スイートピーの育て方
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
スイートピーの基本情報
名称 | スイートピー |
学名 | Lathyrus odoratus |
和名 | ジャコウエンドウ、カオリエンドウ、ジャコウレンリソウ |
英名 | Sweet Pea |
別名 | ジャコウエンドウ、カオリエンドウ、ジャコウレンリソウ |
原産地 | イタリア シチリア島 |
科名 | マメ科 |
属名 | レンリソウ属 |
開花時期 | 一般的な春咲きは4~6月 |
ひらひらとしたフリルのように可憐な花姿を持ち、甘酸っぱい香りを漂わせるスイートピーは、春を代表する人気の花です。
比較的育てやすい植物なため、環境にあったスイートピーの品種を使うと、園芸初心者でも十分に楽しめます。
春咲きや夏咲き、冬咲きと種類の違うスイートピーを育てると、1年中花と香りを楽しめるでしょう。
月別栽培カレンダー
種まき
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
植え付け・植え替え
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
開花
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種類と品種
スイートピーは、品種や宿根草などのタイプの違いから100種類を超えるため、多彩な色の花を楽しめます。
日本でも独自の品種開発が行われており、特に温暖な宮崎県や岡山県では栽培も盛んです。
「ロイヤル」シリーズ
夏咲き品種の代表で、花は大きめです。
茎が長く、丈夫なため切り花にも使用できます。
「キューピッド」シリーズ
矮性品種の代表格で、草丈が低く、つるがあまり伸びません。
鉢植えやバスケットで栽培すると、花があふれるような見た目で美しく咲くのが特徴です。
「リップル」シリーズ
冬咲き品種の代表で、花弁に吹きかけ模様が入ります。
花の色が多彩で、見ごたえがあるのが特徴的です。
「ムジカ」シリーズ
冬咲き品種の代表で、淡い色味の多く、つるの巻きひげがありません。
民謡の宝庫である宮崎県で開発されたため、ラテン語で「音楽」を表すムジカが付けられている
「式部」シリーズ
2色の花びらを持っています。
和泉式部が湯治のために訪れたとされる、宮崎県で開発されたことから、式部と命名されました。
宿根スイートピー
6~8月に開花する夏咲きです。
花もちは短く、次々に花が咲くため、開花時期を長く楽しめます。
スイートピーはどんな花が咲く?
スイートピーは、透明感を覚える、華やかで可愛らしい形をした花びらをしています。
赤や白、ピンク、紫、複式などのさまざまな色の花を咲かせる花です。
スイートピーは、女性らしさを連想させるような甘く優しい香りを持ちます。
香水やアロマオイルの原料にも使われるため、さまざまな場面で楽しませてくれるでしょう。
スイートピーの葉っぱの形
スイートピーの葉っぱは、マメ科の植物によくみられる約3cmほどの広楕円形をしています。
スイートピーには葉っぱのほかに、つるや翼があることが特徴です。
つるは、茎から長くのびて、花に近い茎では巻きひげのようなつるに変化します。
茎や葉柄にある「翼」は、ひらひらとした小さな葉っぱのようなもので、光合成や熱の放出を助ける役割を担います。
スイートピーの花言葉
スイートピーの花言葉は「門出」「別離」「優しい思い出」「永遠の喜び」です。
蝶のような見た目からのイメージや、甘く爽やかな香りから由来した花言葉を持っています。
スイートピーの育て方
スイートピーの愛らしい花を咲かせるためには、適切な環境と育て方をする必要があります。
主なポイントは、次の通りです。
- 使用する土には、あらかじめ苦土石灰を使い中性にしておく
- 根がデリケートな直根性なため、植え付けの際には優しく扱う
- 追肥が多いと、葉はよく育つが花が少なくなる
- たっぷりと水が必要な時もあるが、過湿を嫌うため土が乾いてから水やりをする
- 日陰が少なく、風通しの良い場所で育てる
- こまめに花柄を摘み取る
スイートピーに合う環境をしっかりと管理をすることで、花が次々と咲き、長く開花期を楽しめるでしょう。
水やりの頻度
スイートピーの水やりは、土が乾燥している状態になってからたっぷり与えます。
気温が上がると成長スピードも早くなりよく乾くため、水やりを怠らないよう気をつけましょう。
ただし、過湿に弱いため、土がしっとりしている場合には水やりをする必要はありません。
水をなるべく午前中までに与え終わると、光合成によってしっかりとした花へ育てられるでしょう。
肥料のあげ方
スイートピーの肥料は、種まきの際に用土にあらかじめ混ぜておき、開花前に追肥を行います。
春咲きタイプの品種では、花が咲く前の3月頃に1度与え、そのあとは2週間に1度のタイミングで与えましょう。
ただし、追肥のしすぎはつるの伸びを良くする一方で、花の開花へ栄養が回らなくなるため、花数を減らしてしまいます。
草花用の肥料容器に書かれている量の半分を、スイートピーの追肥の目安としてみてください。
病害虫・害虫対策
スイートピーは比較的育てやすい花ですが、病害虫にかかることもあるため、薬剤などを使って予防してください。
特にうどんこ病にかかりやすいので、雨が続く時期は要注意です。
うどんこ病
- 葉の表面に白いカビが生える
スイートピーがかかる代表的な病気です。
見つけたら傷んだ部分を切り取り、殺菌剤を使って広がりを抑えましょう。
アブラムシ
- 新芽を好んで寄生し、植物の汁液を吸って弱らせる
- 別の病気を誘発する
開花後の3〜5月頃につくことが多い害虫です。
見つけたら取り除くか、殺虫剤を使って駆除してください。
種まきと植え方
スイートピーの種まきは、春咲きタイプの品種なら9~11月を目安に行います。
スイートピーの種は、マメ科の植物であるため種の皮が硬い「硬実種子(こうじゅつしゅし)」と呼ばれ吸水処理が必要です。
種まきと植え方の手順は、以下の通りです。
- 種を浅めの皿に入れ、半日~1日吸水させる
- 吸水させた種の状態を確認する
- 土に穴を作り、膨らんだ種をまく
- 株違いは約30cm間隔で、同じように植える
① 種を浅めの皿に入れ、半日~1日吸水させる
② 吸水させた種の状態を確認する
吸水すると種は膨らみますが、膨らまなかった種はザラザラした場所で擦ったり、カッターで細かい傷を付け芽が出やすいように工夫しましょう。
③ 土に穴を作り、膨らんだ種をまく
よく耕した土に指で軽く1cmほどの深さの穴を作り、1つの穴に2、3粒ずつまき、軽く土をかぶせます。
④ 株違いは約30cm間隔で、同じように植える
種まき後、発芽して本葉が3枚程度出てきたら、元気な苗を残してその他は、ハサミを使って間引きを行います。
スイートピーの栽培環境
スイートピーにとって、理想的な栽培環境は、高温多湿を避けた、日当たりや風通しの良い場所です。
昨年マメ科の植物が植えていた場所に種をまくと「連作障害」という生育不良が発生し、花が咲かない場合があるため育成場所には気をつけましょう。
置き場所と日当たり
スイートピーは、日当たりや風通し、水はけのよい場所を好み、日陰ができないよう、日当たりには注意が必要です。
花壇や屋外の鉢植えは、木や他の植物の影にならず、密集しない場所を選ぶと良いでしょう。
鉢植えを家の中に置く場合には、日当たりの良い窓際がおすすめです。
日当たりが悪いと、生育が悪くなり花つきも悪くなってしまいます。
開花時期に曇りの日が続くとつぼみが開かず、そのまま落ちてしまう場合もあるほどです。
適切な温度|どれくらいの暑さまで耐えられる?
スイートピーの生育適温は5~25℃ですが、38℃ほどの暑さまでは耐えられるとされます。
ただし、暑すぎると茎やつるの生育は良くなり開花も早まりますが、花のサイズが小さくなったり開花日数が短くなったりするため、注意が必要です。
花を鑑賞して楽しむためにも、なるべく生育適温の範囲でスイートピーを育てるようにしましょう。
用土
スイートピーの用土には、水はけと通気性、保水性のバランスがとれた土が適しています。
酸性土を嫌うため、苦土石灰を使って酸度を調整してあげましょう。
また、根を深く張る直根性の植物であるため、地植えの場合には約40cmの深さまではよく耕しておくことが大切です。
スイートピーの種まき
スイートピーは品種によって、種まき時期にも違いがあります。
ここでは、春咲き品種の種まき時期を紹介します。
種まきにおすすめの時期は9~11月頃
春咲きの場合、9~11月頃を目安に種まきをします。
発芽適温は15~20℃なので、うまく発芽させるためには気温をよく確認し、涼しくなる時期を待ちましょう。
スイートピーを種から育てると大変?
スイートピーを種から育てることは、苗から育てる状況と違い、手間や時間がかかるため大変です。
スイートピーは、種を植える前の処理や発芽後の間引き作業などをしっかりと行えば育てられますが、大変なため苗から育てる方が無難でしょう。
スイートピーの開花時期
スイートピーの開花時期や、花が咲かない理由を紹介します。
開花時期は4~6月
一般的な品種である春咲き品種の開花時期は、4~6月頃です。
ほかにも、6~8月頃に開花する夏咲き品種や、冬に咲く冬咲き品種もあります。
スイートピーは、品種によって開花時期の違いもあるため、春や夏、冬にも楽しめる花です。
スイートピーの花が咲かない原因は?
スイートピーの花が咲かないのは、以下のような原因が考えられます。
- 肥料過多
- 土壌調整不足
- 水やり不足
- 日照時間不足
マメ科の植物であるスイートピーは根粒菌と共生しており、菌の作り出す窒素を栄養分として取り入れます。
窒素過多になると葉は良く育ちますが、花が咲きにくくなりやすいため、与える肥料の量には注意が必要です。
土壌環境が中性〜アルカリ性であることや、水やりは土が乾いてからたっぷりあげること、日中に日陰ができない場所であることを、検証し環境を整えましょう。
スイートピーの増やし方
一年草のスイートピーは、種や苗からしか増やせませんが、宿根スイートピーは挿し芽(挿し木)からも増やすことが可能です。
スイートピーは、花を増やすために剪定する必要があります。
挿し芽(挿し木)のやり方
挿し芽(挿し木)とは、親となる株から葉や茎を切り取り植物の株を増やす方法です。
挿し芽は、以下のやり方で行います。
- 元気で株の若い枝を切り、長さを揃える
- 挿し芽を土に植える
- たっぷり水をあげる
① 元気で株の若い枝を切り、長さを揃える
日に当たって元気な株の若い枝から、1対の葉と茎が取れるよう切り取ります。
切り取った枝は5cmほどの発根しやすい長さに揃え、挿し芽にします。
② 挿し芽を土に植える
用土に指で穴をあけ、挿し芽が倒れない程度の深さに真っ直ぐ入れます。
挿し芽の周りを土で押さえて密着させてください。
③ たっぷり水をあげる
挿し芽は発根すると成長し、新芽が出始めます。
剪定の時期はいつがいい?
スイートピーの剪定には、摘心によるつるの切り落としと、花が咲き終わった後の花がらの摘み取りがあり、それぞれ適切な時期が異なります。
次から、それぞれの適切な剪定の時期を見ていきましょう。
摘心
摘心は、成長する植物の先端を摘み取ることで、わき芽を増やし、花の数を増やすために行う剪定方法です。
発芽後つるが20cmほど(茎が7、8節)伸びた頃もしくは、苗を植え付けてから1、2週間後、秋から冬の時期に行います。
茎の付け根から2、3節を残して摘むとよいでしょう。
花がらの摘み取り
花がらの摘み取りは、開花期の後半6〜10月にかけて行います。
種の成長ではなく花の成長のために必要な剪定です。
花の色が褪せてきたら、花の付け根から折って摘み取ります。
植え替え時期はいつがいい?
スイートピーの苗や挿し芽の場合、5〜9月の茎やつるが成長する時期に、ポットに根が回ってきたら植え替え目安となります。
なお、苗が大きくなり過ぎると、植え替えても根付きにくいのが難点です。
スイートピーは基本的に一年草であることから、頻繁に植え替えを必要としません。
基本的には、スイートピーを楽しみたい場所をあらかじめ決めて、その場所で育てるようにしましょう。
鉢替えのやり方
スイートピーの鉢替えは、以下の手順で行います。
- 植え替え用の鉢と土を用意する
- 鉢に底石を入れ、土を半分入れる
- ポットから苗を取り出し鉢に植える
- 苗を鉢に入れ、隙間に土を入れ軽く押さえる
- 日当たりや風通しのよい場所へ置く
① 植え替え用の鉢と土を用意する
鉢の大きさは、直径21cm以上の7号鉢に1株、2株なら60cm以上のプランターに2株が目安です。
土は酸度矯正されたものを用意しましょう。
② 鉢に底石を入れ、土を半分入れる
植え替え用の鉢に底石を入れ、用意した土をふんわりと半分くらい入れます。
③ ポットから苗を取り出し鉢に植える
根鉢と呼ばれる根と土のかたまりを崩さないよう、優しくポットから苗を取り出します。
取り出した苗を鉢に入れ、隙間に土を入れて軽く押さえてください。
④ 日当たりや風通しのよい場所に置く
日当たりや風通しのよい場所に置き、たっぷり水やりをしてください。
鉢替えで根を傷つけてしまうと花の成長が阻害され、花の数が減ったり、開花時期が遅れたりするので、注意しましょう。
鉢替え後には、支柱を立ててつるを誘導し、形を整えながら生育します。