ベニバナの育て方
公開日 2025年01月12日
更新日 2025年01月12日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。
ベニバナの基本情報
植物名 | ベニバナ |
学名 | Carthamus tinctorius L. |
和名 | ベニバナ |
英名 | Safflower |
別名 | 末摘花(すえつむはな)、呉藍(くれあい) |
原産地 | 地中海~中央アジア |
科名 | キク科 |
属名 | ベニバナ属 |
ベニバナは、アザミのような形の黄色い花を咲かせる一年草です。
かつては、布を染める染料やお化粧の紅に花びらを使うため、栽培が盛んに行われていました。
また、花びらは漢方にも用いられ、種子からベニバナ油(サフラワー油)が抽出できるなど、利用価値の高い植物です。
最近では、葉にトゲのない観賞用の品種もあり、切り花として楽しむこともできます。
乾燥させても色あせないため、ドライフラワーとしても人気です。
月別栽培カレンダー
種まき
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
植え付け
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
肥料
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
開花
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
種類と品種
ベニバナにはいくつか品種がありますが、ここでは日本で育てられている主な品種を3つ紹介します。
最上紅花
紅花で最も有名な在来種で、分枝が多くたくさんの花が咲くのが特徴です。
花はアザミの花に似ています。
トゲナシベニバナ
最上紅花より草丈が短く、分枝が少ないのが特徴です。
観賞用に育成された品種で、切り花やドライフラワーに向いています。
シロベニバナ
最上紅花の突然変異で生まれた品種で、最上紅花より、開花が少し遅れます。
品種 | 色 | 葉のトゲ |
---|---|---|
最上紅花 | 黄色 | あり |
トゲナシベニバナ | 黄色、橙 | なし |
シロベニバナ | 白色 | あり |
他にもベニバナの名前が付く花に「ベニバナイチヤクソウ」がありますが、イチヤクソウ科の全く別の花です。
ベニバナはどんな花が咲く?
ベニバナは、アザミに似た鮮やかな黄色の花を咲かせます。
膨らんだつぼみの上に、細い筒状花をたくさん咲かせることで、一輪の花を形成します。
咲き進むとオレンジに変色し、やがて紅色に染まっていくのもベニバナの花の特徴です。
黄色以外にも、オレンジや白もあります。
ベニバナの葉っぱの形
ベニバナの葉っぱは、濃い緑色で硬く、先端が尖っています。
剣葉種は葉の縁にトゲがありますが、丸葉種はトゲがありません。
ベニバナの花言葉
ベニバナの花言葉には「化粧」「装い」「特別な人」「包容力」などがあります。
紅花(ベニバナ)の花言葉と風水|怖い花言葉
ベニバナの育て方
ベニバナを適切に育てることで、初夏に鮮やかな黄色の花をたくさん楽しめます。
乾燥を好む植物のため、水や肥料を与えすぎると、根腐れや生育不良の原因になるので注意しましょう。
水やりの頻度
ベニバナは湿気を嫌うので、乾燥気味に育てることが大切です。
鉢植えの場合
土の表面が乾いてから水やりをしましょう。
葉に水をかけたり、土からのはね返りで茎が濡れたりすると病気になりやすくなるので、株元から少し離れた場所にそっと水やりするのがコツです。
地植えの場合
降雨に任せて構いません。
日照り続きでベニバナが弱ってきたら、水やりをするくらいで大丈夫です。
肥料のあげ方
ベニバナは、それほど肥料を必要としない植物です。
地植えする場合は、腐葉土に堆肥を混ぜ肥沃な土にすれば、追肥を与えなくても大丈夫です。
鉢植えの場合は、植え付け時に緩効性の化成肥料を与えましょう。
鉢植えも基本的に追肥は必要ありませんが、生育次第では月に1回くらいの頻度で液肥を施します。
肥料のあげすぎは、茎が伸びすぎたり元気がなくなったりと、逆効果になってしまうので注意してください。
病害虫・害虫対策
ベニバナをきれいに咲かせるためには、病害虫の被害を防ぐことが大切です。
ここでは、ベニバナに発生しやすい病害虫と対策を紹介します。
アブラムシ
- 植物の新芽を好み、葉の裏や茎に寄生する
- 汁液を吸い、株を弱らせる
アブラムシが発生したら、粘着テープや歯ブラシなどを使って取り除きましょう。
スプレータイプの駆除剤や、粒状の殺虫剤を土にまくのもおすすめです。
また、アブラムシはセージやバジル、ミントなどのハーブを嫌うので、コンパニオンプランツとして混植すると寄り付きにくくなります。
ハモグリバエ
- 葉肉の中に潜り込んで食害する
幼虫を見つけたら、手やピンセットなどで潰すか、殺虫剤で駆除しましょう。
炭疽病
- 茎や葉に病斑が発生する
- 茎が曲がるなど奇形が現れる
- 雨水のはね返りで感染することがある
発病したら、症状がある部分を処分して薬剤で防除しましょう。
水やりは花や葉に水がかからないように気を付け、株元から少し離れた場所から行い、過湿を避けることで予防できます。
雨水のはね返りを防ぐため、マルチングを行うのもひとつの方法です。
立枯病
- 地際の茎に褐色の病斑が現れる
- 生育不良になり、茎枯れや根腐れを起こして枯死する
発病後は、株を根の周りの土ごと処分し、薬剤で殺菌しましょう。
日当たりや風通しのよい場所で育てることで、発生を予防できます。
ベニバナインゲン萎凋病
- 生育期や開花期の葉が黄化したり茎が曲がったりする
- 葉が枯れあがり株が萎れて枯死する
発病してしまったら、クロールピクリンやダゾメット微粒剤などで、土壌消毒をしましょう。
有機質肥料を施し肥沃な土にすることで、病原菌の過剰な発生を抑制することが可能です。
支柱立て|タイミングとやり方
ベニバナは、1mくらいまで伸びる植物です。
草丈が20~30㎝くらいになったら、倒れないように支柱を立てて、ビニタイなどで固定しましょう。
併せて株元に土寄せすることで、倒れにくくすることが可能です。
なお、ベニバナは直根性植物で主根が下にまっすぐ伸びるため、株元の近くに支柱を立てても根を傷める心配がありません。
間引き|タイミングとやり方
ベニバナは、株を間引きして密集による生育不良を防ぎ、残った株に必要な栄養素を集中させることが大切です。
間引きは、次の手順で行います。
- 本葉が2~3枚になったら間引きする
- 本葉が5~6枚になったらさらに間引きする
① 本葉が2~3枚になったら間引きする
土を軽く押さえながら、間引く株だけをゆっくり引き抜きましょう。
② 本葉が5~6枚になったらさらに間引きする
株を1本立ちさせるために、再び間引きを行います。
なお、間引いた葉は、おひたしや天ぷらにして食べることができます。
切り戻し|タイミングとやり方
ベニバナは一年草なので、あまり切り戻しを必要としません。
草丈が1mくらいまで伸びますが、伸びすぎたり弱ったりしている茎や枝があれば、切り戻しをして形を整える程度で大丈夫です。
また、込み入った部分や枯れた葉を整理すると、風通しがよくなります。
花がら摘み|タイミングとやり方
ベニバナは、次々と咲く花に栄養をまわすため花がら摘みを行います。
花がら摘みは、以下の要領で行ってください。
- 花びらがしおれてきたら、花がら摘みを行う
- 花首を手で摘むか、ハサミで切る
- トゲでケガをしないよう、厚手のゴム手袋をする
ベニバナの栽培環境
ベニバナは、日当たりと風通しがよく、水はけのよい場所を好みます。
初夏に咲く花ですが、上手に管理することで越冬させ春に咲かせることも可能です。
ここでは、ベニバナに適した栽培環境について詳しく解説します。
置き場所と日当たり
ベニバナの置き場所は、日当たりがよく風通しがよいところを選びましょう。
日当たりが悪いと、生育不良で徒長したり花が咲かなかったりするので、長く日が当たる東や南向きの場所がおすすめです。
また、風通しが悪い場所では、蒸れて病気や根腐れを起こしやすいので注意してください。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
季節 | 夏 | 冬 |
適温 | 20~25℃ | 10~15℃ |
耐寒性があるため、適温より低い温度でも適切な管理をすれば冬越しすることができます。
用土
アルカリ性の土壌を好むため、地植えにする場合は植える2週間前に苦土石灰を施し、腐葉土を混ぜて植えましょう。
鉢植えやプランターに植える場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜ、苦土石灰を少し加えた土を用意します。
市販の草花用の培養土を使ってもかまいません。
冬越しの方法と注意点
ベニバナを5~6月頃に咲かせる場合、秋に種をまいて越冬させる必要があります。
冬越しは、次の要領で行ってください。
- 雪や霜が当たる地域は、敷きワラなどで株元を保護する
- 寒風にさらされないよう、風よけをしておく
- 鉢植えは、土の表面が乾いたら午前中に水やりをする
- 地植えは降雨に任せ、乾燥気味に管理する
ベニバナの種まき
ベニバナは、種から育てることが可能です。
適切な方法とタイミングで種まきを行えば、きれいなベニバナの花を咲かせることができるでしょう。
ベニバナを種から育てると大変?
ベニバナは、初心者でも種から育てることができます。
乾燥に強く肥料もそれほど必要ないため、比較的管理が簡単です。
花が咲いた後に採種すれば、翌年も種まきを行えます。
種まきにおすすめの時期は3~4月
ベニバナの種まきは、3~4月がおすすめです。
夜間でも気温が10℃を上回るようになったら、種まきの適期になります。
ただし、種まきの時期が遅いと、草丈が短いまま開花してしまい花数も減ってしまうので注意しましょう。
また、ベニバナは9~10月に種をまいて、5~6月に花を咲かせることもできます。
種まきのやり方
ベニバナの種まきのやり方は、次のとおりです。
地植えも鉢植えも、同じ手順で行います。
- 種を3日くらい水に浸しておく
- 種まき用の土を用意する
- 等間隔で穴をあけて種をまく
- 水やりをして発芽まで管理する
① 種を3日くらい水に浸しておく
ベニバナの種は、しばらく水に浸しておくことで吸水し、発芽しやすくなります。
② 種まき用の土を用意する
地植えの場合は、土を深さ30㎝くらい耕しておきます。
鉢植えで育てるときは、深さが30㎝くらいある鉢やプランターを用意しましょう。
③ 等間隔で穴をあけて種をまく
親指の第1関節くらいの穴をあけ、種を2~3粒ずつまいたら軽く土をかぶせます。
穴の間隔は、15~20㎝くらいを目安にしましょう。
④ 水やりをして発芽まで管理する
発芽するまでは、種が乾燥しないように管理することが大切です。
霧吹きをするなど、湿った状態を保ちましょう。
4~5日で発芽するので、その後は植え替えせずにそのまま育てれば大丈夫です。
ベニバナの種を採る方法
- 乾燥したベニバナを収穫する
- 膨らんだ部分から採種する
- 種をしっかり乾燥させる
- 密閉容器で保管する
① 乾燥したベニバナを収穫する
種の採種は、ベニバナが茶色く枯れて乾燥するまで待ちましょう。
カラカラに乾いたら、花首を茎から外します。
トゲでケガをしないように、厚手のゴム手袋などで手を保護しながら作業してください。
② 膨らんだ部分から採種する
種は、花の下の膨らんだ部分に作られます。
鋭いトゲを取り除き、殻を開きながら、繊維に包まれた白い種を取り出しましょう。
トゲが付いたまま作業する場合は、膨らんだ部分を押したりもんだりすることで、種を取り出すことができます。
③ 種をしっかり乾燥させる
風にさらして残った繊維を飛ばしたら、風通しのよい場所でしっかり乾燥させましょう。
④ 密閉容器で保管する
乾燥させたら、密閉容器に乾燥剤とともに入れて、種まきの時期まで保管します。
ベニバナの植え付け
ベニバナの苗は、植え付けに適した3~4月に出回ります。
元気に育てるためには、よい株を選び、適切に植え付けを行うことが大切です。
苗の選び方
ベニバナの苗を選ぶ時は、以下の点に注意して選びましょう。
- 葉がしっかりして青々としているもの
- 変色していないもの
- 株元がしっかりしているもの
- 茎が徒長していないもの
- 葉の裏側に虫や病気がないもの
植え付けでおすすめの時期は3~4月
ベニバナの苗の植え付けは、3~4月がおすすめです。
購入した苗はなるべく早く植え付けを行い、生育環境を整えてあげましょう。
植え付けのやり方
① 植え付け用の土を用意する
地植えする場合は、ポットの高さ程度の穴を掘ります。
いくつか植えるのであれば、20~30㎝くらい間隔をあけておくとよいでしょう。
鉢植えやプランターに植える場合は、鉢底ネットと鉢底石を敷き、ポットがそのまま入るくらいの高さを残して土を入れておきます。
② 苗を植える
ポットから苗を取り出したら、根鉢は崩さずに植える場所に置きます。
鉢植えはひとつの鉢に一株のみ、プランターは15~20㎝くらい間隔をあけましょう。
③ 土を被せて水やりをする
すき間に土を入れて植え付けが完了したら、たっぷり水やりをしましょう。
植え替えは必要?
ベニバナの苗は、植え替えを必要としません。
直根性の植物なので、移植を嫌います。
生育途中で植え替えせずにすむように、植え付けや種まきは最初から咲かせたい場所で行いましょう。
ベニバナの開花時期
ベニバナは、初夏に鮮やかな黄色の花をつけます。
茎が太く丈夫な花なので、適切に育てれば暑い夏でも次々と咲く姿を楽しませてくれるでしょう。
開花時期は7月上旬~中旬頃
ベニバナの開花時期は、7月上旬~中旬頃です。
ぷっくりと膨らんだつぼみの先端から、少しずつ花びらが姿を現し開いていきます。
花持ちは7~10日くらいで、黄色からオレンジに変色し、やがて紅色へと染まっていく姿が楽しめます。
ベニバナの花が咲かない原因は?
ベニバナの花が咲かない原因には、次の4つが挙げられます。
- 日当たりが足りない
- 水やりが足りない
- 肥料が足りない
- 過湿による生育不良
ベニバナは日当たりと水はけのよい土壌を好みます。
東や南向きの十分日が当たる場所に置き、乾いたらたっぷり水を与えましょう。
それほど肥料を必要としませんが、生育が悪いときは適度に与えることが必要です。
ベニバナの増やし方
ベニバナの増やし方は、基本的には種まきのみです。
一年草なので、挿し木や株分けで増やすことはできません。
翌年も花を咲かせたい場合は、枯れた後の種を保管しておき、種まきで育てましょう。