サフランの育て方
公開日 2025年05月15日
更新日 2025年05月21日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。

サフランの基本情報

植物名 | サフラン |
学名 | Crocus sativus |
和名 | サフラン |
英名 | Saffron crocus |
別名 | 番紅花(ばんこうか)、秋咲きクロッカス |
原産地 | 地中海沿岸 |
科名 | アヤメ科 |
属名 | クロッカス属 |
サフランは、透明感のある薄い紫色の花が甘くスパイシーな香りを漂わせる球根植物です。
雌しべは乾燥させると香辛料として利用でき「世界一高級」とも称されます。
また、土に植え付けず、カゴや皿の上などに球根だけを置いても開花可能なほど丈夫な植物で、水やりもほとんど必要ありません。
病害虫と病気の心配も少ないので、園芸初心者でも無理なく栽培を始められます。
月別栽培カレンダー
水耕栽培
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種

サフランには品種がなく、秋咲きの1種類のみを指します。
花が似ていることから間違えられることが多いクロッカスは「花サフラン」とも呼ばれますが、別の種類になります。
なお、サフランとクロッカスの見分け方は、以下のとおりです。
サフラン | クロッカス | |
---|---|---|
開花時期 | 秋咲き | 春咲き |
花の色 | 薄紫のみ | 紫、黄、白 |
雌しべの色 | 赤 | 黄 |
サフランはどんな花が咲く?

サフランは薄い紫色をした花びらと、中央に黄色の雄しべと赤色の雌しべをもち、はかなげな印象の花です。
ひとつの球根から通常2〜3個、大きいサイズの場合は5個ほどの花が咲きます。
サフランの葉っぱの形

サフランの葉っぱは、マツの葉のように尖った形です。
花が咲いた後の春から初夏にかけて、緑の葉が生い茂ります。
サフランの花言葉
サフランの花言葉は「喜び」「陽気」「歓喜」「節度の美」です。
サフランの育て方
サフランは、植え付けず球根のままでも開花するほど丈夫な花です。
地中海原産なので乾燥した環境を好みます。
あまり手間がかからず育てやすい植物ですが、球根の管理が必要なので詳しく説明します。
水やりの頻度
サフランは極力控えめに水やりをし、乾燥気味に育てます。
植え付けの際は鉢植え、地植えどちらも土全体がしっとりするくらいの水やりで十分です。
その後、鉢植えは表土を指で触って乾いていたら水やりします。
地植えは自然に任せ、雨が降らない日が続き、土がよほど乾燥したら水やりをしてください。
肥料のあげ方
サフランは、球根にしっかり栄養を蓄えているので肥料をあまり必要としません。
まず、植え付けの際に少量の緩効性肥料を混ぜて土に栄養を仕込みます。
元肥だけで十分ですが、翌年の開花に向けて球根を大きく育てるために、株元へリン酸分の多い化成肥料を置き肥をしてもよいでしょう。
置き肥のタイミングは、開花後の11月頃と休眠前の翌年2月頃の2回です。
ただし、窒素分を多く含む肥料は病気や花が咲きにくくなるので、使用を控えてください。
病害虫・害虫対策
サフランは、比較的病害虫や害虫がつきにくい植物ですが、球根の病気にかかることがあります。
軟腐病
- ウイルスに感染し、球根が溶けてしまう
- 特有の悪臭を発生させる
- 高温多湿になると発病しやすい
発病した場合、株ごと抜き取ってください。
過湿にならないよう乾燥気味に育てましょう。
また、窒素分を多く含む肥料はなるべく控えてください。
花がら摘み|タイミングとやり方
サフランは、花が咲き終わったらすぐに花がら摘みを行いましょう。
やり方は、花の根元を指で挟んで引っ張り、花茎と一緒に抜きます。
球根へ栄養を回すためにも、咲き終わるタイミングをこまめに観察してください。
球根の掘り上げ|タイミングとやり方
サフランは湿度に弱いため、梅雨前の5〜6月頃に球根を掘り上げます。
- 晴れた日に球根を掘り上げる
- 球根を乾燥させる
- 風通しのよい場所で保管する
① 晴れた日に球根を掘り上げる
葉が7〜8割ほど枯れたら、晴れた暖かい日を選んで掘り上げます。
葉を刈り取らず、土から球根を引き抜きましょう。
② 球根を乾燥させる
茎の長さを約1cm残して、ハサミで葉を切り取ります。
直射日光が当たり、風がよく通る場所に2〜3日置いて、しっかり乾燥させてください。
③ 風通しのよい場所で保管する
球根はネットや紙袋など通気性のよい袋に入れて、次の植え付けまで薄暗い場所で保管してください。
芽かき|タイミングとやり方
サフランには芽かきが必要で、植え付けの前の8〜9月頃に行います。
芽かきとは球根の芽を摘み、成長させる数を絞ることで、球根を大きく育てるための方法です。
- 球根中央から生えている2本の芽以外を摘み取る
- 2本の芽は、太くて長い茎のものを選ぶ
サフランの栽培環境
サフランの原産地である地中海は温暖で乾燥した気候のため、暑さに弱くて寒さに強い性質を持っています。
特に、蒸し暑い日本の夏はサフランにとって過酷な環境になるので、気温と湿度に注意して管理しましょう。
置き場所と日当たり
サフランは温暖で乾燥した気候を好むので、風通しがよく明るい場所で育てましょう。
なお、植え付けせず球根のまま花を咲かせたい場合は、直射日光が当たる場所を避けてください。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
サフランは、5〜15℃が生育に適した温度です。
比較的耐寒性もあり、寒冷地の冬の寒さや霜、積雪にも耐えられます。
用土
サフランの植え付けには、排水性がありつつも水を蓄えられる土が適しています。
また、酸性土壌を苦手とする性質があります。
市販の球根用の土や培養土か、赤玉土6割・培養土4割の配合で混ぜてください。
地植えは、植え付けの2週間前に苦土石灰を混ぜておくとよいでしょう。
夏越しの方法
サフランは高温多湿を苦手とするため、球根を掘り上げて夏越しします。
なお、涼しい地域は植え付けたままでも夏越しが可能です。
冬越しの方法
サフランは、耐寒性があるため冬越しに特別な方法は必要ありません。
ただし、球根が凍ると枯れてしまうので、マルチングで保温するとよいでしょう。
サフランを種から育てると大変?
サフランは種をつけないため、種から育てることはできません。
サフランの植え付け
サフランは球根を植え付けて育てます。
球根サイズや植え付けのタイミングによって開花への影響があるので、球根の選び方や植え付けのやり方のポイントをおさえましょう。
なお、園芸ビギナーは、鉢植えのほうが管理しやすいです。
球根の選び方
サフランの球根は、しっかりと大きく育っていて病害虫の影響がないか確認して選びましょう。
小さな球根は、花が咲かなかったり花数が1つだけだったりなどのトラブルの原因になります。
植え付けでおすすめの時期は8月下旬~9月中旬頃
サフランの植え付けは8月下旬〜9月中旬頃に行います。
植え付け時期が遅れると花が小さくなったり、球根のままで花が咲いてしまったりするので注意してください。
鉢植えの植え付け方
- 用土と鉢を準備する
- 球根を植え付ける
- 発芽まで管理する
① 用土と鉢を準備する
市販の草花用の培養土や球根の土、または赤玉土と腐葉土を6:4の割合で配合した土を準備します。
球根5〜6個につき5号鉢(直径約15cm)が目安です。
鉢に鉢底石を敷き、鉢の半分まで土を入れます。
② 球根を植え付ける
深さ球根1個分、間隔3~5cmで球根を並べ、土をかぶせてください。
浅く植えると芽の数が増えてしまい、その分花つきが悪くなるため注意が必要です。
③ 発芽まで管理する
植え付け後は、鉢底から水が流れて鉢内がしっかり濡れるくらい水やりをします。
日当たりのよい場所の置き、鉢を直置きせずすのこやレンガなどで高さを出すとよいでしょう。
地植えの植え付け方
- 土の調整をする
- 球根を植え付ける
- 発芽まで管理する
① 土の調整をする
植え付け2週間前に、苦土石灰をまいて土を中和させてください。
腐葉土やパーライトなどを混ぜると水はけがよくなります。
② 球根を植え付ける
深さは球根2~3個分、間隔は約10cmを目安に球根を植え付けてください。
③ 発芽まで管理する
植え付け後は、水が浸み込むように水やりをします。
その後の水やりは、自然に任せて大丈夫です。
サフランの水耕栽培
サフランは、水耕栽培でも花を咲かせられる植物です。
家の中でも球根が育ち、花が咲く様子を楽しめます。
水耕栽培におすすめの時期は10~11月頃
サフランの水耕栽培は、球根の植え付けよりも少し遅い10〜11月頃に始めるとよいでしょう。
水耕栽培のやり方
- 容器を選ぶ
- 球根と水を入れる
- 水温に注意して、水を定期的に交換する
- 発根したら遮光を外し、芽かきを行う
- 開花したら雄しべと花がら摘みを行う
① 容器を選ぶ
水が漏れないプラスチックやガラス、陶器製などで、球根のサイズに合った容器を選びましょう。
② 球根と水を入れる
容器に球根のおしりが浸かるくらいの水を入れ、球根を置きます。
発根を促すため、透明容器の場合は遮光してください。
③ 水温に注意して、水を定期的に交換する
順調にいけば、1ヶ月くらいで根がしっかりと育ちます。
水温が高くなり過ぎないよう、水を定期的に交換して清潔にしてください。
④ 発根したら遮光を外し、芽かきを行う
根が出たら遮光は外し、根が水に浸かるくらいまで水位を下げて開花を待ちます。
球根の養分が分散しないように、芽かきも行ってください。
また、水の交換の際に、水耕栽培用の液体肥料を薄めて与えるとよいでしょう。
⑤ 開花したら雄しべと花がら摘みを行う
開花後は、雌しべを摘み取り花がら摘みを行います。
なお、水耕栽培では球根が大きくならないため、楽しめるのは1シーズンだけです。
サフランの開花時期

サフランは、肌寒さを感じるようになった頃に綺麗な紫色の花を咲かせます。
開花後は雌しべを収穫し、自家製の食用スパイスを楽しむことも可能です。
開花時期は10~11月頃
サフランの開花時期は、ひんやりと空気が冷たくなる10〜11月頃です。
サフランの花が咲かない原因は?
サフランの花が咲かない原因は、次のことが考えられます。
- 球根が小さい
- 日当たりが悪い
- 肥料の与え過ぎ
- 水やりのし過ぎ
花つきが悪い場合は、環境や管理の仕方を見直してください。
特に、窒素分が多い肥料は球根がやせる原因になるので、与える前に確認しましょう。
サフランの収穫
サフランは、1つの花から雌しべが3本収穫できます。
次のポイントをおさえて収穫しましょう。
- 開花したら早めに雌しべを摘み取る
- キッチンペーパーやティッシュなどの上に置き乾燥させる
- 瓶や密閉容器などに入れて、冷暗所で保管する
収穫の際に手に色が付着してしまうとなかなか落ちないので、手袋などを使用しましょう。
食用で使用する場合の注意点
- 過剰摂取に気をつけ、風味や色付け程度で使用する
- 植物の過敏症やアレルギーに注意
- 妊娠中は使用を避ける
サフランには子宮を刺激する成分が含まれているため、特に妊娠中の方は食用に使用しないよう注意してください。
サフランの増やし方

サフランは、自然分球で増やせます。
自然分球とは、球根に新しい芽がついて子球が増えることです。
サフランは自然分球で増える
サフランは自然分球で増える性質があります。
ただし、芽の数だけ分球し数が増えてしまうので、球根を大きくするには芽かきが必要です。
サフランに植え替えは必要?
球根の掘り上げを行う場合は、植え替えの必要はありません。
ただし、球根が込み合ってくるので、植えっぱなしの場合は2~3年に一度植え替えるとよいでしょう。
なお、サフランは連作障害を起こすため、違う場所へ植え変えてください。
植え替えのタイミングとやり方
植え替えのタイミングは休眠期となる8月頃で、ポイントは次のとおりです。
- 球根のサイズに合った鉢を準備する
- 根を傷つけないよう気をつけて掘り上げる
- 新しい土に植え替える
サフランは根を再生できないので、傷をつけないよう丁寧に植え替えを行いましょう。