グラジオラスの育て方
公開日 2025年05月12日
更新日 2025年05月12日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。

グラジオラスの基本情報

植物名 | グラジオラス |
学名 | Gladiolus |
和名 | オランダアヤメ |
英名 | Gladiolus、Sword lily |
別名 | トウショウブ、オランダショウブ |
原産地 | 南アフリカ |
科名 | アヤメ科 |
属名 | グラジオラス属 |
グラジオラスは、色とりどりの花が縦に並んで咲く、優雅な立ち姿が魅力的な花です。
下から順に花を咲かせ、初夏から秋にかけて長く開花を楽しめます。
水やりや支柱立てを行うなどの管理が必要なものの、丈夫で育てやすく力強い植物です。
なお、グラジオラスには夏咲きと春咲きがありますが、この記事では夏咲き種を中心に説明します。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種
グラジオラスの原種は、春咲きと夏咲き合わせて約300種類あります。
アメリカを中心に改良され、花のサイズや草丈、栽培時期などの違いから5,000種類を超えるほど品種が多い植物です。
ここでは、異なる特徴をもつ6種類を説明します。
リリアセウス
花びらが多く、渋い茶色や赤茶、黄、赤紫など花色に特徴があり、豪華な雰囲気です。
昼と夜でも花の色が変化する特殊な特徴があります。
トリスティス コンコロール
南アフリカ原産の原種で、ユリに似た形と花色とほのかな香りが特徴です。
夏咲きよりも茎が細いことや、つぼみ同士が離れて咲くことから、繊細ではかなげな雰囲気があります。
ピンクレディー

フリルのような花びらがびっしりと密に並んで咲きます。
二色咲きの品種で、白とラズベリーレッドのグラデーションが美しく華やかです。
ミルカ
白みがかった紫色をした大輪の花が特徴です。
ほかの品種より開花が早い極早生の品種で、切り花に向いています。
初夢
日本で品種改良された夏咲き品種です。
白と薄いピンクのグラデーションの花がふんわりとエレガントに咲きます。
開花スピードが早く1日で花を多数つける分、開花期間は短めです。
アドレナリン
花は明るく淡いピンク色で、ひらひらした花びらが優しい雰囲気です。
花持ちがよく切り花としても人気があります。
品種名 | 開花時期 | 草丈 |
---|---|---|
リリアセウス | 春咲き | 30~80cm |
トリスティス コンコロール | 春咲き | 40~70cm |
ピンクレディー | 夏咲き | 80~120cm |
ミルカ | 夏咲き | 80~120cm |
初夢 | 夏咲き | 50~100cm |
アドレナリン | 夏咲き | 90~110cm |
グラジオラスはどんな花が咲く?

グラジオラスの花は、フリルのような花やユリのような花など、品種によってさまざまな見た目をしています。
花の大きさは小輪タイプでは約6cm、大輪タイプでは約15cmです。
1つの茎に縦に並んで複数のつぼみをつけ、下から順に咲いていくため最盛期には豪華で見ごたえがあります。
グラジオラスの葉っぱの形

グラジオラスの葉っぱは、剣のように細長くとがった形をしています。
葉は根元から生えて、7~8枚程生えると中心から花茎が伸びていきます。
グラジオラスの花言葉
グラジオラスの花言葉は「密会」「用心」「勝利」「忘却」です。
グラジオラスの育て方
グラジオラスは比較的丈夫な植物ですが、立派な花を咲かせるために、以下に気をつけて育てましょう。
- 乾燥させすぎない
- 連作をしない
- 折れないように支柱立てを行う
- 球根を掘り起こして冬越しする
それぞれの管理について詳しく説明します。
水やりの頻度
グラジオラスは乾燥に強い植物ですが、本葉が出てから開花までの成長期は乾燥させ過ぎないよう気をつけて水やりしてください。
鉢植えの場合
表面の土が乾いて白っぽくなったら、鉢底から水が流れ出るくらいしっかり水やりをします。
水やり後に鉢を持って大体の重さを覚えておくと、水やりのタイミングや水やりをする量の見当がつけられるでしょう。
地植えの場合
植え付けの際に土に染み込むようしっかり水やりをしたら、その後は降雨に任せて大丈夫です。
ただし雨が降らず、土が乾燥して割れてしまったら水やりしてください。
ウッドチップやシートなどを株元に敷いてマルチングをして、乾燥を防ぐとよいでしょう。
肥料のあげ方
グラジオラスは、やせ地でも育つため肥料をあまり必要としません。
植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を混ぜ込みます。
さらに、本葉が増えてきたら、化成肥料を追肥しましょう。
病害虫・害虫対策
グラジオラスは、気候や連作障害などによって病害虫が発生することがあります。
特に注意したい病害虫は次のとおりです。
ハダニ
- 乾燥した環境になると発生しやすい
- 汁を吸って食害し、葉に白い斑点が出る
見つけたら葉裏を水で洗い流しましょう。
殺虫剤を利用したり、水で薄めた木酢液を霧吹きで吹き付けたりしても害虫予防になります。
アザミウマ(スリップス)
- 体長1~2mmの昆虫
- 新芽、新葉、つぼみなどから汁を吸って加害する
- ウィルス病の媒介になることもある
見つけたら殺虫剤散布したり、忌避作用のある白色や銀色をした光反射シートを利用したりと複数の防虫対策を取り入れましょう。
フザリウム腐敗病
- カビの一種フザリウムが土壌中に伝染する
- 新しく作られる球根が腐る
発生したら、対象の株とその周辺株を処分し、新しい土に入れ替えてください。
フザリウム菌に抑制効果のある土壌改良剤を施すと予防になります。
モザイク病
- 葉にモザイク模様が入る
- 花びらに色割れや斑点が出る
ウィルスが伝染しないように、防虫対策と発病した親株からの球根を使用しないことが大切です。
発病した株の汁が付いたハサミを使用すると、伝染してしまうため消毒をしっかり行うことも予防につながります。
支柱立て|タイミングとやり方
グラジオラスは、本葉が4〜5枚出てきた頃に支柱立てを行います。
球根を傷つけないように気をつけて差し込みましょう。
支柱と葉を8の字を作った針金や紐でくくり、葉と針金には指1本分の余裕を空けてください。
摘心|タイミングとやり方
グラジオラスの摘心は、花が咲き始めたタイミングで行います。
球根の成長を促すために、つぼみのついた茎の先端を摘み取ってください。
切り戻し|タイミングとやり方
グラジオラスは、花穂がすべて咲き終わった頃に花茎を根元からカットし切り戻します。
切り戻しをしないと種が出来てしまい、株全体の生育が悪くなる恐れがあります。
球根の掘り上げ|タイミングとやり方
グラジオラスは、寒さに弱いので球根を掘り上げて保管するのがおすすめです。
堀り上げは葉が黄色く枯れ始める9〜10月頃に行います。
- 葉を刈り取る
- 球根を掘り上げる
- 約1ヶ月乾燥させる
- 球根を分ける
- 次のシーズンまで保管する
① 葉を刈り取る
地上部を5cmほど残して、黄色くなった葉を刈り取ります。
② 球根を掘り上げる
球根を傷つけないよう大きく掘り上げ、土を丁寧に落とします。
その後に乾燥させるため、水で洗い流さないでください。
地上部は1~2cmくらいまで短く刈っておきましょう。
③ 約1ヶ月乾燥させる
約1ヶ月間、陰干しし外皮を乾燥させます。
ただし、乾燥しすぎると翌年芽を出さないこともあるため、注意してください。
④ 球根を分ける
新しい球根を残し、黒くなった古い球根は切り落とします。
新しい球根の周りについている小さな球根(木子)もひとつずつ分けましょう。
⑤ 次のシーズンまで保管する
新しい球根と木子を穴の空いた紙袋やネットへ入れて、5℃以下にならない室内で保管してください。
グラジオラスの栽培環境
グラジオラスは水はけがよく、日当たりが良好で風が抜ける場所を好む植物です。
栽培環境に気をつけ、豪華な花を咲かせましょう。
置き場所と日当たり
グラジオラスは、風が通る空間で日がよく当たる場所で育ちます。
特に、半日以上日当たりが悪いと花が咲かないことや、小さな花になることもあるので注意しましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
グラジオラスの栽培には日中25〜30℃、夜間でも15℃以上の温度が必要です。
気温が低いと成長速度が遅くなり、3℃以下では生育が止まることもあるので注意してください。
用土
グラジオラスの用土は、水はけのよい土が好ましいです。
市販の球根の土や草花土もしくは、赤玉土と培養土を7:3で混ぜたてください。
地植えの場合は、植え付ける2週間前には苦土石灰を混ぜて、土を中和させておくとよいでしょう。
夏越しの方法
グラジオラスは暑さに強く、特別な夏越しの方法は必要ありません。
冬越しの方法と注意点
夏咲き品種は、球根を掘り上げて冬越しさせます。
秋に植え付けて春に咲かせる春咲き品種は、冬に葉を伸ばし成長するため以下の管理が必要です。
- 花茎が伸びてきたら、支柱立てを行う
- ビニールや保護カバーで覆うか、簡易温室に入れる
グラジオラスの種まき
グラジオラスは球根植物ですが、種まきでも増やすことができます。
グラジオラスを種から育てると大変?
グラジオラスは球根から育てる方が簡単ですが、種からでも育てることが可能です。
ただし、花を咲かせるためには、種が発芽し球根が大きくなるまで3年以上かかります。
種まきにおすすめの時期は3~5月頃
グラジオラスの種まきは、霜の降りる心配がなくなる3〜5月頃がおすすめです。
種まきのやり方
- 種を準備する
- ポットや用土を準備する
- 種をまく
- 発芽まで管理する
① 種を準備する
種は一晩水に浸して湿らせた後、1週間くらい冷蔵庫で保管し発根させます。
小さな種には薄い羽のようなものがついており、風で飛ばされないように気をつけてください。
② ポットや用土を準備する
育苗用のビニールポットもしくは6号鉢(直径約18cm)を準備します。
草花用または球根用の土か、赤玉土と腐葉土を7対3の割合で混ぜたものを用意し、緩効性肥料を与えます。
ポットに土を入れ、しっかりと吸水させておきましょう。
③ 種をまく
5mmほどの深さの穴に、約3cmずつ間隔を空けて種をまきます。
種をまいたら土をふんわりとかけてください。
土の上から水やりをすると種が流れてしまう恐れがあるので、水の入った容器にポットや鉢を浸けて底面から吸水させます。
④ 発芽まで管理する
日陰に置き、週2回底面吸収を行います。
2~3週間経って発芽したら、日当たりの良い場所で育てましょう。
グラジオラスの植え付け
グラジオラスは球根を植え付けるのが一般的で、花を早く楽しみたい方にもおすすめです。
球根の選び方や植え付け方法のポイントを紹介します。
球根の選び方
グラジオラスの球根はふっくらと丸みがあり、表面に傷がなく、よく乾燥しているものを選びましょう。
高さがなく平べったい球根は、発育不足や花が咲きにくいといったトラブルが起こりやすいため避けてください。
植え付けでおすすめの時期は3~5月
夏咲き品種のグラジオラスの植え付けは3~5月で、霜の心配がなくなる時期がおすすめです。
春咲き品種は10〜12月頃に植え付けます。
鉢植えのやり方
- 土と鉢を準備する
- 球根を植え付ける
- 水やりをする
- 芽が出るまで管理する
① 土と鉢を準備する
鉢のサイズは6号鉢(直径約18cm)に球根3つが目安で、高さは約30cmある鉢がおすすめです。
市販の草花用土か球根の土、赤玉土7割培養土3割と緩効性肥料を混ぜた土を利用します。
鉢底石を3cmほど入れ、半分くらいまで土を入れて軽く空気を抜いてください。
② 球根を植え付ける
球根の約3倍の大きさの深さあたりに、尖った方を上に約10cm間隔で植えましょう。
成長し大きくなった時に、土の表面から出てしまわないようあらかじめ調整します。
その後、鉢のフチ3cmほど下まで土をかけて、軽く抑えます。
③ 水やりをする
植え付け後は、鉢底から水が流れ出るくらいを目安にしっかりと水やりします。
④ 芽が出るまで管理する
鉢を日が当たる風が通る場所へ移動させます。
ときどき土の状態をチェックし、表面が乾き少し掘ってサラサラとしていたら水やりをしてください。
地植えのやり方
地植えのやり方の手順は鉢植えと同じですが、注意するポイントはこちらです。
- 植え付けの1~2週間前に、植え付け場所に苦土石灰を混ぜておく
- 植え付けの間隔は10~15cm
- 植え付け後にたっぷり水やりをし、その後は降雨に任せる
グラジオラスの開花時期

グラジオラスは、初夏から秋にかけて開花します。
開花時期は6~10月頃
グラジオラスは、6~10月頃に開花します。
球根の植え付けから約3〜4ヶ月後に咲くので、少しずつ植え付け時期をずらすと長い期間花を楽しむことができます。
グラジオラスの花が咲かない原因は?
グラジオラスは、主に栽培環境が原因で花が咲かないことがあります。
- 日照不足
- 気温が低い
- 水やりのしすぎ
- 乾燥しすぎ
比較的乾燥に強いグラジオラスですが、花が咲くまでの成長期には水切れに注意してください。
グラジオラスの増やし方

グラジオラスの増やし方は種まきからと木子(きご)がありますが、木子で増やすのが一般的です。
木子とは新しくできた球根につく小さな球根で、種と同じ役割を果たします。
木子におすすめの時期は9~10月頃
木子は9~10月頃に、球根の掘り上げと同時に行います。
木子のやり方
木子のやり方は、球根の堀り上げ方で説明していますが、追加の注意点は次のとおりです。
- 木子には外皮がないため、乾燥させ過ぎに注意
- 球根の掘り上げ時期が遅いと、土の中に木子が落ちてしまう
- 1cm以下の木子は、発芽の可能性が低いため除く
- 2cm以上ある大ぶりの木子は、植えた年から花を咲かせることもある
- 植え付ける深さは3〜5cmで、間隔は3cmほど空ける
グラジオラスに植え替えは必要?
グラジオラスを地植えした場合は、連作障害を起こさないように毎年植える場所を変える必要があります。
ほかに、日差しが当たらないことや水はけが悪いことなど、環境の変化が必要なときにも植え替えが必要です。
植え替えのタイミングとやり方
グラジオラスの植え替えは球根を掘り上げて行います。
- 球根の堀り上げ時期は9~10月
- 寒冷地の場合は毎年行う
- 寒冷地以外は少なくても2~3年ごとに植え替える