アガベ 笹の雪の育て方

アガベ 笹の雪の育て方

アガベ 笹の雪は次のポイントを意識して育てましょう。

水やりの頻度

春～秋	土が完全に乾いてから4～5日後に水をたっぷり与える
冬	1ヶ月～1ヶ月半に一度程度、控えめに水を与える ※葉がしおれる場合は量を増やす

アガベの仲間は乾燥した土壌で育てるのが適しているため、土が鉢の中まで完全に乾いてから水やりを行います。

生育期の春夏には、土が乾いてから4～5日後に、鉢の下から水が流れ出るまでたっぷりと与えましょう。

根腐れを避けるため、受け皿に溜まった水はすぐに捨てるようにします。

秋冬の水やりは控え目に

休眠期の秋冬は、1ヶ月～1ヶ月半ごとに土の表面を湿らせる程度に水やりを行いましょう。

暖かい室内で育てている場合はもう少し水が必要になる場合があるため、葉がしおれるようであれば水の量を増やしても問題ありません。

冬から春、秋から冬と季節が移り変わる際には、急に水やりの頻度を変えてしまうと環境変化によりダメージを与えてしまうので、徐々に変更するようにしましょう。

肥料のあげ方

アガベの仲間はあまり肥料を与えなくても元気に育ちます。

用土にはじめから含まれている元肥だけでも問題ありませんが、葉のツヤを出したい、大きく育てたいという場合には肥料を検討しましょう。

緩効性肥料か液肥のどちらかを次の範囲で与えるのがおすすめです。

緩効性肥料	特に生育旺盛な4～6月、9～10月のみ、2ヶ月に1回置く
液肥	特に生育旺盛な4～6月、9～10月のみ、規定量を水で薄めて2週間に1回与える

ただし、必要以上に肥料を与えると肥料焼け（過剰な肥料によって植物が弱る症状）が発生する可能性があります。

適切な量や頻度で使用するようにしましょう。

病害虫・害虫対策

アガベ 笹の雪は害虫が付きにくい品種ですが、次の病気には注意が必要です。

それぞれの症状と対策を次から確認していきましょう。

うどん粉病

うどん粉のような真っ白の粉（カビ）が葉の表面を覆う病気で、進行すると全体を黄色に変色させ、最悪の場合は植物を枯らしてしまいます。

感染力が強い病気で、一度感染すると翌年も繰り返し発症するため、早期発見が何よりも大切です。

症状を確認したら即座に該当部分を切除し、専用薬剤を散布しましょう。

黒星病（くろほしびょう）

別名「黒点病」とも呼ばれていて、気温と湿度の高い梅雨～夏の時期に発生して葉を茶色く変色させ、そのまま枯らせてしまいます。

葉の表面にも見られますが、特に注意したいのは葉が重なって湿気が溜まる部分や、土に近い根元の部分です。

一度発症すると治らないため、発見したらすぐに該当箇所を取り除きましょう。

さび病

葉の裏に赤さびのような斑点が広がるのが主な症状で、その他にも葉の表面に白や黄色のシミが発生することもあります。

進行すると赤さび状の部分が隆起してでこぼこになり、光合成がしにくくなることで植物全体が弱らせるため危険です。

発生時期の秋～冬には葉をよく観察し、症状を見つけたら該当箇所を切り落としましょう。

炭疽病（たんそびょう）

炭疽病（たんそびょう）は黒カビの一種が原因で発生する病気で、観葉植物～農作物まで広く発生しますが、特に斑入りの植物で発症しやすい傾向があります。

葉にグレーや黒の斑点が出現し、徐々に広がって葉に穴を開けたり、そのまま植物全体を腐らせたりするため注意が必要です。

症状を見つけたら該当の葉ごと取り除き、専用薬剤を散布しましょう。

株の選び方

アガベ 笹の雪の株を選ぶ際には、次の3つのポイントを大切にしましょう。

最初に葉の健康状態を確認し、ハリとツヤを感じる個体を選びましょう。

次に、ご自身の好みに合った品種を選びます。

アガベ 笹の雪は、くっきりしたペンキが美しいタイプ、斑入りのタイプ、葉幅が広いタイプなど多くの品種が存在するので、最も魅力的だと感じるものを探してみてください。

子株から育てたい方はこれでぴったりの個体を選ぶことができますが、すでに十分成長した大株を購入したい場合は、ロゼット型が美しいかどうかも確認すると良いでしょう。

バランスよく葉が広がってボール状になっている個体は、ため息が出るほど美しい姿を見せてくれます。

アガベ 笹の雪の基本情報

植物名	アガベ 笹の雪
学名	Agave victoriae-reginae
英名	Queen Victoria Agave、 Queen Victoria Century Plant
別名	アガベ ポタトルム
原産地	メキシコ
科名	キジカクシ科（クサスギカズラ科）
属名	リュウゼツラン属
開花時期	数十年に一度

アガベ 笹の雪は、その名の通り笹の葉に雪が積もったような美しい姿を見せてくれるアガベの人気品種です。

深緑の葉の上に「ペンキ」と呼ばれる白いラインが幾何学模様を作り出し、色のコントラストや均整の取れたロゼット形状と相まって、まるで芸術作品のようにも感じられます。

1年に1cm程度と非常に緩やかな速度で成長し、最大でも30～50cmほどにしかならないため、じっくり育てたい、コンパクトに育てたいという方にはぴったりの品種でしょう。

初心者でも育てやすい丈夫さを持ち合わせている一方で、植え替え後に調子を崩しやすい傾向があるため注意が必要です。

月別栽培カレンダー

種類と品種

名前	葉の色	斑	ペンキ
アガベ 姫笹の雪	緑～深緑	斑なし	はっきり
アガベ 笹の雪 氷山	緑～深緑	白覆輪斑	控えめ
アガベ 笹の雪 輝山	緑～深緑	黄覆輪斑	控えめ
アガベ 笹の雪 フランシスアイボリー	緑～深緑	黄覆輪斑 個体差が大きい	控えめ
アガベ 笹の雪 桃太郎	明るい緑、緑、ブルーグリーン	斑なし	細い

アガベ 笹の雪には様々な同系統品種があります。

ここでは代表的な5つを紹介しましょう。

アガベ 姫笹の雪

「姫笹の雪」は一般的な笹の雪の佇まいを保ちながらも、コンパクトなサイズが可愛らしい人気の品種です。

深い緑色で肉厚の葉には、幾何学模様のようなペンキ（白いライン）がくっきりと浮かびます。

均整の取れたボール状に育てれば、息をのむ美しさを体感できるでしょう。

アガベ 笹の雪 氷山

「氷山」は葉の中央の緑と白覆輪斑（葉の縁に沿って入る白い斑）のコントラストが美しい品種です。

斑は抜けるように白く、植物とは思えない色合いだと評されることもあります。

葉の厚みは控えめで、他の笹の雪のバリエーションと比較すると葉幅も細いため、すっきりとした印象でスタイリッシュな雰囲気を感じられるでしょう。

アガベ 笹の雪 輝山（きざん）

「輝山（きざん）」は、すっきりとした細身の葉に黄覆輪斑（葉の縁に沿って入る黄色の斑）が鮮やかな品種です。

寒い時期は斑の黄色がひときわ引き立ち、暖かくなると黄緑～明るい緑になって、葉の中央の緑色と同化してしまうこともあります。

次に紹介する「フランシスアイボリー」と見た目が似ていますが、輝山の方が斑の面積が広く、葉の半分以上を占めるのが特徴です。

アガベ 笹の雪 フランシスアイボリー

「フランシスアイボリー」は、先ほど紹介した輝山と同様に黄覆輪斑が美しい品種です。

輝山と比べると斑の面積が狭いのが特徴で、個体によって、あるいは同じ個体の中でも葉によって斑の入り方に差があります。

葉の厚みや長さにも個体差があり、画一的ではない表情が唯一無二の個性のように感じられるでしょう。

アガベ 笹の雪 桃太郎

アガベ 笹の雪の中でも、スーパーワイド（特に葉幅の広いタイプ）のものが「桃太郎」と呼ばれています。

幅だけでなく、厚みもしっかりとあり、ボール型に成長した姿はどこか金平糖のようなシルエットで、美しくも愛嬌のある佇まいです。

笹の雪の特徴であるペンキははっきりと入りますが、線が細く上品な雰囲気で、どっしりとした葉に繊細な印象を加えています。

アガベ 笹の雪の葉っぱの特徴

形状	先に向かって細くなる
幅	一般的な葉幅の通常タイプ 幅広の「ダルマ」タイプ 特に幅の広い「スーパーワイド」タイプ
色	明るい緑～深緑
ペンキ	くっきりとしたペンキ
斑	多様な斑（白覆輪斑、白中斑、黄覆輪斑、黄中斑）
鋸歯	葉の先端に1～数本

アガベ 笹の雪の葉っぱの最大の特徴は、通称「ペンキ」と呼ばれる模様です。

ペンキとは葉っぱの表面に入る白い線のことで、展開する前の葉っぱ同士を接着させている蝋のような物質が成長後にも残り、印象的なラインを描きます。

このペンキがくっきりと太く入っているほど美しいといわれる一方、斑入りのタイプではペンキは薄く、むしろ斑の美しさの方に注目が集まる品種もあるほど評価は千差万別です。

一般的なアガベの特徴である鋸歯（葉の周囲のトゲ）は笹の雪では存在感をひそめ、葉の先端に1～数本の繊細な鋸歯があるのみであまり目立ちません。

アガベ 笹の雪の花言葉

アガベ 笹の雪の花言葉は、他のアガベと同様に「繊細」「気高い貴婦人」です。

数十年に一度だけ花を咲かせたあと、すぐに枯れてしまう様子から、繊細さや気高さを表す花言葉がつけられました。

アガベ 笹の雪の栽培環境

アガベ 笹の雪の栽培環境は次の3点に着目して整備しましょう。

次から順に解説していきます。

置き場所と日当たり

おすすめの置き場所	日当りが良い場所（真夏の直射日光は避ける） 風通しの良い場所
避けたい置き場所	日が当たらない場所 ジメジメした場所 エアコンの風が直接当たる場所

アガベ 笹の雪は日当たりをしっかり確保できる場所に置きましょう。

一方で強すぎる直射日光は葉焼けの原因になるため、普段は屋外で育てている場合も、真夏だけはレースカーテン越しのやわらかい光が当たるよう調整してみてください。

十分な日当たりを確保できないお部屋では、LEDの育成ライトを活用してみるのも良いでしょう。

また、アガベの仲間はジメジメした環境は苦手なため、風通しの良い場所に置くことも大切です。

ただし、いくら空気が動く場所だからといっても、エアコンの風が吹き付ける位置は場所は葉が痛む可能性があるため、空調設備からは離して置きましょう。

適切な温度｜どれくらいの寒さまで耐えられる？

季節	夏	冬
適温	15～38℃	-5℃以上

アガベ 笹の雪の適切な温度は15～38℃で、猛暑日のような気温でも元気に育つことができます。

耐寒性も高く、目安として-5℃までは堪えることができます。

ただし、周辺環境や個体の性質によっては冷害を受けたり枯死したりすることもあるため、普段は屋外で育てている方でも、冬は室内で管理するのがおすすめです。

用土

アガベ 笹の雪の育成には、市販のアガベ専用の土か、多肉植物用の土を使用するのがおすすめです。

いずれも水はけの良い配合になっていて、アガベが好む乾燥した土壌を作ることができます。

ホームセンターや園芸用品店、通販サイトなどでお好みのものを探してみてください。

アガベ 笹の雪の種まき

アガベ 笹の雪を種から育ててみたいという方もいるでしょう。

ここでは種の入手方法や、具体的な種まきの方法を紹介します。

気になる方はぜひチェックしてみてください。

アガベ 笹の雪の種を入手する方法

アガベ 笹の雪の種の入手方法は主に次の3つです。

入手方法	おすすめ度	価格	少量から買える	種の管理・配送方法	手数料
オンラインショップ	◎	○	△	安心	かからない
フリマアプリ	○	○	◎	懸念がある	かからない
個人輸入	△	○	○	懸念がある	かかる

初めて種を購入する方は、大手のオンラインショップやフリマアプリを活用するのがおすすめです。

どちらもメリット・デメリットがありますが、出品者が同じ種で発芽に成功していたり、以前使用された方の口コミが良いショップを選んだりすると特に安心でしょう。

とにかく安く入手したい方には個人輸入も選択肢の1つであるものの、「植物検疫証明書」の発行に手数料がかかるため、少量の購入では割高になってしまう場合もあります。

ご自身の目的と照らし合わせながら、一番納得できる方法を選んでみてください。

種まきのやり方

種の発芽には20~25℃の気温（室温）が必要です。

目安は3～6月ごろの気候ですが、お住まいの地域によっては季節が前後しますので、気温の予報を確認しながら種まきの時期を調整しましょう。

やり方の各手順を次から詳しく解説していきます。

①鉢に用土を入れて水を通す

鉢の8分目程度まで用土を入れ、土全体に水を回しかけます。

最初はホコリや細かすぎる土が濁った水となって底から流れ出るので、それが透明になるまで続けましょう。

②受け皿に水を張って鉢を置く

成長したアガベは乾燥気味に育てる一方、発芽前後には十分な水が必要です。

常に水分を供給できるよう、受け皿の中に水を入れ、その状態で鉢を置く「腰水」を行いましょう。

1～2日に1回は水を交換し、清潔に保つよう心がけます。

③土の上に種を乗せてラップで温室状態を作る

土の上に一定間隔で種を置き、鉢の上からラップで覆いましょう。

ラップが簡易的な温室の役割を果たし、必要な湿度を保つことができます。

④発芽を待つ

数日で根が出て、1週間前後で発芽します。

発芽までの日数は個体差があるため、時間がかかったとしても焦らずお世話を続けましょう。

発芽する力がない種はカビが生えてしまうこともあるため、ときどき状態をチェックして、該当のものがあれば取り除きます。

⑤ラップを外す

発芽した後はラップを外し、外気にさらして生育を進めます。

⑥葉が3枚ほど出たら通常の水やりに切り替える

葉が3枚ほど出て株がしっかりして来たら、腰水をやめる合図です。

成株と同じように乾燥気味にしながら、上からの水やりに切り替えましょう。

急に切り替えると環境変化でダメージを受けるため、徐々に水の量を減らしていってください。

アガベ 笹の雪の増やし方

アガベ 笹の雪は「株分け」という方法で増やすことができます。

株分けは、親株の根元にできた子株を取り外し、別の株として植える手法です。

他の品種に比べ、笹の雪は株が小さい段階で多く子株ができます。

子株が5cmほどに成長したら株分けを行いましょう。

株分けの時期はいつがいい？

株分けは気温が上がり始める3～5月ごろに行うのがおすすめです。

生育期を迎える季節に株分けを行えば、根がしっかりと定着して株へのダメージも最小限に抑えることができます。

株分けのやり方

各手順を詳しく見ていきましょう。

① 水やりを数日控える

事前準備として、植え替え前は鉢内部の土を乾燥させます。

2～3日水やりを控えることで鉢から引き抜きやすい状態になります。

② 子株を丁寧に外す

親株ごと鉢から引き抜きます。

抜けにくい場合は、鉢を叩いたり軽く揉んだりすると良いでしょう。

抜けたら根の部分をほぐしながら子株を外していきます。

親株にしっかりくっついているようであれば、優しくつまんで左右に振るようにして外しましょう。

枯れた葉や傷んでいる根は清潔なハサミを使って取り除き、余分な土も落としておきます。

③ 子株を新しい鉢に植える

鉢の3割ほどの高さまで用土を入れ、子株を植える位置を確認します。

場所が定まったら、用土を隙間なく敷き詰めていきましょう。

植え終わったら、子株に水がかからないようにしながら用土にたっぷりと水をかけます。

底から出る水が透明になるまで続けましょう。

④ 腰水で水やりをする

鉢を受け皿に置いて水を注ぎ、腰水をします。

こまめに水位を確認し、水を切らさないようにしましょう。

水は1～2に1回は交換して、清潔な状態を保ちます。

⑤ 半年ほどで通常の水やり方法にする

半年ほど経って葉が数枚出てきたら、成株と同様に乾燥気味に育てます。

腰水をやめ、土が乾いてから水やりをしましょう。

植え替え時期はいつがいい？

植え替えは生育期前半の3～5月ごろに行うのがおすすめです。

根詰まりを防ぐためには1～2年に1回程度の植え替えが必要ですので、時期を逃さないように実施しましょう。

鉢替えのやり方

各手順を詳しく見ていきましょう。

① 水やりを数日控える

植え替え前は2～3日水やりを控えて土を乾燥させ、鉢から引き抜きやすい状態をつくります。

② 鉢から株を引き抜く

株の根元を持ち、鉢をひっくり返すようにして優しく引き抜きましょう。

鉢の周囲を数回叩くと隙間ができて抜けやすくなります。

③ 古い土や傷んだ根を取り除く

抜いた株の根に付いている古い土を落とします。

指で軽く揉むようにしてほぐしたり、割りばしなどの細い棒で優しくつついて落としていきましょう。

茶色くなってスカスカしている根は傷んでいるため、清潔なハサミで剪定します。

④ 新しい鉢に植える

新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷いて（土が鉢底穴から出なければ割愛）、用土を3割ほど入れます。

株を支えながら置き、周囲に用土を入れていきましょう。

鉢の周囲を軽く叩いたり、地面でトントンとならすようにしたりして、隙間なく土を敷き詰めます。

⑤ 2～3日後に水やりをする

植え替えでは、知らないうちに根が傷ついている可能性があります。

その傷から雑菌が入るのを防ぐため、植え替え後は2～3日経ってから水やりを行いましょう。

その後は通常どおりの水やりを行います。