アロエの育て方
公開日 2024年11月13日
更新日 2025年05月04日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
INDEX
目次
アロエの基本情報
| 植物名 | アロエ |
| 学名 | Aloe |
| 和名 | アロエ |
| 英名 | Aloe |
| 別名 | 医者いらず、ロカイ |
| 原産地 | 南アフリカ、マダガスカル |
| 科目 | ススキノキ科 ※ツルボラン科、ユリ科に分類されることもある |
| 属名 | アロエ属 |
| 開花時期 | 12月〜2月 |
アロエは、水分を蓄えた肉厚な葉が特徴的な多肉植物です。
南アフリカやマダガスカルなど乾燥地帯が原産ですが、暑さや乾燥に強く丈夫なため、日本でも育てられます。
日本では、昔から民間療法や料理などで使用され、親しまれてきました。
ただし、寒さには弱いため、霜が降りる地域で育てる場合は防寒対策が必要です。
月別栽培カレンダー
開花期
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
植え付け・植え替え
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
株分け、葉挿し
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種まき
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種類と品種

アロエは世界中に500種類以上の品種が存在する植物です。
形態差が豊富で、なかには、高さ20mを超えるものもあります。
葉に赤いトゲがたくさんついているものや、葉が全体的に白っぽいもの、まだら模様のものなどさまざまな品種があるため、見た目の違いも楽しめるでしょう。
日本でよく見られるアロエの品種を中心に、以下にまとめました。
| 品種名 | 特徴 |
| キダチアロエ | 昔から日本で栽培されている品種 薬用として使われることもある とても丈夫で初心者も育てやすい 地植えすると大きく群生する |
| アロエ ベラ | 昔から日本で栽培されている品種 食用や化粧品として使われる 育ちが早くて簡単に栽培できる |
| 千代田綿 | 葉の表面に白い斑点模様がある品種 花茎は15cm程度と短い タイガーアロエとも呼ばれている |
| 不夜城 | 株全体が小さくまとまっている品種 鉢植えでも育てやすく初心者向き ロゼット上に葉が広がっていく |
| アロエ プリカティリス | 扇状に葉がついていく品種 幹が太くて木のような見た目 成長は遅めで、鉢植えの場合は1年で2cmほどしか伸びない |
| アロエ カスティロニアエ | 葉の赤いトゲが特徴的な品種 小型の品種で葉の長さは4cm〜6cmほど 2006年に新種として記載された |
| アロエ ポリフィラ | うずまき状に葉がついていく品種 葉の色は鮮やかな緑色 日本の気候ではやや育てにくく中級者以上向け |
初心者が育てやすいのは、日本で昔から親しまれているキダチアロエやアロエ ベラです。
寒さや暑さに比較的強く、丈夫でこまめに水やりする必要もありません。
千代田綿や不夜城は、比較的小さめの品種のため、家の中で育てたい人におすすめです。
珍しい品種は成長が遅めだったり、すこし手入れにコツが必要だったりと、栽培が難しい傾向にあります。
アロエはどんな花が咲く?

アロエは、茎の先端部分に花を咲かせます。
小さいバナナのような細長い花が密集し、三角形に近い形を形成するのが特徴です。
アロエの花は赤色や黄色、オレンジ色などで、品種によって色は異なります。
アロエの見た目からは想像しづらい派手な色の花が咲くため、驚く人もいることでしょう。
日本でよく栽培されているキダチアロエは赤色の花が咲きます。
また、アロエ ベラは黄色の花が咲きます。
アロエの葉っぱの特徴

アロエの葉っぱは、肉厚で細長く先がとがっているのが特徴です。
品種によっては葉の側面や全体にトゲがついています。
厚みのある葉っぱの中にはゼリー状の組織があり、そこに水分を蓄えて育ちます。
葉を切ったり折ったりすると、ぬめりのある液が出てくるのも特徴の1つです。
アロエの花言葉
アロエの花言葉は「健康」「万能」「苦痛」「悲劇」です。
アロエの育て方
アロエは日本の気候に合う品種を選べば、初心者にも育てやすいでしょう。
ただし、育て方にはいくつかのポイントがあります。
アロエは原産国が乾燥地帯である南アフリカやマダガスカルのため、乾燥を好みます。
一方、湿気の多い場所は苦手なため、風通しの良い場所に置くことが大切です。
水やりや肥料をあげるタイミングなどのポイントを知っておくと、元気で大きなアロエに育てられるでしょう。
水やりの頻度
アロエは特徴的な肉厚の葉に水分を蓄えるため、頻繁に水やりする必要はありません。
水の与え過ぎは根腐れの原因となるため、やや乾燥気味を意識して育てるとよいでしょう。
具体的な水やりの頻度は、以下のとおりです。
| 4月〜10月 | 土の表面が乾いたら、さらに2日〜3日乾かしてから水やりする |
| 11月〜3月 | 多くても2週間に1回程度にとどめる |
成長期である4月から10月は、土の表面が乾いた状態でさらに2日程度乾かしてから水を与えます。
鉢底から水が出るくらいたっぷりと水やりをしましょう。
休眠期はあまり水を必要としません。
11月から3月は、多くても2週間に1回程度に水やりの頻度を抑えましょう。
肥料のあげ方
アロエは、適度に肥料を与えることで、より元気に美しく成長します。
植え付けの際に緩効性肥料を規定量与え、成長期である4月から10月に追肥するのがおすすめです。
アロエの休眠期である11月から3月は肥料を与える必要はありません。
追肥は液体肥料と置き肥のどちらでも大丈夫なため、与えやすいものを選ぶと良いでしょう。
ただし、肥料を与える頻度は、以下のように種類によって異なるため注意が必要です。
| 液体肥料 | 10日に1回程度 |
| 固形肥料(置き肥) | 1ヶ月〜2ヶ月に1回程度 |
肥料の与え過ぎは根や葉が痛む原因となるため、適切な頻度を守ることも大切です。
病害虫・害虫対策

アロエは、比較的病害虫の発生が少ない植物です。
ただし、風通しが悪い場所で育成すると病害虫が発生しやすくなります。
アロエにつく病害虫とその対策について以下にまとめました。
アブラムシ
症状:葉や新芽にアブラムシが群がり、葉や茎がベタつく
対策方法:症状が出ている葉はカットし、アブラムシをテープなどで除去する
ハダニ
症状:葉に小さな白い点が現れる
対策方法:症状が出ている葉は取り除き、薬剤を散布する
カイガラムシ
症状:葉に白い粉のようなものが付着する
対策方法:症状が出ている葉は取り除き、表面の虫を歯ブラシなどでこすり落とす
上記の病害虫はいずれも繁殖力が強いため、見つけ次第対処することで被害を最小限に抑えられます。
こまめに手入れをして早期発見し、事前に予防するようにしましょう。
種まきと植え方
アロエは苗から育てることが一般的ですが、種からでも育てられます。
室内での育成であれば1年中育てられますが、最も適した時期は3月から5月です。
アロエの種まきに必要な道具について、以下にまとめました。
- 種
- 鉢
- 受け皿
- 種まき用の土
- 殺菌剤
アロエの種まきは、以下の手順でおこないましょう。
殺菌は必ずしなければならない工程ではありませんが、発芽率を高めるためにおこなうと良いでしょう。
用土の殺菌には熱湯を使う方法もあります。
用土に熱湯をかけ、よく冷ましてから使いましょう。
また、腰水に発芽促進剤を混ぜると、より発芽しやすくなります。
発芽するまでは直射日光があたらない場所に置き、20℃〜25℃程度を保つことが大切です。
アロエの栽培環境

アロエは暑さに強く、寒さにもある程度は耐えられるため、日本でも比較的栽培しやすい植物です。
ただし、日当たりが悪い場所やじめじめした場所は苦手な傾向があります。
風通しや日当たりに気をつけて乾燥気味を意識すると、元気に育つでしょう。
置き場所と日当たり

アロエは、日が当たる風通しの良い場所で育てましょう。
夏生育型の多肉植物で暑さには強いため、夏場でも成長し続けるのが特徴の1つです。
気温が高い時期は、屋外で育てるのもおすすめです。
ただし、夏場の強い日差しが長時間当たると葉焼けを起こす可能性もあるため、アロエの様子を見ながら置き場所を検討する必要があります。
寒さにはあまり強くないため、霜が降りる時期は室内や軒先などに移動させると良いでしょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
アロエの生育に適切な温度は、15℃から25℃です。
極端な寒さや暑さは、アロエの成長を鈍らせる可能性があります。
また、アロエにとって過酷な環境が続くと、枯れたり葉が溶けたりと状態の悪化につながります。
特に、気温が10℃以下になる場合は霜対策が必要です。
玄関や軒先、室内など10℃以上を保てる場所に移動させましょう。
アロエが赤くなる原因と対処法

アロエが赤くなる主な原因は、寒さです。
栽培環境が合わずにストレスを感じると、アロエは赤くなります。
これは、アロエが自分の身を守るために、緑葉体の部分を赤く変化させて成長を止めることから起こります。
アロエが赤くなったときは、栽培環境を見直して適切な温度が保てる場所への移動が必要です。
赤くなったアロエが再び緑色に戻るには2ヶ月ほど時間を要しますが、その間の変化も楽しむとよいでしょう。
アロエの土の配合比率(用土)

アロエは、水はけが良く保水力もある土が適しています。
具体的には、市販されているサボテン用や多肉植物用などの専用土がおすすめです。
アロエに適した土を作ることもできますが、初心者は専用土を使うことで簡単に栽培できるでしょう。
ある程度慣れたら、土づくりにもチャレンジすることでさらに栽培を楽しめます。
アロエの種まき
アロエは、苗から育てることが一般的ですが、種からの栽培も可能です。
ただし、苗から育てるよりもハードルが高い傾向にあります。
他の植物と同様に、気温・水・空気の3つの条件をそろえましょう。
種まきにおすすめの時期は4月~5月
アロエの種まきにおすすめの時期は、気温が上昇しはじめる4月から5月です。
アロエの発芽適温は21℃から24℃で、低すぎると発芽しづらいため、気温を見ながら種まきをしましょう。
種まき後は、直射日光の当たらない明るい場所に置き、発芽まで土の乾燥に注意が必要です。
アロエを種から育てると大変?
アロエに限らず、植物を種から育てる際は、複数の手入れが必要です。
そのため、苗から育てるよりも難易度は高くなります。
アロエを種から育てるときに必要な手入れは、以下のとおりです。
| 手入れ | 発芽前 | 発芽後 |
|---|---|---|
| 日光管理 | 直射日光の当たらない明るい場所に置く | 日当たりの良い場所に置く |
| 水やり | 腰水で与える | 腰水または霧吹きで与える |
| 肥料 | 推奨濃度を半分程度に薄めた液体肥料を腰水で与える | 苗の本葉が増えてきたら推奨濃度の液体肥料を株元に与える |
| カビ対策 | こまめに確認する必要に応じて殺菌する | 発芽前同様にこまめに確認する |
発芽前と発芽後では手入れ方法が異なる点にも注意が必要です。
発芽後は、日当たりの良い場所に置くことで光合成が促進されて丈夫な苗に育ちます。
また、発芽直後は根がしっかり張っていないため、水やりで芽が倒れてしまわないように、腰水か霧吹きで水を与えましょう。
腰水とは、鉢植えの底に水受け容器を設置し、そこに水を入れることで鉢底から水分を吸わせる方法のことです。
アロエの開花時期

アロエは、緑色の肉厚な葉が特徴的なため、花が咲くイメージがない人もいるのではないでしょうか。
アロエは、さまざまな条件が重なった時に花を咲かせます。
毎年咲くわけではないため、アロエの花は珍しいといえます。
開花時期は冬
アロエの開花時期は12月から2月頃です。
成長期である4月から10月とは時期がずれているので、より珍しさを感じるかもしれません。
ただし、アロエは10℃以下だと休眠するため、開花を目指す場合は冬でも20℃前後を保つ必要があります。
アロエの花が咲かない原因は?
アロエの花は毎年咲くと決まっておらず、さまざまな条件が重なったときに開花します。
アロエの花が咲く可能性が高くなる条件は、以下のとおりです。
- 高さが50cm以上ある
- 茎の太さが2.5cm以上ある
- 1日中日光によく当たっている
室内で小さく育てている場合は、花が咲く確率は低いでしょう。
ただし、上記の条件が揃っていても、水やりや肥料、周りの環境などによって開花しない場合もあります。
アロエの増やし方

アロエは株分けや葉挿しをすることで増やせます。
アロエは生命力が強く、どんどん子株ができていくため、簡単に増やしたい場合は株分けがおすすめです。
ただし、株分けも葉挿しも適切な手入れは大切です。
時期や方法を間違うと、上手く増やせない可能性もあるため、事前に適切な方法を確認しましょう。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
アロエの剪定や株分けは、成長期である4月から10月におこないましょう。
特におすすめの時期は5月から6月のカラッと晴れた日です。
気温が安定して日照時間も長くなる時期に株分けをおこなうことで、成長が促進されて根が張りやすくなります。
剪定や株分けは、アロエを美しく育てるために欠かせない手入れですが、植物にストレスを与える行為でもあります。
成長が盛んで活発な時期におこなうことで、アロエに与えるストレスを最小限に抑えられるでしょう。
葉挿しのやり方
アロエは、葉を1本切り取って別の鉢に植える「葉挿し」でも増やせます。
ただし、株分けよりも難易度は高い傾向にあります。
葉挿しをするときに必要な道具は、以下のとおりです。
- 支柱
- 鉢
- 鉢底ネット
- サボテンや多肉植物用の土
- 清潔なハサミ
- 割り箸
下記の流れで葉挿しをおこないましょう。
- 健康な葉を選び、茎についている部分から切り取る
- 切り取った葉を3日以上日陰で乾かす
- 切り口が完全に乾いたら葉挿しをおこなう
- 鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 鉢の8割程度の高さまで土を入れる
- 割り箸で穴を掘って茎を植える
- 支柱を挿して葉をくくりつける
葉挿しをするときに1番気を付けるポイントは、切り取った葉を3日程度乾かすことです。
切り口が湿った状態で葉挿しをすると、雑菌が入ってしまい枯れやすくなります。
また、葉挿し直後の根が張っていない状態では、葉が倒れてしまうため支柱が必須です。
葉挿しをして1ヶ月から2ヶ月程度で根が張ります。
植え替え時期はいつがいい?
アロエの植え替えは3月から10月の温暖な時期におこないましょう。
特におすすめの時期は気温が安定しやすい3月から5月と9月です。
アロエの成長期に植え替えをすることで、新しい鉢でも根が張りやすくなるでしょう。
アロエは成長が早く、根詰まりを起こしやすい植物です。
元気に育てるために、2年に1回程度植え替えをして根詰まりを解消することをおすすめします。
鉢替えのやり方
アロエの鉢替えの方法は、以下の手順でおこないましょう。
- 株の根元を優しく持ち、鉢から出す

- 古い土を軽く落とす

- 傷んでいる根があれば、はさみで切り取る

- 新しい鉢に鉢底ネット、鉢底石、用土の順に入れる

- アロエを鉢に入れ、土で株元を覆う

- 鉢替えから4〜5日後に水やりする
アロエを古い鉢から出した際に、黒ずんでいる根は腐っています。
腐っている部分ははさみで切り落としましょう。
もしも、根を切った場合には、切り口から雑菌が入る可能性があるため、3〜4日ほど日陰で乾燥させる必要があります。
根が完全に乾燥してから新しい鉢に植えましょう。
また、鉢替え直後は水やりを控え、4日から5日経過してから与えてください。

