フィカス エラスティカの育て方
公開日 2025年11月05日
更新日 2025年11月05日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
INDEX
目次
フィカス エラスティカの基本情報
| 植物名 | フィカス エラスティカ |
| 学名 | Ficus elastica |
| 和名 | インドゴムノキ |
| 英名 | Indian rubber tree |
| 原産地 | インド~マレーシア |
| 科名 | クワ科 |
| 属名 | フィカス属 |
フィカス バーガンディやフィカス ベリーズなど、世話が簡単な観葉植物として人気のあるゴムノキの多くは、フィカス エラスティカから派生しています。
フィカス エラスティカの葉っぱは少し垂れ下がるように付き、観葉植物として心地よい存在感が魅力的です。
濃い緑色の葉っぱと赤い新芽の組み合わせが美しく、部屋のインテリアのアクセントにもなります。
育てやすくて丈夫なので、初めて観葉植物を育てる人でも継続してキレイな姿を楽しめるでしょう。
月別栽培カレンダー
剪定・株分け
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植え付け・植え替え
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肥料
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種類と品種
| 植物名 | 葉っぱの色 | 斑の有無 | 葉っぱの特徴 | 原産地 | 販売の多い鉢サイズ |
|---|---|---|---|---|---|
| フィカス エラスティカ | 深緑色 | 無 | 細長い楕円形 | インド~マレーシア | 6~7号 |
| フィカス デコラ | 濃い緑色 | 丸みのある楕円形 | 流通量が少ない | ||
| フィカス バーガンディ | 褐色や黒っぽい深緑色 | 葉っぱが黒っぽくなっていく | インド北東部、マレー半島 | 7~8号 | |
| フィカス ティネケ | クリーム色や白色の斑 | 有 | 緑、クリーム色、黄緑など多色 | インド、東南アジア | 4~7号 |
| フィカス ベリーズ | ピンク色やクリーム色の斑 | ピンクや赤色の葉っぱ | インド | 6~7号 | |
| フィカス ルビー | 葉っぱの裏の赤が濃い | 東南アジア | 6~8号 | ||
| フィカス メラニー | 黒っぽい深緑色 | 無 | 小さい葉っぱ | インド | 4~5号 |
フィカス エラスティカは下記で紹介している多くのフィカス属の観葉植物(ゴムノキ)の原種です。
フィカス デコラ

フィカス エラスティカの枝分かれ品種です。
フィカス デコラのほうが葉っぱの幅が広く、丸みがあるので「マルバインドゴムノキ」とも呼ばれています。
フィカス バーガンディ

葉っぱが次第に黒っぽい緑色になるため、別名「黒ゴム」と呼ばれています。
フィカス ティネケ

葉っぱの縁にクリーム色や白色の斑が入り、マーブル柄のように見えます。
フィカス ベリーズ

新葉は赤く、ピンク色やクリーム色の斑が入った葉っぱが特徴で、別名「赤ゴム」と呼ばれています。
フィカス ルビー

葉っぱの裏が濃い赤色で、ピンク色や赤色の葉っぱも成長するにつれて緑色に変色します。
フィカス メラニー
ゴムノキの中で葉っぱは小さく、流通量の少ない新しい品種です。
フィカス バーガンディに似た黒っぽい緑色の葉っぱを付けます。
フィカス エラスティカの葉っぱの特徴

フィカス エラスティカの細長い楕円形の葉っぱは、触ると革のような質感で厚みがあります。
葉柄は細く、少し垂れ下がるように付くのが特徴です。
葉っぱの長さは10〜30cmほどで、深い緑色と美しいツヤがあります。
新芽は赤い葉鞘(ようしょう)に包まれていて、ツヤのある深緑色の葉っぱとの組み合わせが大人っぽく、魅力的です。
フィカス エラスティカはどんな花が咲く?
フィカス エラスティカは1~2cmほどの黄色や黄緑色をした、楕円形の実の中で花を咲かせます。
フィカス属特有の「咽頭花序(いんとうかじょ)」という花の付けかたです。
ただし、受粉に必要な虫たちがいない日本では、フィカス エラスティカの花が咲くことはほとんど期待できないでしょう。
フィカス エラスティカの花言葉
フィカス エラスティカ単体での花言葉はありませんが、フィカス属全体は生命力の高さや丈夫さが由来となった「永久の幸せ」という花言葉を持っています。
フィカス エラスティカの育て方

世話が簡単なフィカス エラスティカの病害虫対策や仕立て直しなどを紹介します。
ポイントを押さえて元気に育てましょう。
水やりの頻度
フィカス エラスティカの成長サイクルに合わせて水やりの頻度を変えるのが大切です。
水やりのあとの受け皿に残った水は、根腐れを防ぐために必ず捨てましょう。
生育期
- 土が乾いたら午前中か夕方に鉢底から流れ出るくらい水をやる
※水切れに注意、下葉が落ちるのは水不足のサインなので水やりの回数を増やす
※暑い時間は土の中で水が高温になり、根腐れする可能性があるので避ける
休眠期
- 土が乾いて2~3日後、暖かい時間帯に鉢底から流れ出るくらい水をやる
※乾燥しやすいので葉水は回数を増やして土は乾燥ぎみに、水やりが多いと徒長の原因になる
※気温の低い時間は水が冷たく、根っこにダメージを与えてしまうので注意
葉水は季節を問わず毎日行う
霧吹きの水を毎日、葉っぱの表と裏に吹きかけることで葉っぱに付いたホコリが取れて清潔になり、瑞々しさを感じられます。
ほかにも葉っぱの乾燥を防ぎ、病害虫対策やほど良い湿度も保てるでしょう。
また、葉面洗浄剤などを使用すると簡単に葉っぱの汚れが取れ、ツヤツヤして見た目もより美しくなります。
肥料のあげ方
生育期(9〜10月)に肥料をあげます。
元気になって欲しいからと肥料を与えすぎると枝葉が伸び過ぎるので、適切な量で与えましょう。
- 生育期:緩効性化成肥料(置き肥)を月に1回か薄めた液肥を10~14日に1回水やり代わりにあげる
- 休眠期:なし
化成肥料であれば臭いも少ないので、不快なコバエが発生しにくいでしょう。
病害虫・害虫対策
フィカス エラスティカには、ハダニやカイガラムシ、アブラムシが付きやすいです。
特に春〜秋は害虫が付きやすい時期になるので、日頃からよく観察していれば異変に気が付き、早めに対処ができます。
風通しを良くして、日光をたっぷり当てておくと害虫が発生しづらくなります。
ハダニ
- 汁を吸った場所がかすれてくる
- クモの糸のようなものが付く
- 目視で見つけにくいほど小さい(0.3~0.5㎜)
テープで貼り付けるかシャワーで洗い流しましょう。
大量発生した場合は、葉っぱを切り落とすか木酢液や殺虫剤で退治します。
カイガラムシ
- 葉っぱの裏に付きやすい
- 排泄物から病気になる可能性がある
- 白や黒いカイガラムシが付く
卵であれば濡らした布やペーパーで取り、幼虫は殺虫剤を吹き付けます。
成虫は、ピンセットや歯ブラシなどでこすり落としましょう。
アブラムシ
- 排泄物で葉っぱがベトベトする
- 新芽が食べられる
- 繁殖力が高い
見つけたらテープで貼り付けて取るか殺虫剤を吹きかけて退治します。
あらかじめ土に殺虫剤を撒いたり、防虫スプレーをかけておいたりすると良いでしょう。
仕立て直しのやり方|カットする
フィカス エラスティカを仕立て直して樹形を整えたい場合は、気温が高すぎる真夏を避けた生育期(5〜10月)におこないましょう。
気温の落ち着いた春頃に仕立て直しするのがおすすめです。
梅雨の時期は断面が乾燥しづらく、枝に葉っぱを1〜2枚残していないと幹が枯れる場合があります。
仕立て直しは以下のタイミングで行いましょう。
- 大きく成長した
- 徒長した
- 冬を越して弱ってしまった
- 見た目のバランスが崩れている
- 脇芽を増やしたい枝の頂点の芽をカット
- 徒長しすぎた枝をカット
- 明るくて暖かい場所で育てる
① 脇芽を増やしたい枝の頂点の芽をカットする
フィカス エラスティカがぐんぐん上に成長するのを止めるために枝の頂点にある芽を切り落としましょう。
すると脇芽が出始めて、幹もやや太りやすくなります。
② 徒長しすぎた枝や幹をカット
下葉が落ちた箇所を手で触るとプクっとしていて、その少し上(2〜3cm上)を切り落とすと新芽が出てきます。
外側にある箇所の上を切ると枝が重ならずに伸びてくるでしょう。
伸びすぎた幹を修正したい場合は、好みの高さで切って芽が出てくるのを待ちます。
③ 明るくて暖かい場所で育てる
土が乾きにくい状態が続くと枝に水が溜まり、枯れる可能性があります。
暖かければ成長が活発になり、葉っぱも早く出てくるでしょう。
フィカス エラスティカの曲げ方
フィカス エラスティカには幹をS字型やらせん状に曲げ、デザイン性の高い樹形に変身させる仕立て方もあります。
- 好みの方向に曲げてみる
- 鉢に紐を1周巻いておくか支柱を立てる
- 曲げた角度を麻紐やビニール紐、結束バンド、ワイヤーなどで固定する
① 好みの方向に曲げてみる
枝がどの向きに傾いているか確認して、同じ方向に曲げていくとしなりやすくて簡単です。
優しく曲げて、角度を決めましょう。
ミシミシと音がしたり、樹液が出てきたりしたら要注意です。
枝が折れてしまう可能性があるので、一度に角度を付けるのではなく、数回に分けて好みのカーブを作るほうが良いでしょう。
② 鉢に紐を1周巻いておくか支柱を立てる
曲げた枝を固定するために、紐をくくる場所が必要になるので鉢に紐を巻いておくか支柱を立てるととめやすくなります。
らせん状にするときは、支柱を2〜3本立ててその周りを幹で囲うと良いでしょう。
③ 曲げた角度を麻紐やビニール紐、結束バンド、ワイヤーなどで固定する
曲げたい枝に紐を結び、ゆっくり角度を付けて紐の先を株の根元や鉢、支柱に結び付けます。
角度を付けているので結ぶときに、紐が少し緩んでしまわないように調整しながら固定しましょう。
絡めるだけで簡単に曲げられる支柱やクリップなどのアイテムを使用するのもおすすめです。
曲がりが留まるまで、紐の微調整をしながら育てます。
フィカス エラスティカの栽培環境

元気に成長させて、フィカスエラスティカの魅力を堪能しましょう。
適切な環境について説明します。
置き場所と日当たり

フィカス エラスティカは太陽が当たる明るくて暖かい場所に置くのがおすすめです。
日陰でも成長しますが、太陽をたっぷり浴びるとしっかりした株になり、徒長せず葉っぱの色やツヤも良くなります。
そのため季節や気温に合わせて最適な置き場所へ移しながら育てましょう。
- 春、秋:バルコニーや庭、テラス
- 夏:午前中に日差しが入る場所、レースカーテン越しの明るい窓辺
- 冬:明るくて暖かい場所
部屋から外に置き場所を移すときは、1週間前から半日陰(午前中に日光が当たる場所)に置いて太陽に慣らしておけば、落葉や葉焼けを防げます。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
フィカス エラスティカの適切な温度は15度以上です。
5度までは枯れませんが、成長がゆっくりになり、冷えた空気に当たると葉っぱが茶色に変色した後に落葉します。
冬の窓辺はひんやりとした空気が流れ込むので、窓から離れた場所へ移しましょう。
- 布製の鉢カバーを付ける
- 厚手のカーテンを引く
- 窓に段ボールを立てかける
- 鉢を段ボールや発泡スチロールに入れる
- プチプチ(気泡緩衝材)で鉢ごと1周巻く
- 暖房をつけて(温風が当たらないように注意)温度をキープする
用土
フィカス エラスティカには、市販の水はけの良い観葉植物用の土を使います。
自分の栽培する環境に合わせてオリジナルで土を混ぜて使用しても問題ありません。
- 赤玉土(小粒):5割
- 腐葉土:3割
- 軽石(小粒):2割
バランスのとれた赤玉土をベースに通気性や保水性などをプラスするために腐葉土や軽石などを使用しています。
粉塵が混ざっていると通気性や根っこの成長を邪魔するので、ブレンドする際にふるいにかけましょう。
フィカス エラスティカの増やし方

芽や根っこが出やすい5〜10月に手軽にできる挿し木や少し手間のかかる取り木でフィカス エラスティカを増やして楽しみましょう。
剪定の時期はいつがいい?
生育期である5〜10月(芽が出やすい春がおすすめ)に剪定し、好みの樹形を保ちましょう。
アルコール消毒をしたスパっと切れる剪定ハサミを使うと切り口がキレイで、リカバリーも早くなります。
樹液が肌に付いて荒れないように、手袋を付けて剪定しましょう。
肌や服に樹液が付いてしまった場合は、すぐに流水で洗ってください。
剪定のやり方
剪定は少なからずストレスを与えるので、フィカス エラスティカの回復が早くなるよう前もって日光浴をさせて株に力を蓄えておきます。
急に日向に出すと葉焼けするので、2〜3時間だけ優しい光のもとで1週間は慣らしておくと良いでしょう。
幹肌を出すのか葉っぱを茂らせたいのかを考えて剪定を始めます。
下の葉っぱからカットすると樹液が手に付きにくいのでおすすめです。
成長点(枝のプクっとした箇所)の向きに枝が伸びてくるので、想像しながら剪定しましょう。
脇芽を増やしたい場合は、枝の頂点にある芽を切り落とします。
挿し木のやり方
- 健康な枝を10~15cmで切り取る
- 根っこが出やすくするために切った枝を水に浸ける(1~2時間)
- 保水性の高い土に挿す
- 根っこが伸びやすいようにこまめに水やりする
- 明るい窓辺などに置く
- 葉っぱが2~3枚増えたら植え替える
① 健康な枝を10~15cmで切り取る
切り取った枝の下のほうにある葉っぱを落とします。
蒸散しすぎないように葉っぱは1〜2枚残して、大きい葉っぱは半分に小さくしておきましょう。
② 根っこが出やすくするために切った枝を水に浸ける(1~2時間)
③ 保水性の高い土に挿す
挿し木は乾燥しやすいので保水性の高い小粒の赤玉土やバーミキュライト、挿し木用の土に枝の半分くらいまで挿します。
肥料が入っていると腐るので不要です。
④ 根っこが伸びやすいようにこまめに水やりする
土が湿っていると根っこが伸びやすいので、毎日水やりします。
⑤ 明るい窓辺などに置く
- レースカーテン越しの明るい窓辺
- 午前中だけ日が差す
- 午後だけ日が差す
- 高木の下
⑥ 葉っぱが2~3枚増えたら植え替える
発芽すると徐々に葉っぱが増えてきます。
葉っぱの数がある程度増えてから植え替えると失敗しづらくなるでしょう。
取り木のやり方
- 消毒したカッターで幹を縦に2~3cmほど傷をつけて1周皮を剥ぐ
- むき出しになった部分に水苔を巻く
- 毎日、水苔の部分に水やりをする
- 根っこが張ったら水苔の下の部分を切り離す
- 鉢に植える
① 消毒したカッターで幹を縦に2~3cmほど傷をつけて1周皮を剥ぐ
根っこが出やすいように健康で太めの幹を選びます。
② むき出しになった部分に水苔を巻く
水を含ませておいた水苔をむき出しになった部分にかぶせます。
水苔を巻く前に発根剤を塗っておくと発根しやすくなるのでおすすめです。
ラップやアルミホイルで水苔が落ちないように包み、上下を紐やテープで固定しましょう。
③ 毎日、水苔の部分に水やりをする
④ 根っこが張ったら水苔の下の部分を切り離す
根っこが多く張ってから切り離すのがポイントです。
⑤ 鉢に植える
水苔を丁寧に外してから鉢に植えても付けたままでもどちらでも大丈夫です。
鉢に鉢底石を敷いて、株を中央に置き、土を入れます。
植え替え時期はいつがいい?
フィカス エラスティカは、5〜10月に植え替えをします。
植え替えの目安
- 3〜7号鉢は毎年
- 8号以上は2〜3年に1回
植え替えのタイミング
- フィカスエラスティカの背丈が鉢の高さの2〜3倍ほどになった
- 土から腐敗臭がする
- 水が浸み込まない
- 水がすぐ流れ出る
- 根っこが黒くなっている
- 幹の根元がぶよぶよしている
- 根っこが伸びて鉢にヒビが入っている
鉢替えのやり方
- 鉢をトントンと叩いて株を取り出す
- 健康な根っこを残す剪定
- 新しい鉢に植えるセットをする
- 新しい鉢の真ん中に垂直に植える
- 鉢から流れ出る水が透明になるまで水やりする
① 鉢をトントンと叩いて株を取り出す
鉢底から根っこがでていればカットしてから株を抜きます。
購入した鉢は、土が適切か確認しましょう。
水はけが良く、鉢の中で土の種類が均一になっていればそのまま育てても問題ありません。
② 健康な根っこを残す剪定
腐っている根っこなど1/3ほど取り除きます。
サイズを維持するなら健康な根っこを残して、根っこの量を半分にしましょう。
③ 新しい鉢に植えるセットをする
鉢に、排水性を高めるための鉢底石を鉢底が見えなくなるくらい敷き、鉢底石を隠すように土を入れておきます。
④ 新しい鉢の真ん中に垂直に植える
株を鉢の真ん中に入れて垂直になるようにしっかり押さえながら土を入れましょう。
細い棒でザクザクと突くと根っこの隙間にも土が入って株が安定します。
⑤ 鉢から流れ出る水が透明になるまで水やりする
鉢底から流れ出る水が濁っているのは、余分な微塵や細かい土を流し出しているからです。
流れ出る水が透明になれば問題ありません。

