アエオニウムの育て方

アエオニウムの基本情報

植物名	アエオニウム
学名	Aeonium
英名	Aeonium
原産地	北アフリカのカナリア諸島
科名	ベンケイソウ科
属名	アエオニウム属
開花時期	3～6月

アエオニウムは、ロゼット状に伸びた厚みのある葉っぱが花のように見える多肉植物の一種です。

乾燥を好むため頻繁な水やりは不要で、成長するのに他の植物ほど栄養を必要としないため肥料をこまめに与える必要がありません。

また、アエオニウムの大きな魅力の一つに品種によって葉っぱの色や形が大きく違う点が挙げられます。

育てやすい観葉植物としても人気が高いです。

月別栽培カレンダー

種類と品種

アエオニウムは、観賞用に品種改良がされていて30を超える多数の品種が存在しています。

品種改良は自然交配や突然変異したものを基におこなわれ、葉っぱの形状や色合いが特徴的なものが多く、ものによってはまったく別の植物かのように見えるでしょう。

以下に代表的な品種を紹介します。

名前	大きさ（ロゼット部分の直径）	葉っぱの色	フチの色
黒法師	15cm	深い紫色	なし
夕映え	15cm	黄緑色	赤や黄色
スーパーバン	10～20cm	濃い茶色	乳白色

黒法師

黒法師は、葉っぱの色が深い紫色をしたアエオニウムです。

花びらのように伸びる葉っぱの大きさは直径15cmくらいで、葉っぱの質感は艶やか、中心は薄い黄緑や黄色をしています。

夕映え

夕映えは、葉っぱの色が黄緑色でフチが赤や黄色、オレンジ色をしています。

大きさは直径15cm以内で、茎が横に伸びて全体的にこんもりした姿に育つ品種です。

スーパーバン

スーパーバンは葉っぱの色のベースがチョコレートのような濃い茶色で、フチが乳白色で囲われています。

大きさは直径は10〜20cmで、他の品種と比べてやや大き目です。

アエオニウムはどんな花が咲く？

アエオニウムは、葉っぱの間から花芽を出してその先に花を咲かせます。

花の色は黄色やオレンジ、白など品種によってさまざまです。

アエオニウムの葉っぱの特徴

アエオニウムにはさまざまな品種が存在しますが、どの品種にも共通するのが葉っぱの特徴になります。

だいたいの品種の葉っぱは一枚ずつ花びらのような形でロゼット状に生えるため、パッと見は花が咲いているようです。

多肉植物になるのでどの品種も葉っぱが2〜3mmと肉厚ですが、色や質感は品種によってバリエーションが豊富です。

アエオニウムの綴化とは？

アエオニウムの綴化（てっか）とは、葉っぱの成長点が何らかの理由で通常通りに育たない現象です。

綴化が起こるとアエオニウムの一部の茎は太くなって茎が多方向に伸びず、まるでブロッコリーのような見た目になります。

遺伝的要因がある突然変異と外的ストレスが原因であると言われ、発生には個体差がありますが「綴化アエオニウム」として販売されていることもあります。

アエオニウムの花言葉

アエオニウムの花言葉は、「不死」や「永遠に生きる」です。

名前の由来でもある、ギリシャ語のaionion（永遠に生きる）にちなんでいるとされています。

アエオニウムの育て方

アエオニウムは、こまめな水やりや手入れを必要としないため育てやすい観葉植物です。

ただし油断するとヒョロヒョロと茎が伸びてしまう徒長や、病害虫の餌食になってしまうことがあります。

週に1回は、水やりのついででかまわないので株全体を観察するようにし、異変があった場合はすぐに対処するようにしましょう。

水やりの頻度

アエオニウムの水やりは、以下の頻度で行ないましょう。

時期	10～12月	1、2月	3～5月	6～9月
水やりの方法	ジョウロ	ジョウロ 霧吹き	ジョウロ	葉水
水やりの頻度	2～3日に1回	10日に1回	2～3日に1回	月1、2回

アエオニウムの水やりは、基本的に土が乾いていたらたっぷり与え、休眠期にあたる夏場は水やりを控えます。

ただし、乾燥させすぎるとすぐに害虫がついてしまうため、葉水を適宜行っておくと良いでしょう。

肥料のあげ方

アエオニウムは基本的に肥料を必要としません。

理由は、多肉植物であるアエオニウムは本来、痩せた土地で育つ植物だからです。

生育環境に肥料となるようなものがない場所でも元気に育つため、たっぷり肥料を与える必要はありません。

ただし、肥料を与えるのはまったく意味がないわけではなく、生育期に成長を促進させるなら、以下の量を目安に与えてください。

いずれも、肥料のラベルなどに記載される規定量を守る必要はなく、与えるのはそれよりも少ない半分〜3分の1程度でかまいません。

病害虫・害虫対策

アエオニウムは多肉植物であるため乾燥には強いですが、水やりを怠ると病害虫がつきやすくなります。

特に、葉っぱの裏や茎のあたりに寄生しやすいカイガラムシには要注意です。

カイガラムシ

アエオニウムは休眠期にあたる夏場に水やりを控えますが、この時に注意しなければならないのがカイガラムシです。

葉っぱの裏や茎付近につく、1mmほどの小さな白いホコリのようなものを見つけたら取り除くようにしてください。

卵や成虫には殺虫剤が効かないため、駆除方法は歯ブラシや割りばしで取り除くのが有効です。

また、カイガラムシは乾燥を好むため、予防法として適度な水やりが推奨されます。
ただし、水やりを控える休眠期にたっぷり水やりをするわけにはいかないので、6～9月は霧吹きで葉っぱに水を吹きかける葉水で対処してください。

アエオニウムの栽培環境

アエオニウムは基本的にどの品種も日光を好みます。

簡単な管理で元気に育ちますが、徒長しやすいので日当たりだけは気にしてあげましょう。

特に、日照時間の少なくなる冬場は置き場所に問題がないかをチェックしてください。

置き場所と日当たり

アエオニウムは基本的に日光浴が大好きで、家の中にある置き場所としておすすめなのは光がたっぷり浴びられる以下の場所です。

逆に言えば、日照時間の少ない北側に位置する窓辺や、方角は問題なくともあまり光が差し込まない部屋はおすすめできません。

ただし、品種によっては夕映えのように休眠期に日光に当ててしまうと葉っぱの色が美しく保てない種類も存在します。

育てているアエオニウムによって、適した日当たりが異なるので注意してください。

適切な温度｜どれくらいの寒さまで耐えられる？

アエオニウムは寒さにやや弱いため、適切な栽培温度としては20℃前後が推奨されます。

気温からすると、以下のタイミングは管理に注意しましょう。

気温が0℃くらいの環境でも、アエオニウムの栽培は可能ですが、株にダメージがいくため水やりは控えてください。

耐暑性はありますが、30℃を超える環境下で直射日光に当てると葉やけを起こすため、真夏は日陰での管理がおすすめです。

また、スーパーバンのように寒さに弱い品種もあるので、育てているアエオニウムの耐暑性や耐寒性がどのくらいあるかは事前に調べておきましょう。

アエオニウムの土の配合比率（用土）

アエオニウムは多肉植物のため、排水性の高い用土で育てるようにしてください。

水やり後にいつまでも土が湿った状態が続くと、根腐れを起こすリスクがあるからです。

用土は市販の多肉植物用の土をそのまま使ってもかまいませんが、生育環境に応じて最適な水持ちや水はけになるよう調整しましょう。

より良い土を準備するならご自身でブレンドするのがおすすめです。

おすすめの配合比率

水はけを良くする赤玉土と保水性のあるピートモスは、単体ではなく必ずブレンドして使いましょう。

理由は、赤玉土だけで育ててしまうと水が土に留まらず、ピートモスだけで育てると土が湿り続けてしまい根に悪影響だからです。

赤玉土は金魚のエサのように粒のサイズが均一なものが多く、水やりを続けているとかえって水分がいつまでたっても抜けない状態に陥る場合もあります。

適度に粒の大きさにバラつきがある用土の方が水はけがよくなるため、さまざまな種類の用土が最初からブレンドされている多肉植物用の土をベースに赤玉土を混ぜて使うのもおすすめです。

アエオニウムの開花時期

アエオニウムは株が充実していると花を咲かせます。

開花時期は、生育期の終わりから休眠期にかけての3〜6月です。

また、アエオニウムは花が咲くと枯れてしまうと言われていますが、枯れた後の花をきちんと処理すれば問題ありません。

開花時期は主に3〜6月

アエオニウムは、基本的に毎年花を咲かせる植物ではありません。

条件が揃った場合にのみ3～6月に花を咲かせます。

開花時期は種類によって異なる

アエオニウムの花が咲く時期は種類によって異なります。

例えば、黒法師の花が咲くのは2〜6月頃ですが、夕映えの花が咲くのは10〜12月頃です。

アエオニウムの花が咲かない原因は？

アエオニウムの花が咲かない原因は、株に花を咲かせる必要があまりないからです。

アエオニウムをはじめとした多肉植物は葉挿しで簡単に増えていくため、花を咲かせて実を付ける必要がありません。

むしろ、花を咲かせてしまうとエネルギーを大きく消費するため、アエオニウムも花を咲かせることにさほど注力していないというのが正しいでしょう。

アエオニウムは花が咲いたら枯れる？

アエオニウムは花が咲くと、ロゼット状になった部分一帯が枯れてしまいます。

理由は、花が咲くことは子孫が残せたことになるので、アエオニウムが役割を全うしたと判断してしまうからです。

対処法としては、花芽が伸びてきた段階でカットし花を咲かせないようにするか、枯れた時に備えて葉挿しをしておくとよいでしょう。

アエオニウムの増やし方

アエオニウムは多肉植物のため、葉挿しや挿し木でどんどん増やせます。

葉っぱも外しやすく、簡単に発根するため、あまり観葉植物を育てたことのない初心者でも安心して取り組めるでしょう。

剪定・挿し木の時期はいつがいい？

アエオニウムの剪定や挿し木を行うのに適しているのは、生育期で気温が15℃以上を保てる時期です。

つまり、10月や3〜5月あたりが理想的な時期になります。

気温が30℃を超えるような暑い時期や、5℃を下回るような寒い時期はアエオニウムの活性が下がるため適していません。

胴切りのやり方

アエオニウムは放置していると、積極的に茎を伸ばすため樹形が崩れやすいため、対策として胴切りを行います。

伸びすぎた茎を剪定して整える作業で、アエオニウムを増やすためによく行われるやり方です。

アエオニウムの胴切りは、乾燥させてから湿った土に植え付けるやり方と乾燥させずに土に挿して時間が経ってから水やりをする、二通りのやり方があります。

どちらも、発根する前にアエオニウムが土の中で蒸れてしまうのを防ぐ方法です。

ここでは切り口の状態を確かめられる、乾燥させてから湿った土に植え付けるやり方を解説します。

① アエオニウムの伸びた茎を切る

まずはアエオニウムの伸びた茎を切ります。

刃物は、よく切れるものであれば、園芸用のハサミでもカッターナイフのどちらでもかまいません。

念のために消毒したものを使いましょう。

カットする位置は葉っぱの大きさにもよりますが、ロゼット状になった部分からおよそ3〜4cm程度の場所を切ってください。

別の小さなロゼット状部分がある場合は取り除きますが、そちらも子株として別で植え付けましょう。

② 切り口をしっかりと乾燥させる

アエオニウムの切り口は、2～3日くらいの時間をかけてしっかり乾燥させます。

梅雨時など湿気が多い時期は、～1週間程度、きちんと切り口が乾燥するまで様子を見てください。

③ 湿った土に植え付ける

乾燥させたアエオニウムは、霧吹きなどで湿らせた土に植え付けます。

土が詰まった鉢に挿すだけでかまいません。

土の湿り具合の目安は、アエオニウムを挿したときに転倒しない程度です。

挿し木（挿し芽）のやり方

アエオニウムの挿し木や挿し芽に使う葉っぱは、お手入れの際、不意に落ちてしまった葉っぱでかまいません。

① アエオニウムの葉っぱを集める

アエオニウムは、葉っぱを軽く左右に動かすだけで簡単に外れます。

多肉植物は葉っぱを媒介に子孫を増やしていくため、軽く触れただけで葉っぱが落ちやすいです。

挿し木（挿し芽）はそうして落ちた葉っぱも使えるため、わざわざ新しく採取する必要もありません。

② 葉っぱがない場合は茎をカットする

挿し木や挿し芽に使えそうな葉っぱがない場合は、成長点にあたる部分を茎ごとカットしてしまいましょう。

アエオニウムで言えば、バラの花のように見える先端のロゼット状のゾーンがカット部位の候補です。

茎をカットする際は、清潔な刃物を使いましょう。

消毒した園芸用ハサミや、刃を折って新しくしたカッターナイフなどが使えます。

③ 葉っぱや茎の切り口を十分に乾燥させる

葉っぱやカットした茎は、切り口を十分に乾燥させましょう。

乾燥させる期間の目安は数日～1週間程度です。

④ 発根するまで床土の上で育てる

切り口を十分乾燥させたアエオニウムは、発根するまで床土（とこつち）の上で育てます。

床土は軽くて保水性と排水性の両方が保てる土がおすすめです。

自分で土をブレンドする場合は、以下のような配合を参考に水はけの良い土を作ってください。

粒の大きさは、葉挿しする葉っぱの大きさに合わせた細かいものを選びましょう。

⑤ 発根して新しい葉っぱが出てきたら土に植える

葉挿しした葉っぱは、時間が経つと根っこのほかに新しい葉っぱを出します。

根っこは細く、葉っぱもとても小さいですが、根っこも葉っぱも1cm程度、全体が2cmくらいに成長したら土に植え付けましょう。

植え付け方は、葉っぱを床土に置いた状態で根っこに土をかぶせるだけでかまいません。

土の上に置いておくだけで、自然に根っこが土に張っていきます。

植え替え時期はいつがいい？

アエオニウムの植え替え時期に適しているのは、生育期にあたる10〜5月です。

なかでも気温が寒すぎず暑すぎない10月や3〜5月が特に適していると言えます。

鉢替えのやり方

① アエオニウムを鉢から出す

アエオニウムは、ちょっとでも葉っぱに触れると葉が落ちてしまいます。

葉挿しをたくさんする予定であれば問題ありませんが、残したい葉っぱの一部が落ちてしまわないように注意しましょう。

② 鉢のサイズに合わせて剪定する

アエオニウムはグングン茎を伸ばして成長していくため、鉢替えの際はカットしてあげましょう。

しだれたような樹形に仕立てる場合は良いですが、あまり茎が長すぎると鉢が安定しないからです。

鉢の大きさに対して同じくらいのボリュームに留めれば、転倒リスクも回避できます。

③ 新しい鉢に植え付ける

剪定したアエオニウムは、もともと土に植わっていた高さを維持して新しい鉢に植え付けます。

土を入れて軽く鉢をたたくなどして、しっかりと根っこに土が絡むようにしましょう。