ホヤ カルノーサ コンパクタの育て方
公開日 2025年09月22日
更新日 2025年09月22日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
ホヤ カルノーサ コンパクタの基本情報
植物名 | ホヤ カルノーサ コンパクタ |
学名 | Hoya carnosa ‘Compacta’ |
和名 | サクララン |
英名 | Cinnamon scntedd wax plant、wax flower |
別名 | ロープホヤ、くるくるホヤ |
原産地 | 熱帯アジア、オーストラリア、太平洋諸島 |
科名 | ガガイモ科 |
属名 | サクララン属(ホヤ属) |
開花時期 | 6~9月 |
ホヤ カルノーサ コンパクタは、フリルのようにねじれた葉っぱが特徴的な品種です。
その個性的な葉姿から「ロープホヤ」や「くるくるホヤ」などの愛称で親しまれています。
熱帯アジアやオーストラリアなどに自生していて、本来は樹木や岩に張りついて成長するツル性の着生植物です。
ある程度大きく成長すると、毎年6〜9月にかけて星型のかわいらしい花を咲かせてくれるでしょう。
月別栽培カレンダー
種まき
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
植え付け・植え替え
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
開花
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種類と品種

ホヤ カルノーサ コンパクタはサクララン属(ホヤ属)に分類され、世界に200種類もの仲間が確認されています。
「ホヤ カルノーサ」の変異種で、ホヤ カルノーサとの大きな違いは、縮れた葉っぱをつけることと比較的流通量が少ない点です。
ここでは、ホヤ カルノーサ コンパクタについて、ホヤ カルノーサの改良品種と比較してみました。
品種 | 葉形 | 葉色 | 育てやすさ | レア度 |
---|---|---|---|---|
コンパクタ | らせん状 | 深緑 | やや慣れが必要 | ★★☆☆☆ |
エキゾチカ | 長楕円形 | 深緑 | 初心者向け | ★☆☆☆☆ |
リップカラー | 楕円形 | ピンク、白、緑 | 初心者向け | ★★☆☆☆ |
本項目で紹介する品種はいずれも、開花時期になると淡いピンク色をした星型の花を咲かせる性質があり、花の特徴の違いはほとんどありません。
ホヤ カルノーサ コンパクタ

ホヤ カルノーサ コンパクタは、螺旋状にねじれた葉っぱをつけるのが特徴的な品種です。
サクララン属(ホヤ属)の中でも生育スピードが遅いため、コンパクトなサイズ感をキープしたい方に向いています。
ホヤ カルノーサ エキゾチカ
ホヤ カルノーサ エキゾチカは、深緑色の葉っぱの内側に黄色や白の斑が入るのが特徴的な品種です。
葉っぱの模様が迷彩柄のように見えることから、インテリア性に優れていて人気があります。
ホヤ カルノーサ リップカラー
ホヤ カルノーサ リップカラーは、白やピンクの若葉をつけるのが特徴的な品種です。
葉っぱは徐々に緑色に変わるので、成長するにつれて美しい葉色のコントラストが楽しめるでしょう。
ホヤ カルノーサ コンパクタはどんな花が咲く?

色 | 淡いピンク |
形 | 星 |
サイズ | 1cmほど |
香り | 甘い香り |
つけ方 | 半球状に集まる |
ホヤ カルノーサ コンパクタは、淡いピンク色をした蝋細工のような星形の花を咲かせます。
半球状に集まってつけるので、ひとつひとつの花は小さいながらも、全体的に華やかな印象を与えてくれるでしょう。
ホヤ カルノーサ コンパクタの葉っぱの特徴

形 | らせん状 |
色 | 光沢のある深緑 |
斑の有無 | なし |
ホヤ カルノーサ コンパクタの葉っぱは、らせん状にねじれた独特なフォルムをしています。
ツルが隠れるほど、ぎゅっと密集して葉っぱをつけるので、サクララン属(ホヤ属)の中でも葉っぱの存在感が非常に強いです。
基本的に斑はありませんが、希少な改良品種「ホヤ カルノーサ コンパクタ バリエガータ」には縁取るように白斑が入ります。
ホヤ カルノーサ コンパクタの花言葉
ホヤ カルノーサ コンパクタの花言葉は、サクララン属(ホヤ属)全体に共通する「人生の出発」と「人生の門出」です。
ホヤがサクラのような色・形をした花を咲かせることに由来しています。
ホヤ カルノーサ コンパクタの育て方
ホヤ カルノーサ コンパクタは、生育期と休眠期で水やりの頻度を変えるのが適切な育て方です。
必ずしも肥料が必要というわけではありませんが、花を咲かせたいなら生育期にのみ肥料を与えて生育を促しましょう。
ハダニやアブラムシなどの病害虫が発生するリスクがあるため、それぞれの病害虫に応じた予防法と対処法を把握しておくことが大切です。
水やりの頻度
ホヤ カルノーサ コンパクタは、時期に応じて以下の頻度で水やりしましょう。
時期 | 頻度 |
---|---|
生育期(春~秋) | 2~3日に1回 |
休眠期(冬) | 7~10日に1回 |
春から秋にかけての生育期には表土が乾いたのを確認してから、冬の休眠期は土の内部までしっかりと乾燥してから与えるのが適切です。
いずれの時期も、一度の水やりで鉢底から流れ出るくらい十分な量の水を与えてください。
根っこが過湿状態になると根腐れを引き起こす危険性があるため、頻繁に与えないようにしましょう。
毎日の葉水が大切
ホヤ カルノーサ コンパクタは多湿な環境を好む品種なので、毎日葉水をすると以下の効果に期待できます。
- ハダニを予防する
- 葉っぱにツヤを出す
葉水に適した水量と時間帯
葉水をする際は、時期に応じた水量や時間帯を把握したうえで行いましょう。
時期 | 与える量 | 時間帯 |
---|---|---|
生育期 | たっぷり | 朝または夜 |
休眠期 | 控えめに | 日中 |
生育期には葉っぱの表と裏から滴り落ちるくらいたっぷりと、休眠期には水滴がほんのりつく程度に水を吹きかけてください。
葉焼けや霜による損傷を防ぐために、生育期は強い日差しが出る時間帯を避け、休眠期は比較的暖かい日中に行うのが適切です。
肥料のあげ方
ホヤ カルノーサ コンパクタの開花を促したいなら、生育期に液体肥料または固形肥料のいずれかを与えましょう。
生育がゆっくりなホヤ カルノーサ コンパクタは、過剰な肥料成分によって弱る恐れがあるため、液体肥料と固形肥料の併用は避けるのが無難です。
肥料焼けの原因となるので、休眠期には絶対に与えないでください。
液体肥料のあげ方
すぐに効果を発揮する速効性の液体肥料は、以下の頻度や方法で与えるのが適切です。
頻度 | 1ヶ月に1回 |
与え方 | 水に薄めて |
1ヶ月に1回の頻度で、水に薄めて水やりの代わりに与えましょう。
希釈するのが不要なタイプなら、水で薄めずにそのまま使用してOKです。
固形肥料をあげ方
ゆっくりと効果を発揮する緩効性の固形肥料は、以下の頻度や方法で与えましょう。
頻度 | 5月と9月に1回ずつ |
与え方 | 土にまく |
生育期の5月と9月に、それぞれ1回ずつ与えてください。
動物や植物由来の有機肥料は病害虫が発生しやすくなるので、無機物由来の化成肥料を使用するのが良いでしょう。
病害虫・害虫対策
ホヤ カルノーサ コンパクタに発生するリスクのある病害虫は、主に以下の3つです。
- ハダニ
- アブラムシ
- カイガラムシ
病害虫を放置すると、葉っぱにカビが生える「すす病」を誘発する恐れがあります。
すす病にかかると光合成を阻害され、結果的に枯死につながるため、病害虫が発生したら早期に正しく対処しなければなりません。
ハダニ
- 葉っぱの裏側から吸汁する
- 高温かつ乾燥した環境を好む
ハダニは、葉っぱの裏側に潜んで栄養を吸汁する病害虫です。
毎日葉水をして、葉っぱの乾燥を防ぐことで予防できます。
発生した場合は、専用の殺虫剤を散布したり柔らかい布でこそぎ落として駆除しましょう。
アブラムシ
- 栄養を吸汁して生育を阻害する
- 暗くて風通しの悪い環境を好む
アブラムシは吸汁して生育を阻害するだけでなく、大量発生によりホヤ カルノーサ コンパクタの見た目を悪くする病害虫です。
日当たりと風通しの良い場所に置くことで防げます。
発生した場合は、専用の殺虫剤を吹きかけたりテープで取り除いたりして駆除しましょう。
カイガラムシ
- 葉っぱやツルから栄養を吸汁する
- 風通しが悪くて乾燥した環境を好む
カイガラムシは、葉っぱやツルから栄養を吸い取って徐々に弱らせる病害虫です。
風通しの良い場所に置き、毎日葉水をして葉っぱの乾燥を防ぐことで予防できます。
幼虫は殺虫剤で簡単に駆除できますが、ロウ物質に覆われた成虫は殺虫剤がききにくいため、歯ブラシでこそぎ落としましょう。
植え方・仕立て方
ホヤ カルノーサ コンパクタは、水はけの良い土または水苔に植えるのが適しています。
以下のように仕立てると、ツルに密集してつく葉っぱを魅力的に見せられるだけでなく、株の健康を維持するのにも期待できるでしょう。
- ハンギング
- 行灯仕立て
- 水苔仕立て
ハンギング

ホヤ カルノーサ コンパクタは、ハンギングで吊るして飾ると以下のようなメリットがあります。
- 空間を有効活用できる
- ツルが垂れ下がることで葉っぱの存在感を引き立たせられる
- 株全体の通気性が良くなる
ハンギングは、植木鉢をプラントハンガーに入れて吊るすだけなので簡単です。
天井に穴をあける方法に加え、カーテンレールや突っ張り棒にフックをかけて吊るす方法もあります。
行灯仕立て
行灯仕立ては、ツル性植物を美しく見せる仕立て方のひとつです。
ホヤ カルノーサ コンパクタを行灯仕立てにすると、以下のようなメリットがあります。
- 幅を取らないので省スペースで育てられる
- 日光がまんべんなく当たりやすくなる
- 通気性を確保できる
行灯仕立ては、以下の手順で行いましょう。
- 鉢の縁に沿って3〜4本の支柱を土に挿す
- 針金で輪っかをつくり、支柱に固定する(輪っかは2〜3つくらいでOK)
- 麻紐などでツルを支柱にくくりつけて上に伸びるよう誘引する
水苔仕立て
ホヤ カルノーサ コンパクタは、土だけでなく通気性に優れた水苔で育てることも可能です。
水苔仕立てにすると、以下のようなメリットがあります。
水苔仕立ては、以下の手順で行いましょう。
- 乾燥した水苔を水で戻す
- 根っこに水苔を巻き付けて鉢に入れる
- 隙間を埋めるように水苔を追加する
水苔に植えた場合、しっかりと乾燥したのを確認してから水を与えてください。
通気性だけでなく保水性も高いので、水やりをしすぎると根腐れを引き起こします。
ホヤ カルノーサ コンパクタの栽培環境
ホヤ カルノーサ コンパクタは、直射日光を避けられる半日陰で管理しましょう。
寒さに弱いので、年間を通して室内で育てる必要があります。
また、根っこの過湿が苦手なので、根腐れを予防するために水はけの良い土に植えてください。
置き場所と日当たり

ホヤ カルノーサ コンパクタは直射日光と寒さに弱い一方耐陰性は高い品種なので、年間を通して室内で育てるのが適切です。
夏の強い日差しを浴びると葉焼けを引き起こす恐れがあるため、レースカーテンなどを活用して半日陰で管理しましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ホヤ カルノーサ コンパクタは、15〜30℃が生育適温とされています。
5℃を下回ると枯死する恐れがあるほど寒さに弱いので、最低でも10℃以上をキープして育てましょう。
用土
ホヤ カルノーサ コンパクタは根っこの過湿に弱いため、水はけの良い土または通気性の良い水苔で育てるのが適切です。
自分で土を作る場合は、鹿沼土5:日向土4:パーライト1の割合で配合しましょう。
根腐れを防ぐために、粘土質な土は避けてください。
ホヤ カルノーサ コンパクタを種から育てると大変?
ホヤ カルノーサ コンパクタの種はほとんど流通していないため、種から育てるのは一般的ではありません。
ある程度育った株を購入して育てる、挿し木で増やすのがおすすめです。
ホヤ カルノーサ コンパクタの開花時期
ホヤ カルノーサ コンパクタは、6~9月ごろに開花します。
適切な環境で大きく育てれば、毎年同じ時期にかわいらしい花をつけてくれるでしょう。
開花時期は6~9月
ホヤ カルノーサ コンパクタの開花時期は6〜9月ごろです。
花を咲かせるために長い期間を要しますが、一度開花したら毎年同じ場所に花をつけてくれるようになります。
ホヤ カルノーサ コンパクタの花が咲かない原因は?
ホヤ カルノーサ コンパクタの花が咲かない場合、以下のような原因が考えられるでしょう。
- 株の生育が乏しい
- 日照や肥料不足
- 花芽に傷がついた
ホヤ カルノーサ コンパクタを開花させるためには、1m以上の大株に成長させなければなりません。
生育が非常に緩慢な品種なので、適切な環境で育てていても開花までに2年以上はかかるといわれています。
一度開花したら毎年同じ場所に花を付けるので、剪定などで花芽を傷つけないよう注意しましょう。
ホヤ カルノーサ コンパクタの増やし方
ホヤ カルノーサ コンパクタは、挿し木で増やすのが一般的です。
生育期の5〜9月ごろに行うことで、以下のメリットがあります。
- 株への負担を軽減できる
- 発根しやすくなる
剪定の時期はいつがいい?
ホヤ カルノーサ コンパクタの剪定は、9〜10月ごろかつ、花が咲き終わった後が適期です。
剪定するのは傷んだり徒長したりしたツルにとどめ、むやみにカットするのは避けましょう。
花芽を傷つけると花が咲かなくなる恐れがあるので注意してください。
挿し木のやり方
ホヤ カルノーサ コンパクタは、剪定などで切り落としたツルを使って、挿し木で増やすのが一般的とされています。
株への負担を軽減して発根を促進するためには、生育が旺盛な5~9月ごろに行いましょう。
ここからは、挿し木のやり方を詳しく解説します。
- 健康なツルをカットする
- ツルの切り口を水苔で包む
- 容器に入れて作業完了
① 健康なツルをカットする
健康なツルを選び、先端から2~3節(5~10cm)くらいの箇所を剪定ばさみでカットしてください。
同じ場所に花をつける性質があるため、花芽のあるツルを切り落とさないよう注意が必要です。
同じようにして、複数本の挿し木を用意しましょう。
② ツルの切り口を水苔で包む
あらかじめ、水苔を水で戻しておきます。
水苔をぎゅっと絞って余分な水分を除いたら、ツルの切り口を包み込むように水苔を巻きつけましょう。
③ 鉢に入れて作業完了
水苔を巻きつけたまま鉢に入れてください。
同じ容器に複数本の挿し木を入れてもOKです。
挿し木がグラつくようであれば、隙間を埋めるようにして水苔を詰めましょう。
ある程度育ったら、新しい土または水苔に定植してください。
植え替え時期はいつがいい?
ホヤ カルノーサ コンパクタの植え替えは、生育期にあたる5〜8月に行うことで、株への負担を軽減できます。
ただし、根詰まりや根腐れを引き起こしている場合は、休眠期であっても早急に新しい土(鉢)に植え替えてください。
植え替え頻度の目安
ホヤ カルノーサ コンパクタの植え替えは、2~3年に1回のペースで行いましょう。
ゆっくりと成長する品種なので頻繁に行う必要はありませんが、長期的に植え替えせずにいると生育や花付きが悪くなるので注意してください。
鉢替えのやり方
ホヤ カルノーサ コンパクタの鉢替えは、生育期の5~8月ごろに行うのが適しています。
ここからは、鉢替えのやり方を詳しく解説します。
- 鉢から株を抜く
- 新しい鉢を用意する
- 鉢に株を入れる
- 植え替え後は水やりを控える
① 鉢から株を抜く
古い鉢から優しく丁寧に株を抜き取り、傷んだ根っこがあれば剪定ばさみで切り落としてください。
健康な根っこを傷めると極端に生育が悪くなってしまうため、根鉢をなるべく崩さずに土を軽く払う程度にしましょう。
水苔に植えている場合は、根鉢を水に浸し、優しくもみほぐすようにして水苔を取り除いてください。
② 新しい鉢を用意する
古いものよりも一回り大きい鉢を用意しましょう。
底に鉢底石を敷き、その上から鉢の1/3ほどの高さまで土を入れます。
水苔に植え替えるなら、土を入れる必要はありません。
③ 鉢に株を入れる
土の上に乗せるようにして、株を優しく入れます。
周りに土を入れ、細長い棒(割り箸など)で土をザクザク刺しながら、隙間を埋めて株を固定してください。
水苔に植える場合は、根っこを水苔で包んでから鉢に入れ、隙間に水苔を追加して株を安定させましょう。
④ 植え替え後は水やりを控える
根っこの回復を促すため、植え替えてから1週間ほどは水やりを控えてください。
生育期に植え替えた場合は、このタイミングで緩効性の固形肥料をまいておくと良いでしょう。