ゴーラムの育て方
公開日 2025年05月10日
更新日 2025年05月12日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。
監修者情報

覚張大季
植物と人との関わりに魅了され、日本各地の植物農園を見て回る。HanaPrimeの植物部門の立ち上げ後はオフィスや商業施設、個人宅など、幅広いシーンのグリーンコーディネートを数多く担当。植物の生態や特性を深く掘り下げ、それぞれの空間やライフスタイルに適したグリーン空間デザインを提案することが得意。観葉植物の世界に情熱を注ぎ、植物の価値を最大化することを使命としている。

INDEX
目次
ゴーラムの基本情報
植物名 | ゴーラム |
学名 | Crassula portulacea f. monstrosa |
和名 | ウチュウノキ |
英名 | Crassula ovata ‘Gollum’、Gollum jade |
別名 | 宇宙の木 |
原産地 | 南アフリカ |
科名 | ベンケイソウ科 |
属名 | クラッスラ属 |
ゴーラムは、ユニークな棒状の葉が特徴的な多肉植物で、葉先が内側にくぼんだ形状をしています。
「金のなる木」として知られるクラッスラ オバタの枝変わり品種で、「宇宙の木」という別名も有名です。
4月から6月にかけて花を咲かせますが、開花は非常に稀で、適切な環境条件が整わないと見るのは難しいでしょう。
花よりもかわいらしい葉を鑑賞する品種で、冬には葉が紅葉し、緑から赤へと色が変化する美しい姿を楽しめます。
湿気が苦手なので、育てる際には過湿を避け、風通しの良い場所に置きましょう。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種

品種名 | 葉の形状 | 特徴 | 育てやすさ |
---|---|---|---|
ゴーラム | 棒状でくぼみがある | ムチムチとした幹に | ◎ |
クラッスラ オバタ | 丸い | 縁起の良い植物として人気がある | ◎ |
クラッスラ リトルミッシー | 先が尖っている | 葉のふちがステッチのようにピンクに染まる | ◎ |
ゴーラムはクラッスラの品種のひとつで、赤みが強い個体は「ゴーラム レッド」、白い斑が入った個体は「ゴーラム スノー」といった通称で呼ばれる場合があります。
クラッスラ属は世界各地に分布していて、見た目や性質がまったく異なるさまざまな品種が存在しています。
クラッスラ オバタ

クラッスラ オバタはゴーラムの元となった品種で「金のなる木 (カネノナルキ)」という別名でも知られています。
丸みを帯びた葉っぱが硬貨を連想させるため縁起が良いとされ、入手しやすく育てやすいため観葉植物として人気が高いです。
クラッスラ リトルミッシー
先の尖った葉っぱが互い違いにつくクラッスラで、ほふく性なためグランドカバーとしても人気です。
白い斑が入るのにくわえて、葉のふちが糸で縫ったかのようにピンクに染まるかわいらしい見た目をしています。
ゴーラムの葉っぱの特徴

ゴーラムの葉は、棒状で細長く、先端が内側にくぼんでいます。
通常の葉は青緑色で、寒くなると赤く紅葉するのが特徴です。
肉厚で艶やかな質感を持ち、乾燥に強い一方、過湿に弱い性質があります。
特徴 | |
---|---|
形状 | 棒状で細長く先端が内側にくぼむ |
色 | 青緑色が基本で寒い時期には赤く紅葉する |
質感 | 肉厚で表面は光沢がある |
ゴーラムはどんな花が咲く?
ゴーラムはの開花は非常に稀ですが、適切な環境で管理すれば、春から初夏にかけて小さな花を楽しめるでしょう。
ゴーラムの花は白または淡いピンク色の5弁花で、星形に似た形で、花のサイズは非常に小さく目立ちませんが繊細な美しさがあります。
ゴーラムの花言葉
ゴーラムの花言葉は「永遠の愛」です。
葉の色が変化しながらも成長を続ける姿が、この花言葉の由来とされています
ゴーラムの育て方
ゴーラムは、水やりの頻度や肥料の管理が重要です。
適切な土と鉢を選び、病害虫対策を行うことで健康で美しいゴーラムを育てることができます。
水やりの頻度
ゴーラムは過湿に弱いため水やりの頻度は控えめにするのが基本です。
季節に関わらず、土が完全に乾いてから水を与えるようにします。
特に、冬季は休眠期に入るため頻繁な水やりは不要です。
春から秋にかけては成長期ですが、毎日水やりするのではなく、土が乾いた状態を確認してから水を与えるようにします。
肥料のあげ方
ゴーラムに肥料を与える時期は春から秋の成長期が最適です。
この期間に、2ヶ月に1回程度の薄めた液体肥料を与えるといいでしょう。
肥料は、植物が活発に成長する時期に栄養補給を助けるものです。
冬季は休眠期に入るため、肥料は基本的に与えず、春になり成長が始まったら与え始めます。
病害虫・害虫対策
ゴーラムは比較的病害虫に強いですが、適切な管理が必要です。
過湿や湿度の高い環境は病気や害虫を引き寄せやすいため、湿気を避け、風通しの良い場所で育てましょう。
特に、アブラムシやカイガラムシが発生することがあるので、見つけ次第取り除きます。
天然成分の殺虫剤やアルコールを使って害虫を駆除することも効果的です。
アブラムシ
- 小さな緑色または黒色の虫で、葉や茎に集まり栄養を吸い取る
- ゴーラムの成長を妨げ、葉が変色することがある
アブラムシは早期発見が重要なので、見つけ次第手で取り除くか、天然成分の殺虫剤や石鹸水を使って駆除してください。
大発生した場合は、専用の殺虫剤を使用すると良いでしょう。
カイガラムシ
- 茎や葉の裏に白い綿状の物質を形成する
- 栄養を吸収し、ゴーラムにダメージを与えることがある
白い綿状の物質を見つけたら、被害が軽い場合はアルコールを含んだ布で拭き取ります。
被害が広範囲の場合は、殺虫剤の使用を検討してください。
定期的に葉の裏を点検して、早めに対処するようにしましょう。
ハダニ
- 小さな蜘蛛のような虫で、葉の裏に住み着く
- 乾燥した環境で繁殖しやすい
- 葉に小さな斑点をつくり、植物の成長を遅らせる
ハダニには乾燥した環境で発生しやすいため、湿度を適切に保って予防しましょう。
ただし、ゴーラムは湿度に弱いため加湿のしすぎも厳禁です。
発生してしまった場合は、水で葉を洗い流す、または殺虫剤を使用することで駆除できます。
根腐れ
- 根が黒く腐り、生育不良になる
- 水はけの悪い土壌や過剰な水やりが原因
水はけの良い土を使用し、過湿を避けるようにしましょう。
水やりは土が完全に乾いてから行う、排水性の良い鉢を使うなども根腐れ防止につながります。
植え方
ゴーラムは湿度に弱いため、水はけの良い土で育てるのが基本です。
特に、多肉植物用の培養土や、砂質の土が適しています。
植え付ける際には、鉢の底に排水用の小石や砕けた陶器片を敷き、根腐れを防ぎましょう。
新しい鉢に植えるときは、根が広がる余裕を持たせ、根元が土の表面とほぼ同じ高さになる深さに植え付けてください。
植え替えは春か秋に行い、作業の際に根を傷つけないように注意しましょう。
ゴーラムの栽培環境

ゴーラムは、適切な日光と温度が必要な植物です。
水はけの良い土壌と風通しの良い場所を選ぶと、健康に育てられます。
置き場所と日当たり
ゴーラムは明るい場所で育てるのが基本となるので、屋外では半日陰や午前中のみ日光が当たる場所が適しています。
ただし、直射日光を長時間浴びると葉が焼けることがあるため、注意が必要です。
室内で育てる場合は、窓際など日当たりの良い場所を選びましょう。
特に冬場は、日光を十分に取り入れることがゴーラムの成長や紅葉を楽しむポイントとなります。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ゴーラムは温暖な気候を好み、寒さに弱い植物です。
耐寒温度は5度前後が目安で、それ以下になると成長が止まり、最悪の場合は枯れてしまいます。
冬の寒い時期には、冷たい風に当たらないようにしましょう。
用土
ゴーラムの健康な成長には、適切な用土選びが重要です。
特に、多肉植物は過湿に弱いため、排水性と通気性を考慮した土を選ぶ必要があります。
以下で、ゴーラムに適した用土とその特徴を確認しましょう。
用土の種類 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
多肉植物用の専用土 | 排水性が良く、水はけに優れる | 過湿を防ぐため、乾燥しやすい環境で使用 |
サボテン用の土 | 通気性と水はけが良い | 肥料が少なめなので、成長期に追肥が必要 |
一般園芸用の培養土 | 水持ちが良いが、長時間湿気を保つ場合がある | 過湿にならないよう適切な水やりを行う |
葉っぱが紅葉しない原因は?
- 日光不足
- 気温が安定しない
- 冬の寒さが十分でない
ゴーラムの葉が紅葉しない原因として、光不足や温度の不安定さです。
日光が不足すると葉が緑色のままで色づかず、冬の寒さが足りない場合も紅葉が見られません。
紅葉を楽しむには、日中は直射日光が適度に当たる場所に置く必要があります。
冬場は最低気温が5〜10℃程度の環境を維持し、室内で育てる場合は暖房の影響で温度が高くなり過ぎないよう注意しましょう。
また、昼夜の温度差を意識的に作ると、紅葉が促進されます。
ゴーラムを種から育てると大変?
ゴーラムを種から育てるのは、難易度が高い方法とされています。
その理由は、発芽率が低く、発芽までには適切な温湿度管理を長い時間続けなければならないためです。
さらに、発芽した後も十分な光量を確保するなど、繊細な環境調整が求められます。
一方で、挿し木や葉挿しによる増やし方は成功率が高く、一般的な方法です。
ただし、種から育てることで成長の過程を観察できる楽しみもあるため、時間と手間を惜しまない方には魅力的な選択肢といえるでしょう。
ゴーラムの開花時期
ゴーラムの開花時期は、春から秋にかけてで、小さな白や淡いピンク色の花を咲かせることがあります。
開花を楽しむためには、十分な日光と適切な温度管理が必要です。
開花時期は春〜秋
ゴーラムは、春から秋の間に開花します。
適した環境で育てると、控えめながらも美しい花を咲かせるでしょう。
ゴーラムの花が咲かない原因は?
ゴーラムが花を咲かせない原因には、日照不足や温度管理の不足が考えられます。
冬季に適度な寒さを経験すると花芽が形成されやすいため、寒さが足りないと開花は難しいです。
一方で、極端な低温は植物にダメージを与えるため、5度以下の環境は避けてください。
また、過剰な水やりや栄養不足も開花を妨げる要因です。
特に冬季は水やりを控えめにし、成長期である春から秋に適度な栄養を補給することで、ゴーラムが健康に育ち、花を咲かせやすくなります。
ゴーラムの増やし方

ゴーラムは、挿し木や葉挿し、株分けなど、増やし方のバリエーションが豊富な植物です。
これらの方法を正しい時期と手順で行えば、簡単に新しいゴーラムを増やせます。
増やし方のポイントを押さえて、健康な株を育てましょう。
剪定・株分けの時期はいつがいい?
ゴーラムの剪定や株分けは、春から初夏が最適です。
この時期は植物が成長期に入るため、回復力が高く、新しい根や葉が出やすくなります。
また、気温が安定していることも成功率を高める要因です。
株分けのやり方
- 健康な株を選ぶ
- 株を鉢から取り出す
- 新しい鉢に植え付ける
- 水やりをする
株分けは、ゴーラムの根を分けて新しい株として育てる方法です。
成長した株を複数に分けることで、効率よく増やせます。
① 健康な株を選ぶ
根が充実した健康な株を使った方が株分けの成功率が高まるので、できるだけ成長が安定している株を選びます。
② 株を鉢から取り出す
まず株を鉢からそっと抜き取りますが、この際に根を傷つけないよう注意します。
取り出せたら、土を軽くほぐして株を手で丁寧に分けましょう。
③ 新しい鉢に植え付ける
排水性の良い土を使い、各株を十分なスペースを確保して植え付けます。
④ 水やりをする
植え付け直後は、根が落ち着くまで1~2日間は水やりを控えます。
その後、土が完全に乾いてから適量の水を与えてください。
水やり後は、直射日光を避け、明るい半日陰で管理すると根付きやすくなります。
挿し木のやり方
- 元気な枝を選ぶ
- 切り口を乾燥させる
- 土に挿す
- 水やりをする
挿し木は、ゴーラムの枝を切り取り、新たな土に挿して育てます。
比較的簡単で成功率が高いため、初心者にもおすすめの増やし方です。
① 元気な枝を選ぶ
傷んでいない元気な枝を選んで、10センチ程度の長さに切り取ります。
② 切り口を乾燥させる
風通しの良い場所で数日間切り口を乾かして、腐敗を防ぎます。
③ 土に挿す
多肉植物用の土に挿し、直射日光を避けた明るい場所で管理します。
④水やり
挿し木直後の水やりは避け、土が乾いてから少量の水を与えましょう。
葉挿しのやり方
- 健康な葉を選ぶ
- 葉を土の上に置く
- 日陰で管理
- 発根後の管理
葉挿しは、ゴーラムの葉を利用して新しい株を増やす方法で、少し時間がかかりますが、手間が少なく挑戦しやすい方法です。
葉の切り口を乾燥させてから土の上に置くだけで、発根させられます。
① 健康な葉を選ぶ
病気や傷のない葉が発根しやすいので、厚みのある健康な葉を選んで切り取ります。
② 葉を土の上に置く
切り口を乾燥させた後、葉を土の上に並べます。
このとき、切り口を土に軽く接触させるように配置してください。
③ 日陰で管理
直射日光を避け、明るい日陰で管理しましょう。
④ 発根後の管理
根が出始めたら、乾燥しすぎないよう土を軽く湿らせる程度に水を与えます。
根がしっかり伸びたら、根を傷つけないよう注意しながら新しい鉢に植え替えましょう。
植え替え直後は直射日光のダメージも受けやすいので、できるだけ半日陰で管理します。
植え替え時期はいつがいい?
植え替えは成長期に合わせて行うと植物への負担を軽減できるので、春または秋が最適です。
鉢が小さくなり根詰まりを起こしている場合は、ひと回り大きな鉢に植え替えると良いでしょう。
植え替えした直後は、数日間水やりを控えると根が安定します。
鉢替えのやり方
- 適切なタイミングを確認する
- 古い鉢から株を取り出す
- 古い土を落とす
- 新しい鉢を用意する
- 植え替える
- 水やりと管理
ゴーラムの鉢替えは、成長した株に広いスペースを与え、健康な成長を促すための重要な作業です。
根詰まりを解消し、水はけの良い環境を整えるのが主な目的になります。
① 適切なタイミングを確認する
鉢の底から根が出ている場合や、成長が鈍化している場合が鉢替えのサインです。
そのため、春か秋が最適な時期になります。
② 古い鉢から株を取り出す
鉢をそっと傾け、根を傷つけないよう注意しながら株を引き抜きます。
③ 古い土を落とす
根についた土を軽く落とし、痛んだ部分は清潔なハサミで切り取ります。
もしも腐った根があれば、この時に必ず取り除きましょう。
④ 新しい鉢を用意する
底に排水用の石や陶器片を敷き、水はけの良い多肉植物用の土を準備します。
鉢は一回り大きいものを選びましょう。
⑤ 植え替える
株を新しい鉢に植え付ける時には、根を無理に押し込まないよう注意してください。
土を軽く押さえて固定する程度で大丈夫です。
⑥ 水やりと管理
植え替え後は1〜2日水やりを控え、その後適度な水を与えます。
植え替え直後は弱っているので、半日陰で管理し直射日光は避けましょう。