マドカズラの育て方
公開日 2025年04月24日
更新日 2025年04月25日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
マドカズラの基本情報
植物名 | マドカズラ |
学名 | Swiss cheese plant |
和名 | 窓蔓 |
英名 | Monstera adansonii |
別名 | フリードリヒスターリー |
原産地 | 中央アメリカ |
科名 | サトイモ科 |
属名 | モンステラ属 |
マドカズラは、葉っぱに無数の大きな穴があいた、特徴的な見た目をした観葉植物です。
モンステラの仲間で、和名は“窓”蔓(まどかずら)、英名はSwiss “Cheese” Plantと、一様にその見た目を形容した名前がつけられています。
マドカズラの魅力は、なんといっても育て方がいたってシンプルなことです。
複雑な見た目をしていますが、水やりや肥料以外に特別な世話は必要なく、寒さにさえ気を付ければ簡単に枯れることはありません。
また、生命力の強さゆえ、挿し木で簡単に増やすことも可能です。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
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種類と品種

マドカズラには、葉の形や大きさ、色が異なる種類がいくつか存在します。
といってもマドカズラはどの品種も非常に似ていて、成長してからの姿を確認するか、違う株同士を見比べなければ違いを判別するのは難しいでしょう。
見分けるポイントである葉の大きさや形状、色や穴の形について記載するので参考にしてください。
モンステラ フリードリヒスターリー

一般的にマドカズラとして流通するのはこの品種です。
葉っぱの大きさは長さ10cm前後〜15cm程度、幅は10cm以内で細長いつる性植物ながら上に伸びる性質があります。
モンステラ アダンソニー ラニアタ

マドカズラよりも細長い葉っぱで、黄緑色や白っぽい斑が入ります。
モンステラ アクミナータ
マドカズラと非常に似ているが、マドカズラと比較すると葉っぱの大部分に穴があくのが特徴的。
流通数の少ない希少種です。
モンステラ オブリクア ペルー

マドカズラより大きな穴があく品種で、葉っぱが込み合って成長することはなく、ランナーを出して伸びてきます。
マドカズラ ミント(ロイヤルミント)

葉っぱがベルベットのようにマットで、艶消しされたような独特の質感に育つのが特徴的です。
マドカズラの葉っぱの形

マドカズラの葉っぱには、窓やチーズといわれるように特徴的な穴があいています。
その穴は、マドカズラのことを知らなければ、虫食いや病気を疑ってしまうほどダイナミックです。
葉っぱの形をはじめとした、特徴をまとめると以下のようになります。
- 葉っぱのサイズ:長さ10cm~15cm
- 葉っぱの色:深い緑色
- 葉っぱの質感:ツヤがあり硬い
- 穴のあく位置:葉脈に沿ってあく
モンステラとの見分け方
マドカズラはモンステラと混同されがちで、見分けポイントが分かっていなければ判別が難しいでしょう。
種類を見極めるポイントは、葉っぱの様子や形です。
名前 | マドカズラ | モンステラ |
---|---|---|
葉っぱの様子 | 葉脈に沿って穴があく | 葉っぱのふちから中央脈に向かって切れ込みが入る |
葉っぱの形 | 楕円形や卵型 | 人の手の平のような形 |
モンステラフリードリヒスターリーやモンステラ アダンソニーという別名もありますが、マドカズラは厳密にはモンステラではありません。
樹形もモンステラの方が大きく育つ傾向にあるので、判断に迷ったら全体の大きさを見て客観的に判断してください。
マドカズラはどんな花が咲く?
マドカズラをはじめモンステラ属の花は、アンスリウムや水芭蕉のような白色です。
仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる肉厚の葉っぱのなかに、肉穂花序(にくすいかじょ)というガマの穂のような小さな花が密集しています。
しかし、マドカズラの花が咲くのはごく稀です。
一般家庭で育てている場合、よほどの条件が揃わない限り花が咲いているのを見ることはないでしょう。
マドカズラの花言葉
マドカズラの花言葉は、「深い関係」や「壮大な計画」です。
マドカズラの育て方

マドカズラを上手く育てるコツは、日差しと湿度の管理です。
マドカズラは暑さに強く、モンステラよりも耐陰性に優れています。
しかし、ずっと暗い場所で育てると徒長したり、寒さにも弱いため冬場は注意が必要です。
水やりの頻度
マドカズラの水やりは、土が完全に乾いてから2、3日あける程度の頻度でかまいせん。
与える水の量は、鉢底から水が流れ出てくるのを目安にしっかりとあげましょう。
また、自生するマドカズラは熱帯性の気候下で育ちます。
高温多湿を好むため、まだ土が乾いていない場合でも、こまめな葉水は有効です。
肥料のあげ方
マドカズラの肥料は、生育期に規定量よりも少ない置き肥や液肥を与えてあげましょう。
本来、マドカズラは育つのにさほど肥料を必要としない植物です。
といっても、成長するためのパワーや活力を与えるのに肥料は有効なので、上手く活用していきましょう。
肥料は、生育期にあたる4月から夏が始まる頃である7月中を目安に与えます。
置き肥でも液肥でもかまいませんが、規定量の半分か3分の1程度を与えてください。
病害虫・害虫対策
マドカズラは病気や害虫に強い植物です。
普通に世話をしていれば、病気にかかったり虫がついてしまうことはありません。
ただし、冬場など水を与える回数を減らしているときにハダニが付く可能性はあります。
乾燥が主な原因となるため、冬場でも定期的に葉水をして予防しましょう。
夏場でも乾燥しやすい環境で育てる場合は、冬場と同様に葉水をして気にかけてあげてください。
植え方
一般的にマドカズラは屋内の観葉植物として親しまれており、鉢植えで楽しむ植物です。
上に伸びる性質があり、鉢植えにすると見栄えがします。
また、普通のマドカズラよりツルが伸びやすい、つる性のマドカズラについてはハンギングもおすすめです。
個性的な葉っぱが垂れ下がる姿はおしゃれで、インテリアプランツとして空間を引き立ててくれるでしょう。
支柱の立て方

マドカズラには、支柱で仕立てるという植え方もあります。
やり方は簡単で、木片にピートモスや水苔を巻きつけた物を用意し、鉢やポットにマドカズラと一緒に挿すだけです。
ランナーを出すものはもちろん、普通のマドカズラであっても支柱があれば巻きつけて育てられます。
マドカズラは支柱に巻きつけることで、最大の特徴でもある葉っぱが重なり合うことなく外を向くため、よりダイナミックな姿を楽しめるでしょう。
支柱には株元が込み入ってしまうのを防ぐ役目もあるためおすすめです。
マドカズラの栽培環境

マドカズラの栽培環境は、通年で気温が20℃前後に保たれる場所にしてあげましょう。
マドカズラには耐陰性があるため、他の観葉植物と比べて多少暗い場所でも育てられます。
しかし、マドカズラは本来、日光を好む観葉植物です。
あまりにも暗い場所に置き続けると、徒長してしまうので注意が必要です。
置き場所と日当たり
マドカズラにとって最適な置き場所は、以下のような環境になります。
- 大きな窓のある部屋
- 日に数時間、光が差し込む部屋
- 寒くない部屋
マドカズラは耐陰性のある植物ですが、健やかな状態を保つにはある程度の日差しを確保する必要があります。
もし、日差しの入らない部屋で管理したい場合は、植物用のLEDライトを活用したり、日に5〜6時間ほど日光浴をさせてあげると良いでしょう。
日当たりの加減は、葉焼けを避けるために直射日光には当てないようにします。
特に日差しが強い夏場は、日よけを活用したり、レースカーテン越しに日の光が入る窓辺を選ぶ、朝の涼しい時間帯にだけ外に出すといった工夫をすると良いでしょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
一般的に、マドカズラが快適に過ごせる気温は20℃前後と言われています。
寒さに弱いため、室内で管理する場合であっても廊下など10℃を下回るような場所では注意が必要です。
冬の間だけでも暖かい場所に移動させてあげるか、冷えない工夫をしてあげましょう。
用土
マドカズラに使う用土は、根腐れを起こさないためにも、排水性に優れたものを使うと良いでしょう。
一般的な観葉植物向けの用土でも構いませんし、赤玉土や鹿沼土をブレンドした土もおすすめです。
マドカズラは水耕栽培できる?
マドカズラは生命力が強く、湿潤環境と相性が良いことから水耕栽培もできます。
土を使わずに育てられるので、インテリアプランツとして寝室やお風呂場など置き場所のバリエーションも広がるでしょう。
器はマドカズラの根が収まる容器であれば、どんなものでもかまいません。
マドカズラの水耕栽培において注意すべき点は、置き場所と2、3週間に1回のメンテナンスです。
前述の通りマドカズラには日差しを好む性質があるため、日当たりの確保できる場所もしくは日光浴は欠かさないようにします。
ただし、光が強い場所については水温が上昇しすぎてしまうため、加減が必要です。
また、日の光を当てると水のなかに藻が生えやすくなるため、器は定期的にスポンジなどで洗ってあげましょう。
マドカズラの増やし方

マドカズラの魅力は、その増やしやすさにもあります。
マドカズラは生命力が強いこともあり、剪定した茎での水挿しや挿し木が可能です。
特別なケアも必要とせず、水に浸けたり土に植えるだけですぐ発根するため、初心者でも簡単に増やすことができます。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
マドカズラの剪定・株分けは成長期にあたる4月〜10月に行いましょう。
この時期の中でも、よりマドカズラにとって良いタイミングを選ぶなら、おすすめは夏を迎える6月〜7月頃までの期間です。
挿し木、茎伏せ、水挿しのいずれであっても、根が安定するのには時間がかかります。
暑さがピークを迎えるまでに発根した状態を目指すのであれば、4月〜5月、6月の気温が上がり始めたころには剪定・株分けをすませてあげましょう。
挿し木のやり方
マドカズラを挿し木にする方法は、以下の3ステップで行います。
ポイントは、カットした茎を挿し木に最適な状態にすることです。
- 挿し木にする部分を選ぶ
- マドカズラをカットする
- 土に挿す
① 挿し木にする部分を選ぶ
挿し木にする部分は、株元近くから伸びた茎か、つる性植物のように株から伸びた茎を、節と節の間でカットします。
② マドカズラをカットする
茎は、成長する方向に伸びた葉っぱを1、2枚残して他の葉は落としておきましょう。
根に近い部分は短く切り、マドカズラがエネルギーを消費してしまいやすい新芽もできればカットしておいてください。
③ 土に挿す
剪定が済んだ茎を、湿らせた土に挿せば挿し木の完成です。
茎を挿す深さは、土から出た茎と葉っぱがぐらつかない程度を目安にします。
葉っぱを含め15cm〜20cmくらいの長さの茎を挿し木にするなら、植える深さは約3分の1程度である5cm〜7cmを土に隠れるようにしてください。
茎が倒れてしまう浅い植え付けはもちろん、根がはりやすいようにと深すぎる位置で節を土の中に埋めて植え付けるのはやめましょう。
発根が上手くいかなかったり、根腐れを起こす原因になります。
茎伏せのやり方
茎伏せとは、マドカズラの茎だけを土において発根させる増やし方です。
マドカズラをはじめとした、生命力みなぎる観葉植物でのみ通用する増やし方になります。
また、茎伏せを行う利点として挙げられるのは、発根の様子が目で見て確認できる点です。
- 茎をカットして湿らせた土の上に置く
- 発根するまで日陰で管理する
① 茎をカットして湿らせた土の上に置く
剪定してカットした茎を2cm程度に整え、湿らせた土の上に置きます。
② 発根するまで日陰で管理する
直射日光の当たらない場所や日陰で管理し、発根するまで土は常に湿った状態を保ちましょう。
水挿しのやり方
マドカズラは、簡単に水差しでも増やすことが可能です。
水差しのやり方は非常にシンプルで、挿し木と同じようにカットした茎をそのまま水に差すだけで簡単にできます。
節さえ水に浸からなければどんな形や大きさの器でも水挿しできるため、おしゃれな花瓶や容器に入れればそのままインテリアにもなるでしょう。
発根してからも、植え替えずにずっと水の中で育てることが可能です。
ただし、マドカズラは置き場所の兼ね合いもあり、水挿ししている容器のなかで藻が発生しやすい状態にあります。
毎日の水替えはもちろん、定期的に器をスポンジなどで洗ってあげましょう。
植え替え時期はいつがいい?
マドカズラの植え替え時期としてベストなのは、4月〜10月です。
とくに、生育期のなかでも夏を迎える6月までに植え替えを終えてあげると、暑い環境下でもしっかりと生育してくれるでしょう。
逆に、冬場など寒い季節の植え替えは避けた方が無難ですが、常に気温が20℃前後になる室内での栽培であれば問題ありません。
基本的に植え替えは、マドカズラが快適に過ごせる温かい季節に行いましょう。
鉢替えのやり方
マドカズラはすぐ成長するため、1年〜2年に1回のスパンで定期的な鉢替えが推奨されます。
- 土を乾燥させる
- 元の鉢より一回り大きい鉢を用意する
- 新しい鉢の土を準備する
- 元の鉢からマドカズラを取り出し植え付ける
① 土を乾燥させる
鉢替えは、根っこと用土が絡み合うのを防ぐため土が乾燥した状態ではじめましょう。
② 元の鉢より一回り大きい鉢を用意する
株のサイズに対して大きすぎる鉢に植え替えるのはやめましょう。
根の割合に対して土の量が多すぎると、水やりをしても根が水分を吸い上げるのに時間がかかるからです。
根腐れリスクをより軽減するなら、植え付けはスリット鉢など通気性の良い鉢にし、おしゃれなプラントカバーや別の鉢に入れて管理するという方法もあります。
③ 新しい鉢の土を準備する
鉢底穴をネットで塞いで、鉢底石を薄く入れた上から用土を入れて準備しておきます。
④ 元の鉢からマドカズラを取り出し植え付ける
元の鉢からマドカズラを取り出し、新しい鉢に植え付けます。
生育期に植え替える場合は、古い根っこや土を整理しておきましょう。
隙間にもしっかり用土を充填し、最後に水をやったら植え替え完了です。