観葉植物の根腐れの原因と対策|根腐れから復活させる方法
公開日 2025年09月01日
更新日 2025年09月01日
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
観葉植物の根腐れ
根腐れとは、植物に水をあげすぎて根が腐り、酸素や養分を吸収できず窒息状態になることを言います。
葉や根が変色したり、胴体が水を含みすぎて締まりなく膨らんできたりしていれば、根腐れが生じている見込みが高いでしょう。
根腐れが起こるメカニズム
根腐れの対処を正しく行うためには、根腐れを生み出す原因を理解するのが大切です。
植物が根腐れに至るメカニズムは以下のとおりです。
- 根に水が溜まることで土の中の酸素濃度が低下する
- 微生物の腐敗でアンモニアが発生し、生育被害を与える
- 根の細胞がふやけて機能しなくなる
根の部分に水が多すぎると、酸素不足で根の細胞が上手く呼吸できなくなり、根腐れにつながります。
どんな植物も根腐れの危険がある
どんな植物でも、水や肥料を必要以上に与えると、根腐れが発生するリスクがあります。
植物の育成に力を入れすぎるあまりに、頻繁に水や肥料を与えるのはかえってよくありません。
また、用土の乾燥が根腐れに結びつく場合もあるので、植物の管理方法には十分に気をつけましょう。
観葉植物が根腐れを引き起こす原因と対策

根腐れを引き起こす具体的な原因は、以下のとおりです。
- 水のやりすぎ
- 乾燥させすぎ
- 土の劣化
- 肥料のあげすぎ
- 根詰まり
根腐れの原因と対策を順に解説するので、植物を正しく成長させられるよう参考にしてください。
水のやりすぎ
植物に限度を超えた水を与えると、過剰な湿気が長く続いて根が酸素不足に陥り、根腐れを引き起こします。
土の表面がしっかり乾いてから水を与えるようにし、水やりの後は受け皿に溜まった水を忘れずに捨ててください。
乾燥させすぎ
水の与えすぎだけでなく、乾燥させすぎるのも植物の根にとってはよくありません。
乾燥させすぎると水分不足で根の先端が枯れ、生育が止まってしまいます。
対策として、エアコンの風や直射日光が当たる場所を避けて植物を置くようにしましょう。
土の劣化
長期間同じ用土を使い続けると、土の品質が低下することで乾きにくくなり、通気性の悪根腐れが発生しやすくなります。
また、水はけの悪い用土を使用していると、菌が増殖して根が窒息する恐れもあるのです。
対策として、赤玉土と鹿沼土が混ざった水はけの良い用土を使うのが好ましいでしょう。
肥料のあげすぎ
植物に肥料を過剰に与えると、肥料焼けが原因で根腐れを招く可能性があります。
肥料焼けとは、根に含まれている水分が浸透圧により土に流出し、根が傷ついてしまう現象です。
植物を枯らさないために肥料の使用方法を守り、与えすぎないように注意しましょう。
根詰まり
何年も同じ鉢の中に植物を植えていると、根詰まりが生じてしまいます。
根詰まりとは、根が鉢の底で渦巻いている状態です。
この状態が続くと水分や養分を吸収できず、植物の生育が止まり、根腐れの原因となります。
鉢の底から根が突き出ていたり確認できたりする場合は、ひと回り大きい鉢に植え替えを行ってください。
根腐れの見分け方|危険度別のサイン

根腐れの見分け方 | 危険度レベル |
---|---|
葉や茎が変色している | 低い |
水をやっても元気がない | 普通 |
根元がグラついている | 高い |
土から異臭がする・カビが生えている | 非常に高い |
幹がブヨブヨになっている | 非常に高い |
① 葉や茎が変色している

葉や茎が変色しているといった見た目でわかる植物の劣化だけなら、まだ復活できる余地があります。
日頃から植物に少しでも変色がないかをよく観察しておきましょう。
② 水をやっても元気がない

水をやっても植物に元気がない場合は、過剰な水やりによって根腐れが起きている恐れがあります。
根にまだ丈夫な部分が残っていれば、用土を乾かしたり植え替えをしたりすると復活させられるでしょう。
③ 根元がグラついている

根元を触ってグラつきを感じられたら、根腐れが進行している恐れがあります。
根腐れを疑ったら、幹を揺らしたり引っ張ったりしてグラつき具合をチェックしてみましょう。
④ 土から異臭がする・カビが生えている

根腐れは菌が繁殖することで起こるため、進行すると土から異臭が発生します。
増えた菌が、どぶのような嫌な臭いを発するのです。
さらに、根腐れが悪化すると臭いもさながら腐食によってカビが生えてきます。
ここまで進行すると、植物だけでなく植えている鉢にまでカビが生えてしまい、衛生的にも危険です。
葉が枯れたりコバエが寄ってきたりするため、土の異臭やカビに気づいたら速やかに植え替えを行いましょう。
⑤ 幹がブヨブヨになっている

植物の内部にまで菌が行き渡ると、幹が締まりなく太ってブヨブヨした状態になります。
幹がブヨブヨになっていると、土の中の根が全て腐り、植物全体の組織が侵されている可能性が高いです。
この状態では、回復が非常に難しいでしょう。
観葉植物の根腐れを防止する育て方のポイント

植物の根腐れを防止するには、土やプランター選びなどの育て方のポイントを押さえておく必要があります。
以下、5つの根腐れ対策を紹介するので、ぜひマスターして植物を上手く育てられてください。
土選びと土の配合
水分過多や酸素不足によって根腐れを起こさないように、水はけの良い用土を選びましょう。
土が崩れていたり粉塵が入っていたりすると水はけが悪くなるので、用土の状態に問題ないか注目して選択してください。
また、土の粒度がバラけているほど水はけが良く、粒が硬いほど植物が丈夫に育つ傾向にあるため、用土の粒の状態も確かめておきましょう。
観葉植物の品種によらず、土の配合は赤玉土6:鹿沼土2:軽石2の比率で混ぜ合わせるのを推奨します。
プランター選び
過湿による根腐れを回避するために、排水穴の有無や位置を確認してプランターを選ぶようにしましょう。
排水面が側面にあるものを選ぶと、水が土台の内側部分に溜まりにくくなります。
中でも素焼きのプランターは、空気の流れが良くなるため、根腐れを防いだり抑えたりするのに非常に有効です。
根腐れ防止剤の活用
代表的な根腐れ防止剤 | 特徴 |
---|---|
ゼオライト | 不良ガスを処理して、根腐れを防止する |
ミリオンA | 自然の力で弱った根を元気にする |
ハイフレッシュ | 珪酸塩白土で植物の健康を守る |
根腐れ防止剤を土に入れると、菌の発生を抑えるほか、根に吸収される水分を新鮮な状態に保てます。
用土の清潔さを保てるため、根腐れだけでなく植物の健康自体にも効果的です。
一般的に、根腐れ防止剤は1〜3カ月の効き目があります。
風通しを良くする
土の過剰な湿気や雑菌の繁殖による根腐れを防ぐには、風通しを良くするのが基本です。
特に水やりをした後は湿度が高い状態で、土にカビが発生しやすいため、ベランダや玄関に数時間置くなどして工夫しましょう。
空気が循環している場所に植物を置くと、植物が蒸れにくくなります。
屋内で管理するのであれば、サーキュレーターを回すなどして人工的に風を送るのもおすすめです。
適切な頻度の水やり
適切な頻度で植物に水やりを行うと、根腐れを予防できます。
水やりのタイミングは、土を指でつまんでみてパラパラと落ちるほどに乾いてから実施するのが望ましいでしょう。
鉢の底から水が流れ出る程度にたっぷりと与えください。
観葉植物が根腐れになってしまった時の対策

万が一根腐れを引き起こしてしまった時でも、水やりをひかえたり植え替えしたりすることで解決できます。
以下の4つの対策を確認し、根腐れが起きても慌てずに対応してください。
水やりをひかえる
根腐れに至ってしまった時は、水やりをひかえて、土をしっかり乾燥させてください。
土の過度な湿りによって根腐れが発生するため、土中の水分を減らし、根に新鮮な空気を届けるようにしましょう。
土がしっかりと乾燥してから2〜3日経過した後は、通常の水やりに戻して問題ありません。
植え替える
根腐れを起こした植物の植え替え手順は、以下のとおりです。
- 鉢から植物を取り出す
- 根についた土を丁寧に落とす
- 黒い根をカットする
- 葉や茎を切り整える
- 水はけの優れた用土に植え替える
① 鉢から植物を取り出す
根腐れした植物をやさしく鉢の中から取り出してください。
② 根についた土を丁寧に落とす
根についた土をほぐすように丁寧に落としていきましょう。
③ 黒い根をカットする
根腐れが進行していると根が腐って黒くなっているので、ハサミでカットしてください。
④ 葉や茎を切り整える
黒く変色した根を取り除いた後は、大きくなった葉と茎も切り取ってください。
根の大きさに応じて葉と茎を調整することで、植え替え後の植物の状態が安定します。
⑤ 水はけの優れた用土に植え替える
根や茎、葉のサイズを整えた後は、排水性に優れた用土に植え替えてください。
植え替えた後はしばらくの間水やりをひかえめにし、新しい芽が出るまでは風通しの良い日陰に置くようにしましょう。
挿し木にする
根の大部分が腐って変色していたり悪臭が発生していたりで、根の回復が難しい状態になっていれば、挿し木にするのがおすすめです。
以下、挿し木の手順を確認しておきましょう。
- 茎や枝を剪定する
- 水に浸す
- 用土に植える
- 適切な環境で管理する
① 茎や枝を剪定する
茎や枝の腐っていない硬さのある部位を10〜15cm切り取ります。
② 水に浸す
切り取った後は、新鮮な水に2〜3時間浸しておきましょう。
③ 用土に植える
新しく水はけの良い用土を準備し、土に穴を開けてから挿し木を植えます。
植えた後は、水やりをして土をしっかりと湿らせましょう。
④ 適切な環境で管理する
明るい日陰に置き、土の乾燥の具合を確認しながら水やりを続けてください。
数日経つと根が出てきます。
肥料ではなく、活力剤を与える
植物が根腐れを起こしている時は、肥料でなく活力剤を与えてみるのも1つの手です。
肥料は高濃度の栄養成分を保有しているため、根腐れの段階で使用すると過剰な栄養が根にかえって負担になります。
代わりに、発根を促進する成分が含まれている活力剤を与えると、植物全体の機能の回復につながるでしょう。
ただし、根腐れの末期の状態で活力剤を使っても、残念ながら植物が回復することはありません。
観葉植物の根腐れに関するよくある質問

根腐れに関するよく寄せられる質問を紹介します。
根腐れか水不足か分からない時の見分け方は?
根腐れが発生している際には、水やりをしているのにもかかわらず植物がぐったりとして元気のない状態であるほか、葉が茶色や黄色に変わっていることがあります。
また、幹を触ってみて柔らかくブヨブヨとしていれば、根腐れを起こしている確率が高いです。
一方、水不足の時は葉や茎がしおれた状態になっているだけなので、水やりを適切な頻度で行えば回復できるでしょう。
水耕栽培でも根腐れはする?
水耕栽培でも根腐れが発生する場合があります。
根の部分の全てが水に浸かっていると、酸素が十分に行き渡らないことがあるからです。
以下、水耕栽培の場合の根腐れの見分け方・対処法を確認しておきましょう。
根腐れの見分け方 | 水耕栽培の場合の根腐れの対処法 |
---|---|
根が黒色になっている | 根腐れした部分をカットする |
葉が黄色くなっている | 葉を最小限にカットする |
根にカビが生えている | 清潔な水に植え替える |
茎にシワができている | 半日陰に置いておく |
根腐れしてしまっても復活できる?
水耕栽培で根腐れが発生してしまっても、正しい対処法をすれば植物の健康を取り戻せます。
根腐れした部分を放置しておいても元の状態には戻らないため、気づいた時にすばやくカットして新しい根を育てることが復活のカギです。
葉の剪定も同時に行うことで、必要な呼吸量が減って根の負担を和らげられます。
根や新芽が確認できたら、日当たりの良い場所に移動させて肥料を施すと回復が期待できるでしょう。
根腐れは植物の大敵!原因を取り除いて元気に育てよう
根腐れの原因と対策や復活させる方法について解説しました。
根腐れは、植物を大切に育てようとするあまりに起こりやすいミスの1つです。
悪化すると酸欠状態に陥り枯れてしまうため、根腐れは植物にとって非常に深刻な危険要因と言えるでしょう。
HanaPrimeでお気に入りの観葉植物を迎えた際には、ぜひ根腐れを防ぐためのポイントを思い出して、適切な水やりや肥料を与えてください。
万が一根腐れが発生してしまった時でも、慌てずに紹介した方法で原因を取り除き植物を元気に育てましょう。