ラベンダーの育て方
公開日 2025年02月10日
更新日 2025年02月10日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。

ラベンダーの基本情報

植物名 | ラベンダー |
学名 | Lavandula angustifolia |
和名 | 薫衣草(くんいそう) |
英名 | Lavender |
別名 | イングリッシュ ラベンダー、コモン ラベンダー、トゥルー ラベンダー |
原産地 | 北アフリカ、地中海沿岸 |
科名 | シソ科 |
属名 | ラバンデュラ属 |
開花時期 | 4~7月 |
ラベンダーは地中海が原産で、乾燥した環境を好む植物です。
日本では北海道が特に有名で、広大なラベンダー畑で咲き誇る紫色の花々を思い浮かべる方が多いでしょう。
香りも心地よく、ドライフラワーやポプリ、エッセンシャルオイルなど暮らしに取り入れられています。
ラベンダーは高温多湿が苦手ですが、品種を選べば寒冷地だけでなく日本各地で育てることが可能です。
ぜひ、ラベンダーの美しい花々を庭や鉢植えで楽しんでみてはいかがでしょうか。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け
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肥料
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開花
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種類と品種
ラベンダーには多くの品種があり、代表的な種類は次の6つに分けられます。
イングリッシュラベンダー(アングスティフォリア系)

一般的なラベンダーの定番品種で、寒さに強いため寒冷地での栽培に適しています。
小ぶりで細長くなめらかな葉が特徴で、香りが強くポプリやハーブなどにおすすめです。
フレンチラベンダー(ストエカス系)

大きな花穂の先に苞葉(ほうよう)と呼ばれるうさぎの耳のような葉っぱが特徴的で、ほのかに甘い香りがします。
ラベンダーの中では比較的耐暑性が強く、丈夫で育てやすいため長い期間楽しめるでしょう。
レースラベンダー(プテロストエカス系)

花穂は3つに枝分かれし、細かい切り込みが入った葉はレースのような美しい形状です。
四季咲きで花持ちがよいのが特徴ですが、耐寒性が弱いため室内または暖かい地域での栽培向きです。
スパイクラベンダー(スパイカ系)

耐暑性が強い反面、耐寒性は弱いので寒冷地での栽培には不向きです。
すっきりとしたカンファー調(樟脳)の香りがします。
ラバンディン グロッソ(ラバンディン系)

花穂が大きく、成長すると草丈は1mほどにもなります。
甘い香りが特徴的で、暑さや寒さに強くガーデニングにもよく利用されており、初心者にも育てやすい品種です。
ラベンダー デンタータ(デンタータ系)

ギザギザした形状の葉が特徴的で、ほかの品種に比べて花の色は薄く、フローラル系の柔らかい香りです。
暑さと乾燥に強く、また四季咲性のため1年に2回花を楽しむことができます。
品種名 | 咲き方 | 耐寒性 |
---|---|---|
イングリッシュラベンダー | 一季咲き | ◎ |
フレンチラベンダー | 一季咲き | △ |
レースラベンダー | 四季咲き | 〇 |
スパイクラベンダー | 一季咲き | △ |
ラバンディン グロッソ | 一季咲き | ◎ |
ラベンダー デンタータ | 四季咲き | △ |
ラベンダーはどんな花が咲く?

ラベンダーは、茎の先端に小さい花が穂状に集まって咲くのが特徴的です。
一部の品種では、花穂の先にうの色さぎの耳のような苞葉がついており、ユニークで愛らしい見た目をしています。
花の色は品種によって異なり、濃い紫や淡い紫、白、ピンク色などさまざまです。
花に含まれる水分が少ないため、ドライフラワーやポプリに適しており、収穫後も長い間花や香りを楽しむことができます。
ラベンダーの葉っぱの形

ラベンダーの葉っぱの形状は品種により異なり、花だけでなく葉の美しさも楽しめる植物です。
小ぶりで細長くなめらかな葉や、細かい切れ込みが入っ繊細なレースのような形のもの、歯型のようなギザギザがあり白い短い毛で覆われているものなど、様々な形状があります。
ラベンダーの花言葉
ラベンダーの花言葉は「沈黙」「清潔」「疑惑」「あなたを待っています」です。
ラベンダーの育て方
ラベンダーは日当たりと風通しのよい場所を好みます。
一方で、高温多湿に弱く蒸れやすい性質のため、育て方には注意が必要です。
ここでは水やりの頻度や肥料のあげ方などラベンダーを元気に育てるための基本的なポイントを紹介します。
ぜひ参考にしてラベンダーの美しい花と香りを楽しみましょう。
水やりの頻度
ラベンダーの水やりは基本的に控えめで、乾燥気味に育てます。
鉢植えの場合
土の表面が乾いた時、または葉先が下がってきた時に与えましょう。
ただし、季節に応じた管理も大切です。
夏は高温多湿による蒸れと根腐れを防ぐため、朝の涼しい時間帯にたっぷりと水を与えます。
冬は生育が緩やかになるため、土の表面が乾いたらコップ1杯ほどの水を1週間に1回程度与えるくらいで十分です。
地植えの場合
地植えのラベンダーは根付いてしまえば基本的には水やりは必要ありません。
肥料のあげ方
ラベンダーに肥料を与えるタイミングは、春と秋の年2回です。
植物が活発に成長する時期に適量の肥料を与えることで、健康に育てることができます。
春の植え付けや植え替えの際に、元肥としてひとつまみ程度の緩効性肥料を土に混ぜ込んでください。
追肥として、春と秋の生育期に液体肥料を与えるとよいでしょう。
病害虫・害虫対策
ラベンダーは病害虫の被害を受けにくい植物です。
ただし、植え替えや植え付けの直後は株が弱るため、病害虫の被害を受けやすくなります。
以下、ラベンダーによく見られる病害虫と対策法を紹介します。
アブラムシ
- 新芽や茎につきやすい
- 栄養分を吸い取って株を弱らせる
- ウイルスの媒介になり、繁殖しやすい
数が少ない場合は粘着テープで取り除き、大量に発生している場合は殺虫剤を使用します。
予防として、規定量に薄めた木酢液などを定期的に散布しておくことも有効です。
ハダニ
- 葉裏に白い斑点ができ、やがて白いカスリ状にひろがる
- 進行すると葉が変色し枯れる
全体的に水をかけて流すか、殺虫剤を散布しましょう。
葉水を定期的に与えることで予防になります。
支柱立て|タイミングとやり方
ラベンダーは花が重いため、茎が倒れたり稲穂のように垂れ下がることがあります。
また、ベランダなど壁際での栽培は風の通りが一方通行になり、まっすぐに育たない場合があるので、支柱を立ててあげるとよいでしょう。
支柱のやり方のポイントはこちらです。
- 支柱の高さは、株の3分の2を目安にする
- 株元から少し離して設置する
- ビニールタイで軽く固定する
また、剪定時の株幅の目安として、支柱を立ててから剪定を行う方法もあります。
ラベンダーの時期ごとの剪定
ラベンダーを健康に育てるには、時期にあわせた適切な剪定が欠かせません。
剪定の目的は、株の蒸れを防ぎ、次回の開花にむけて栄養を効率よく使うためです。
以下、時期ごとの剪定の方法を詳しく紹介します。
3~4月の剪定
高温多湿による蒸れを防ぐため、株の込み合った枝を間引いて風通しを良くします。
細い枝を中心に、2本に1本の割合で脇芽の上の位置でカットしましょう。
4~9月の剪定
開花直後の収穫を兼ねて弱剪定を行います。
花が咲き始めた直後のタイミングで、株の半分の高さを目安に新芽の上でカットしてください。
花をつけたままにしておくと株が弱るので、早めの剪定を心がけましょう。
10~2月の剪定
花がすべて終わった頃に強剪定を行います。
強剪定とは思い切って枝を切り落とす剪定で、株元に近い新芽の上でカットし、樹形をドーム型に整えます。
同時に株元の枝を間引いて枯葉も取り除いておきましょう。
ラベンダーの栽培環境
ラベンダーは、鉢植えと地植えのどちらでも育てられます。
ただし、強い日差しや高温多湿の環境が苦手なので、鉢植えのほうが環境を調整しやすいでしょう。
置き場所と日当たり
ラベンダーは、日当たりと風通しのよい場所を好みます。
十分に日が当たらないとうまく育ちません。
ただし、夏に直射日光や西日が当たる場所や、梅雨時期に長雨にあたる場所は避けましょう。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
ラベンダーの栽培適温は一般的に15~25℃ですが、品種ごとに異なります。
耐寒性が強いイングリッシュラベンダーは-15℃程度まで耐えられます。
一方、耐寒性の弱いレースラベンダーは5℃程度が限界です。
用土
ラベンダーは、弱アルカリ性の水はけのよい土を好む植物です。
鉢植えの場合は、市販の培養土にバークチップなどを混ぜると理想的な環境を作れます。
手軽な方法として、ラベンダー専用の培養土を使うのもおすすめです。
地植えの場合も、培養土やパーライト、ピートモスを混ぜ込んだ土を使うとよいでしょう。
夏越しの方法と注意点
ラベンダーは夏の強い日差しと高温多湿に弱いため、真夏には以下の対策が必要です。
- 西日を避け南側か半日陰に置く
- 鉢の下にすのこを敷いて風の通りを良くする
- 朝の涼しい時間帯に水やりをする
- 肥料を控える
- 植え替えをしない
特に大事なポイントは、夏の西日を避け風通しを良くし、蒸れを防ぐことです。
これらの対策をしっかり行うことで、ラベンダーは元気に夏越しできるでしょう。
冬越しの方法と注意点
ラベンダーは品種によっては冬越しの対策が必要です。
耐寒性の強い品種は特別な防寒対策は必要ありませんが、フレンチラベンダーのような耐寒性の弱い品種は、以下のポイントに注意して冬越ししてください。
- 鉢植えは日当たりのよい室内や軒下で管理する
- 肥料は控える
- 水やりは控えめに、土が乾燥してから与える
- 剪定をしない
- 茎葉を残し、株に負担をかけない
なお、地植えの場合、積雪が続く地域では支柱を使った冬囲いをするとよいでしょう。
ラベンダーの枝をまとめて支柱で固定して束ねることで、雪の重さから守ります。
ラベンダーの種まき
ラベンダーは苗から育てるのが一般的ですが、種からの栽培も可能です。
ここからは、ラベンダーの種まきの適切な時期と方法を説明していきます。
ラベンダーを種から育てると大変?
ラベンダーを種から育てると発芽までに2週間から1か月程度かかり、発芽率も比較的低めで手間がかかり大変です。
しかし、生育環境を整えれば発芽することがあります。
ぜひ種から育てる楽しみを味わいながら、かわいい花を咲かせましょう。
種まきにおすすめの時期は3月中旬~4月上旬または10月頃
ラベンダーの種まきに適した時期は、3月中旬〜4月上旬または10月頃で、発芽適温は20℃くらいです。
種まきのやり方
- セルトレイに土を入れ種をまく
- 霧吹きで水を与える
- 発芽するまで明るい日陰に置く
- 発芽したら、日光に当てる
① セルトレイに土を入れ種をまく
セルトレイに種まき用の土を入れ、水でしっかりと湿らせてください。
1枠に1粒ずつ種をまき、薄く土をかけ軽く押さえます。
② 霧吹きで水を与える
表面の乾いた土に、霧吹きでしっかりと水をかけます。
発芽するまで霧吹きを使い、土が乾かないように注意してください。
③ 発芽するまで明るい日陰に場所に置く
発芽するまでは直射日光に当たらない、明るい日陰におきます。
発芽適温を保つために室内で管理するほか、発泡スチロールの中で保管してもよいでしょう。
④ 発芽したら日光に当てる
発芽したら日が当たる場所に出し、日光に当てます。
朝晩冷え込むようなら、朝晩は屋内で管理すると安心です。
ラベンダーの種を採る方法
種を採るためには、花が咲き終わり花穂が茶色に変色し始めたタイミングで収穫します。
- ラベンダーを収穫する
- 吊るしてて完全に乾燥させる
- 種を取り出す
① ラベンダーを収穫する
ラベンダーの花が咲き終わり、花穂が茶色くなりガクが開き始めてから収穫します。
雨のあとは乾燥しにくいので、晴れた日が続いている日に収穫するとよいでしょう。
② 吊るして完全に乾燥させる
収穫したラベンダーは紐などで逆さに吊るし、風通しのよい日陰でしっかり乾燥させます。
③ 種を取り出す
乾燥したら、花穂を揉んで種を取り出します。
飛び散りやすいので、キッチンペーパーやトレイの上で行うと便利です。
採種した種は、密閉容器に乾燥剤とともに入れ冷蔵庫で保管してください。
ラベンダーの植え付け
ここからはラベンダーの植え付けの時期や方法を紹介します。
苗の選び方もぜひ参考にしてください。
苗の選び方
ラベンダーの苗は、以下のポイントを目安に選びましょう。
- 葉や茎の色が健康的なもの
- 間のびしていない、茎がしっかりとしたもの
- ポットの下から白い根が見えているもの
- つぼみがついていないもの
また、見た目だけでなく、耐寒性や耐暑性を考慮し、育てる地域の環境に合った品種を選ぶことも大切です。
植え付けでおすすめの時期は3~4月、または10月頃
ラベンダーの植え付けは、気候が安定し植物の生育が促される3〜4月と10月頃がおすすめです。
過湿が苦手なため、雨の続く日は避けましょう。
植え付けのやり方
- 鉢に鉢底石を敷き、土を入れる
- 緩効性肥料を入れる
- 根を軽くほぐして植え付ける
- たっぷりと水をあげる
① 鉢に鉢底石を敷き、土を入れる
使用する鉢は5~6号サイズで、水はけを良くするために素焼きのものやスリットが入ったものがおすすめです。
② 緩効性肥料を入れる
元肥として、緩効性肥料をひとつまみ土に混ぜ込みます。
③ 根をほぐして植え付ける
ポットから株を取り出し、根を軽くほぐしてから植え付けます。
株の中心が完全に潜らないように土を入れてください。
④たっぷりと水をあげる
植え付けたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水をあげます。
植え替え|時期とやり方
ラベンダーの株が大きくなってきたら、根詰まりを防ぐために植え替えをしましょう。
植え替えは1〜2年に1回、春か秋に行います。
- 鉢と植え替え用の土を準備する
- 株を取り出し、根鉢を整える
- 鉢に株を植え替える
- 水をあげる
① 鉢と植え替え用の土を準備する
ひと回り大きいサイズの鉢に鉢底石を敷き、培養土に元肥を混ぜ込んだ土を入れておきます。
② 株を取り出し、根鉢を整える
軽く鉢をたたいて元の鉢から株を取り出し、根鉢の肩の土を崩して落とします。
割り箸で底の部分の根を中心に軽くほぐし、長い根は取り除いておきましょう。
③ 鉢に株を植え替える
鉢に株を入れて、株元が埋まらないように土を入れていきます。
④ 水をあげる
植え替えたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水をあげます。
ラベンダーの開花時期

ラベンダーは品種によって開花時期が異なり、レースラベンダーのように四季咲性の品種もあります。
開花後は収穫してドライフラワーやポプリなどに活用でき、長い間ラベンダーの花と香りを楽しめるでしょう。
開花時期は4~7月頃
ラベンダーの一般的な開花時期は4〜7月頃で、品種や地域によって異なります。
春から咲き始めるものもあれば夏に咲くものもあり、生育条件が整っていれば、秋に2回目の花をつける品種もあります。
ラベンダーの花が咲かない原因は?
ラベンダーは生育環境や条件次第で、花が咲かないことがあります。
主な原因は以下の通りです。
- 日当たり不足
- 水やりが過剰または不足
- 肥料の与え過ぎ
- 不適切な剪定
日当たりや水やりなどの基本的な栽培方法を見直し、美しい花を咲かせましょう。
ラベンダーの増やし方
ラベンダーは種まきのほかに、挿し木や株分けで増やすことが可能です。
それぞれやり方やおすすめの時期を紹介します。
挿し木におすすめの時期は4~5月
挿し木は、気温が安定しラベンダーの生育期である4〜5月に行いましょう。
挿し木のやり方
- 挿し穂用に茎をカットし、水揚げする
- 育苗ポットに土を入れ挿し穂をさす
- 根が出たら定植する
① 挿し穂用に茎をカットし、水揚げする
新しい枝を先端から10㎝程度切り、花や茎の下半分の葉も取り除いてください。
茎の切り口を水に浸しながら斜めにカットし、水を入れたコップに約1時間浸けておきます。
② 育苗ポットに土を入れ挿し穂をさす
育苗ポットに鹿沼土か挿し木用の土を入れてしっかり湿らせてください。
土に割り箸を挿して穴をあけ、挿し穂を挿し込みます。
③ 根が出たら定植する
挿し木をしてから一か月程度、発根するまでは明るい日陰に置いてください。
土は常に湿った状態にしておき、根が出て活着したら植え替えましょう。
株分けのやり方
株分けは、ラベンダーの株を2つか3つに分けて植え替え、株を増やす方法です。
土から株を丁寧に取り出し、根を傷めないように手でやさしく分割します。
その後、それぞれを新しい鉢に植え直してください。
ラベンダーの株を小さくしたい時に効果的ですが、根を傷つけると株が弱ってしまうこともあるため、慎重に作業を行うことが大切です。