カタクリの育て方
公開日 2025年02月05日
更新日 2025年02月05日
育てやすさ
育て方の難易度は普通レベルです。

カタクリの基本情報

植物名 | カタクリ |
学名 | Erythronium japonicum |
和名 | 片栗(かたくり) |
英名 | dog tooth violet |
別名 | カタカゴ |
原産地 | 日本、朝鮮半島、サハリン |
科名 | ユリ科 |
属名 | カタクリ属 |
カタクリは、主に北半球の山林に自生しているユリ科の多年草です。
ほかの植物に先んじて、雪解けの頃にいちはやく姿を見せ始める赤紫やピンクの花が美しいカタクリは、春の訪れを感じさせる存在です。
また、春先のほんの2か月ほどしか姿を見せないことから「春の妖精」とも呼ばれています。
月別栽培カレンダー
開花時期
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植え付け・植え替え
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肥料
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水やり
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種類と品種
カタクリの種類は、日本原種と西洋種に分けられます。
日本原種
日本原種のカタクリは「エリスロニウム ジャポニカム」の1種のみです。
花色は赤紫やピンクで、1つの茎に1輪の花を咲かせます。
西洋種
カタクリの西洋種は約20種類存在し、北半球を中心に分布しています。
日本原種は1茎に1輪しか花が咲かないのに対し、西洋種は茎が枝分かれして1~4輪と複数の花を咲かせるのが特徴です。
西洋種のカタクリの代表的な種類はこちらです。
- エリスロニウム パゴダ
- エリスロニウム ホワイトビューティー
- エリスロニウム ヘンダーソニー
- エリスロニウム アメリカヌム
カタクリはどんな花が咲く?

カタクリは、おじぎをするように下を向きながら花弁が上に向かって反り返っている特徴的な花を咲かせます。
カタクリの花は太陽の光を浴びることで開くため、日が沈む時間帯や天候の悪い日には花を閉じる性質をもっています。
日本種のカタクリには赤紫やピンクのほか、数万株に1株と大変珍しい白色のカタクリも存在します。
一方、西洋種のカタクリは白や黄色、斑点模様つきなど花色が幅広く、茎が枝分かれした多輪咲きのものが一般的です。
カタクリの葉っぱの形

カタクリの葉っぱは先の尖った長い楕円形をしており、片側の葉だけに「鹿の子模様」と呼ばれる黒や白の斑点のような模様が現れるのが特徴です。
カタクリの花言葉
カタクリの花言葉は「初恋」「嫉妬」「寂しさに耐える」です。
カタクリの育て方
カタクリは鉢植えで育てるほか、地植えでも育てることができます。
ただし、寒い時期と暑い時期で育て方や置き場所を変える必要があります。
カタクリは元々山林に自生し、雪解けから春先にかけて花を咲かせる植物で、寒さに強く暑さに弱いという性質を持っているためです。
水やりの頻度
カタクリの水やりは、鉢植えと地植えどちらの場合でも土が乾燥してから行うようにしましょう。
鉢植えの場合は、開花時期・休眠期ともに土の表面が白っぽく乾いたタイミングでたっぷりと水を与えます。
地植えの場合は、植え付け直後以外は自然な降雨に任せ、カタクリがしおれているときは追加で水やりをしましょう。
肥料のあげ方
カタクリを鉢植えで育てる場合は、定期的に追肥を行いましょう。
- 開花期間の3~5月、液体肥料を月2回与える
- 根が活動を始める10~11月、液体肥料を月2回与える
地植えの場合、基本的に肥料は必要ありません。
病害虫・害虫対策
カタクリは気温の低い時期に花を咲かせるため、病害虫の被害はほとんどありませんが、他の植物から移動してきたアブラムシが増えてしまうことがあります。
アブラムシ
- 葉から栄養を吸収し植物の成長を妨げる
- 繁殖しやすい
アブラムシを見つけたら、粘着力の弱いテープなどで貼り付けて駆除しましょう。
数が多い場合は、専用の薬剤をスプレーして駆除するのも有効です。
花がら摘み|タイミングとやり方
カタクリは、花がしおれてきたタイミングで花がら摘みを行いましょう。
花を茎ごと葉の手前まで切り取ります。
残した葉はしっかりと光合成をさせ、翌年のための栄養を蓄えましょう。
カタクリの栽培環境
カタクリは山林に自生する植物なので、できるだけ自生地に近い環境を整えると元気に育ちます。
適切な環境下では何年も咲き続けるので、参考にしてみてください。
置き場所と日当たり
カタクリは、開花時期にしっかりと日が当たる涼しい場所を好みます。
鉢植えの場合は、芽が出てから花が咲くまでは日なたに置き、花が咲いてからは明るい日陰に置いて育てましょう。
地植えの場合は西日の当たる場所を避け、春先は日が当たり、夏は日陰になる落葉樹の下に植えるのが最も適しています。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
カタクリは耐寒性が強く、0℃以下の寒さにも耐えることができます。
一方、暑さには弱いため、日差しの強い時期には涼しい日陰に置くなどの工夫が必要です。
用土
カタクリを育てる場合は、根腐れを防ぐために水はけがよく保水性の高い用土を用意しましょう。
一般的に出回っている培養土でも育ちますが、自分で土をブレンドする場合は、赤玉土:小粒の軽石:腐葉土を4:4:2の割合で混ぜてください。
カタクリの開花時期

カタクリは、開花時期がとても短く、休眠期の長い植物です。
開花時期は、凛とした一輪咲の日本種のほか、明るいイエローがはつらつとした印象を与える西洋種の「パゴダ」など、種類によってさまざまな装いで目を楽しませてくれます。
開花時期は3月下旬から4月上旬頃
カタクリの開花時期は3月下旬から4月上旬で、雪解けから春先にかけての非常に短い期間になります。
カタクリは短い開花期以外は休眠状態
カタクリは開花時期以外は、地上に花や葉を残さず休眠期に入り、秋頃に根を張り始め、発芽の準備を始めます。
カタクリの花が咲かない原因は?
カタクリの花が咲かない理由には、以下の原因が考えられます。
- 弱った球根を購入してしまった
- 日当たりが十分でなかった
- 球根が乾燥してしまった
- 前年の光合成不足
弱った球根を購入してしまった
球根を購入する際には栄養たっぷりの太った球根を選びましょう。
日当たりが十分でなかった
3〜4月の開花時期は置き場所に工夫し、できるだけ日光に当てるようにしましょう。
球根が乾燥してしまった
カタクリの球根は乾燥を嫌います。
開花時期は特に乾燥しやすいので、水やりをしっかりと行いましょう。
前年の光合成不足
開花時期に光合成不足だった場合、栄養が蓄えられず翌年花を咲かせないことがあります。
カタクリの葉が出ている期間には十分に日光が当たるようにしましょう。
カタクリの種まき
カタクリは、種まきで株を増やすことができますが、発芽率が低く花が咲くまでに時間がかかることから、菜園上級者向けです。
種まきにおすすめの時期は6月
カタクリの種は6月頃に種を採種し、すぐに種まきをします。
カタクリを種から育てると大変?
カタクリは発芽率が低く、種を植えてから芽を出すまでに徹底した管理と根気が必要になります。
さらに、発芽に成功した苗が花を咲かせるまでに7年ほどかかるため、一般的な家庭菜園でカタクリを種から育てるのは難しくほとんど行われません。
カタクリの種の採種方法
カタクリは、花後に花がら摘みをしない場合、実を結び種をつけます。
夏にかけて実が黄色く熟して先が裂けてきたら種を採種し、すぐに種まきを行いましょう。
採種した種を保存せず、すぐに種まきをすることを「とりまき」といいます。
カタクリの種は乾燥保存に向いておらず、採種から時間が経つほど発芽率が低くなるので、必ずとりまきで栽培してください。
種まきのやり方
- 採種したらすぐに種をまく
- たっぷりと水を与える
- 翌年の春までは水やりを行う
① 採種したらすぐに種をまく
種は乾燥保存せず、採種したらすぐにまきましょう。
親株と同じ土に間隔をあけて種を置き、上から土はかぶせないようにします。
② たっぷりと水を与える
種をまいた土に、表面が湿るまで水を与えます。
③ 翌年の春までは水やりを行う
発芽するまでは、苗床が常に湿っているように管理しましょう。
翌年の春発芽に成功すると、緑色の細い葉が出てきます。
カタクリは球根を植え付けて育てるのが一般的
カタクリは、球根を植え付けて育てるのが一般的です。
「カタクリ」もしくは「エリスロニウム」の名前で販売されており、 園芸ショップなどで実物を見ながら球根を選ぶのがおすすめです。
球根の選び方
カタクリの球根を購入する際には、カビていたり傷がついていないかしっかりチェックしましょう。
古い球や根をちぎり取ると傷口からカビが生える原因になるので、球根には極力手を加えないようにします。
休眠期である7〜10月に植え付けを行うため、夏までに球根を用意することがおすすめです。
球根の植え付けにおすすめの時期は休眠期の7〜10月
球根の植え付けにおすすめの時期は7〜10月です。
カタクリは秋になると根が活動し始めるため、その前に植え付けを完了させましょう。
鉢植え|球根の植え付けのやり方
① 大きく深めの鉢を用意する
カタクリは深く根を張るので、大きめの鉢か腰高鉢を用意しましょう。
直径21〜24cmの鉢に対し球根3つが目安です。
② 土を8割ほど入れる
鉢の底に軽石を入れ、土を8割ほど入れます。
球根を植え付ける場所が土表面から2〜3cmの深さになるように、土の量を調整しましょう。
③ 植え付け穴をあけ、球根を植え付ける
複数の株を植え付ける場合は、植え付け穴同士の間隔を10cmほど空けましょう。
球根を先端が上になるように穴の中に入れます。
④ 残りの土を被せる
残りの2割の土を球根の上から3cmほど被せます。
鉢から溢れないようにしましょう。
⑤ たっぷりと水を与える
鉢の底から水が染み出してくるまで水を与えます。
地植え|球根の植え付けのやり方
① 植え付け場所の土を耕す
植え付け場所の土を30〜40cmほどの深さまで耕しましょう。
こうすることで植え付けえた球根がよく根を張れるようになります。
② 植え付け穴をあけ、球根を植え付ける
複数の株を植え付ける場合は、株同士の間隔を10cmほど空けてください。
深さが5〜6cmになるように植え付け穴をあけたら、球根を先端が上になるようにそれぞれ植え付けましょう。
③ 上から土を被せ、たっぷり水を与える
球根が見えなくなるまで優しく土を被せます。
土表面が湿った状態になるまで水を与えましょう。
カタクリの増やし方
カタクリは種まきのほか分球でも増やすことができます。
分球とは、親株から分かれ出てきた子株を取り分けて新しい株として育てるやり方です。
種まきより分球のほうが簡単に増やすことができるので、手軽にカタクリ栽培を楽しみたい方に向いています。
分球におすすめの時期は休眠している8〜9月頃
分球におすすめの時期は、休眠期の8〜9月頃です。
植え付けから1年目は株が分かれていないことがあるため、しっかりと球根が育った2年目以降に行いましょう。
鉢植えで育てている場合は、分球と同時に植え替えするのがおすすめです。
分球のやり方
- 親株を掘り起こす
- 球根に子株ができていることを確認する
- 子株を分球する
① 親株を掘り起こす
土を優しくほぐしながら親株とする球根を傷つけないように掘り起こします。
② 球根に子株ができていることを確認する
親株についた土を軽くはらうようにして取り除きます。
このとき、落ちにくい土は無理に落とさないようにしましょう。
親株からぷっくりと膨らんで分かれている小さな子株が見つかります。
③ 子株を分球する
球根を傷つけないように子株を優しく取り分けます。
子株や親株に傷がつくとカビなどの原因になるので、無理にちぎり取らず優しく動かすようにしてください。
子株を取り分けたら、新しい株として植え付けを行います。
植え替えの時期はいつがいい?
植え替えにおすすめの時期は、休眠中の7〜10月です。
11月以降になると球根の根が活動を始めてしまうため、植え替えは休眠期中に終わらせるようにしましょう。
植え替えのやり方
カタクリは、庭植えの場合は植え替えの必要はありません。
鉢植えの場合は株や根が混み合ってくるため、2〜3年に1度植え替えを行いましょう。
① 古い鉢から球根を掘り起こす
球根を傷つけないようにそっと掘り起こします。
子株ができていたら取り分けましょう。
このとき、取り分けた子株を新しく別の鉢に植え付けて増やすこともできます。
② 鉢に新しい土を入れる
同じ鉢を使って植え替える場合は、1度古い土を捨てて新しい土に替えましょう。
鉢の底に軽石を入れ、土を8割ほど入れます。
球根を植え付ける場所が土表面から2〜3cmの深さになるように、土の量を調整してください。
③ 植え付け穴をあけ、球根を植え付ける
複数の株を植え付ける場合は、株同士の間隔を10cmほど空けてください。
球根を先端が上になるように穴の中に入れます。
④ 土を被せ、たっぷり水を与える
残りの2割の土を球根の上から3cmほど被せます。
鉢の底から水が染み出してくるまで水を与えます。