートは基本的に肥料なしで問題なく育ちますが、株を大きく育てたい場合は以下のどちらかを施すと良いでしょう。
- 緩効性化成肥料:2ヵ月に1回
- 液体肥料:7~10日に1回
肥料を与えすぎると間延びするため、適量か薄めて使用しましょう。
病害虫・害虫対策
紫色の綺麗な葉っぱが特徴のトラデスカンチア パープルハートは、カイガラムシやハダニ、外で育てているとナメクジの被害に合う可能性があります。
早めの対策で、被害が広がるのを防ぎましょう。
カイガラムシ
- 葉っぱの裏など乾燥する場所に付く
- 1cm未満の小さい虫
- 養分を吸い取る
専用の薬を葉っぱの表裏や茎などに吹きつけて発生しにくいように対策し、見つけたらアルコール消毒液を含ませたコットンや綿棒でそぎ落とします。
ハダニ
- 0.5㎜前後の小さな虫
- 1匹いると50~100匹増える
- 葉っぱの色がかすむ
殺虫剤を定期的に散布しておくと発生しにくくなるでしょう。
見つけたら、水圧が強めのシャワーで洗い流すか葉っぱを切り落とします。
ナメクジ
- 夜に新芽や柔らかい部分を食べる
- カフェインが苦手
- ナメクジは這った跡が粘液で光って残る
ナメクジにとって毒となるカフェインを含むコーヒーや残りかすを周辺に撒いておきます。
退治するときは夜の8時以降、1週間ほど観察して発見したら割り箸で取り除き、集めて熱湯や食器用洗剤をかけるか、殺虫剤を吹きかけましょう。
植え方・仕立て方

トラデスカンチア パープルハートの鮮やかな葉色と横に広がって成長する特徴を活かして、さまざまなスタイルで育て、飾って楽しめます。
鮮やかな紫色の葉っぱが庭のアクセントになり、鉢植えだけでなく地植えも可能です。
地植え

地植えするときには半日陰になる壁際や東向きの庭、木の根元などに植えると適度に日光を浴びて、鮮やかな葉色を保ちながら育てられるでしょう。
植え付けの1〜2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を土に混ぜておくと根っこが張りやすいふかふかの土が出来上がります。
根っこの成長するスペースを確保するために株の間隔は50cm前後あけて、株よりひと回り大きい穴に植えましょう。
- 根付くまで:土が乾いたら水やり
- 根付いたあと:基本的に水やりは不要(真夏や気温が高い日が続いたら水やり)
霜対策に、バークチップで株元を覆ったり、気温が2℃を下回る前に鉢上げや挿し木したりと冬越しの準備が必要です。
寄せ植え

トラデスカンチア パープルハートは育つ環境や性質が似ている植物同士であれば寄せ植えが可能です。
葉色や模様、形の違いを組み合わせることで、それぞれの魅力を引き立て合い、好みの雰囲気に仕立てることができます。
ハンギング
トラデスカンチア パープルハートは大きくなるにつれて横へ延びる性質があるので、ハンギングにすれば茎が垂れ下がり、立体的に飾れます。
土はハンギング用に軽い配合が良いでしょう。
- 赤玉土:6
- 腐葉土:2
- パーライト:2
茎が成長して長く垂れ下がりすぎたら、適度な長さにカットして調整してください。
ハンギングを長く楽しんでいると株元のボリュームが減り、寂しい状態になるので垂れ下がっている茎を複数本持ち上げて、鉢の反対側に垂らせば見映えが良くなります。
トラデスカンチア パープルハートの栽培環境

トラデスカンチア パープルハートが元気に葉っぱの発色良く育つために、適切な環境を整えてあげましょう。
置き場所と日当たり

トラデスカンチア パープルハートは日向を好む植物のため、室内でも日光の入る場所に置いてあげましょう。
日光が不足すると葉色が悪くなり美しい紫色が出ませんが、注意日光が強すぎると葉っぱが焼けてしまうので、置き場所を移すか遮光して調整してあげましょう。
地植えするなら、大きな木の根元や壁の近くなど半日陰になるような場所がおすすめです。
冬は寒さで葉っぱが枯れてしまいますが、根っこが元気であれば次の春にも芽吹いてきます。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
トラデスカンチア パープルハートに適切な温度は20〜38℃です。
寒さは-1℃まで耐性がありますが、葉っぱが枯れる恐れがあるため2℃以上をキープできれば元気な姿のまま冬を越せます。
気温が低くなる地域で地植えをしている場合、鉢上げするか挿し木をして家のなかで育てるなどの対策を取りましょう。
用土
トラデスカンチア パープルハートは、根腐れしにくい水はけの良い土が適切です。
そのため簡単に手に入る観葉植物用の土か自分でブレンドするなら、以下のような排水性に特化したものが良いでしょう。
- 小粒の赤玉土:6
- 腐葉土:3
- 小粒の軽石:1
トラデスカンチア パープルハートを種から育てると大変?
トラデスカンチア パープルハートは、種から育てると発芽や発根に時間と手間がかかり、上手く育たないこともあるため、初心者には少し難しいでしょう。
そのため、市販の株を購入すれば、手軽に美しい姿を楽しみながら育て始められます。
トラデスカンチア パープルハートの増やし方

初心者でも育てやすいトラデスカンチア パープルハートは、株分けや挿し木で簡単に増やせます。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
トラデスカンチア パープルハートの剪定や株分けは4月〜9月の生育期に行いましょう。
伸びすぎた茎は、根元から2節ほど上の位置でカットすると、簡単に樹形を整えることができます。
以下のような状態になったら剪定を行いましょう。
- 樹形が乱れてきた
- 茎が長く伸び過ぎている
- コンパクトに仕立てたい
株分けは次のような場合に適しています。
- 株を増やしたいとき
- ボリュームが出すぎてコンパクトに仕立てたいとき
摘芯する
摘芯(てきしん)とは新芽が伸びてきたタイミングで先端を切り取り、脇芽を出させて葉っぱの密度を高くする方法です。
トラデスカンチアパープルハートは春の生育初期に摘芯を行うと、脇芽から葉っぱが増えて茂り、ボリューム感を楽しめる株に育ちます。
脇芽が増えれば花が咲く場所もより多くなるため、可愛らしい花を楽しみたい方にも敵芯はおすすめです。
株分けのやり方
トラデスカンチア パープルハートの株分けは、鉢植えと地植えでやり方に違いはありません。
地植えの場合は、株分けせずにそのままグランドカバーとして育てる人が多いので、好みで実施してください。
- 根鉢に付いている不要な土を落とす
- 分けやすい箇所で2~3株に分ける
- 植えたら水やりして1週間はレースカーテン越しや半日陰で様子を見る
① 根鉢に付いている不要な土を落とす
劣化した古い土を落とし、枯れている葉っぱや茎などもカットして全体的に1/3程度量を減らしておきます。
茎や根っこは折れやすいので優しく扱ってください。
② 分けやすい箇所で2~3株に分ける
根元を見ながら手で割いて、難しい場合は清潔でよく切れる剪定ハサミで切り込みを入れて分けます。
③ 植えたら水やりして1週間はレースカーテン越しや半日陰で様子を見る
株分けをして鉢植えしたら水をやり、レースカーテン越しで管理します。
1〜2週間の間に枯れるなどの異常がなければ、元の場所に戻してあげましょう。
地植えは、新しく腐葉土や肥料を混ぜておいた場所に株を入れ、たっぷり水やりして完成です。
根付くまでは土が乾いたら水やりをしましょう。
挿し木のやり方
- 茎を4節前後の長さで切り取る
- 挿し穂が乾燥しないように1時間水に挿して吸水させる
- 無機質な土に植えて明るい日陰で育てる
- 複数の根っこが伸びてきたら鉢に植え替える
① 茎を4節前後の長さで切り取る
水を吸い上げやすいように茎の切り口は斜めかV字になるように切ります。
葉っぱは蒸散しすぎないように上部の2枚前後を残して、ほかは取り除きましょう。
② 挿し穂が乾燥しないように1時間水に挿して吸水させる
コップや容器に水を溜めて1時間吸水させます。
発根剤を水に混ぜておけば発根が早くなり、使用しないときより成功率も上がるでしょう。
③ 無機質な土に植えて明るい日陰で育てる
養分のある土だと枯れてしまうので赤玉土に挿し、水やりして東向きの窓辺や午前中だけ日差しが当たる場所で育てます。
土が乾かないように毎日水を与えていれば7〜10日で発根し始めるでしょう。
④ 複数の根っこが伸びてきたら鉢に植え替える
複数の根っこが3cm以上伸びてきたら、好みの鉢に移しましょう。
引き続き同じ場所で1週間様子を見てから、元の場所へ移します。
植え替え時期はいつがいい?
トラデスカンチア パープルハートの植え替えのタイミングは4〜9月頃です。
そのあとは1〜2年に1回が目安ですが、以下のように根っこに異常が見られたときは早めに植え替えを行いましょう。
- 根っこが黒く柔らかい
- 株元から腐敗臭がする
- すぐに水が流れ出てしまう
- 鉢にヒビが入る
鉢替えのやり方
- 鉢替えする株を取り出す
- 1~2号サイズUPした鉢を準備する
- 準備した新しい鉢に植える
- 水をあげて明るい日陰に置く
① 鉢替えする株を取り出す
1週間ほど水やりを控えることで土が乾き、鉢から株をスムーズに取り出せます。
水分が少ない根っこは傷つきにくくなるため、株へのダメージを最小限に抑えられるでしょう。
株を取り出したら、古い土や根っこを1/3程度全体的に落とすか、カットしておきます。
② 1~2号サイズアップした新しい鉢を準備する
根っこの成長が早いので1〜2サイズ大きめの鉢を用意します。
鉢を変えたくない場合は、①の手順のときに古い土や根っこなどを半分くらいの量に減らしておくか株分けするのが良いでしょう。
水が流れ出やすいように鉢底に鉢底石を敷いてから、新しい土を鉢の半分くらいまで入れておきます。
③ 準備した新しい鉢に植える
取り出した株を新しい鉢に入れて、株元の高さと鉢の高さを合わせて土を足していきます。
根っこの隙間にも土が入り込むように、割り箸などでツンツンと挿して株を安定させましょう。
④ 水をあげて明るい日陰に置く
鉢底から出てくる水が透明になるまで水をあげます。
日陰でも間接的に光が届くような木の根元やテラス、ベランダ、レースカーテン越しの窓辺に置いて1週間問題がなければ、元の場所へ移して大丈夫です。