アガベ オバティフォリアの育て方
公開日 2025年08月18日
更新日 2025年10月31日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
INDEX
目次
アガベ オバティフォリアの基本情報
| 植物名 | アガベ オバティフォリア |
| 学名 | Agave ovatifolia |
| 英名 | Whale’s Tongue Agave |
| 別名 | クジラの舌 |
| 原産地 | メキシコ |
| 科名 | キジカクシ科(クサスギカズラ科) |
| 属名 | リュウゼツラン属 |
| 開花時期 | 数十年に一度 |
アガベ オバティフォリアは2002年に登録された新種の大型アガベで、地植えで高さ180cm、直径180cmほどにまで成長する種類も存在しています。
オバティフォリア(ovatifolia)の名称はラテン語の「卵型の(ovatus)」「葉(folius)」が由来となっていて、その名の通り幅が広く丸みを帯びた葉が特徴的です。
その形がまるでクジラの舌のように見えることから、英語では別名「Whale’s Tongue Agave(クジラの舌のアガベ)」とも呼ばれています。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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種類と品種

アガベ オバティフォリアにはいくつかの種類が存在します。
その中でも、特に印象的な4つを紹介しましょう。
| 種類 | レア度 | 葉の色 | 葉の形 | 斑の入り方 | 斑の色 | 鋸歯 | 高さ | 直径 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| フロスティブルー | ★☆☆☆☆ | 青灰色 | 卵型 | なし | なし | トップのみ鋭い | ~100cm | ~120cm |
| オルカ | ★★★★☆ | 青灰色 | 卵型 | 覆輪斑 | 乳白・黄・淡緑 | トップのみ鋭い | ~80cm | ~100cm |
| ジャイアント | ★★★☆☆ | 青灰色 | 卵型 | なし | なし | トップが特に鋭い | ~180cm | ~180cm |
| ラバフロー | ★★★☆☆ | 青灰色 | 卵型 | なし | なし | なし | ~60cm | ~80cm |
フロスティブルー
- 霜が降りたようなパウダー状の質感
- オバティフォリアの存在感は健在
「フロスティブルー」は、その名の通り葉に霜が降りたような(frosty)質感が魅力の種類です。
白くパウダー状の表面は青さを一層引きたて、どこか幻想的な雰囲気も感じさせます。
大きさは高さ100cmほどに成長するため、大型アガベの存在感を求めている方の期待にも十分に応えられるでしょう。
オルカ
- コントラストが美しい斑
- 一般的なオバティフォリアよりも鮮やかな緑色
「オルカ(orca)」は海の生物であるシャチを意味し、その白黒の模様のような美しいコントラストにちなんで名づけられました。
白や黄色、クリーム色などのくっきりとした斑が入るのが特徴で、覆輪斑(葉の縁に入る斑)が多く見られます。
斑ではない部分の葉色はほかの種類よりも緑が鮮やかで、葉の全体にはパウダー状のブルームがうっすらとかかり、柔らかな印象も感じられるでしょう。
ジャイアント

- 迫力のサイズ感
- ドライガーデンの主役として人気が高い
「ジャイアント」の最大の特徴はその大きさで、地植えでは高さ180cm、直径180cmに達する個体もあり、広いドライガーデンの中でもひときわ存在感を放つでしょう。
子株は多く流通していて、専門店や通販サイトなどで気軽に購入できますが、大きく育ったものを庭に植えたいと思ったときには、人気の高さから入手が困難な場合もあります。
サイズが大きいぶん、鋸歯も全体的に鋭く、特にトップスパイン(葉の先端の鋸歯)は長くて強固なため、近づいたり触れたりする際には十分に注意しましょう。
ラバフロー
- 波打つようにうねる葉
- オバティフォリアの中でも小ぶり
「ラバフロー(lava flow)」は直訳すれば「溶岩流」で、波打つようにうねる葉にその特徴が現れています。
このうねりはフリルとも表現され、まるでフリルが揺れて踊っているような楽し気な印象も感じられるでしょう。
先ほど紹介したジャイアントと比較すると、ラバフローは高さ60cm、直径80cm程度と小ぶりです。
存在感があるアガベがほしいけれど大きすぎるのは困る、という方にもぴったりでしょう。
アガベ オバティフォリアの葉っぱの特徴

| 葉の形状 | 幅広の卵型 |
| 葉の幅 | ~30cm |
| 葉の長さ | ~50cm |
| 葉の色 | 白みがかったブルーグレー |
| 鋸歯 | 鋭く均等に並ぶ |
アガベ オバティフォリアの葉っぱは幅の広さがもっとも印象的です。
大株となれば葉幅は30cmにもなり、それに応じた長さも50cmと大迫力で圧倒されます。
肉厚な葉っぱの断面は中央がへこむようなU字型になっていて、全体の形状と相まって「クジラの舌」という別名で呼ばれるのも納得です。
アガベ オバティフォリアはどんな花が咲く?
アガベ オバティフォリアは数十年に一度、300cm以上もある花茎をまっすぐ上に伸ばし、途中から数本に枝分かれしてその先に花を咲かせます。
黄緑色の小さな花が密集して咲くため、遠くからは枝先に細かな葉がこんもりと丸く茂っているようにも見えるでしょう。
アガベ オバティフォリアの花言葉
アガベ オバティフォリアの花言葉は、他のアガベと同様に「繊細」「気高い貴婦人」です。
数十年に一度だけ花を咲かせ、その後は枯れてしまうアガベは、気高さと同時に繊細さを感じさせます。
アガベ オバティフォリアの育て方
アガベ オバティフォリアの育成には次のポイントが大切です。
- 乾燥気味に育てる
- 肥料は控えめに使用する
- 病害虫に注意する
水やりの頻度
アガベ オバティフォリアは、地植え、鉢植えともに一年を通して乾燥ぎみに管理しましょう。
地植えの場合
地植えのアガベ オバティフォリアは、基本的に水やりを必要としません。
雨水だけで十分な水分を確保できますが、葉が見るからに縮む、しおれるなどの様子がある場合は水不足の可能性もあるので、頻度を抑えて与えます。
生育期の春~秋は多くても月に2回までとし、たっぷり与えた後は完全に土を乾かすようにしましょう。
休眠期の冬は雨水以外に与える必要はありません。
鉢植えの場合
| 春~秋 | 冬 | |
|---|---|---|
| 頻度・量 | 土が乾燥した数日後にたっぷり | 1~2ヶ月に1回程度、少なめに |
| 時間帯 | 夕方~早朝 | 昼 |
鉢植えでは、生育期の春~秋には定期的な水やりが必要です。
土が完全に乾いてから3~4日後に、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。
休眠期の冬は基本的に断水しますが、暖かい室内で育てている場合は1~2ヶ月に1回くらいの頻度で少なめに水やりをしましょう。
受け皿に溜まった水は根腐れの原因になるので、どの季節でもすぐに捨てるようにします。
肥料のあげ方
地植え、鉢植えのどちらにおいても、アガベ オバティフォリアの生育が活発な4~6月、9~10月に次の肥料のいずれかを与えます。
休眠期の冬は肥料を与える必要はありません。
| 種類 | 頻度 | あげ方 |
|---|---|---|
| 緩効性肥料 | 2ヶ月に1回 | 根元に置く |
| 液肥 | 2週間に1回 | 規定量を水で薄める |
肥料の与えすぎは植物に「肥料焼け」と呼ばれるダメージを与える可能性があるため、必ず量や頻度を守って使用しましょう。
剪定に適した時期とやり方
アガベ オバティフォリアの剪定は生育期前半の4~6月に行うのが適していますが、次で紹介する病害虫が発生して葉の被害が大きい場合は、季節を問わずに剪定し、株全体に被害が及ぶのを防ぎましょう。
清潔なハサミを使用して茶色く枯れた下葉を付け根からカットし、切り口から雑菌が入るのを防ぐため、断面が完全に乾燥するまでは水を付けないようにします。
水やりの際は、切り口とは逆側から水をそそぐなどの配慮が必要です。
病害虫・害虫対策
アガベ オバティフォリアは病気や害虫に強い植物ですが、次の病害虫には注意が必要です。
アブラムシ
- 葉の汁を吸って変色・萎縮させ、最終的には枯らす
- ウィルスを媒介して他の病気をひきおこす
アブラムシは1~4mmほどの虫で、幅広い植物に寄生します。
虫自体が葉に付いている場合はもちろん、葉の表面がベタベタしているのを見つけたらアブラムシを疑い、全体を確認しましょう。
増殖が早いため早急に対応し、粘着テープでの捕獲や殺虫剤の散布で残らず駆除します。
カイガラムシ
- 葉の汁を吸って枯らせる
- 排せつ物がアブラムシやすす病などを媒介する
カイガラムシは体長2~10mmほどの害虫で、幼虫は平たい楕円形、成虫は白い貝殻を背負っているような見た目をしています。
葉の表面に白くベタついた物質を見つけたらカイガラムシを疑い、駆除の準備をしましょう。
幼虫の段階では殺虫剤や牛乳、木酢液をスプレーして駆除し、薬剤が効きにくい成虫は歯ブラシなどで物理的に取り除きます。
ハダニ
- 葉の汁を吸って枯らし、葉の表面に白い糸を張る
- 梅雨明け~秋に繁殖する
ハダニは体長0.3~0.8mmほどのクモの仲間で、非常に小さいもののよく動くため見つけやすい害虫です。
白色や褐色の小さな点を見つけたらハダニを疑い、少数ならばテープなど粘着性のあるもので捕獲し、数が多い場合は殺虫剤で駆除します。
乾燥した高温の環境を好み、特に梅雨明け~秋に繁殖しやすくなるため、その時期にはこまめに葉の裏などを確認して増殖する前に対応しましょう。
植え方|地植えの植え付け方
- 根を乾燥させる
- 水はけの良い土壌に土を盛る
- 穴を掘って植える
- 1ヶ月間は水やりの頻度を増やす
① 根を乾燥させる
アガベ オバティフォリアを植え付ける前には、鉢から掘り起こして根を乾燥させます。
根に付いている余分な土を落とし、風通しの良い日陰に1週間ほど置いておきましょう。
② 水はけの良い土壌に土を盛る
アガベ オバティフォリアは、次の条件がそろう場所を選んで植えましょう。
- 水はけが良い
- 日当たりが良い
- 風通しが良い
更に、土を盛って周囲より一段高い場所に植える「高植え」をするといっそう水はけが良くなり、より適した環境で育てることができます。
③ 穴を掘って植える
根の長さの2倍程度の深さの穴を掘り、株元が目的の高さになるように株を支えながら根を入れます。
隙間ができないように多方向から土を入れ、根元を優しくかためましょう。
たっぷりと水をかけ、土を固定します。
④ 1ヶ月間は水やりの頻度を増やす
植えてから1ヶ月間ほどは頻繁に水やりをします。
土の表面が少し乾いた段階で水を与え、乾ききらないように注意しましょう。
1ヶ月後から徐々に水やりの頻度を減らし、最終的には雨水だけにします。
オバティフォリアの成長速度は?どれくらい大きくなる?
オバティフォリアの成長は早く、特に地植えでは1年で20~30cmほど大きくなることもあります。
環境が合えば、種類によっては最終的に高さ180cm、直径180cmもの大きさに成長して存在感を放つでしょう。
鉢植えではここまでの成長は見られませんが、管理方法によっては高さ150cm、直径100cmほどにまで育つため、十分な迫力を感じられます。
アガベ オバティフォリアの栽培環境
アガベ オバティフォリアの栽培環境を整えるためのポイントを具体的に解説していきます。
植える場所・置き場所と日当たり

アガベ オバティフォリアは日当たりの良い場所で管理します。
乾燥した環境づくりが大切なため、湿気がこもらない工夫も必要です。
おすすめの置き場所
- 日当りが良い場所
- 風通しの良い場所
地植えでは、1日6時間は日が当たる場所に植えます。
基本的には雨水のみで水やりを行うため、雨を遮るものがないことも確認しましょう。
鉢植えの場合は、雨の当たらない戸外や、室内の明るい窓辺が適しています。
風通しの良く、周囲の空気が常に動いているような場所に置きましょう。
避けたい置き場所
- 日が当たらない場所
- 湿度の高い場所
- エアコンの風が直接当たる場所
ジメジメした場所は苦手なので、室内に置く場合はサーキュレーターなどを使用して風通しの良い環境を作ります。
エアコンの風が当たると植物が弱ってしまうため、空調機器の近くは避けるようにしましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
| 季節 | 夏 | 冬 |
|---|---|---|
| 適温 | 20~30℃ | -15℃以上 |
アガベ オバティフォリアの生育適温は20~30℃で、高い気温でも元気に育ちます。
耐寒性も非常に高く、大株では-15℃程度まで耐えることができるので、多くの地域で地植えを楽しめるでしょう。
子株や中株の段階では十分な耐寒性が備わっていないため、冬はシートやマルチングで冷気を避け、鉢植えの場合は室内に取り込むなど、寒すぎない環境で管理します。
アガベ オバティフォリアの土の配合比率(用土)

アガベの仲間は乾燥した土壌を好むため、水はけの良い用土を使用します。
市販品では、アガベ専用や多肉植物用、サボテン用、塊根植物用などの土を購入するのがおすすめです。
自分で土を配合する場合は、次の割合で混ぜるのが良いでしょう。
地植え
- 庭土:6
- 腐葉土:3
- 軽石:1
鉢植え
- 日向土:4
- 硬質赤玉土:4
- 軽石:2
アガベ オバティフォリアの種まき(実生)
アガベ オバティフォリアの種まきについて紹介します。
実生(種からの育成)に挑戦したい方は参考にしてみてください。
アガベ オバティフォリアの種を入手する方法
アガベ オバティフォリアの種は主に次の方法で入手できます。
| 入手方法 | おすすめ度 | 価格 | 少量から買える | 種の管理・配送方法 | 手数料 |
|---|---|---|---|---|---|
| オンラインショップ | ◎ | ○ | △ | 安心 | かからない |
| フリマアプリ | ○ | ○ | ◎ | 懸念がある | かからない |
| 個人輸入 | △ | ○ | ○ | 懸念がある | かかる |
初めて種を購入する方には、大手のオンラインショップがおすすめです。
品質管理や配送方法にしっかり配慮されているため、高品質の種が不安なく購入できるでしょう。
少量から購入できるフリマアプリも使いやすいものの、専門家ではない出品者もいるため、レビューをチェックして納得できるショップを選ぶのが大切です。
価格重視の方には個人輸入も選択肢の1つですが、「植物検疫証明書」という書類の発行の手数料や手間がかかることを念頭に利用しましょう。
種まきにおすすめの時期は3~6月
アガベ オバティフォリアの種まきは、発芽に必要な気温になる3~6月ごろが適しています。
具体的には、日中が20~25℃、夜間は15℃以上の気温(室温)になる時期が良いでしょう。
住んでいる地域の気温の予報などを確認しながら時期を調整してみてください。
種まきのやり方
- 鉢に用土を入れて水を通す
- 種をまいてラップをかぶせる
- 腰水をする
- 発芽を待つ
- ラップを外す
- 通常の水やりに切り替える
① 鉢に用土を入れて水を通す
スリットが入った小さい鉢と、新品の用土を用意します。
用土は古いものでも使用できますが、雑菌が混入している場合があるため、熱湯消毒後にしっかりと冷ましてから使いましょう。
鉢の8分目程度まで用土を入れて全体に水を回しかけると、土に含まれていた細かな砂が流れて茶色い水が出てきます。
底から出てくる水が透明になるまで続けたら土台は完成です。
② 種をまいてラップをかぶせる
土の上に一定間隔で種をまきます。
発芽には光が必要なため、土はかけないようにしましょう。
鉢の上からラップをかけて、発芽に必要な湿度を保つようにします。
③ 腰水をする
種の発芽には十分な水分が必要なため、「腰水」という方法で水やりを行います。
ある程度の深さのある受け皿を用意し、中に水を入れてその状態で鉢を置きましょう。
水が切れないように補充しつつ、1~2日に1回は水を全て交換して清潔な状態で管理します。
④ 発芽を待つ
目安として3~7日程度で発芽します。
発芽までの日数には個体差があるため、焦らずに待ちましょう。
途中で種にカビが生えてしまうことがあるため、見つけたら該当の種は廃棄します。
⑤ ラップを外す
発芽した後はラップを外し、外気にあてて管理しましょう。
⑥ 通常の水やりに切り替える
葉が3枚ほど出て株がしっかりしてきたら腰水をやめ、土の上から水やりを行います。
最初は多めに水を与え、徐々に減らして乾燥した土壌環境に慣らしていきましょう。
最終的には成株と同じ頻度で水やりをします。
アガベ オバティフォリアの増やし方
アガベ オバティフォリアは「株分け」という方法で増やしましょう。
株分けは、親株の根元にできた子株を切り離して別の株として新たに植える方法です。
株分けの時期はいつがいい?
株分けは生育期序盤の4~5月ごろに行うのが良いでしょう。
作業後も生育期が続くため、根の成長が進んで状態が安定します。
株分けのやり方
- 事前準備をする
- 子株を丁寧に外す
- 子株を新しい場所(鉢)に植える
- 十分に水を与える
- 鉢植えは半年ほどで通常の水やり方法にする
① 事前準備をする
事前準備として、株分けの前の2~3日は水やりを控え、土を乾燥させましょう。
地植えの子株を外したり、鉢植えから引き抜いたりするときの抵抗が減り、根を傷つけるリスクを減らせます。
大株になると鋸歯が鋭く作業中にケガをする危険もあるため、必要に応じて軍手や長袖の服も用意しておくと安心です。
② 子株を丁寧に外す
地植えの場合は、子株がある程度大きくなるまで待ちます。
親株から少し距離を空けるようにして成長してきたところで、子株を左右にひねるようにして取り外しましょう。
取れない場合は清潔なカッターやナイフで切り離し、子株の切り口を1週間程度しっかり乾燥させます。
鉢植えの場合は、株を鉢から抜いてから子株を取り外しましょう。
抜くときに抵抗を感じる場合は、鉢をもんだり周囲を叩いたりして隙間を作るか、鉢をひっくり返すようにすると作業しやすいです。
株が抜けたら、根の部分を優しくほぐしながら子株を外していきます。
枯れた葉や傷んでいる根は清潔なハサミを使って取り除き、古い土は可能な範囲で落としましょう。
③ 子株を新しい場所(鉢)に植える
地植えにする場合は、他の株から最低100~150cmの間隔を空けて植えます。
植え方は先ほど紹介した「植え方|地植えの植え付け方」を参考にしてみてください。
鉢に植える場合は、新しい用土と子株の大きさに合う鉢を用意します。
鉢底ネットと鉢底石を敷き、3割程度まで用土を入れて子株を植える位置を確認したら、土を隙間なく敷き詰めていきましょう。
土全体にたっぷりと水をかけ、鉢底から出る水が透明になるまで続けたら完成です。
その後に親株も別の鉢に植えていきますが、詳しい手順は後ほど紹介する「鉢替えのやり方」を参考にしてみてください。
④ 十分に水を与える
地植えの場合は、土が少し乾燥してきたらたっぷりと水を与えるというリズムで1ヶ月ほど管理し、その後は徐々に水を減らして、最終的には親株と同様に雨水のみで育てます。
鉢植えでは腰水で管理し、水を切らさないように補充しながら1~2日に1回は水をすべて交換して清潔な状態を保ちましょう。
⑤ 鉢植えは半年ほどで通常の水やり方法にする
鉢植えにした子株は、半年ほど経って葉が数枚出てきたら、成株と同じ水やり方法に切り替えます。
急に切り替えると環境の急激な変化によりダメージを受けるため、最初は多めに水を与え、徐々に減らしていきながら慣れさせましょう。
植え替え時期はいつがいい?
生育期序盤の4~5月ごろに行うのがおすすめです。
残りの生育期で根がしっかり定着し、安定した状態で休眠期(冬)を迎えることができます。
鉢植えの場合、根詰まりを防ぐため2~3年に1回程度は植え替えを行いましょう。
鉢替えのやり方
- 事前準備をする
- 鉢から引き抜く
- 傷んだ葉や根を取り除く
- 新しい鉢に植える
- 2~3日後に水やりをする
① 事前準備をする
事前準備として、植え替え前の2~3日は水やりを控え、土を乾燥させて株を引き抜きやすい状態にしておきます。
大きく育ったオバティフォリアは鋸歯も鋭く硬いため、ケガをしないように必要に応じて軍手や長袖の服も用意しておきましょう。
② 鉢から引き抜く
鉢の周囲をもんだり、大型の鉢であれば金槌で叩いたりして、鉢と土との間に隙間を作ります。
株を支えながら優しく引き抜きましょう。
抵抗があるときは鉢をひっくり返すようにして抜くか、横倒しにして鉢の縁を金槌で叩きながら徐々に株を引っぱり出すと抜きやすいです。
③ 傷んだ葉や根を取り除く
下葉が傷んでいたり、枯れた根があったりすれば、清潔なハサミで取り除きましょう。
根が抱え込んでいる土は軽くほぐしておきます。
④ 新しい鉢に植える
新しい用土と、鉢(鉢底穴かスリットがしっかりあるもの)、鉢底ネット、鉢底石(軽石)を用意します。
鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷いて用土を3割ほど入れ、株を支えながら植える位置を確認しましょう。
少しずつ用土を追加しながら、株の位置を調整していきます。
位置が定まれば根元まで用土をいれ、細い棒などを刺しながら隙間まで入れ込んでいきましょう。
見た目の好みに応じて、化粧石などを表面に敷き詰めます。
⑤ 2~3日後に水やりをする
作業中に付いた細かな傷から菌が入らないようにするため、植え替え後は2~3日断水します。
最初の水やりでは根元からたっぷりと与え、用土を固めましょう。
鉢底穴から出てくる水が透明になるまで続けます。
その後は一般的な株と同じタイミングで水やりを行い、乾燥気味に育てていきましょう。

