パンジーの育て方
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
パンジーの基本情報
植物名 | パンジー |
学名 | Viola × wittrockiana |
和名 | 三色菫(サンシキスミレ) |
英名 | Pansy |
別名 | サンシキスミレ、ガーデンパンジー |
原産地 | ヨーロッパ |
科名 | スミレ科 |
属名 | スミレ属 |
うつむきがちに咲く姿がかわいらしいパンジーは、寒さや乾燥に強く、冬から春にかけてのガーデニングに定番の園芸植物です。
最近では、八重咲きやアンティーク調の色など、珍しい品種も増えています。
花の色のバリエーションも豊富で寄せ植えやハンギングにも使いやすいです。
日当たりのよい場所で、水やりと肥料、花がら摘みという基本の手入れを欠かさなければ、長い期間たくさんの花を咲かせることができます。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け
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肥料
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開花
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種類と品種
種類・品種 | 特徴 |
大輪 | 花径が8㎝以上 「F1ピカソシリーズ」「パシオシリーズ」など |
中輪 | 花径が6~7㎝くらい 「オノトシリーズ」「虹色スミレ」「ブラックプリンス」など |
中小輪 | 花径が4~5㎝くらい 「よく咲くスミレ」「フレンチカンカン」など |
小輪 | 花径が3~4㎝くらい 「F1ナチュレシリーズ」「わらくシリーズ」など |
フリンジ | 花びらにフリルが入る 「F1フリズルシズルシリーズ」「絵になるスミレ」など |
パステルカラー | パステルカラーの花びら 「ジョリーアンジュ」「パステルルージュ」など |
八重咲き | フリルの入った花びらがドレスのように重なって咲く 「ローブ ドゥ アントワネット」「ドラキュラ」など |
パンジーと似た花には、ビオラもあります。
パンジーとビオラは、ヨーロッパに分布する野生のスミレを品種改良した同種の植物です。
花びらが大きく直径が5㎝以上のものがパンジー、花びらが小さく直径が4㎝以下のものがビオラと区別されています。
しかし、最近では交雑された品種も増えていて、区別しにくいものも多いです。
パンジーはどんな花が咲く?
パンジーは、丸い花びらを重なり合うように咲かせます。
花びらが波打つようなフリルのものや、何枚も重なり合う八重咲きなど、咲き方は品種によってさまざまです。
花の中にある黒い顔のような模様をブロッチと言い、ブロッチがあるものを「目あり」、ないものを「目なし」とも言います。
花の色も多彩で、青、紫だけでなく、黄色、オレンジ、赤、ピンク、白、複色などさまざまです。
パンジーの葉っぱの形
パンジーの葉っぱは、卵型に近い楕円形です。
大きく育つにつれて、浅く大きめのぎざぎざが入ります。
パンジーの花言葉
パンジーの花言葉には「もの思い」「思い出」「私を思って」などがあります。
花言葉に共通するのが「思い」というキーワードです。
パンジーの花がうつむきがちに咲く姿から「もの思い」「思い出」といった花言葉がつけられました。
パンジーの育て方
パンジーのかわいらしい花をきれいに咲かせるためには、適切な育て方をすることが大切です。
- 冬の間に根がしっかり張るように、植え付けは10~11月に行う
- 植えるときに元肥を与え、花が終わる時期まで定期的に肥料を与える
- 日当たりと風通しのよい場所で育てる
- 水を好むが過湿を嫌うので、土が乾いてからたっぷり与える
- こまめに花がら摘みを行う
パンジーの性質に合った適切な管理を行うことで、長い期間に次々と花を咲かせて楽しむことができます。
水やりの頻度
パンジーの水やりは、土が乾いてからたっぷり与えましょう。
過湿を嫌うので、毎日与えなくても問題ありません。
冬の間は、午前中に水やりを終わらせることが大切です。
午後から水やりを行うと、寒気で土が凍って根を傷めてしまいます。
肥料のあげ方
パンジーの肥料のあげ方のポイントは、苗の植え付けから花の咲き終わりまで肥料を欠かさないことです。
パンジーを植え付けるときは、緩効性の肥料を元肥として与えましょう。
その後、5月の終わりまで10日に1回くらい液体肥料を施し続けると、花を長い期間たくさんきれいに咲かせることができます。
病害虫・害虫対策
病害虫 | 特徴 | 対策 |
うどんこ病 | 白いカビが発生し、葉や茎が小麦粉をかけたような状態になる | 日当たりや風通しをよくして防除する 発生したら症状のある部位を排除し、薬剤で防除する |
モザイク病 | 葉脈が透けて、緑色の濃淡のあるモザイク状に変色する | アブラムシが媒介するので、殺虫剤で防除する |
灰色かび病 | 花びらに斑点が出て、進行すると灰色のカビに覆われる | 日当たりや風通しをよくして防除する 発生したら症状のある部位を排除し、薬剤で防除する |
アブラムシ | 植物に寄生して汁液を吸ったり、菌やウィルスを媒介したりする | 薬剤で防除する 発生したら、薬剤で駆除する |
ヨトウムシ | 葉裏に群生し食害する | 薬剤で防除する 発生したら、薬剤で駆除する |
ナメクジ | 湿気の多いところに生息し、植物を食害する | 日当たりと風通しをよくして防除する 見つけたら排除する |
種まきと植え方
パンジーを10~11月ごろから楽しむためには、8月後半~9月ごろに種まきをします。
発芽の適温は15~20℃なので、暑い時期は適温を保つ工夫が必要です。
日光がなくても発芽するので、発砲スチロール製の箱などに種をまいたトレイやポットと保冷剤を入れて、温度調節をするとよいでしょう。
種まきから植え付けまでの手順は、次のとおりです。
- 育苗トレイに種まき用の土を入れ湿らせる
- 育苗トレイに種をまき土をかぶせる
- 芽が出たら明るい日陰に移す
- 本葉が出始めたら薄めた液肥を与える
- ポットに根がまわるくらい育ったら定植する
① 育苗トレイに土を入れ、湿らせる
育苗トレイやポットに種まき用の土を入れてしっかり湿らせます。
② 育苗トレイに種をまき土をかぶせる
種を土の上にまき、上に1㎜くらい土をかぶせ、まいた種が動いてしまわないよう上から霧吹きで水を与えます。
③ 芽が出たら明るい日陰に移す
芽が出たら明るい日陰に移し、土が乾いたら水を与えながら管理しましょう。
④ 本葉が出始めたら薄めた液肥を与える
本葉が出始めたら、通常より薄めた液肥で栄養を与えます。
⑤ 本葉が2~3枚に増えたらポットに植え替える
本葉が2~3枚に増えたら、水はけのよい土を入れたビニールポットに植え替えます。
数日は明るい日陰で管理し、その後日当たりの良い場所に移動させてください。
⑥ ポットに根がまわるくらい育ったら定植する
温度と乾燥に気をつけて管理してください。
剪定|花がら摘みと透かし剪定
パンジーを長持ちさせるためには、花がら摘みと適度な剪定が大切です。
花がら摘みを行うことで、種づくりに使うはずだった栄養を節約できるので、花を次々と咲かせられます。
花がら摘みは、花がついている茎の付け根から行いましょう。
また、パンジーの剪定には透かし剪定がおすすめです。
透かし剪定とは、伸びすぎたり混み合ったりした茎を透かすように切ることで、すっきりとした風通しのよい株になります。
風通しが悪いと病気にもなりやすいので、茎が混み合ってきたら適度に剪定してあげましょう。
パンジーの栽培環境
パンジーの理想的な栽培環境は、日当たりと風通しがよい場所です。
日当たりや風通しが悪いと、病気になりやすかったり、キレイに花が咲かなかったりするので注意しましょう。
また、過湿にも弱いので、水はけのよい土に植えることも大切です。
適切な栽培環境を整えることで、パンジーはかわいらしい花をたくさん咲かせてくれます。
置き場所と日当たり
パンジーの置き場所は、屋外の日当たりと風通しのよい場所を選びましょう。
過湿や蒸れによる病気を防ぐためにも、直射日光に6時間以上は当たる場所が最適です。
室内では十分な日光を得られません。
日光が足りないと間延びして病気の原因になってしまうので、屋外に出した方が健康でしっかりした株に育ちます。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
季節 | 夏 | 冬 |
適温 | 15~20℃ | -5~10℃ |
パンジーの適温は、夏は15~20℃、冬は-5~10℃です。
寒さに強いので、積雪が多かったり土壌が凍ったりする地域でなければ、冬でも屋外で育てられます。
一方で、高温多湿には弱く、6~7月頃には枯れて終わるため、夏の間も咲かせることはできません。
用土
パンジーには、有機質に富んだ水はけのよい土が最適です。
市販の草花用の培養土を使えば、問題ありません。
地植えの場合は、堆肥や腐葉土とともに土づくりを行うと花付きがよくなります。
パンジーは酸性の土を嫌い弱酸性を好むので、石灰肥料で酸度の調整を行うのも大切です。
栽培期間が長いので、元肥として緩効性の粒状肥料を用土に混ぜて植えましょう。
パンジーの種まき
パンジーは、種からでも育てることが可能です。
市販の種を使うだけでなく、育てているパンジーから種を採取することもできます。
種まきにおすすめの時期は8〜9月
パンジーの種まきは、8~9月がおすすめの時期です。
種をまいてから植え付けできる苗に育つまで1か月くらいかかるので、植えたい時期に合わせて種まきのタイミングを調整しましょう。
パンジーを種から育てると大変?
パンジーを種から育てる場合、苗から育てるより手間がかかります。
温度や湿度調整だけでなく、適切な水やりや栄養補給など、こまめに管理しなければならないからです。
しかし、種から育てて立派に花が咲いたときは、苗からの育成では得られない喜びを感じられるでしょう。
まずは苗から育ててみて、その後に種からの育成に挑戦するのがおすすめです。
パンジーの種の採種方法
パンジーの種は購入もできますが、育てている花から採取することもできます。
花が終わった後、しおれた花びらだけ取ってそのままにしておきましょう。
実が黄色くなりサヤが開くと、小さな茶色い種が採取できます。
種を発芽させるためには、冬の低温を感じさせることが大切です。
封筒などに入れて2週間ほど乾燥させた後、冷蔵庫に入れて種まき時期まで保管しておきましょう。
パンジーの開花時期
パンジーは、開花時期になると次々とかわいらしい花を咲かせます。
長い期間咲き続けてくれるので、適切な管理をしてパンジーの花を楽しみましょう。
開花時期は10~5月
パンジーは長い期間花を楽しめるのが魅力で、開花時期は10~5月までの秋から春にかけてです。
もともとは春の花でしたが、品種改良が進み、10月ごろから販売されるのが当たり前になりました。
寒さに強いため、花が少ない冬の期間もカラフルなガーデンを楽しむことができます。
パンジーの花が咲かない原因は?
パンジーの花が咲かない原因としては、次のようなことが考えられます。
- 日当たりが足りない
- 栄養が足りない
- 根がしっかりと張れていない
これらの原因を解消するためには、次の4つのポイントに気を付けましょう。
- 植え付けのときに根をしっかり崩す
- 日光がしっかり当たる場所に置く
- 定期的に肥料を与える
- 花がら摘みを欠かさない
適切な管理は、花をきれいに咲かせるだけでなく、病害虫の予防にも効果的です。
パンジーの増やし方
パンジーは、種からだけでなく、株分けや挿し芽でも増やすことができます。
株分けの時期はいつがいい?
パンジーの株分けは、10~11月上旬頃がおすすめです。
定植する前に株分けを行うと、根に負担がかかりません。
暖かくなり始めの3~4月頃に行ってもいいでしょう。
パンジーは挿し芽できる?
パンジーは、挿し芽でも増やすことが可能です。
発根の適温が15~20℃なので、10月か3~4月中に行うとよいでしょう。
挿し芽は、次の手順で行います。
- 茎をカットし挿し穂を取る
- 切り口を斜めにカットし、水あげをする
- 鉢に土を入れ、挿し穂を挿す
- 発根したら植え替える
① 茎をカットし挿し穂を取る
株元から3㎝くらいのところで茎をカットし挿し穂を取り、花と下の方の葉をカットします。
② 切り口を斜めにカットし、水あげをする
切り口を斜めにカットし、2時間くらい水につけて水あげします。
③ 鉢に土を入れ、挿し穂を鉢に挿す
鉢に土を入れてしっかり湿らせておきます。
割りばしで穴を空け、挿し穂を挿したら上からも水をかけてください。
④ 発根したら植え替える
明るい日陰に置いて乾燥しないように管理し、1か月くらい経って発根していたら植え替えてください。
切り口から病気にかかりやすいので、植えるときは新しい土を使用しましょう。
鉢やハサミなども、清潔な状態で使うことが大切です。
パンジーに植え替えは必要?
ポット苗で購入したパンジーは、必ず植え替えしましょう。
購入したときのポットのままでは、根をしっかりと張ることができずに枯れてしまいます。
植え替えの手順は、次のとおりです。
- 地植え、鉢植えともに植え替えの準備をする
- パンジーをポットから取り出し、根を崩す
- パンジーを植え付ける
① 地植え、鉢植えとも植え替えの準備をする
地植えの場合は、ポットより少し大きめの穴を掘っておきます。
鉢植えの場合は、鉢底ネットと鉢底石を入れ土を入れておきましょう。
② パンジーをポットから取り出し、根を崩す
パンジーをポットから取り出し、軽く土を落としながら根を崩します。
株元に黄色くなったり枯れたりしている葉があったら摘んでおきましょう。
③ パンジーを植え付ける
パンジーを植えたい場所に置いたら、すき間のないように土を入れ、たっぷり水やりをしてください。
しっかり花を咲かせるためには、寒さが本格的になる11月下旬までに植え付けて、根をしっかり張らせることが大切です。