観葉植物を大きく育てる鉢はスリット鉢がおすすめ
公開日 2025年02月13日
更新日 2025年03月06日

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目次
スリット鉢とは
スリット鉢とは、鉢の底面から側面にかけてスリット状の穴が空いているプラスチック製の鉢のことです。
通気性と排水性が高く、使用することで根腐れが起きにくくなります。
また、スリット鉢に植えつけると根の張りが良くなるのも特徴です。
根の張りが良くなる理由
植物の根は、空気や光に当たると成長が一時的に止まり、新しい根の成長が促される性質があります。
スリット鉢の側面の穴から伸びている根に空気や光が当たることで成長が止まり、他の根が次々にできていく仕組みです。
そのため、スリット鉢は「根張り鉢」とも呼ばれています。
スリット鉢の種類
スリット鉢は基本的にプラスチックでできていて、以下の形があります。
- 円形
- 四角形
- 六角形
- 八角形
- 十二角形
植物の根は障害物に当たることでも成長を一時的に止めるため、より多くの根を張らせたい場合は、六角形や八角形など角がある鉢を選ぶとよいでしょう。
また、鉢の深さには以下の3種類があり、植物の特徴に合わせて選ぶことをおすすめします。
鉢の名前 | 鉢の高さ | 適した植物 |
---|---|---|
スタンダード鉢 | 直径の70〜80%ほど | ほとんどの観葉植物に対応 |
浅鉢 | 直径の60〜70%ほど | ペペロミア、サボテンなど根を浅く張る観葉植物 |
深鉢 | 直径以上のもの | ゴムの木、ウンベラータなど高さがある観葉植物 |
スリット鉢を選ぶときは、観葉植物の根の張り方や育ち方に合わせて選ぶとより元気に育てられるでしょう。
観葉植物の成長は根っこが重要|ルーピングに注意

観葉植物をいきいきと成長させるためには、根をたくさん張らせることが大切です。
植物の根の成長の仕組みや根の成長を妨げる状態について知っておくと、育成に役立つでしょう。
植物の成長を妨げる「ルーピング」とは
植物の根が鉢の底でぐるぐると巻いている状態を「ルーピング」と呼びます。
ルーピングは根が密集しているため、一見するとよく根が張っているように感じるかもしれません。
しかし、実際には数本の根が長く伸びて巻いている状態で、他の根の成長を抑制してしまいます。
ルーピングの問題点は以下の通りです。
- 植え替えても新しい根が育ちにくい
- しっかりと根が張るまでに時間がかかる
- 植物が弱ってしまう
- ルーピングの部分を切り取ると枯れる可能性がある
ルーピングで植物の成長を妨げないよう、予防が大切です。
根の長さよりも本数が大切
観葉植物を元気に成長させるためには、根の長さよりも本数が大切です。
<根の本数が多いと得られる効果>
- 水分や栄養を効率よく吸収できる
- 株のぐらつきを防ぐ
植物は根の先端から水分や栄養を吸収するため、根の本数が多いと効率が上がります。。
また、根は土を掴んで杭のようなはたらきもするため、根の本数を増やすことで、ぐらつかない強い株へと育つでしょう。
根っこを健康に育てるコツ
観葉植物の育成では葉っぱや茎など見えている部分の成長に意識が向きがちですが、根を健康に育てることが重要です。
根の本数を増やして健康的に育てるために、以下の3つのポイントを意識しましょう。
植物に合った良い用土を使う
根を健康に育てるためには、植物に適した用土選びが大切です。
一般的に、園芸用土は有機質と無機質の2つに分類されます。
有機質の用土
日光が適切に当たり、風通しの良い場所で育てる場合は、有機質の土を選ぶとよいでしょう。
有機質の土は柔らかく根が張りやすいため、根の張りが不足して弱いと感じる観葉植物の育成にもおすすめです。
無機質の用土
一方、無機質の土は水はけが良く、虫の発生も抑えられるため、日当たりや風通しが悪い場所など環境が整っていない場合に適しています。
また、根がある程度張っていて、より丈夫に育てたいと考えている場合も無機質の土に植え替えるとよいでしょう。
成長に応じたサイズの鉢に植え替える

観葉植物は成長に合わせて植え替えが必要です。
植え替える際には、観葉植物よりも一回り大きい鉢を選びましょう。
植物の鉢のサイズは、1号、2号、3号…と3cmずつ大きくなります。
2号の鉢は直径6cm、3号の場合は直径9cmです。
たとえば、3号の鉢で育てている観葉植物の植え替えをする場合は、新しく4号の鉢を用意するとよいでしょう。
大きすぎる鉢はNG
植え替える回数を減らしたいからといって、大きすぎる鉢はおすすめできません。
植物の大きさに対して土の容量が多すぎると、植物が水分を吸いきれずに土が湿った状態が続く可能性が高いです。
土が湿った状態が続くと根腐れや根傷みの原因となり、枯れたり病気になったりしやすくなります。
育ちやすい鉢を使う|スリット鉢のメリット
根を健康に育てるときに役立つのがスリット鉢です。
スリット鉢は鉢の側面のスリットによって根が空気に触れやすいため、根の成長を一時的に止められます。
根の成長が止まることによって、新しい根の成長が促進され、根が育ちやすくなる仕組みです。
スリット鉢のメリット
- 根張りがよくなる
- 短い根がたくさん出る
- 栄養や水分を効率的に吸収できる
- 鉢の中に熱がこもりにくい
- 水はけがよい
- 植え替えの頻度を減らせる
短い根がたくさん出ると、鉢の中の土を有効活用できます。
スリット鉢を使うと鉢の中の土の80%ほどを活用できるため、植え替えの頻度を減らせるのも利点といえるでしょう。
スリット鉢の上手な使い方
スリット鉢は根の成長を促す便利な鉢ですが、使い方を誤ると期待していた効果が得られない可能性があります。
ここでは、スリット鉢の効果を最大限に発揮するポイントについて解説します。
鉢底石は入れないで一番下まで土を入れる

スリット鉢を使用する場合、基本的に鉢底石は不要です。
鉢底石は、鉢の中の通気性を確保するために使われています。
スリット鉢は鉢底石を入れなくても通気性が確保できるため、土を一番下まで入れましょう。
土の容量を増やすと根が長く伸び、より成長を促せます。
地面(土)の上に直接置かない
スリット鉢は台やレンガ、フラワースタンドなどの上に置きましょう。
スリット鉢を地面に直接置くと、根がスリットから出た際にそのまま地面に張ってしまいます。
地面と一体化してしまうと、鉢が動かせなくなり、せっかく伸びた根を切らなければなりません。
根を切っても他の根が伸びるため、植物が枯れる可能性は低いですが、成長が鈍くなってしまいます。
空気と光が当たるようにする
植物の根は、空気と光が当たることで成長が一時停止します。
1つの根の成長が止まると、新しい根がどんどん成長するのが特徴です。
つまり、根に空気と光が当たることによって、根がたくさん張りやすくなります。
特に六角形や八角形など角にスリットがある鉢は空気や光が当たりやすい構造なため、ルーピングが起きにくく、根の成長を促せます。
スリットから出てきた根は切る
植物が成長しスリットから根が出てきた場合は、手やはさみで切りましょう。
そうすることで、鉢の中の根の成長が促されます。
特に、モンステラなどの観葉植物は根が強く、どんどんスリットから根が出てくる傾向です。
スリットから根が出てくる品種は基本的に根が強いため、切っても丈夫に育つでしょう。
スリット鉢のデメリット
根の成長を促進し、観葉植物を元気に育てられるスリット鉢ですが、デメリットもあります。
スリット鉢のデメリットを把握して適切に対処することで、効果的に活用できるでしょう。
スリットから土が漏れてしまう
用土の種類やスリットの大きさによって漏れる土の量は異なりますが、特に植え替え直後は土が漏れやすいです。
インテリアとして活躍する観葉植物ですが、スリット鉢に植え替えることで屋内には置きづらくなってしまいます。
土が漏れるのを防ぐために鉢底ネットの使用を検討する人もいるかもしれませんが、空気や光が通りにくくなるため、おすすめしません。
根が成長して張ってくると根が土を掴んでいくため、次第に漏れる土の量は減っていくでしょう。
土や根っこが乾きやすい
スリット鉢を使用することで、土や根が渇きやすくなってしまうこともデメリットです。
鉢の側面にスリットがあることで通気性がよくなるため、水分を与えてもすぐに水が流れ出てしまいます。
特に、気温が高く水分が蒸発しやすい夏場は、土の表面と鉢底の両方から水分が蒸発していくため、乾燥しがちです。
乾燥対策にはダブルポットもおすすめ
乾燥しやすい夏場に水やりの頻度を増やすと、元気に育てられます。
それでも水切れが気になる場合には、スリット鉢に通常の鉢を重ねる「ダブルポット」を試すとよいでしょう。
ダブルポットにすることで、水もちが良くなり乾きがゆるやかになります。
デザインやカラーは地味なので鉢カバーと組み合わせる

スリット鉢は主に生産者向けに作られている鉢です。
そのため、多くのスリット鉢は地味なデザインでカラーバリエーションも少ない傾向にあります。
植物をインテリアとして活用したい場合は、上から鉢カバーを使用するとイメージに合わせられるでしょう。
鉢カバーは、布やテラコッタなどさまざまな素材でできていて、デザインも豊富です。
ただし、鉢カバーに入れるとスリット鉢の通気性と排水性の良さが抑制されてしまいます。
できれば、生育期などには鉢カバーを外して、空気や光を当てるとよいでしょう。

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スリット鉢を使った植え替えのやり方
スリット鉢を使った植え替えを紹介します。
スリット鉢への植え替えは、通常の鉢への植え替えとほとんど同じです。
ここでは、スリット鉢を使った植え替えの方法について解説します。
鉢サイズの選び方
観葉植物をスリット鉢に植え替える際には、植物の大きさに適した鉢を選びましょう。
植物に対して大きすぎる鉢を選ぶと土の容量が多くなり、土が常に湿った状態になってしまうため、根腐れする可能性が高まります。
一方、植物に対して小さすぎる鉢に植え替えると、根詰まりを起こす可能性が高いです。
植え替える際の鉢選びは、古い鉢よりも一回り、もしくは二回り大きいものを選ぶことをおすすめします。
用土と元肥
観葉植物を植え替える際の用土は、観葉植物用の土がおすすめです。
ホームセンターや園芸店では、植物の種類に応じて配合された専用土が販売されています。
観葉植物用の土は、葉の色を濃くする成分や水はけをよくする基本用土が配合されていることが一般的です。
自分で配合する場合は、赤玉土4:軽石3:バーク堆肥2:パーライト1の割合を目安にしてください。
元肥
観葉植物用の土は元肥も混ぜられている場合が多いです。
元肥が入っている場合には、根の成長を助ける肥料を用土に混ぜましょう。
<元肥の選び方>
- 根の成長を助けるリン酸の割合が高い肥料
- ゆっくり長期間効果が出る緩効性肥料
パッケージに「肥料成分入り」と書いてある配合土を使う場合には、肥料が多すぎて逆効果になるため混ぜる必要はありません。
植え替えの手順とポイント
① 新しい土を鉢に入れる
新しい用土を鉢に入れます。
鉢の半分より少し多いくらいの用土を入れるとよいでしょう。
② 植物を古い鉢から取り出す
植物が傷まないように鉢から取り出します。
もしもスムーズに取り出せない場合は、鉢の周りの土を割り箸などでほぐすのがおすすめです。
無理に引っ張ってしまうと、根や植物が傷ついてしまう可能性があるため、慎重におこないましょう。
③ 植物の根のまわりの土を軽くほぐす
根の周りの土をほぐす際には、根の状態を確認しましょう。
黒い根は悪い状態のため、取り除きます。
白色やオレンジ色の根は悪い状態ではないため、軽くほぐして新しい鉢に入れてください。
ルーピングがひどい根は、成長の妨げになるため切ることをおすすめします。
④ 植物を新しい鉢に入れて高さを合わせる
植物を新しい鉢の中心に置き、高さを確かめます。
鉢のふちから2〜3cm下に植物が埋まるように、土の量を調整してください。
土を入れすぎると、水やりしたときに溢れる可能性があるため、すこし余裕をもたせるとよいでしょう。
⑤ 植物のまわりに土を被せる
植物を新しい鉢の中心に置き、根と鉢の間に土を入れます。
土は少しずつ追加することが大切です。
割り箸で根の隙間にも土が行き渡るようにしましょう。
⑥ 水をたっぷりと与える
植え替えが完了したら、鉢底から水が出るまでたっぷりと水を与えます。
植え替え後は、レースカーテン越しの日なたや半日陰の場所に置くとよいでしょう。
スリット鉢を使って観葉植物を早く大きく育てよう
観葉植物を元気に大きく育てるためには、根の本数を意識することが大切です。
スリット鉢は通気性や排水性に優れているだけではなく、根の数を増やして健康的に育てるのに役立ちます。
観葉植物を早く大きく育てたいと考えているならば、スリット鉢を活用して植物の環境を変えてみてはいかがでしょうか。
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