オキザリスの育て方
公開日 2025年04月11日
更新日 2025年04月22日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

齋藤祥子
長野県で花屋を経営した後、さらなる挑戦を求めて上京し、HanaPrimeを創業。豊富な現場経験と確かな審美眼を持ち、花の持つ魅力を最大限に引き出すクリエイティブなデザインを得意とする。
「花は空間を彩るだけでなく、人々の心に深く響くもの」という信念の下、これからも新しいフラワーデザインの可能性を追求し続けます。
独創的なデザインが得意。現在はHanaPrimeアドバイザーとして活躍。

オキザリスの基本情報

植物名 | オキザリス |
学名 | Oxalis |
和名 | 片喰(かたばみ)、傍喰(かたばみ) |
英名 | Wood sorrel |
別名 | カタバミ |
原産地 | 南アフリカ、中南米 |
科名 | カタバミ科 |
属名 | カタバミ属 |
オキザリスは球根植物で、クローバーに似た葉っぱと、群生して咲く小ぶりでかわいい花を咲かせます。
外気温が上がって太陽の光が花に当たると開花し、日が陰る夕方には閉じる性質がありますが、開花の期間が長く一度にたくさんの花を咲かせるのが魅力です。
また、背丈が5~10cm程と低く、横に這って伸びる性質を持つことから、グラウンドカバーにもなります。
南アフリカや中南米原産で乾燥に強く、手入れがそれほど難しくないため、初心者の方も簡単に育てられるでしょう。
ただし、繁殖しやすい性質なので、庭に増えすぎると困る方は鉢植えにして楽しむのがおすすめです。
月別栽培カレンダー
春植え種
植え付け
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
開花
1
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4
5
6
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秋植え種
植え付け
1
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5
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肥料
1
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開花
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9
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種類と品種
オキザリスはカタバミの仲間で、世界に800種類以上の品種があり、そのうち園芸種は20種ほどです。
園芸種は春から夏にかけて咲く「春植え種」と、秋から初春にかけて咲く「秋植え種」に分類されます。
ここでは、園芸種のオキザリスの中でも、育てやすく人気の高い品種と特徴を紹介します。
アデノフィラ

花の色がライラックピンクの品種で、球根は大きく、松ぼっくりと似た形です。
葉っぱはグレーがかった緑色で、中心に折り目をつけたような細いハート型をしています。
スプリングチャーム
花の色がアプリコットオレンジの品種です。
葉っぱは緑色のハートの三つ葉で、球根は両端が尖った小さな球体型になります。
レグネリー

花の色が薄いピンクや白の品種で、球根は、ショウガに似て不揃いな形です。
三つ葉の逆三角形をした葉っぱは紫色と緑色の2種類あり、それぞれ「紫の舞」「緑の舞」という別名でも流通しています。
バーシカラー

白色の花びらの裏側に、赤の縁取りが入る品種です。
つぼみの状態のときに、赤と白のくっきりしたコントラストが楽しめます。
葉っぱは緑色で細長く、球根はらっきょうに似た形をしています。
桃の輝き
花の色が明るい桃色の品種です。
一重の花びらが、渦を巻くように少しずつ重なって開くのが特徴です。
葉っぱはハートを細くした緑色で、球根はらっきょうに似た形をしています。
シンデレラムーン
八重咲きの白い花びらに赤の縁取りが入り、花が咲いた姿とつぼみの状態それぞれのコントラストが楽しめる品種です。
葉っぱは明るい緑色で細長く、球根はらっきょうに似た形をしています。
ココナ(心愛)

花の色が黄色の八重咲き品種です。
葉っぱは濃い緑をしたハートの三つ葉で、球根はらっきょうに似た形をしています。
品種名 | 植え付け時期 | 開花時期 |
---|---|---|
アデノフィラ | 春植え | 春~夏 |
スプリングチャーム | 秋植え | 秋~冬 |
レグネリー | 春植え・秋植え | 周年 |
バーシカラー | 秋植え | 秋~冬 |
桃の輝き | 秋植え | 秋~冬 |
シンデレラムーン | 秋植え | 秋~冬 |
ココナ(心愛) | 秋植え | 秋~冬 |
オキザリスはどんな花が咲く?

オキザリスの花は、つぼみのときは閉じた傘に似た形、咲くときはロート状に花びらを開かせるのが特徴です。
花びらが5枚ある一重咲きが一般的ですが、カーネーションに似た花びらを何枚も重なる八重咲きもあります。
色は明るい色が多く、ピンクや白、黄色、オレンジなどさまざまです。
また、朝になって外気温が上がり日差しが当たると花が開いて、日が陰る夕方を迎えると花を閉じる性質を持っています。
オキザリスの葉っぱの形

オキザリスの葉っぱは、クローバーに似たハート型の三つ葉が一般的です。
品種によっては、細い葉や卵形の葉、短毛があるものや多肉質の葉っぱもあります。
オキザリスの花言葉
オキザリスの花言葉は、「輝く心」「決してあなたを捨てません」「喜び」「母の優しさ」などです。
オキザリスの育て方
オキザリスは乾燥に強く、あまり手間暇をかけずに育てられる丈夫な植物です。
水やりの頻度
オキザリスは多湿に弱く蒸れると弱るため、水やりは控えめにします。
鉢植えの場合
鉢植えは土の表面が乾いた後、さらに1~2日ほど待ってから、たっぷり水を与えましょう。
ただし、休眠期に入ったら軒下などに移動させて、水やりはストップします。
地植えの場合
地植えは降雨任せで育つので、水やりの必要はありません。
肥料のあげ方
オキザリスは、植え付け時の元肥に緩効性肥料を施します。
生育期は肥料を与えなくても育ちますが、たくさん花を咲かせたいときは追肥を行いましょう。
植え付け後、芽が出てきたら緩効性の置き肥を与えるか、7~10日に一度のペースで液体肥料を施してください。
ただし、肥料が多すぎるとかえって花が付きづらくなるため、控えめを心がけましょう。
病害虫・害虫対策
オキザリスは比較的病害虫に強いですが、栽培環境によっては被害を受けやすくなる場合もあります。
アブラムシ
- 春から秋にかけて発生する
- 新芽や葉裏に寄生して汁液を吸う
- 排泄物がすす病を誘発し葉が黒くなる
手や粘着テープで取り除くか、水をかけて流しましょう。
大量に発生している場合は、ベニカファインXスプレーなどの殺虫剤で駆除してください。
日当たりと風通しのよい場所を選び、顆粒のオルトランを植え付け時にまいておくと予防できます。
アカダニ
- 春から初夏にかけて葉裏に発生する
- 汁液を吸って株を弱らせる
水をかけて洗い流すか、スプレータイプの殺虫剤で駆除しましょう。
日当たりと風通しのよい場所を選び、葉裏に霧吹きをかけて葉水をこまめに行ってください。
さび病
- 春や秋の湿度の高い時期に発生しやすい
- 葉に黄白色の斑点が出る
- 葉や茎の形が歪んで枯れる
病斑のある部分を取り除き、STサプロール乳剤などの薬剤を散布しましょう。
日当たりと風通しのよい場所を選び、水と肥料の与えすぎに気を付けてください。
あらかじめ発生時期に薬剤を散布しておくと予防できます。
花がら摘み|タイミングとやり方
オキザリスの花が終わったら、根元の花茎から花がらを摘み取りましょう。
こまめに花がら摘みを行うと、次に咲く花にエネルギーを与えられるだけでなく、病気の予防対策にもなります。
オキザリスの栽培環境
オキザリスは丈夫で育てやすい反面、高温多湿に弱い性質を持っています。
また、春植え種か秋植え種かによっても栽培環境が異なるため、品種の特性をよく確認して育てることが大切です。
置き場所と日当たり
オキザリスは、日当たりと風通しがよい場所で育てましょう。
オキザリスの花は太陽の光を浴びると咲き、夕方になると閉じる性質を持っているため、日があまり当たらないと開花に影響が出てしまいます。
ただし、真夏の直射日光や強い西日を嫌うので、適した環境は午前中に日がしっかり当たる東向きです。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
季節 | 夏 | 冬 |
適温 | 25~30℃ | -5~10℃ |
品種によって耐寒性が異なりますが、寒さに強い品種であれば、寒冷地以外は屋外のままでも越冬が可能です。
用土
オキザリスは過湿に弱いので、排水性のよい土を好みます。
鉢に植える場合は、赤玉土と腐葉土を7:3で合わせるか、市販の草花用培養土でもかまいません。
地植えする場合は、植え付けの1~2週間前に苦土石灰をすきこみ、土壌の酸度調整をしておきましょう。
植え付け時には、腐葉土を3割くらい混ぜると排水性が高まります。
夏越しの方法
春植え種
開花期に入りますが、真夏の直射日光や強い西日には弱いです。
鉢植えは半日陰の風通しのよい場所に移動させ、地植えは日よけなどで遮光するとよいでしょう。
秋植え種
夏は休眠期を迎えます。
高温多湿になると球根が腐って死んでしまうため、風通しのよい明るい日陰に鉢を移動させましょう。
もしくは、球根を掘り上げて涼しい場所で管理してください。
冬越しの方法
春植え種
冬は休眠期に入ります。
鉢植えは、室内の日当たりのよい場所に移動させましょう。
霜が心配なエリアの地植えは寒冷紗などを使い、霜よけをしてください。
耐寒性が低い品種は球根を掘り上げて、温かい室内で保管しておくと安心です。
秋植え種
開花期になりますが、霜や雪で多湿になる環境では株が弱ってしまいます。
寒冷地ではなるべく鉢に植えて、霜や雪が降る時期は軒下や室内に移動させて管理しましょう。
休眠期の管理方法
オキザリスは、花後に残った葉っぱが黄色くなって枯れると、球根の状態で休眠期を迎えます。
休眠期間の管理は、次の点に気を付けましょう。
- 葉が黄色くなってきたら水やりの回数を減らす
- 完全に枯れたら水やりを止める
- 肥料を与えない
- 日陰で風通しのよい場所に置く
春植え種は3月頃、秋植え種は9月頃から水やりを再開してください。
オキザリスの種まき
オキザリスはこぼれ種でよく増える植物ですが、基本的には球根や苗で育てます。
オキザリスを種から育てると大変?
オキザリスを、種から育てるのは難しいです。
そもそも、種の状態ではほとんど流通していません。
また、種がかなり小さく、熟すと弾け飛んでしまうため、採種がしづらいからです。
オキザリスの植え付け
オキザリスは、球根もしくは苗を植え付けて育てます。
春植え種と夏植え種で植え付け時期が異なるので、注意してください。
球根の選び方
オキザリスの球根は、品種によって大きさや形がさまざまで、園芸種では次のような形があります。
- らっきょうや玉ねぎに似た形
- 丸くて両端が尖った形
- ショウガのようにいびつな形
- 松ぼっくりに似た丸型
球根の良し悪しによって生育に差がでることもあるので、次の点をよく確認して選びましょう。
- 傷や痛み
- カビ
オキザリスは繁殖力が旺盛で、比較的小さな球根も芽が出やすいため、大きさ自体はあまり重要ではありません。
苗の選び方
オキザリスは、健康な苗を選ぶことが大切です。
次の点をよく確認して選びましょう。
- 茎や葉がしっかりしてぐらつかない
- 葉っぱがきれいでよく繁っている
- 花付きが十分ある
- 株元が蒸れて傷んでいない
- 茎が間延びしていない
- 病害虫に感染していない
植え付けでおすすめの時期は3~4月と9~10月
オキザリスのおすすめの植え付け時期は、春植え種が3~4月、秋植え種が9~10月になります。
多湿に弱く、台風や長雨では球根が腐りやすくなるため、移動しやすい鉢植えがおすすめです。
球根の植え付け方
- 植え付け場所を用意する
- 球根を植える
- 土を被せて水やりをする
① 植え付け場所を用意する
鉢植えは鉢底ネットと軽石を敷いて土を入れ、地植えは植える場所を耕しておきます。
4~5号鉢に3~5球が目安ですが、球根が大きい品種は一鉢に1~2球が適切です。
② 球根を植える
球根を、地表から1~2cmくらいの深さに植えます。
尖った方を上向きに置きますが、両端が尖っているなど区別がつかない場合は、横向きで植えましょう。
複数を植え付けるときは、2~4cmくらい間隔を開けてください。
③ 土を被せて水やりをする
上から土を被せたら、球根が土と馴染むように、たっぷり水を与えましょう。
苗の植え付け方
- 植え付け場所を用意する
- 苗を植える
- 土を被せて水やりをする
① 植え付け場所を用意する
オキザリスは横に広がって成長するため、鉢は浅めを選ぶのがおすすめです。
鉢は鉢底ネットと軽石を敷き、苗の高さ分を残して土を入れます。
地植えする場合は、軽く耕しておいてください。
② 苗を植える
苗をポットから外したら、根鉢は崩さずに植える場所に置きます。
複数の苗を植えるときは、間隔を20cmくらい開けましょう。
③ 土を被せて水やりをする
株元が端より少し高くなるよう土を被せると、水がたまらず根腐れ防止になります。
植え付けた後は、水をたっぷり与えましょう。
オキザリスの開花時期

オキザリスは、春植え種と秋植え種で開花時期が異なります。
いつ花を咲かせたいかで、品種を選ぶのもよいでしょう。
開花時期は5~9月と9~3月
春植え種の開花期は5~9月頃、秋植え種の開花期は9~3月頃です。
オキザリスの花が咲かない原因は?
オキザリスの花が咲かない原因としては、次の要因が考えられます。
- 日当たりが足りない
- 気温が低い
- 肥料が多すぎる
オキザリスが開花するには、太陽の光と5℃以上の気温が必要です。
また、肥料を与えすぎると花付きが悪くなるので注意してください。
オキザリスの増やし方

オキザリスは、分球によって増やすことができます。
分球におすすめの時期は11月頃と5月頃
オキザリスの分球は休眠期に行うので、春植え種は11月頃、秋植え種は5月頃がおすすめです。
分球のやり方
- 株を掘り上げる
- 球根を分ける
- 保管する
① 株を掘り上げる
株を掘り上げたら、土を落としましょう。
② 球根を分ける
傷つけないように、丁寧に球根を分けてください。
③ 保管する
ネットなどに入れて、明るい日陰の風通しがよい場所に保管しておきます。
オキザリスに植え替えは必要?
オキザリスを毎年植え替える必要はありません。
地植えの場合は基本的には植えっぱなしで大丈夫ですが、球根が混み合ってきたタイミングで植え替えるとよいでしょう。
また、鉢植えは根詰まりを起こすので、2~3年ごとに植え替えるのがおすすめです。
植え替えのタイミングとやり方
オキザリスの植え替えは、生育期が始まるタイミングで行います。
春植え種は3~4月頃、秋植え種は9月中旬~11月が適期です。
根が詰まった鉢植えは一回り大きな鉢に変え、同じ大きさの鉢に植えるなら根をコンパクトにカットしてから植え替えてあげましょう。
植え替えの手順は、次のとおりです。
- 水やりを止める
- 株を乾かす
- 植え替える
① 水やりを止める
植え替えをする数日前から水やりを中止し、用土を乾かしておきましょう。
地植えの場合は、晴れた日が続くタイミングを利用してください。
② 株を乾かす
鉢から抜くか掘り起こした株を、さらに数日風通しのよい場所で乾燥しておくと、根を傷めることなく植え替えできます。
③ 植え替える
新しい用土に植え付けて、水をたっぷり与えてください。