フィロデンドロン プリンスオブオレンジの育て方
公開日 2025年12月18日
更新日 2025年12月18日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報
覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。
INDEX
目次
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの育て方

フィロデンドロン プリンスオブオレンジの育て方のポイントは次の通りです。
- 水やりは土が乾いてから
- 肥料は生育期に与える
- コナカイガラムシや斑点病に注意
以下でフィロデンドロン プリンスオブオレンジの水やりの頻度や肥料のあげ方、病害虫などについて解説します。
水やりの頻度
フィロデンドロン プリンスオブオレンジは空気中の湿度が高い環境を好みますが、土壌が常に湿った状態は根腐れの原因となります。
水やりは以下の頻度で行いましょう。
| 季節 | 頻度 | 時間帯 |
|---|---|---|
| 春~秋 | 土が乾いてから | 早朝 |
| 冬 | 1週間に1回程度 | 午前中~昼 |
春~秋は土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをし、休眠期である冬は1週間に1回程度にして乾燥気味に管理しましょう。
過度な水やりは根腐れを起こすため土壌の乾き具合を確認しながら水やりを行うのが大切です。
水やりは基本的に鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与え、春~秋は早朝、冬は気温が上がり始める午前中~昼頃に行ってください。
葉水
熱帯地域原産のフィロデンドロン プリンスオブオレンジは湿度を好み、葉からも水分を吸収できます。
葉水は乾燥を防ぎツヤを保つほか、ハダニなどの病害虫の発生予防にも効果的なので毎日、もしくは数日に1回を目安に行うのがおすすめです。
葉水をする際は午前中に行い、葉裏にもしっかり水を吹きかけましょう。
肥料のあげ方
| 季節 | 肥料の種類 | 頻度 |
|---|---|---|
| 春、秋 | 液体肥料 | 1か月に1回程度 |
| 夏 | 液体肥料 | 2週間に1回程度 |
| 冬 | 不要 | |
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの肥料は推奨濃度の半分に薄めた液体肥料を春と秋は1か月に1回、夏は2週間に1回を目安に与えましょう。
休眠期である冬は肥料を与える必要はありません。
成長が止まる冬場に肥料を与えると肥料焼けを起こし葉の変色や枯れる恐れがあるので注意してください。
基本的にフィロデンドロン プリンスオブオレンジは肥料をあまり必要としない植物なので与え過ぎには注意しましょう。
病害虫・害虫対策
フィロデンドロン プリンスオブオレンジにはコナカイガラムシやハダニ、斑点病が発生する場合があります。
全体的な害虫対策のポイントは次の通りです。
- 風通しをよくする
- 定期的な葉水
- 株をこまめにチェックする
害虫の発生を予防するには普段から適切な栽培環境を整えておくのが大切です。
早期発見で被害を最小限に抑えるため、定期的に株をチェックしましょう。
以下でそれぞれの害虫についての対策を解説します。
コナカイガラムシ
- 白い粉で覆われた虫
- 葉に白くベタベタしたものをつける
コナカイガラムシは葉の付け根や葉裏に群がり、樹液を吸い取って株を弱らせるほか、排せつ物によって葉が黒いすすに覆われたようになる「すす病」を引き起こす恐れもあります。
発生した場合は、アルコールに浸した綿棒で取り除くか歯ブラシでこすり落とすのがおすすめです。
数が多い場合はニームオイル(害虫の防除、殺菌、殺虫効果がある天然のオイル)を散布して駆除しましょう。
コナカイガラムシは空気の通りが悪い場所で管理していると発生するため、風通しをよくして予防しましょう。
ハダニ
- 赤や黄緑色の小さな虫
- 葉にクモの巣のような糸を張る
ハダニが発生すると葉の黄変や白い斑点が生じ生育不良に陥ります。
ハダニは水に弱いため、発生した場合は水で洗い流すのが効果的ですが、大量に発生した場合は専用の薬剤やニームオイルを使用しましょう。
ハダニは乾燥した環境を好むため、日頃から葉水を行い葉を乾燥させないことが予防になります。
斑点病
- 葉に褐色や黒褐色の斑点が生じる
- 黄色く縁どられた穴が開く
斑点病は真菌や細菌の感染により葉に黒っぽい斑点が生じ、病気が進行すると葉が枯れ落ちてしまいます。
病原菌の蔓延を防ぐため感染した葉や茎を取り除き、症状がひどい場合は殺菌剤を散布しましょう。
風通しや水はけをよくし、水やりの際は葉を濡らさないようにすることが予防になります。
斑点病が発生しやすい初夏の雨が多く湿度が高い時期や秋に、予防的に薬剤を事前散布するのも効果的です。
植え方・仕立て方
植え方
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの苗の植え付けは春から夏にかけての暖かい時期に行ってください。
根腐れを防ぐために鉢は一回りほど大きいものにして、定着しやすいように根をほぐしてから植えつけるのがポイントです。
冬場でも室温を20℃以上に保てるのであれば植え付け可能ですが、真夏の猛暑日は成長が緩慢になるため避けましょう。
また、苗は軸がしっかりしていて葉数が多く、徒長していないものを選ぶのがおすすめです。
仕立て方
フィロデンドロン プリンスオブオレンジは直立性のタイプのため、上に向かって伸ばしたい場合は支柱を立てて茎を支えてください。
コンパクトに育てたい場合は伸びた茎を剪定して理想のサイズ、樹形をキープしましょう。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの基本情報
| 植物名 | フィロデンドロン プリンスオブオレンジ |
| 学名 | Philodendron ‘Prince of Orange’ |
| 英名 | Philodendron Prince of Orange |
| 原産地 | 熱帯アメリカ |
| 科名 | サトイモ科 |
| 属名 | フィロデンドロン属 |
| 開花時期 | 春から夏(開花は稀) |
フィロデンドロン プリンスオブオレンジは熱帯アメリカ原産のサトイモ科の植物です。
フィロデンドロン属はつる性のものが多いですが、フィロデンドロン プリンスオブオレンジは株元から茎が立ち上がり葉が上に伸びる直立性のタイプになります。
新葉が鮮やかなオレンジ色をしているのが特徴で、成長するにつれて葉の色が変化していく様子が楽しめるのも魅力です。
耐陰性があり明るい場所であれば室内でも十分成育可能で比較的丈夫なため、初心者でも育てやすい観葉植物として人気があります。
月別栽培カレンダー
植え付け・植え替え
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
剪定
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
開花時期
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
挿し木・水挿し
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種類と品種
| 品種名 | 性質 | 葉の形 | 斑の有無 | レア度 | 育て易さ |
|---|---|---|---|---|---|
| フィロデンドロン プリンスオブオレンジ | 直立性 | 卵形 | 無 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
| フィロデンドロン ホワイトウィザード | つる性 | ハート形 | 有 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| フィロデンドロン セローム | 直立性 | 掌状 | 有 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
| フィロデンドロン グリーンコンゴ | 直立性 | 卵型 | 有 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| フィロデンドロン シルバーメタル | つる性 | 卵形 | 無 | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
| フィロデンドロン バーキン | 直立性 | ハート形 | 有 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| フィロデンドロン グロリオーサム | ほふく性 | ハート形 | 有 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
フィロデンドロンは種類が非常に多く、約650の品種があります。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジは株元から茎が立ちあがり上に向かって伸びる直立性タイプですが、木に張り付いてよじ登るように成長するツル性タイプやほふく性のものなどもあり、品種によって性質が違うのが特徴です。
葉も肉厚なものから切れ込みが入ったもの、斑入りのものなど多岐にわたります。
フィロデンドロンの代表種や人気の品種は以下の通りです。
フィロデンドロン ホワイトウィザード

フィロデンドロン ホワイトウィザードは名前の通り、葉に白い斑が入ります。
つやつやの緑の葉に真っ白な斑が複雑に混ざり合う様がまるでアート作品のような品種です。
フィロデンドロン セローム

たくさんの深い切れ込みが入った大きな葉が特徴です。
直立性の品種で、太い茎が四方に広がり南国のトロピカルな雰囲気があります。
フィロデンドロン グリーンコンゴ

濃い緑ベースの葉に飛び散るように白系の斑が入ったり、葉の半分を埋めるほど大きく黄色の斑が入ったりする不規則な斑のパターンが魅力のフィロデンドロンです。
フィロデンドロン バーキン

緑と白の繊細なしま模様の葉をつける、フィロデンドロンの中でも非常に人気がある品種です。
比較的新しい品種で、新葉は透き通るように白く、成長するにつれ徐々に濃い緑色に変化していきます。
フィロデンドロン グロリオーサム

特徴的な掌状に広がる白い葉脈が入った大きなハート形の葉をもつフィロデンドロンです。
大型の品種で存在感があり、生長すると葉は40~50cmとかなり大きくなります。
フィロデンドロン シルバーメタル
シルバーグレーのメタリックな色の葉が特徴です。
銀のスプレーを吹きかけたような輝きがあり、見る角度によってキラキラと色を変えます。
フィロデンドロン ゴールデンクロコダイル
ワニの背中を思わせるようなデコボコでギザギザしたユニークな葉をつけます。
葉が明るく爽やかなイエローグリーンで、新芽がピンク色なのも魅力的です。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジはダイソーでも買える?
フィロデンドロン プリンスオブオレンジは100円ショップのダイソーでも購入可能です。
価格は300~500円ほどで、フィロデンドロン プリンスオブオレンジの他に人気品種のフィロデンドロン バーキンやフィロデンドロン クッカバラも販売されています。
ただし、ダイソーでは観葉植物の品揃えが限られていることが多く、店舗によっては取り扱いが無い場合もあるので見つけたらラッキー程度に思っておいた方がいいかもしれません。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの葉っぱの特徴

フィロデンドロン プリンスオブオレンジは名前の通り、鮮やかなオレンジ色の新葉をつけるのが特徴です。
葉は厚めでつやつやとした光沢があり、成長すると手のひらほどの大きさになります。
オレンジ色の新葉は成長するにつれライムグリーンや薄黄色に葉色が変わり、最終的に深い緑色になるため、一年を通して葉の色が変化する様子を楽しめるのが魅力です。
また、フィロデンドロン プリンスオブオレンジは直立性タイプのため、つる性タイプにみられる樹に張り付くために伸ばす気根がありません。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの花言葉
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの花言葉は「華やかな明るさ」「壮大な美」です。
これらの花言葉はフィロデンドロン属の植物に共通するものとなっています。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの栽培環境

フィロデンドロン プリンスオブオレンジは熱帯地域の森の中、水はけが良く腐植質に富んだ土壌に根を張り木漏れ日を浴びながら成長します。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジを元気に育てるにはこのような原生地の環境に近づけることが重要です。
以下でフィロデンドロン プリンスオブオレンジの適切な栽培環境について解説します。
置き場所と日当たり

フィロデンドロン プリンスオブオレンジは風通しがよくて明るい半日陰、室内であれば東向きか西向きの窓辺が理想的です。
上記のような直射日光が1日に数時間だけ当たる場所に置くことで、熱帯雨林に降り注ぐ木漏れ日の環境を再現できます。
耐陰性はありますが、光があまり当たらないと鮮やかな葉色を保てないので注意が必要です。
室内管理で葉色が悪かったり徒長をしたりするようであれば、屋外に移動させるのもおすすめですが、直射日光が長時間当たる場所では葉焼けしてしまうので避けましょう。
また、葉が乾燥するためエアコンの風が直接当たらない場所に置いてください。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジはシュウ酸カルシウムという有毒の成分を株全体に含むため、ペットや小さな子供が口にしないように手の届かない場所に置きましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの生育に理想的な温度は15~28℃です。
熱帯地域に自生する植物なので暑さには強いですが、耐寒温度は5℃程度で寒さには弱いため、冬場は室内に取り込み10℃以上で管理しましょう。
また、冬場は冷たい隙間風から保護するため窓やドアから離れた場所に置いてください。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの土の配合比率(用土)

フィロデンドロン プリンスオブオレンジは排水性が高く、ある程度の保水力もある用土を好みます。
水はけが悪い用土では根腐れを起こしてしまう可能性があるため注意しましょう。
市販の場合は観葉植物用の土、自作する場合はピートモス、パーライト、洋ランバーク、砂利を以下の割合で混ぜたものがおすすめです。
- ピートモス:3
- パーライト:3
- 洋ランバーク:3
- 砂利:1
フィロデンドロン プリンスオブオレンジを種から育てると大変?
フィロデンドロン プリンスオブオレンジは種から育てることも可能ですが、育苗トレイや発芽用の用土、スプレーボトルなどの道具が必要です。
また発芽するまで数週間かかり、温度管理や水やりなどの作業が毎日必要になるほか、株を成長させるのにもかなりの年月を要します。
手間と時間がかかるため、フィロデンドロン プリンスオブオレンジを増やしたい方は挿し木や水挿しを行うのがおすすめです。
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの増やし方

フィロデンドロン プリンスオブオレンジは挿し木や水挿しで増やせます。
挿し木とは、植物の一部を切り取ったもの(挿し穂)を土に挿して発根させる方法で、水挿しは水に挿して発根させる方法です。
どちらも比較的簡単にできるので株を増やしたい方はチャレンジしてみてください。
剪定の時期はいつがいい?
フィロデンドロン プリンスオブオレンジは基本的に剪定は必要ありません。
樹形を整える場合や枯れかけている葉がある場合など剪定が必要な際は、新芽が生えやすく回復が早い5~6月に行いましょう。
また、使用するはさみは清潔で切れ味のよいものを使用してください。
挿し木のやり方
挿し木のやり方は以下の通りです。
- 挿し穂の準備
- 発根促進剤に浸ける
- 挿し木する
- ビニール袋で鉢を覆う
- 明るい日陰で管理する
① 挿し穂の準備
使用する挿し穂は、少なくとも2~3枚の葉と2つ以上の節がある健康な茎を選びましょう。
清潔なはさみを使って節のすぐ下をカットし、挿し穂が10~15cmの長さになるようにします。
② 発根促進剤に浸ける(任意)
茎の切り口をメネデールなどの発根促進剤に浸して発根を促します。
③ 挿し木する
水はけの良い培養土を入れた鉢の中央に指で穴を開け挿し穂を挿します。
必ず1節は土に埋まるようにしてください。
④ ビニール袋で鉢を覆う
土に軽く水やりをし、湿潤な環境を作るために鉢をビニール袋で覆います。
カビがはえないように葉がビニール袋に触れないように注意し、1日1回は開けて換気をしましょう。
⑤ 明るい日陰で管理する
暖かくて明るい日陰で管理します。
土は水浸しにならない程度で水やりし、常に湿った状態をキープしてください。
約4週間ほどで根が張り、植え替えが可能になります。
水挿しのやり方
- 水に挿す
- 発根するまで待つ
① 水に挿す
水を入れた透明な容器に、節が水に浸かるように挿し穂を挿してください。
腐敗を防ぐために、挿し穂を水に浸けたときに浸かってしまう葉は取り除いておきます。
② 発根するまで待つ
明るい間接光が当たる場所に置き、数日ごとに水を交換し清潔に保ちます。
3週間ほど経つと根が3cm程度になり鉢に植え付けが可能です。
植え替え時期はいつがいい?
フィロデンドロン プリンスオブオレンジの植え替えは1~2年に一度、春から夏の間に行いましょう。
鉢底から根が飛び出していたり、水が土壌に吸収されずに鉢底から流れ出たりしている場合は植え替えのサインです。
鉢替えのやり方
新しい鉢を大きすぎるものにすると、株に対して土が保持する水分量が多くなり根腐れを起こす恐れがあるので、現在の鉢より一回りだけ大きい鉢を選びましょう。
鉢替えのやり方は以下の通りです。
- 鉢から株を抜く
- 新しい鉢に用土を入れる
- 株を植える
- 半日陰で管理する
① 鉢から株を抜く
鉢の側面を軽く叩いて株を抜きます。
古い土を優しくほぐして落とし、傷んだ根があれば清潔なハサミで切り取りましょう。
② 新しい鉢に用土を入れる
新しい鉢に鉢底石を敷き、株を植えたときに鉢の縁より数センチ下に株元がくる高さになるように鉢底に用土を入れます。
用土は市販の観葉植物の培養土、自作の場合は観葉植物用の土、自作する場合はピートモス、パーライト、洋ランバークを同量混ぜたものがおすすめです。
③ 株を植える
新しい鉢の中央に株を置き、茎や葉にかからないように注意しながら株の周りに用土を充填していきます。
土を軽く押さえ空気を抜き株を安定させましょう。
④ 半日陰で管理する
植え替えが完了したら水をたっぷり与えます。
その後は直射日光を避けた半日陰で数週間ほど管理し、新しい環境に慣れるまで、水やりは控えめにします。
植替えによる根のダメージが回復するまで2週間ほどは肥料を控えてください。
