スターチスの育て方
公開日 2025年03月20日
更新日 2025年03月20日
育てやすさ
初心者の方でも育てやすいのでおすすめです。

スターチスの基本情報

植物名 | スターチス |
学名 | Limonium sinuatum |
和名 | 花浜匙(ハナハマサジ) |
英名 | Statice、Limonium |
別名 | リモニウム、庭花火(ニワハナビ) |
原産地 | ヨーロッパ、地中海沿岸 |
科名 | イソマツ科 |
属名 | イソマツ属 |
スターチスは、ドライフラワーのようにカサカサとした質感をもつ花です。
枝分かれした茎の先に小さな花が稲穂のように並び、さまざまな花色が楽しめます。
これまでは仏花として使われることが多かったスターチスですが、現在では切り花としても宇ディングブーケやドライフラワー、ガーデニングにも人気があります。
乾燥に強く寒さ対策をすれば冬越しもでき、あまり肥料を必要としないため育てやすい花です。
月別栽培カレンダー
種まき
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植え付け・植え替え
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肥料
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開花
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種類と品種
スターチスには約300種類ほどの品種があり、一年草や二年草、多年草、半低木とさまざまなタイプがあります。
ここでは、代表的な品種を紹介します。
ハイブリッド系
異なる種類を交配してつくられた園芸品種で、低温に強く四季咲性です。
花は大きく鮮やかな色で、1本でもボリュームがあり、切り花にしても花持ちがいいのが特徴です。
スターチス シヌアータ

日本で最も多く栽培される品種です。
花の色はバリエーションが豊富で、種類によってはチョコレートのように甘い香りがするものもあります。
リモニウム シヌアツム

スターチスの本種であり、原産の種類です。
花茎につくヒラヒラとした翼が少ない特徴があります。
リモニウム ボンデュエリ
アルジェリアを中心に栽培されている品種で、鮮やかな黄色をしています。
シヌアツム種と似ていますが、ボンデュエリ種の方が小さく繊細で可憐な印象です。
リモニウム ベリディフォリウム
ヨーロッパ諸国やロシアなどでより栽培が盛んな品種です。
耐寒性に優れ、毎年株か成長して立派な花を咲かせてくれます。
リモニウム ラティフォリウム

ルーマニアやブルガリアなどで栽培されている宿根スターチスの原種のひとつです。
3〜5mmほどの淡い青紫色の極小さな花をたくさん咲かせ、かすみ草のような繊細な雰囲気が特徴です。
品種名 | タイプ | 花の色 | 草丈 |
---|---|---|---|
ハイブリッド系 | 一年草 | 白、黄、ピンク | 60~80cm |
スターチス シヌアータ | 一年草 | 白、黄、紫 | 40~80cm |
リモニウム シヌアツム | 一年草 | 白、黄 | 60~80cm |
リモニウム ボンデュエリ | 多年草 | 黄 | 60~80cm |
リモニウム ベイリディフォリウム | 多年草 | 紫 | 60~100cm |
リモニウム ラティフォニウム | 多年草 | 青紫 | 60~100cm |
スターチスはどんな花が咲く?

スターチスの花は、カラフルな花色とカサカサした質感が特徴です。
花びらのように見える部分は萼(がく)で、萼(がく)の中に咲く白や黄色の小さな花が本来の花です。
花の形は、ラッパのように広がった1枚の花びらの先が5つに裂けているのが特徴です。
花が咲き終わっても色褪せにくいので、花が長持ちしているように見えるのも魅力のひとつです。
スターチスの葉っぱの形

葉の付け根は細く、先に向かって徐々に太くなりヘラのような形をしています。
葉の周りの縁は、波打っているのが特徴です。
また、根元で放射状に広がり、地面に付くように成長します。
なお、花茎についているヒラヒラとしたものは、葉ではなく翼(よく)と呼ばれるものです。
スターチスの花言葉
スターチスの花言葉は「変わらぬ心」「永遠に変わらない」「変わらない誓い」「途絶えぬ記憶」です。
スターチスの育て方
カラフルなスターチスを元気に育てるためには、適切な環境に整えることが大切です。
- 日当たりと風通しのよい環境にする
- 乾燥気味に育てる
- 枯れ葉取りや支柱立てを適切に行う
それぞれ詳しく説明します。
水やりの頻度
スターチスは乾燥を好む性質のため、水やりのしすぎに注意しましょう。
鉢植えの場合
一年草タイプのスターチスは、季節を問わず土が乾いたら鉢底から水が流れるくらいたっぷりと水を与えます。
多年草タイプや半低木タイプは、特に過湿に弱いため、土だけでなく茎や葉の状態を観察しながら水を控えめに管理しましょう。
地植えの場合
植え付けの際たっぷりと水やりをし、そのあとは候雨に任せて大丈夫です。
肥料のあげ方
スターチスは、鉢植えと地植えともに元肥として緩効性肥料を混ぜ込みます。
鉢植えの場合には、冬越し後の3〜5月に追肥を行いましょう。
ただし、肥料を与えすぎると花付きが悪くなるため、生育に問題がなければ無理に与えなくても大丈夫です。
病害虫・害虫対策
スターチスは過湿や肥料の与えすぎ、または連作などが原因で病気が発生します。
主な病害虫と対策を紹介します。
立ち枯れ病
- 株元から枯れて折れてしまう
- 土で伝染する病気
- 連作によって発生しやすい
発病した株と周囲の土を取り除き、ほかの植物への感染を防ぎます。
過湿にならないよう風通しをよくして予防しましょう。
灰色かび病
- 花やつぼみ、葉に灰色のシミが出る
- 低温で多湿の状態が続くと発病しやすい
見つけ次第取り除き、株全体への広がりを防ぎましょう。
また、土の湿気が葉に移らないようマルチングをすると予防効果があります。
アブラムシ
- 植物の栄養を吸い取り枯らしてしまう
- 病気の媒介にもなる
発生したら水で洗い流し、殺虫剤などを吹きかけて取り除きます。
殺虫剤の散布や防虫ネットの使用などで予防がおすすめです。
スリップス(アザミウマ)
- 葉や花に褐色や黒色のシミができる
- 体長1~2mmと小さくいため見つけにくい
被害を受けた部分を取り除いてください。
その後、薬剤を散布し、防虫ネットを活用して予防しましょう。
支柱立て|タイミングとやり方
草丈が高くなる品種のスターチスは、強風や花の重みで茎が折れないよう4~6月に支柱立てを行います。
- 株から10~15cm程離して支柱を立てる
- 風で倒れないよう20~30cmの深さまで支柱を差し込む
- 中央の茎と支柱を紐で8の字に結ぶ
草丈の成長に合わせて、ひもの位置を調整し結び直してください。
ただし、自立できている場合には必要ないため、観察して判断しましょう。
切り戻し|タイミングとやり方
スターチスの切り戻しは、花が咲き終わったタイミングで行います。
- 咲き終わった花がついている茎を選ぶ
- 茎は根元近くで45度の角度になるようにカットする
また、ドライフラワーを作る場合には、満開になる前に切り戻しすると色持ちがよく綺麗に仕上がります。
スターチスの栽培環境
スターチスは、高温多湿が苦手で乾燥を好む性質があります。
日当たりと風通しのよい場所で栽培すると、株が年々成長し、豪華な花を咲かせてくれるでしょう。
置き場所と日当たり
スターチスは、日当たりと風通しのよい場所を好みます。
午前中から昼にかけてよく日が当たる場所を選び、雨が直接当たらないようにしましょう。
日当たりが悪いと、花付きが悪くなったり、茎が徒長して間のびしたりします。
適切な温度|どれくらいの寒さまで耐えられる?
スターチスの生育適温は10~25℃で、耐寒温度は3~5℃程度です。
霜に当たると枯れてしまうため、シートをかぶせたり軒下で管理したりなど工夫します。
一方で、30℃以上の高温になると生育が止まることや病気にかかりやすくなるため、遮熱対策をして直射日光を避けましょう。
用土
スターチスは、水はけがよく適度に肥料を含む土が適しています。
市販の培養土だけでも育ちますが、赤玉土6割、腐葉土3割、川砂1割で混ぜると、より水はけのよい土となるでしょう。
また、あらかじめリン酸分の多い緩効性肥料を混ぜておくと、株全体の健やかな成長が期待できます。
地植えの場合には、事前に苦土石灰を混ぜて土を中和させておくことがおすすめです。
夏越しの方法
スターチスは高温多湿に弱いため、日本の気候では一年草として扱われますが、寒冷地では夏越しができます。
また、多年草や半低木タイプのスターチスは、暑さに比較的強く夏越ししやすい特徴があります。
夏越しのポイントは次のとおりです。
- 水やりを控えめにする
- 風通しがよく、明るい日陰に置く
- 真夏の直射日光は避ける
冬越しの方法と注意点
適切に管理すれば、関東より西の地域では屋外でも冬越しができます。
鉢植え、地植えともに霜に当てないように注意することが大切です。
鉢植えの場合
軒下へ鉢を移動させたり、シートをかぶせたりするとよいでしょう。
ただし、15℃以下の環境に30日ほど置いたほうが越冬後の花付きがよくなるため、暖かい室内より軒下などがおすすめです。
ただし、秋に種まきした苗は寒さに弱いため、室内で管理してください。
地植えの場合
ウッドチップやフィルムを使ったマルチングして保温しましょう。
霜柱ができると、根が掘り起こされ枯れてしまうことがあるので注意してください。
スターチスの種まき
スターチは苗の出回りが少ないため、種から育てるのが一般的です。
スターチスを種から育てると大変?
スターチスは、種を複数まくと発芽率が高まります。
発芽したら鉢上げし、風通しと日当たりの良い場所で育苗すると元気に成長するでしょう。
種まきにおすすめの時期は9月下旬~10月頃
スターチスの発芽適温は20℃前後なので、暑さが落ち着いた9月下旬~10月頃がおすすめです。
種まきから10日前後で発芽し、冬を越して夏に花を咲かせます。
種まきのやり方
- 種まき用の土とポットを準備する
- 種を揉み洗いし、土にまく
- 発芽まで水を切らさず管理する
- 本葉が2~3枚になったら間引きをする
- 本葉が6~8枚になったら植え替える
① 種まき用の土とポットを準備する
種まきには3号ポットや連結ポットを用意しましょう。
ポットに赤玉土や市販の種まき用の土を上まで入れ、あらかじめ水をしっかりと吸水させておきます。
② 種を揉み洗いし、土にまく
種を砂で揉み洗いし、種に生えている細かい毛を落とします。
揉み洗い不要の「クリーンシード」という市販の種もあります。
1つのポットに2〜 3粒の種をまき、種が隠れる程度に薄く土をかぶせてください。
スターチスの種は嫌光性種子のため、土のかぶせ過ぎに注意しましょう。
③ 発芽まで水を切らさず管理する
発芽まで水を切らさないように管理します。
上から水やりをすると土が動いて種が見えてしまうため、霧吹きをかけるか受け皿から吸水させましょう。
④ 本葉が2~3枚になったら間引きをする
種まきから約10日で発芽します。
その後、本葉が2〜 3枚まで育ったら、間引いて1つの苗に成長を集中させましょう。
⑤ 本葉が6~8枚になったら植え替える
本葉が6〜8枚になるまでに成長したら、庭や鉢などへ植え替えます。
秋植えで本葉の成長が間に合わない場合、そのまま冬越しさせることも可能です。
スターチスの種を採る方法
スターチスの種を採る場合は、切り戻しや花がら摘みをせず種ができるのを待ちます。
- 花の咲き終わりまで待つ
- 採種する
- 乾燥させて冷暗所で保管する
① 花の咲き終わりまで待つ
花が咲き終わっても花がらを取らず、さらに茶色く乾燥するまで待ちます。
② 採種する
株元から茎ごと切り取り、採種します。
2〜3mmほどの小さな種のため、落とさないように紙や受け皿を使用しましょう。
③ 乾燥させて冷暗所で保管する
採種した種を乾燥させます。
種が乾燥したら、乾燥剤と一緒に茶封筒や通気性のある袋に入れ、さらに密封容器に入れます。
種まきするまでは、冷蔵庫の野菜室などで保管してください。
スターチスの植え付け
スターチスは、直根性のため根を傷つけないように植え付けしましょう。
ここでは、苗の選び方や植え付け方法を紹介します。
苗の選び方
スターチスの苗は、葉が瑞々しく、病気や害虫の被害がない苗を選びましょう。
株元の葉が黄色くなっていたり、育苗ポット内の根張りが悪いものは、植え付け後も元気に育たない可能性があります。
植え付けでおすすめの時期は3~4月と10~11月
スターチスの苗は、秋まきの苗を10〜11月に、春まきで 3〜4月に植え付けるのがおすすめです。
なお、スターチスは地植えと鉢植えで植え付け方が異なります。
鉢植えの植え付け方
- 鉢と土を準備する
- 苗を植え付ける
- たっぷりと水やりする
- 日当たりと風通しのよい場所で育てる
① 鉢と土を準備する
鉢はスリットが多く水はけが良いもので、1つの苗なら6~7号サイズを用意します。
複数の苗を植え付ける場合には、株の間隔が25〜30cm取れるサイズのプランターがよいでしょう。
土は、培養土3割と赤玉土小粒7割に緩効性肥料を混ぜたものを準備します。
鉢底石や鉢底ネットを入れ、準備した土を半分くらい入れて準備完了です。
② 苗を植え付ける
根を傷つけないようポットから慎重に取り出し、植え付けます。
土は鉢の縁から2~3cm下までふんわりと入れ、根が表に出ないようにしましょう。
③ たっぷりと水やりする
苗の植え付け後は、鉢底から流れ出るくらい水やりを行います。
その後は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりし、過湿にならないよう管理しましょう。
④ 日当たりと風通しのよい場所で育てる
植えつけ後は、日当たりと風通しのよい場所で栽培します。
雨に当たり過ぎると、株が腐ってしまう可能性があるため、天候によっては軒下へ移動させましょう。
地植えの植え付け方
- 植え付け場所を確保し、土を準備する
- 苗を植え付ける
- たっぷりと水やりする
① 植え付け場所を確保し、土を準備する
日当たりのよい場所に少量の苦土石灰と培養土を混ぜた土を準備しましょう。
水はけをよくするために、土が15〜20cmほど盛り上がった高さになるようにします。
② 苗を植え付ける
ポットから苗を出すときには、根を傷つけないよう優しく取り出し植え付けます。
複数の苗は25~30cmほど間隔を空けて植え付けましょう。
植え付け後、土をふんわりとかけます。
③ たっぷりと水やりする
植え付け後はたっぷりと水やりをし、その後は天候に任せて大丈夫です。
スターチスの開花時期

スターチスは、気温のあがる初夏に花を咲かせます。
開花時期は5~7月頃
スターチスは、5〜7月頃に開花します。
花は約1〜2週間と長い期間咲くうえ、花が終わった後もカラフルな萼(がく)が散らずに残るので、開花期以外も鮮やかな色で楽しめるでしょう。
スターチスの花が咲かない原因は?
スターチスの花が咲かない原因は、次のようなことが考えられます。
- 寒さに当たっていない
- 過湿
- 肥料の与えすぎ
スターチスは寒さに弱いからといって暖かい室内で冬越しさせると、翌年に花穂がつかないことがあります。
スターチスの増やし方

スターチスの増やし方は、種まきだけです。
スターチスは挿し木できる?
スターチスは、一般的なガーデニングで挿し木で増やすことはできません。
挿し木での増やし方は、企業や研究機関のみで行われるほど難しい方法です。
スターチスに植え替えは必要?
一年草タイプは植え替えの必要はありませんが、多年草タイプは株の成長に合わせて植え替えましょう。
植え替えのタイミングとやり方
多年草タイプのスターチスは、1~2年に1度のサイクルで10~11月頃か冬越し後の3月頃に植え替えするのがおすすめです。
- 鉢と土を準備する
- 苗を植え替える
- 日当たりと風通しのよい場所で管理する
① 鉢と土を準備する
元の鉢よりもひと回り大きく、鉢底にスリットがあるタイプの鉢を準備しましょう。
土は市販の培養土や、培養土3割と赤玉土小粒7割に緩効性肥料を混ぜたものが適しています。
鉢に鉢底石か鉢底ネットを入れ、土は半分くらいを目安に入れましょう。
② 苗を植え替える
苗の根を傷つけないように広めに周りの土ごと掘り返しましょう。
苗を鉢の中に入れ、鉢の縁から2~3cm下まで土をかぶせてください。
③ 日当たりと風通しのよい場所で管理する
植え替え後は、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えましょう。
日当たりと風通しがよい場所で育て、長雨に当たらないように注意してください。