カンパニュラの育て方
公開日 2025年04月28日
更新日 2025年04月28日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
監修者情報

齋藤康兼
IT企業での経験を経て、HanaPrimeを創業。現在は、生花部門の責任者兼バイヤーとして、花の品質と市場動向を見据えながら、顧客に最適な商品とサービスを提供している。
特に、大型装飾や空間演出における高いスキルが評価されており、商業やイベント会場のデザインプロジェクトを多数進めております。
IT業界で培ったデータ活用とマーケティングノウハウを生かし、従来の枠にとらわれずフラワービジネスの新しい可能性を追求してます。

カンパニュラの基本情報

植物名 | カンパニュラ |
学名 | Campanula |
和名 | 風鈴草(フウリンソウ) |
英名 | Bellflower |
別名 | 釣鐘草(ツリガネソウ) |
原産地 | ヨーロッパ |
科名 | キキョウ科 |
属名 | ホタルブクロ属 |
カンパニュラは、春から夏にかけて紫や白、ピンク色などのベルに似た愛らしい花を咲かせる植物です。
品種によって、一年草もしくは二年草と多年草があり、草丈が短くこんもり咲くタイプと、立ち上がった花茎に鈴なりに花を付けるタイプに分けられます。
夏越しには注意が必要ですが、乾燥や寒さに強いので初心者でも育てやすい花です。
また、カンパニュラは花持ちがよいのも特徴で、草丈が長く縦に花をたくさんつけるタイプは、ボリューム感があり切り花でも人気があります。
月別栽培カレンダー
種まき
1
2
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植え付け
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肥料
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開花
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種類と品種
メリーベル
花の大きさが1.5〜2cmで、星型で薄い青色の花を咲かせる品種です。
草丈が10~15cmくらいのこんもりとした形になり、晩春から初秋まで長期間開花します。
ホワイトライクミー
純白で八重咲きの品種で、花の大きさが3~4cmと大きめです。
草丈は25~30cmで、こんもりとした形になります。
ホタルブクロ

長さが5~6cmほどの白や紫、ピンク色の花が、垂れ下がるように下を向いて咲く品種です。
草丈は50~100cmで、立ち上がった花茎にスリムな釣り鐘のような花を鈴なりにつけます。
グロメラータ

青紫や紫、白、ピンク色で、小さいベル型の花が咲く品種です。
草丈は40〜80cmで、立ち上がった花茎にリンドウのように固まってつぼみを付けることから、リンドウカンパニュラとも呼ばれています。
カンパニュラ メディウム

ふっくらしたベル型で、青紫や紫、白、ピンク色の花を立ち上がった花茎に鈴なりに咲かせる品種です。
草丈は50~100cmで、切り花でも人気があります。
カンパニュラ メイ
青紫や紫、白、ピンク色のベル型の花を、立ち上がった花茎に鈴なりにつける品種です。
草丈は80~90cmでメディウムの改良種になり、よく分枝し花持ちがよいのが特徴です。
品種名 | 咲き方 | タイプ |
---|---|---|
メリーベル | 星型 | 多年草 |
ホワイトライクミー | 八重咲き | 多年草 |
ホタルブクロ | 釣り鐘型 | 多年草 |
グロメラータ | リンドウ咲き | 多年草 |
カンパニュラ メディウム | ベル型 | 一年草(二年草) |
カンパニュラ メイ | ベル型 | 一年草 |
カンパニュラはどんな花が咲く?

カンパニュラはベルに似た形の花で、青紫や紫、白、ピンク色があります。
品種によってキキョウに似た星型や八重咲き、細めの釣り鐘型や丸みのあるベル型などさまざまです。
草丈が小さい品種は花がこぼれるようにこんもりと咲き、背の高い品種は立ち上がった花茎に花を鈴なりに咲かせます。
カンパニュラの葉っぱの形

カンパニュラの葉は小さい丸型や卵型、細長い三角形など品種により違いますが、どれもギザギザしているのが特徴です。
カンパニュラの花言葉
カンパニュラの花言葉は「感謝」「誠実」「共感」「公開」「想いを告げる」などです。
カンパニュラの育て方
カンパニュラは乾燥や寒さに強く育てやすい植物ですが、きれいな花をたくさん咲かせるためには、日頃の適切な管理や手入れが大切です。
水やりの頻度
カンパニュラの鉢植えは、表土が乾いてからたっぷり水を与えましょう。
ただし、生育が停滞する冬は水を控えめにした方がよいので、表土が乾いてさらに2~3日待ってから水やりを行ってください。
地植えは降雨任せで大丈夫ですが、晴天が長く続く場合は水やりを行いましょう。
肥料のあげ方
カンパニュラは、元肥として緩効性の粒状肥料を用土に混ぜて植え付けます。
植え付けから2週間ほど経ったら、追肥として10~14日に1回程度の液肥を施し始めましょう。
また、5~7月の開花期には、緩効性の固形肥料を置き肥すると、きれいな花をたくさん咲かせてくれます。
ただし、真夏と冬の間は追肥をストップしてください。
病害虫・害虫対策
カンパニュラの栽培環境によっては、病害虫で株が弱ったり枯れたりしてしまいます。
過湿にならないように日当たりや風通しに気をつけ、病害虫を見つけたらすぐに対処することが大切です。
アブラムシ
- 5~9月に発生しやすい
- 汁液を吸い、株を弱らせる
手や粘着テープで取り除くか水で洗い流す、もしくはベニカXスプレーなどの殺虫剤で駆除しましょう。
植え付け時にオルトランを撒くか、ベニカXファインスプレーを定期的に吹き付けておくと予防できます。
ヨトウムシ
- 春と秋に発生しやすい
- 葉やつぼみを食害する
- 葉がカスリ状に白くなる
虫が付いている部位ごと摘み取り、GFオルトラン水和剤などの殺虫剤を散布して駆除しましょう。
植え付け時にオルトランを撒き、発生しやすい時期はこまめにチェックして、早めの防除を行うことが大切です。
ナメクジ
- 梅雨や台風が多い時期に発生しやすい
- 葉や花を食害して株を弱らせる
ナメクジを箸でつまんで取り除き、熱湯や塩を掛けて駆除するか、専用の駆除剤を使用しましょう。
忌避剤として木酢液や竹酢液をスプレーしたり、コーヒー殻を土に撒いたりすると予防できます。
鉢底やブロックなどに隠れているナメクジを見つけたら、すぐに駆除しておくことも大切です。
うどんこ病
- 春から秋にかけて発症しやすい
- 葉に白い斑点や粉状のカビがつく
- 蔓延すると株が枯れる
発生部位を取り除き、STダコニール1000などの殺菌剤を散布しましょう。
また、ベニカXスプレーなどの殺菌殺虫剤を、定期的に吹き付けておくのも有効です。
根腐病
- 7~9月ごろに発症しやすい
- 地際の茎や根が褐変して腐る
- 葉は下から黄化して萎れる
- 進行すると株全体が枯れる
根腐れを起こした株を掘り起こし、ベンレート水和剤などで土壌消毒をしましょう。
取り出した株を乾かし、変色した部分を取り除いて新しい土に植え替えれば、元気になる場合もあります。
植え付け時にオルトランを撒いたり、殺菌剤を散布したりしておくのも有効です。
斑点病
- 葉や茎に暗褐色の病斑ができる
- 広がると葉や茎が枯れる
病斑部位を取り除き、STダコニール1000などの殺菌剤を散布しましょう。
支柱立て|タイミングとやり方
草丈が高くなる品種は、花の重みや風で茎が折れやすいため、支柱を立ててあげましょう。
春になって花茎が伸び始めたら、支柱を立てるタイミングです。
中心の茎に沿って支柱を挿し、麻ヒモやビニタイなどで8の字に留めます。
カンパニュラの伸びしろを想定して、長めの支柱を用意するのがポイントです。
花がら摘み|タイミングとやり方
花が萎れてきたら、花がら摘みを行います。
花の付け根部分から手で摘むか、ハサミで切り取りましょう。
花がら摘みを行うことでこれから咲く花に栄養が周り、開花を長く楽しむことができます。
切り戻し|タイミングとやり方
全体の8割ほどの花が咲き終わったら、2分の1から3分の1の高さまで切り戻しを行いましょう。
切り戻しは、花茎の根元の新芽のすぐ上でカットすると、脇芽が出てきて次の花が楽しめます。
葉が混み合っている場合は、余分な茎をカットして風通しをよくするのも大切です。
カンパニュラの栽培環境
カンパニュラは乾燥や寒さには強いですが、高温多湿に弱い性質があります。
きれいな花をたくさん咲かせるためには、適切な栽培環境を整えることが大切です。
置き場所と日当たり
カンパニュラは、日当たりと風通しのよい場所で育てましょう。
真夏の直射日光や西日に弱いので、移動させやすい鉢植えがおすすめです。
また、地植えにするなら、午前中に日が当たる東向きがよいでしょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
季節 | 夏 | 冬 |
適温 | 20~25℃ | -5~15℃ |
カンパニュラは、耐寒性に優れています。
寒さに当てることで花芽がつくため屋外で冬越しさせますが、強い風と霜には注意が必要です。
用土
カンパニュラは、水はけがよく有機質に富んだ土を好む一方で、酸性土壌を嫌います。
鉢植えの場合は、赤玉土小粒と腐葉土を6:4で混ぜるか、市販の草花用培養土でも大丈夫です。
地植えの場合は、あらかじめ土壌の酸度調整をして、排水性や有機質に富んだ土作りをします。
まず、植え付けの2週間くらい前に苦土石灰をすき込み、植え付け時には腐葉土や堆肥を混ぜてください。
夏越しの方法と注意点
カンパニュラは真夏の直射日光と西日に弱いので、夏越し対策が大切です。
鉢植え
風がよく通り、午前中に日が当たり午後は日陰になる場所に移動させましょう。
屋内でも育成は可能ですが、昼間30℃以上になる部屋は避けてください。
また、夏の間の水やりは、午前中もしくは夕方に行いましょう。
昼間の暑い時間帯は、温かくなった水で根腐れを起こしやすくなるからです。
地植え
午後は日陰になるような東向きに植えるか、遮光ネットなどで日よけをしてあげましょう。
晴天が何日も続く日は、午前中か夕方に水やりを行ってください。
冬越しの方法
カンパニュラは寒さに強い性質を持ちますが、霜や雪が心配な地域では冬越し対策が大切です。
鉢植え
寒風や霜を避けられる軒下に移動させましょう。
カンパニュラは、冬の寒さに当てることで花芽がつくので、屋外に置くのがおすすめです。
冬期の水やりは、生育期よりも日にちを空け、午前中に行ってください。
午後から水やりを行うと、湿った土が夜間に凍結して、株を傷めてしまう場合があります。
地植え
寒冷地では霜や雪で株が枯れないように、わらやビニールなどでマルチングしましょう。
カンパニュラの種まき
カンパニュラは、種からでも育てることができます。
カンパニュラを種から育てると大変?
カンパニュラの種は発芽させるのが難しくないため、初心者でも簡単です。
種まきにおすすめの時期は5~6月頃と9~10月
カンパニュラの種まきは5~6月頃か9~10月頃がおすすめですが、タイプにより時期が異なります。
タイプ | 種まき時期 | 開花時期 |
---|---|---|
一年草 | 秋 | 翌年の春 |
二年草 | 春 | 翌年の春 |
二年草 | 秋 | 翌々年の春 |
多年草の品種は、春と秋のどちらで種まきを行っても大丈夫です。
種まきのやり方
- 種まき用の土を用意する
- 種をまき、水やりをする
- 日陰で管理する
- 間引きする
- 本葉が2~3枚出たらポットに移植する
- 定植する
① 種まき用の土を用意する
育苗のポットやセルトレイに、通気性と排水性のある川砂やバーミキュライトなどを入れ、先に湿らせておきましょう。
② 種をまき、水やりをする
種を1~2粒ずつまき、土で覆わずに水やりを行います。
区切りのないトレイを使う場合は、全体に均一にまきましょう。
③ 日陰で管理する
発芽するまでは日陰に置いて管理しますが、乾燥すると発芽しないので水切れに注意してください。
④ 間引きする
発芽後は、セル1穴に対して1株になるように間引きを行い、明るい日陰に移動させましょう。
⑤ 本葉が2~3枚出たらポットに移植する
成長して本葉が2~3枚できたら、培養土を入れたポットに植え替えします。
⑥ 定植する
ポットの中で根が回るくらい育ったら、日当たりと風通しがよい場所に定植させましょう。
カンパニュラの種の採り方
カンパニュラの種を採るときは、花が終わっても摘み取らずに、そのまま残しておくのがポイントです。
ただし、枯れた花をたくさん残すと次の花に栄養が回らないため、開花時期の終わりごろの花で種を作るとよいでしょう。
花が枯れた後にできた殻が茶色になったら、種が成熟して弾け飛ぶ前に採種します。
採った種は、種まきする時期まで風が通る日陰に置いて管理してください。
カンパニュラの植え付け
カンパニュラは、苗を植えて育てるのが一般的です。
苗の選び方
カンパニュラの苗を購入するときは、次の点をよくチェックして健康な株を選びましょう。
- 根元がぐらつかない
- 株元が蒸れていない
- 茎が間延びせずしっかりしている
- 葉にハリがあり、変色がない
- 病害虫が付いていない
植え付けでおすすめの時期は9~10月
カンパニュラの苗の植え付けは、9~10月頃がおすすめです。
秋に植えると、冬を迎える前にしっかり根を張った健康な株に育ち、冬の寒さに当てることで、花付きがよくなります。
鉢植えのやり方
- 鉢と土を用意する
- 苗を植える
- 水やりをする
① 鉢と土を用意する
鉢は二回りほど大きいサイズを選び、鉢底ネットと鉢底石を敷いたら、苗の高さ分を残して培養土を入れておきます。
② 苗を植える
ポットから取り出した苗は、根鉢を崩さずに鉢に入れましょう。
土を被せるときは、水はけをよくするため株元を高く鉢の縁側を低くして、株元に水が溜まらないようにします。
③ 水やりをする
鉢底から流れ出るまで十分に水やりを行い、日が当たる風通しのよい場所に置きましょう。
地植えのやり方
地植えの場合は、あらかじめ植え付け場所の酸度調整をしておきます。
- 植え付け2週間前に、苦土石灰をすきこんでおく
- 植え付け時に腐葉土や堆肥を混ぜる
苗の植え方や水やりのポイントは、鉢植えのやり方と同じです。
カンパニュラの開花時期

カンパニュラは開花すると次々に花が咲き、長い期間楽しむことができます。
開花時期は5~7月頃
カンパニュラは品種によって開花の時期が異なりますが、主な期間は5~7月頃です。
カンパニュラの花が咲かない原因は?
カンパニュラの花が咲かないときは、主に次のような原因が考えられます。
- 日照不足
- 寒さ不足
- 肥料不足
- 種まきのタイミング
カンパニュラは、日当たりと寒気、適度な肥料を与えないと花芽を付けません。
また、二年草の種を秋まきすると、翌春ではなく翌々春に花を咲かせます。
カンパニュラの増やし方

カンパニュラは、種まき以外にも株分けによって増やせます。
株分けにおすすめの時期は3~4月頃と9~10月
カンパニュラの株分けのおすすめ時期は、3~4月頃もしくは9~10月頃です。
株分けのやり方
- 株を掘り上げて土を落とす
- 株を分ける
- ポットに植える
- 定植する
① 株を掘り上げて土を落とす
カンパニュラを鉢や地面から掘り上げ、根を傷つけないように古い土を落としましょう。
水で洗い流しても大丈夫です。
② 株を分ける
3~5芽で1株くらいを目安に、手でほぐれる箇所で株分けを行っていきます。
茶色く枯れたり傷んだりした根は、カットしましょう。
③ ポットに植える
株分けした苗の数のポットに培養土を入れ、1株ずつ植え付けたら十分に水やりを行います。
ポットのサイズは、小さい株で3号くらい、大きい株で4.5号くらいが適切です。
④ 定植する
ポット内に根が回ってきたら、育てたい場所に定植しましょう。
カンパニュラに植え替えは必要?
カンパニュラを、毎年植え替える必要はありません。
植え替えのタイミングとやり方
鉢植えの植え替えは、株が鉢いっぱいに育ち根が回って窮屈になったときがタイミングです。
地植えは、地下茎が伸びて株が広がりすぎて困るようなら、植え替えを行うとよいでしょう。
植え替えは次の手順で行います。
- 掘り上げて古い土を落とす
- 植え付けて水やりをする
① 株を掘り上げて古い土を落とす
株を鉢から取り出すか地面から掘り上げ、古い土を落としましょう。
枯れたり傷んだりしている根は切り落とします。
② 植え付けて水やりをする
鉢植えは二回りくらい大きな鉢に植え替えるか、株分けで小さくした苗を同じ鉢に植え直しても大丈夫です。
鉢には新しい用土と元肥を入れて、十分に水を与えましょう。
地植えは腐葉土や堆肥をすき込み、たっぷりと水やりをします。