アンスリウム クラリネルビウムの育て方
公開日 2025年01月18日
更新日 2025年01月18日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。

INDEX
目次
アンスリウム クラリネルビウムの基本情報
植物名 | アンスリウム クラリネルビウム |
学名 | Anthurium clarinervium |
英名 | the mexican velvet cardbord Anthrium |
別名 | ベルベット カードボード アンスリウム(Velvet Cardboard Anthurium)、アンスリウム クラリネビューム |
原産地 | メキシコ |
科目 | サトイモ科 |
属名 | アンスリウム属(ベニウチワ属) |
開花時期 | 春~秋 |
アンスリウム クラリネルビウムは、ベルベットのような質感をした濃い緑色の葉に、白く美しい葉脈が特徴的な観葉植物です。
品種が600種以上もあるアンスリウムの中でも、ハート型でユニークな葉を鑑賞するタイプの品種になります。
個性的な葉の模様が非常に美しいので、お部屋をおしゃれに彩るインテリアグリーンとしてとても人気のある植物です。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種

品種 | 葉っぱの形 | 葉脈 |
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アンスリウム クラリネルビウム | ハート型 | 白い葉脈 |
アンスリウム フォルゲッティ | 小ぶりな涙型 | 白い葉脈 |
アンスリウム クリスタリナム | ハート型 | 白い葉脈 |
アンスリウム ビレナオルム | 大きい縦長 | 白い葉脈 |
アンスリウム ワロクアーナム | 細長い縦長 | 葉と同じ色 |
アンスリウム ラディカンス | 大きい縦長 | 葉と同じ色 |
アンスリウム クラリネルビウムは、アンスリウムの中でも葉の美しさを楽しむタイプの品種です。
花(仏炎苞)を楽しむタイプのアンスリウムが品種改良された園芸種であるのに対して、クラリネルビウムは原種系のアンスリウムとされています。
その他の原種系のアンスリウムには、以下のようなものがあります。
アンスリウム クラリネルビウム

ベルベットのような質感をした濃い緑色の葉と、白く美しい葉脈が特徴的な品種です。
アンスリウム フォルゲッティ

濃い緑色の葉にシルバーのハッキリとした葉脈が入り、成長するにつれ葉脈のシルバーが濃くなっていくのが特徴的な品種です。
アンスリウム クリスタリナム

和名を「シロシマウチワ」と言い、白い葉脈が特徴的な品種です。
葉っぱの丸い「アンスリウム クリスタリナム ドラヤキ」という品種も人気があります。
アンスリウム ビレナオルム
成熟すると葉が30cm以上にもなる大型の原種アンスリウムです。
葉に光沢があり、光に当たると美しく輝きます。
アンスリウム ワロクアーナム

ほっそりとした形の葉で、他の種類ほど葉脈は目立ちませんが、葉表面のベルベットのような質感が魅力的な品種です。
アンスリウム ラディカンス

縦長の大きな葉で、葉脈は白くありませんが、凸凹がくっきりとついているため目立ちます。
クリスタリナムとの違いは?

アンスリウム クラリネルビウムとよく似た品種に、アンスリウム クリスタリナム(別名 シロシマウチワ)があります。
アンスリウム クリスタリナムは、クラリネルビウムに比べると流通量の少ない希少品種です。
苗の状態ではほとんど見分けがつきませんが、成長すると以下のような違いが現れます。
特徴 | アンスリウム クラリネルビウム | アンスリウム クリスタリナム(シロシマウチワ) |
---|---|---|
葉の形 | 丸みを帯びた形 | 葉先が尖って長細い |
葉の厚み | 厚い | クラリネルビウムに比べて薄い |
花(仏炎苞) | 黄緑色 | うっすらピンクがかった白色 |
アンスリウム クラリネルビウムはどんな花が咲く?

アンスリウム クラリネルビウムは、5〜6cm程度の褐色を帯びた黄緑色の花を咲かせます。
園芸品種とは違って、原種系のアンスリウムの花はあまり目立ちません。
温度変化が少ない10℃以上の暖かい室内で育てていれば、定期的に花を咲かせます。
アンスリウム クラリネルビウムの葉っぱの特徴

アンスリウム クラリネルビウムの葉には、カメの甲羅の模様に似た「網状脈」と呼ばれる葉脈があります。
クラリネルビウムは、「Clari(はっきりしている)」と「nervi(神経)」が名前の由来となっていて、まさに神経のように張り巡らされた葉脈がユニークです。
葉の形 | 丸みを帯びたハート型 |
葉の質感 | 厚みがあり、ベルベットのような高級感がある |
葉の色 | 濃い緑色に、白い葉脈が入る |
アンスリウム クラリネルビウムの花言葉
アンスリウム クラリネルビウム特有の花言葉はありませんが、アンスリウム全体では「情熱」や「印象深い」という花言葉があります。
クラリネルビウムの個性的な葉脈はまさに「印象深い」という花言葉にぴったりです。
アンスリウム クラリネルビウムの育て方

アンスリウム クラリネルビウムは、湿度の高い森林の岩の間などに自生しています。
樹木に着生する品種も多いアンスリウムですが、クラリネルビウムは陸生です。
原産地では熱帯雨林やジャングルのような場所に自生しているので、明るい日陰でも育てることができます。
水やりの頻度
アンスリウム クラリネルビウムは高温多湿を好む植物です。
寒さにはやや弱いので、気温が低い時期は日中のあたたかい時間帯に室温程度の水を与えます。
ジメジメとした自生地の環境に近づけるため、霧吹きで湿度を保つと効果的です。
葉にこんなサインが出たときには注意!
- 葉先が黄色く枯れている→水のやりすぎのサイン、根腐れを起こす前に水のやり方を見直してみましょう。
- 葉先が茶色く丸まる→水切れのサイン、ダメージを受けた部分は元に戻らないので早めにしっかり水分を与えます。
肥料のあげ方
基本的に、肥料がなくても育つ植物です。
以下の場合には、葉の成長を促す窒素系の肥料を与えると良いでしょう。
- 大きく成長させたいとき
- 葉の色艶を美しく育てたいとき
- 花を咲かせたいとき
アンスリウムは15℃以下で生育を止めてしまうので、肥料は生育期である春〜秋に与えると良いでしょう。
また乾燥気味の土壌を好むので、緩効性の固形肥料が適しています。
葉っぱを濃い緑にするには?

しっかりと日の光に当てることで、葉が濃く美しい緑色になります。
置き場所は直射日光を避けた、明るい日差しの降り注ぐ場所が最適です。
それでも葉の色や葉脈とのコントラストが薄いときには?
直射日光に当てると最初は葉焼けを起こしますが、株が環境に適応することで葉焼けを起こさなくなり、成長が促進されます。
成長が止まってしまったときや、葉の色が濃くならないなど、日照不足が疑われる場合に有効な方法です。
ただし直射日光に耐えられる株になるまでには一定の期間が必要なので、長いスパンで見守りましょう。
病害虫・害虫対策
日ごろから良く葉や茎の状態を確認しておくことで、万が一の発生にも早めに対処することができます。
虫の発生を防ぐために、土や管理方法に注意しましょう。
害虫ごとにクラリネルビウムに現れる症状と発生した場合の対処法は以下の通りです。
ハダニ
- 葉焼けしていないのに葉が白っぽくなる
- 白い斑点が出る
蒸れは、ハダニを発生させる原因になります。
アンスリウム クラリネルビウムは葉が大きいので、風通しを良くすることで蒸れを防ぎましょう。
アブラムシ
- 生育期である4〜10月に発生する
- 吸汁し株全体が病気になる
アブラムシは2〜4mmほどのサイズなので、目視で確認ができる害虫です。
葉やつぼみなどから吸汁し、その部分からウイルスが入り込むと株全体が病気になってしまいます。
普段から葉や仏炎苞を優しく拭いておくことで、万が一の発生にも早めに気が付くことができるでしょう。
アザミウマ(スリップス)
- 新芽がなかなか育たない
- 葉の色が褪せる、葉の形がいびつになる
アザミウマの幼虫はかなり小さく、クラリネルビウムの産毛が生えたようなベルベット状の葉の上では見つけづらいので注意が必要です。
またクラリネルビウムの新芽は丸まった状態で生えてくるので、内側に発生すると気が付きづらいです。
柔らかい葉にはアザミウマが発生しやすいので、新芽の時期は特に注意しましょう。
虫が発生した場合の対処法
虫が発生した場合は、ベルベット状の美しい葉を傷つけないために、流水で洗い流すか、柔らかい布でふき取って対処しましょう。
テープでの駆除は、クラリネルビウムの産毛も取り去ってしまうことがあるので注意が必要です。
被害が広範囲にわたる場合は、薬剤を塗布して駆除します。
植え方
アンスリウム クラリネルビウムは、苗から鉢植えで育てるのが一般的です。
また10℃以下では枯れてしまうので、地植えには不向きと言えます。
根の成長が良いので、2年に1度を目安に植え替えを行いましょう。
アンスリウム クラリネルビウムの栽培環境

アンスリウム クラリネルビウムはメキシコの森林地帯を原産とし、岩の間などに自生する植物なので明るい日陰でも成長します。
ただし葉の色が濃く葉脈の模様がはっきりとした美しい姿に育てるには、日光にしっかりと当てることが大切です。
置き場所と日当たり
レースカーテン越しの窓際など、柔らかい日差しが入る場所を選びましょう。
耐陰性はありますが、日陰で育てると葉の色が薄く、茎が徒長する原因になります。
葉焼けを避けるため、夏の強い直射日光は避けましょう。
ただし成長を促進させたい場合や、葉の色を濃くしたいときには、ある程度時間をかけて株を直射日光に適応させて育てることができます。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
暑さには強いですが、寒さには弱いので、冬場は10℃以上を保った室内で管理しましょう。
アンスリウム クラリネルビウムの生育に理想的な温度は20〜30℃です。
冬場にリビングなどで暖房を使う際は、葉の乾燥を避けるため以下の点に注意して育てましょう。
- エアコンの風が直接当たらないように置き場所に気を付ける
- 葉水をして乾燥を防ぎ、多湿な環境を保つ
用土
アンスリウム クラリネルビウムは、粗く水はけのよい用土を好みます。
またpH6.0〜6.5程度の弱酸性の用土が適しているので、酸性の性質を持つ土(鹿沼土:かぬまつちなど)をベースにする場合は酸度調整をしましょう。
慣れるまではアンスリウム専用にブレンドされた土かラン用の培養土を使うと失敗が少ないです。
アンスリウムに適した用土
アンスリウムに適した配合例
アンスリウム クラリネルビウムを種から育てるのは大変?
原種系のアンスリウムの種子を国内で入手するのは困難なので、種から育てる場合は個人輸入などで種を購入する必要があります。
また乾燥した状態では発芽しないため、園芸店などでも販売されていません。
まれに花を付けたあとに結実することもありますが、自家受粉しないため実を付けるためには2株以上を育てる必要があります。
アンスリウム クラリネルビウムの増やし方
アンスリウム クラリネルビウムは、株分けや挿し木で増やすことができます。
株分けや植え替え時は手袋の着用を!
アンスリウムはサトイモ科の植物で、樹液には毒性があります。
直接触れると肌荒れを起こすことがあるので、剪定や植え替えの際は手袋を着用しましょう。
またペットや乳幼児が舐めたり、誤飲しないようにも注意が必要です。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
剪定、株分けは、生育期である春〜秋に行います。
住んでいる地域や環境にもよりますが、5〜10月頃のあたたかく晴れた日に行いましょう。
切り口や根が寒気に触れると、ダメージから回復できずに枯れてしまうことがあるので、室内であっても室温には気を配って作業を行います。
株分けのやり方
- 株を切り取る
- 切り口に発根促進剤を塗る
- 水苔などに植え込む
- 湿度を保って成長を見守る
① 株を切り取る
気根と芽がセットになるような位置で株を斜めに切り取り、余分な葉は落とします。
② 切り口に発根促進剤を塗る
切り取った株の切り口に発根促進剤を塗りこみます。
③ 水苔などに植え込む
植え替え後は発根するまで湿った状態を保つ必要があるので、水苔を利用すると管理がしやすいです。
④ 湿度を保って成長を見守る
5カ月ほどで、しっかり発根するので、発根後は好みの用土を入れた鉢に植え替えを行いましょう。
切り取りが終わった本体の株元は、それ以上負担をかけないようにそのままにして回復を待ちます。
挿し木のやり方
- 枝を切り取る
- 余分な葉を摘み取る
- 発根を待つ
- 水耕栽培か植え替えて育てる
① 枝を切り取る
元気なアンスリウム クラリネルビウムの枝を選び、枝先から10〜15cmほど切り取ります。
② 余分な葉を摘み取る
余分な水分が蒸発してしまうのを防ぐために、葉を2〜3枚残し、その他は摘み取りましょう。
③ 発根を待つ
発根促進剤を混ぜた水に枝先を浸け、水を毎日交換しながら発根するのを待ちます。
水は枝が半分程度浸かっていれば十分です。
④ 水耕栽培か植え替えて育てる
発根したあとは、そのまま水耕栽培で育てるか、好みの用土に植え替えて育てましょう。
植え替え時期はいつがいい?
植え替えは、生育期である春〜秋に行います。
アンスリウム クラリネルビウムは寒さに弱いので、根が寒い外気に触れるとダメージから回復できずに枯れてしまう可能性があります。
根腐れなどでやむを得ず寒い時期に作業する場合は、室内をあたたかく保った状態で作業を進めましょう。
鉢替えのやり方
- 株を引き出す
- 根を整理する
- 新しい鉢にセットする
- 用土を足す
2年に1度を目安に、ひとまわり大きな鉢へ植え替えを行いましょう。
また株を増やしたい場合は、同じタイミングで株分けも行います。
① 株を引き出す
株元に手を当て、鉢を倒すようにしながらそっと株を引き出します。
② 根を整理する
白色の元気な根を残し、枯れて黒く変色した根を切り落として整理しましょう。
③ 新しい鉢にセットする
今よりひとまわり大きな鉢に好みの用土を入れ、株を中央にセットします。
沈みすぎてしまう場合は、底に軽石などを敷き高さを調整しましょう。
底に軽石を入れることで水はけを良くすることもできます。
④ 用土を足す
割りばしで鉢の周囲をつつきながら用土を足し、隙間を埋めていきます。
鉢の上1~2cmほどは、水やりスペースとして残しておきましょう。
植え替え後は、鉢底から水が出るまでしっかりと水やりを行い、日陰で2週間ほど休ませてから通常の管理を再開しましょう。