ネオレゲリア パウキフローラの育て方
公開日 2025年01月17日
更新日 2025年01月17日

INDEX
目次
ネオレゲリア パウキフローラの基本情報
植物名 | ネオレゲリア パウキフローラ(パウシフローラ) |
学名 | Neoregelia ‘pauciflora’ |
英名 | Neoregelia pauciflora |
原産地 | 中南米 |
科名 | パイナップル科(ブロメリア科) |
属名 | ネオレゲリア属 |
開花時期 | 4~7月 |
ネオレゲリア パウキフローラはパイナップル(ブロメリア)科の中でも比較的育てやすいネオレゲリア属の一種です。
ネオレゲリア属には様々な交配品種が存在しますが、ネオレゲリア パウキフローラは貴重な原種に分類されます。
黒い斑点と白い縞々模様が特徴的で、日の当たり具合で模様が変化する様が面白い植物です。
子株を群生させてシャンデリアのように仕立てて飾ると、部屋の雰囲気をゴージャスに演出してくれます。
ネオレゲリア パウキフローラは筒状の中心部に水を貯めて栄養補給するのが特徴です。
原産地では水を貯める中心部がオタマジャクシの住処となっています。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種

ネオレゲリア パウキフローラには大きさや模様の入り方に特徴があるタイプ(フォーム)が存在します。
いずれも突然変異で生まれたものなので、ノーマルタイプより希少性が高いです。
Large form(Giant form)
ノーマルタイプの2倍ほどの大きさまで成長するフォームです。
Scurfy form (White form)
白いトリコームとバンドが濃く出るのが特徴的なフォームです。
Long stron
ストロン(ランナー)を長く伸ばして子株を増やす、希少価値の高いフォーム
日本で流通しているネオレゲリア属
品種 | 葉っぱの特徴 | 入手しやすさ |
---|---|---|
ネオレゲリア ファイアーボール | 縁に桃色の覆輪斑が入る | ◎ |
ネオレゲリア カロリナエ | 葉の中心部が赤く色付く | 〇 |
ネオレゲリア ペンデュラ | 硬い棘がついている | △ |
ネオレゲリア スペクタビリス | 先端が赤くなり、葉裏には縞模様が入る | △ |
ネオレゲリア リオオブリオ | 白い模様がない | 〇 |
ネオレゲリア パウキフローラが属するネオレゲリア属には97種の原種に加えて、約4,000種もの園芸品種が作出されています。
ネオレゲリア ファイアーボール
葉の縁に桃色の覆輪斑が入る、子株を良く出すネオレゲリア属の代表品種です。
より大型な「ネオレゲリア ファイアーボール バリエガタ」という品種もあります。
ネオレゲリア カロリナエ

ネオレゲリアの中でも人気の高い品種で、ファイアーボールに比べてより鮮やかな赤色になります。
ネオレゲリア ペンデュラ
硬い棘がついた葉が開くように展開するのが特徴で、ネオレゲリアの中でも小型の品種です。
ネオレゲリア スペクタビリス

葉の先端が赤く色付き、葉裏には縞模様が入る個性的な見た目の品種です。
明治頃に日本に入ってきましたが、現在は希少種になっています。
ネオレゲリア リオオブリオ
ファイアーボールのような白い模様がない葉っぱで、強い光を与えると真っ赤になります。
子株をたくさん出しボール状になるのも特徴的です。
ネオレゲリア パウキフローラはどんな花が咲く?
ネオレゲリア パウキフローラは筒の中から少し顔を出すように開花します。
発色の良い青と白のグラデーションの小さい花が、一度に2~3個咲くのが特徴です。
ネオレゲリア パウキフローラは一回結実性のため、開花後しばらくすると枯れていきます。
花がらを放置すると水中で腐ってしまい異臭や病気の原因になるので、開花後はピンセットでつまんで出してあげてください。
ネオレゲリア パウキフローラの葉っぱの特徴
ネオレゲリア パウキフローラは筒状に細い葉っぱを展開するのが特徴です。
幼苗期の葉っぱは先端が尖った形状ですが、大きくなると丸みを帯びた形状に変化します。
白いトリコームが葉っぱ全体を覆っていて、トリコームの濃淡でバンド状の模様を作り出すのもおもしろいポイントです。
黒い斑点(ドット)が葉っぱの内側から外側にかけて出現しますが、斑点の出方は個体差があります。
日の当たり具合で緑、トリコーム、黒い斑点それぞれの発色が変化するので環境バロメーターとして利用してもよいでしょう。
ネオレゲリア パウキフローラの花言葉
ネオレゲリア パウキフローラに花言葉はありません。
しかし、同じネオレゲリア属のネオレゲリア カロリナエには「博愛」という花言葉がついています。
ネオレゲリア パウキフローラの育て方
ネオレゲリア パウキフローラの育て方は比較的簡単で、水やりに苦手意識がある方でも安心して育てることができます。
春~秋にかけては、筒から溢れるくらい水をあげるだけだからです。
鉢に植えたり着生させたりして育て方を変えると、ネオレゲリア パウキフローラの見た目が変化してさらに楽しむことができます。
水やりの頻度
ネオレゲリア パウキフローラの水やり頻度は季節によって変える必要があります。
また、冬は環境によって水やりの仕方が変わるので注意しましょう。
春夏秋
成長期の春~秋は2~3日ごとに筒から水が溢れるくらいたっぷりと水をあげてください。
貯まった古い水を入れ替えるつもりで勢いよく水やりすると良いでしょう。
タンク部分に生えた苔を落とすためにも高めの水圧で水やりしてください。
水やり前にネオレゲリア パウキフローラを傾けて筒の中の水を全て出してもいいです。
常に新鮮な水を与えてあげましょう。
冬
冬は栽培環境によって水のやり方が違うので注意が必要です。
環境 | 水やりする場所 | 水やりのタイミング |
---|---|---|
土に植えている場合 | 土に水をあげる | 土の表面が乾いた2~3日後 |
水苔に着生している場合 | 水苔に水をあげる | 水苔が乾いたら |
根っこが剥き出しの場合 | 筒の中に少量の水を入れる | 2~3日ごと |
冬は基本的に筒の中に水を入れません。
筒の中に水がある状態で暖かい室内に置いておくと徒長してしまうからです。
徒長とは、植物が日光を求め葉っぱがひょろひょろ伸びていくことです。
徒長したネオレゲリア パウキフローラは葉っぱが細くて薄く、弱々しい印象を与えます。
万が一徒長してしまった場合は、新しい葉っぱの展開を待つか、子株が出るのを待ちましょう。
冬は根っこから吸う水分だけで育てることで徒長を防ぐことができます。
肥料のあげ方
ネオレゲリア パウキフローラの肥料は春~秋にあげてください。
施肥頻度は2週間に1度が目安となります。
【ネオレゲリア パウキフローラに適切な液肥】
- ハイポネックス
- マイガーデン液体肥料
- 花工場原液
ネオレゲリア パウキフローラはタンク部分から栄養素を取り込むので液肥が一番効果的です。
対して、ネオレゲリア パウキフローラの根っこは着生が主な目的なので、置き肥や緩効性肥料はほとんど効果がありません。
用土にマグァンプKなどの緩効性肥料を混ぜる場合は規定量より少な目にするとよいでしょう。
病害虫・害虫対策
ネオレゲリア パウキフローラは白いトリコームに隠れて害虫が見つけづらい場合があります。
毎日よく観察して害虫を早めに発見してあげてください。
害虫がつくと白いトリコームが剥がれて跡がついてしまいます。
葉っぱから栄養も吸われてしまうのでしっかり害虫対策しましょう。
カイガラムシ
- 葉がベトベトする
- 成虫が葉に密集する
ピンセットやブラシで取り除きます。
効果のある殺虫剤(ベニカXファインスプレー、オルトラン、スミチオンなど)で駆除しましょう。
ハダニ
- 葉について栄養分を吸収する
- 葉色が悪くなる
殺虫剤(ベニカXファインスプレー、オルトランなど)で駆除する。
発生前でも、普段の葉水の水にオルトランを混ぜると予防になります。
植え方・着生
ネオレゲリア パウキフローラは鉢植えか着生で育ててください。
鉢植えの場合
鉢植えする主な目的は株の安定です。
ネオレゲリア パウキフローラは根っこから栄養を吸収しないので鉢に入れる用土に有機質は必要ありません。
風が強い環境の場合は、赤玉と軽石を1:1で混ぜて使うと良いでしょう。
バークチップや水苔は軽いので鉢ごと転倒してしまう可能性があるからです。
また、有機質や肥料分を含んだ用土を使うと、土が腐ってしまう可能性があるので注意してください。
着生の場合
原産地のネオレゲリア パウキフローラは木や岩に根っこを張って着生しています。
日本で育てる場合でも着生は可能で、流木やコルクが着生材として人気です。
【着生手順】
- 着生材に水苔を敷く
- 水苔部分にネオレゲリア パウキフローラの根本を置く
- 根本を水苔で覆う
- 水苔と着生材を麻紐や結束バンドで固定する
① 着生材に水苔を敷く
② 水苔部分にネオレゲリア パウキフローラの根本を置く
③ 根本を水苔で覆う
④ 水苔と着生材を麻紐や結束バンドで固定する
着生材の凹凸を利用して根本がぐらつかない様にするのがコツです。
水苔は常に湿らせてあげてください。
水苔の間から根っこが出てきたら着生完了です。
なお、水苔がなくても着生は可能ですが、時間がかかります。
ネオレゲリア パウキフローラの栽培環境
ネオレゲリア パウキフローラは栽培環境によって葉っぱの表情が変化します。
この特徴を活かして環境バロメーターとして使われることもあります。
熱帯植物のため、寒さに弱い点には十分注意しましょう。
置き場所と日当たり
年間を通じて日当たりと風通しのよい場所を用意してあげましょう。
特に、風が弱いと徒長するので注意が必要です。
春夏秋
日当たりと風通しの良い屋外が適当な場所です。
風通しが悪いと水が蒸れやすく、葉に痛みが出てきます。
また、徒長の原因にもなるので置き場所には十分注意しましょう。
室内で育成する場合は日光がよくあたる南向きの窓際がおすすめです。
必ず窓を開けて風を当ててください。
サーキュレーターで強制的に空気を循環させてもいいでしょう。
週に2~3回屋外に出してあげると葉っぱが締まって健康的な見た目になります。
冬
最低気温が10℃を下回ったら室内で育成します。
筒の中の水が凍結すると葉が傷んで枯れてしまうので注意が必要です。
冬は日光不足になりやすいのでなるべく日が多く当たる窓際に置いてください。
日が入らない場合は、植物用育成ライトで光を補う方法もあります。
また、10℃を超える日中は屋外に出してあげるとよいでしょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ネオレゲリア パウキフローラの育成に適した温度は20~30℃です。
熱帯植物なので耐寒性は低く、5℃を下回ると休眠状態に入ってしまうため、外気温が10℃になったら室内に移動させましょう。
用土・着生材
ネオレゲリア パウキフローラに適した用土と着生材を紹介します。
用土
用土は無機質のものを選んでください。
- 赤玉
- 軽石
- 水苔
- バークチップ
- ベラボン
おススメの配合は赤玉:1、軽石:1です。
赤玉と軽石はホームセンターなどで入手しやすく、鉢に重みが出るので株が安定します。
着生材
着生させる場合は流木やコルクがおすすめです。
ネオレゲリア パウキフローラは木や岩に着生して成長しています。
流木とコルクは園芸店やホームセンターで購入可能です。
用土・着生材無しでも育つ
また、ネオレゲリア パウキフローラは用土や着生材が無くても育成可能です。
例えば、根本をむき出した状態で吊るして育てている方もいます。
ネオレゲリア パウキフローラを種から育てると大変?
ネオレゲリア パウキフローラを種から育てることは可能です。
しかし、ネオレゲリア パウキフローラをはじめ、ネオレゲリア属の種はあまり売っていません。
また、種の鮮度にもよりますが、発芽率は50%程で難易度が高めとなっています。
ネオレゲリア パウキフローラを種から育てるには以下のポイントを抑えて発芽率をあげましょう。
種から育てるポイント
発芽する場合は3~7日で芽が出てきます。
葉が3cmほどまで大きくなったら蓋を外してあげましょう。
ネオレゲリア パウキフローラの種は新鮮なほど発芽率が高くなります。
種を購入する場合は、いつ採れた種か必ず確認し、半年以上前の種は購入を見送るのが無難です。
ネオレゲリア パウキフローラの開花時期
ネオレゲリア パウキフローラは春から夏にかけて小さい青色の花を咲かせます。
筒の中から顔を出すように咲く姿はとても可愛らしいです。
ネオレゲリア パウキフローラは一生に一度しか開花しないので貴重な開花姿を見逃さないようにしましょう。
開花時期は春〜夏
ネオレゲリア パウキフローラの開花は4月~7月に見られます。
暑さが厳しい真夏は開花しません。
ネオレゲリア パウキフローラの花が咲かない原因は?
ネオレゲリア パウキフローラの花が咲かない原因は以下が考えられます。
【花が咲かない原因】
- 日照不足
- 水不足
- 栄養不足
- 開花するほど成熟していない
【開花させるための対処法】
- もっと日光を当てる
- 水を2~3日ごとに与える
- 液肥を与える
- 株を大きくする
開花するには多くのエネルギーを消費するので、たくさんの日光と栄養を与えることが重要です。
開花後は枯れてしまうので、ゆっくりとネオレゲリア パウキフローラの育成を楽しむのもよいでしょう。
ネオレゲリア パウキフローラの増やし方
ネオレゲリア パウキフローラを増やしたいのであれば、子株を株分けして増やす方法がおすすめです。
子株は適切な育て方をすれば自然と出てくるので、種から育てるよりも簡単で確実に増やすことができます。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
株分けは4~10月に行ってください。
ネオレゲリア パウキフローラは寒さに弱いので、株分け後の体力が落ちた状態で寒さに当たると枯れてしまう可能性があります。
枯れた葉っぱを取る剪定作業は年中行って大丈夫です。
手で触ってポロっと取れる葉っぱを取り除いてあげましょう。
無理に葉っぱを取ると雑菌が入る可能性があるので注意してください。
子株で株分けするやり方
子株の株分け方法はポイントさえ抑えればとても簡単です。
- 親株の半分以上の大きさの子株を選ぶ
- ストロン(ランナー)を消毒したハサミで切る
- 株分け後は風通しのいい日陰で管理する
① 親株の半分以上の大きさの子株を選ぶ
鉢植えで管理している場合、株を土から出してあげると作業性が良くなります。
② ストロン(ランナー)を消毒したハサミで切る
親株側のストロンは根本でカットし、子株側のストロンは1〜2㎝残すようにしてカットします。
枯れている葉っぱがある場合は取ってあげてください。
③ 用土や着生材に植え付ける
株分け後は風通しのいい日陰で管理する
カット部分には水をかけないようにしましょう。
子株の植え付け方|鉢植えの場合
切り取った子株を育てる方法を紹介します。
腐りに注意すれば問題なく成長するのでチャレンジしてみましょう。
- 重めの鉢と用土を用意する
- ぐらつかない様に株を深めに植え込む
- 植え込み後1週間ほど日陰で管理する
① 重めの鉢と用土を用意する
赤玉土、軽石、水苔、バークチップなど無機質なものを用意してください。
② ぐらつかない様に株を深めに植え込む
③ 植え込み後1週間ほど日陰で管理する
子株の植え付け方|着生の場合
- 着生材に水苔を敷く
- 水苔部分にネオレゲリア パウキフローラの根本を置く
- 根本を水苔で覆う
- 水苔と着生材を麻紐や結束バンドで固定する
① 着生材に水苔を敷く
② 水苔部分にネオレゲリア パウキフローラの根本を置く
③ 根本を水苔で覆う
④ 水苔と着生材を麻紐や結束バンドで固定する
子株は親株から栄養分をもらって育っているので、株分け直後は過酷な環境に置かないように注意しましょう。
1週間は日陰で管理し、外部環境に慣れてから日光を与えてください。
植え替え時期はいつがいい?
ネオレゲリア パウキフローラの植え替えは4月〜7月が適期です。
成長期の暖かい時期に植え替えを行う事で株のダメージを最小限に留めてあげましょう。
朝晩が冷える4月は温度管理に注意してください。
また、ネオレゲリア パウキフローラの植え替えは2〜3年ごとに行いましょう。
根鉢のように鉢が根っこだらけになると病気にかかる可能性が高くなるからです。
鉢替えのやり方
ネオレゲリア パウキフローラは子株をよく出すので重みがある鉢がおすすめです。
おしゃれな陶器製の鉢などで仕立ててあげましょう。
【鉢替えのポイント】
- 安定感のある鉢を選ぶ
- 根っこを整理する
- 株の根元まで埋める
- 鉢替え後2週間は半日陰で管理