パンダガジュマルの育て方
公開日 2024年08月20日
更新日 2025年03月30日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。

パンダガジュマルの基本情報
植物名 | パンダガジュマル |
学名 | Ficus microcarpa ‘Panda’ |
和名 | パンダガジュマル |
英名 | Chinese Banyan |
別名 | タイワンガジュマル、多幸の木 |
原産地 | 熱帯アメリカ・ 沖縄・熱帯アジア |
科名 | クワ科 |
属名 | ガジュマル属 |
開花時期 | 8月~9月 |
パンダガジュマルはガジュマルの品種のなかでも希少で人気があります。
センカクガジュマルの突然変異と言われる品種で、丸みを帯びた葉が可愛らしいガジュマルです。
ガジュマル属の植物は丈夫で育てやすいですが、パンダガジュマルは他のガジュマルと比べると少し難易度が高いと言われています。
基本的な育て方は他のガジュマルと同じですが、パンダガジュマルの場合は特に過湿に注意が必要です。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種

普通のガジュマルとの違いは、主に葉の形と色、気根の太さです。
パンダガジュマル

センカクガジュマルの変異種で、葉っぱに丸みがあってかわいらしい見た目です。
パンダガジュマルは葉の大きさが普通のガジュマルと比べて小さいのも特徴と言えます。
普通のガジュマル

一般的に流通しているガジュマルは、パンダガジュマルと比べると気根が太く葉っぱが尖っています。
葉っぱの光沢はあまりなくマットな質感なので、落ち着いた雰囲気があります。
パンダガジュマルはどんな花が咲くの?
パンダガジュマルの花は、他のガジュマルと同じく外側から姿を見ることはできません。
ガジュマル属の植物が付ける花はイチジクのように果実の内側に咲きます。
果実のような部分は、幹や枝を変化させて作られた花嚢(かのう)と呼ばれるものです。
花嚢の大きさは1cm程度で、中にはたくさんの種子が入っています。
パンダガジュマルの葉っぱの形

パンダガジュマルの葉の形は肉厚で丸みを帯びています。
光沢があり大きさが小さめなのも特徴です。
葉の裏側は中心部を通る葉脈が太く盛り上がっています。
パンダガジュマルの花言葉
パンダガジュマルの育て方

パンダガジュマルは普通のガジュマルよりも生育速度が遅いため、普通のガジュマルと同じ育て方では弱ってしまう可能性があります。
以下のポイントに注意して育てましょう。
- 小さい苗や初めての冬越しの場合は室内で管理する
- なるべく10~30℃で育てる(適温は25~30℃)
- 耐陰性はあるが日光が不足しすぎると徒長の原因になる
- 真夏の直射日光は避け半日陰に置く
- 水は土の表面が乾いてからあげる
- 水はあげすぎない
- 春~秋の間は1~2日に1回の頻度で葉水を行う
- 肥料は成長期の4~10月に与える
水やりの頻度
パンダガジュマルの水やりは土が完全に乾いてから行います。
パンダガジュマルは普通のガジュマルよりも生育速度が遅く、水の吸い上げ量が少ないです。
普通のガジュマルと同じ感覚でたっぷり水やりをすると、根腐れを起こす場合があります。
水やりの頻度、水の量は普通のガジュマルよりも少なめで、土が乾いたらほどほどに水を上げるくらいです。
夏場は昼間の気温が高くなるため、水やりは早朝か夕方以降に行いましょう。
水やりは春から秋にかけて行い、冬の間はほとんど水を与えません。
肥料のあげ方
パンダガジュマルは4~10月の生育期に肥料を与えます。
使用する肥料の種類によって与える頻度が変わるため、各肥料に合った頻度で与えましょう。
固形の場合は2カ月に一度、液体の場合は2週間に一度です。
肥料を与える量は、各肥料の使用方法に従いましょう。
植え替えの直後は根が弱っている可能性があるため、植え替えから約2週間は肥料を与えません。
適切に肥料を与えることで、つややかな葉を茂らせてくれます。
剪定
ガジュマルには枝をすべて切り落とす「丸坊主」と呼ばれる剪定方法があります。
丸坊主は幹から出ている枝を根元からすべてカットする剪定方法です。
丸坊主にすることで、ガジュマルの新芽を出させる、弱ったガジュマルを回復させる、形を整えるなどの効果が期待できます。
ガジュマル全般に共通する剪定方法で、パンダガジュマルにも有効です。
切り口から出る白い液体に触れると人によってはかぶれてしまうため、剪定の際には手袋を着用しましょう。
丸坊主にした後は1週間ほど日陰に置き、水やりは控えめにします。
新芽が出るのは剪定後1週間ほどで、約45日後には枝葉が伸びて青々と葉を茂らせた姿を見ることができます。
病害虫・害虫対策
パンダガジュマルは強い生命力を持ちますが、病害虫によって枯れてしまうこともあるため注意が必要です。
ここではパンダガジュマルを含む、ガジュマル全般に共通する主な病害虫と対策を紹介します。
炭疽病
特徴:葉に黒い斑点のようなカビが生える。
対策:患部を剪定、新しい鉢や土に植え替え、風通しを良くし殺菌スプレーをかける。
黒星病(黒点病)
特徴:葉の内側に黒いシミのようなカビが生える。
対策:患部を剪定、新しい鉢や土に植え替え、風通しを良くし殺菌スプレーをかける。
ハダニ
特徴:葉の裏に寄生し白い斑点やクモの巣のようなものを生じさせる。
対策:全体を水洗いし、症状が酷い場合は殺虫剤を散布する。
コナカイガラムシ
特徴:葉の裏に寄生し白い埃のようなものを生じさせる。
対策:寄生部分をふき取り、症状が酷い場合は殺虫剤を散布する。
種まきと植え方
パンダガジュマルの種まきの時期は5〜7月です。
種には発芽抑制物質が付いているため、半日ほど水に浸けてから指で擦り洗いを行い発芽抑制物質を洗い流しましょう。
種まき用土ポットか土で育て、土で育てる場合は種に日光が当たるように覆土はしません。
発芽後小さな苗のうちは腰水で田んぼのような状態にしておきます。
葉が7〜8枚出てきたら鉢に植え付けましょう。
パンダガジュマルの栽培環境
パンダガジュマルの理想的な栽培環境は直射日光を避けた暖かい気温です。
寒さや霜、湿気にはあまり適しません。
栽培環境を整えて、つややかな葉で元気なパンダガジュマルを育ててあげましょう。
置き場所と日当たり
パンダガジュマルは半日陰か明るい日陰に置きます。
直射日光に当てると葉が焼けてしまうため注意しましょう。
春から秋にかけては日当たりの良い窓辺(レースカーテン越し)に置くのが理想的です。
冬場の窓辺は冷えるため窓から離れた場所に置きます。
エアコンの風が直接当たらないようにするのも大切です。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
パンダガジュマルの適温は、夏は10〜30℃、冬は5〜20℃です。
0℃までの寒さなら耐えることができますが、なるべくなら5℃を下回らないようにしましょう。
5℃以下の環境下では葉が枯れ落ちてしまう場合があります。
用土
パンダガジュマルの用土には、水はけと通気性の良い土を使用します。
水はけの悪い土は根腐れの恐れがあるため、パンダガジュマルには適しません。
パンダガジュマルの種まき
パンダガジュマルを種から育てるのはあまり一般的ではありません。
種の流通自体が少なく、一般家庭で種を入手するのが難しいためです。
種が入手できた場合は、適切な環境で種からパンダガジュマルを育てましょう。
種まきにおすすめの時期は春から夏
種まきは生育期間内の5~7月に行います。
好光性種子のため、発芽には光が必要です。
発芽まで日光と水をたっぷりあげましょう。
パンダガジュマルを種から育てると大変?
パンダガジュマルを種から育てるのは簡単なことではありません。
パンダガジュマルの開花時期
パンダガジュマルの開花時期は晩夏頃です。
花そのものは果実のような部分の内側に咲くため、開花した姿を見ることはできません。
開花時期は8~9月
パンダガジュマルは8~9月にかけて開花します。
パンダガジュマルが花を咲かせる部分は花嚢と呼ばれる果実のような部分の内側です。
花嚢は開花時期になると熟して赤くなります。
パンダガジュマルの花が咲かない原因は?
パンダガジュマルの花が咲かない原因は、育成環境に問題がある場合が多いです。
花が咲かない場合、以下のことが当てはまらないか確認してみましょう。
- 日光不足
- 急激な温度変化
- 低すぎる栽培温度
- 栄養不足
- 植え替え直後
- 根詰まり
- 植え付け直後
パンダガジュマルが花を咲かせるには時間がかかる場合が多いです。
栽培環境を整えながら、時間をかけて育てましょう。
パンダガジュマルの増やし方
パンダガジュマルは挿し木、水差し、取り木、種まきで増やせます。
なかでも簡単に増やせる方法は挿し木と水差しです。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
パンダガジュマルの剪定や株分けに適した時期は5~10月です。
パンダガジュマルの生育期である春から秋にかけて行うことで、剪定や株分け後もよく成長します。
適さない時期に行うと、剪定や株分けのダメージを回復できずに枯れてしまう可能性があるため、生育期間内に行いましょう。
挿し木のやり方
パンダガジュマルの挿し木・水差し・取り木はいずれも4~10月に行います。
挿し木は剪定した剪定枝を使って行います。
- 枝を剪定して挿し穂を作る
- 切り口を斜めにカットして1時間程度水に浸す
- 用土に挿し穂を挿す
① 枝を剪定して挿し穂を作る
10~15cm程度に枝を剪定し、挿し穂を作ります。
② 切り口を斜めにカットして1時間程度水に浸す
③ 用土に挿し穂を挿す
土の表面が乾いたら水を与えるようにして、半日陰で保管してください。
環境が整っていれば約20日で発根します。
水差し(水挿し)のやり方
水差しは挿し穂を水につけて発根させる方法です。
- 枝を剪定して挿し穂を作る
- 水槽やコップなどに水を張り挿し穂を入れる
- 水は5~7日に一度を目安に新しい物に取り替える
- 発根したら土栽培か水耕栽培で植え付ける
① 枝を剪定して挿し穂を作る
10~15cm程度に枝を剪定し、挿し穂を作ります。
切り口は斜めにカットしておきましょう。
② 水槽やコップなどに水を張り挿し穂を入れる
水差しの水には液体の植物活力剤を入れてあげると発根率があがるのでおすすめです
③ 水は5~7日に一度を目安に新しい取り替える
④ 発根したら土栽培か水耕栽培で植え付ける
発根には約20日程かかります。。
水差しで発根させたパンダガジュマルは水耕栽培との相性が良く、土栽培よりも大きく育ちます。
取り木のやり方
取り木のやり方
取り木は根を出させたい部分の枝(幹)に傷を付けて、そこから発根させる方法です。
- 発根させたい部分の枝の皮をはがす
- 皮をはがした部分にブラシなどで発根促進剤を塗る
- 塗った部分を水苔とラップで覆う
- 10日前後でラップを外し、発根部分のすぐ下をカットする
- カットした枝を用土に植える
① 発根させたい部分の枝の皮をはがす
まず、清潔なカッターを使って枝(幹)に切れ込みを入れてください。
それから切れ込みを入れた部分の皮をはがします。
② 皮をはがした部分にブラシなどで発根促進剤を塗る
③ 塗った部分を水苔とラップで覆う
まず水を吸わせた水苔を巻きつけ、その上からラップで覆ってください。
④ 10日前後でラップを外し、発根部分のすぐ下をカットする
⑤ カットした枝を用土に植える
取り木の処理をした部分は、10日前後で発根します。
覆った水苔は外さず、そのまま植えてしまって問題ありません。
植え替え時期はいつがいい?
パンダガジュマルの植え替え時期は5~6月です。
パンダガジュマルの生育期の始め頃に植え替えをすることで、早くダメージを回復し元気に成長します。
鉢替えのやり方
パンダガジュマルの鉢替えを行う目安は1~2年に一度です。
鉢替えに使う鉢は、替える前よりも大きなサイズの物を用意しましょう。
- 新しい鉢の準備をする
- パンダガジュマルを優しく引き抜く
- 新しい鉢に入れて土を押し込む
① 新しい鉢の準備をする
用意した鉢に鉢底ネットを敷き、鉢の底一面に鉢底石を敷き詰めます。
鉢の3分の1くらいまでを目安に用土を入れましょう。
② パンダガジュマルを優しく引き抜く
鉢替えを行うパンダガジュマルを、鉢から優しく引き抜きます。
根に付いた土は揉むようにしてほぐし、黒く変色した傷んでいそうな根はカットします。
③ 新しい鉢に入れて土を押し込む
パンダガジュマルを新しい鉢に入れたら、しっかりと上から土を押し込みましょう。
鉢替え後は水を与え、土が沈んだ場所は用土で補完します。