観葉植物の増やし方(挿し木・水挿し・株分け・茎伏せ・実生)
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目次
観葉植物の増やし方一覧
観葉植物を増やすには、主に5つの方法があります。
植物によって適切な方法は異なるため、それぞれの特徴をしっかりと理解して、増やしたい植物に合う方法を実施しましょう。
5つの方法と、それぞれの方法に合う代表的な植物は以下の通りです。
挿し木
「挿し木」は、多くの観葉植物に利用できる最もポピュラーな増やし方です。
必要な道具や手順についてひとつずつ解説していきます。
挿し木のメリット
挿し木を実施する際の最大のメリットは、比較的簡単な手順で観葉植物を増やせる点です。
また、元となる植物と同じ特徴を持つ個体を一度に複数個増やすことができます。
同じ種類の植物を新たに購入して育てるよりも、挿し木の方が成長が早いのも特徴です。
挿し木の種類
一口に挿し木と言っても、実はいくつかの種類が存在します。
代表的な挿し木は「芽挿し(頂芽挿し)」と「葉挿し(葉芽挿し)」の2つです。
ほかにもいくつかある種類の詳細と、それぞれの方法に適切な植物をまとめて紹介します。
増やし方 | 使う部分 | 適した植物 |
---|---|---|
芽挿し(頂芽挿し) | 頂芽をつけた状態で切った枝を使用する | ポトス、パキラ、ガジュマル、フィカス |
葉挿し(葉芽挿し) | 葉とわき芽のついた茎を使用する | サンスベリア、セダム |
茎挿し | 切り分けた茎を土に挿す | モンステラ、ドラセナ |
根挿し | 切り分けた根を土に挿す | コルディリネ、サンスベリア |
密閉挿し | 発根するまで挿し床を覆って密閉する 通常の挿し木では初根しにくい種類に使用する方法 | エバーフレッシュ |
挿し木に適したタイミング
挿し木を実施するタイミングは、春や秋といった芽の成長への影響が少ない時期が適切です。
植物によって適する時期は多少異なりますが、室内で成長する観葉植物の場合は基本的に9月頃が最適であるとされています。
挿し木に必要な道具
挿し木を実施する際に必要な道具と、用意する際に注意するべきポイントは以下の表を参考にしてください。
道具 | ポイント |
---|---|
用土 | なるべく無菌で清潔なものを使用する基本的には、親株で使用している土と同じものを使う 【種類】赤玉土、鹿沼土、バーミキュライト、パーライト、挿し木専用土など |
ハサミ | 園芸用が使いやすいためおすすめ |
じょうろ・霧吹きなど | 水圧が優しく、日常的に使いやすいサイズを選ぶ |
軍手 | 土に触れるため、あると便利 |
挿し木に使用する容器 | 小さめの植木鉢など |
発根(芽)促進剤 | 観葉植物専用のものを用意する |
鉢底網・石など | 使用する容器や植物のサイズに合わせる |
挿し木の手順
- 植物の枝や茎などをカットする(約10~15cm)
- 枝の断面を斜めにカットし、1~2時間ほど水に浸ける
- 容器に用土を入れて挿し穂を挿す
- 無事に発根するように管理を続ける
① 植物の枝や茎などをカットする(約10~15cm)
カットした枝を挿し穂にするので、頂点の葉を数枚残し、下葉はすべて切り落とします。
② 枝の断面を斜めにカットし、1~2時間ほど水に浸ける
斜めにカットしたら、水に入れる前に発根(芽)促進剤を断面に塗ります。
③ 植木鉢などの容器に用土を入れて挿し穂を挿す
植木鉢に用土を入れたら、土に穴を開けて挿し穂を挿し、土で固定します。
④ 無事に発根するように管理を続ける
挿し木の手順(1)~(5)を実施したあとは、無事に発根するように管理を続けます。
挿し木をした容器は直射日光の当たらない明るい場所に設置し、土の乾きに気を付けながら定期的に水を与えてください。
長く掛かるものでも1か月程度で発根するので、それまでは根気強くお世話を続けましょう。
水挿し(水差し)
「水挿し(水差し)」は、その名の通り水の力を利用して植物を成長させる増やし方です。
必要な道具や手順についてひとつずつ解説していきます。
水挿しのメリット
水挿しは土を使わず水を利用して植物を増やす方法なので、作業をする際に周りが汚れにくいというメリットがあります。
また、管理が簡単なので植物の健康を維持しやすく、他の方法と比較すると害虫や病気などの被害を予防する効果が期待できるでしょう。
水挿しに適したタイミング
水挿しをするタイミングは、植物によって異なります。
たとえばパキラは5〜7月頃、ポトスであれば5〜9月頃がベストなタイミングです。
水挿しの場合は植物の成長が盛んな時期を狙うことで、スムーズな発根が期待できます。
水挿しに必要な道具
水挿しを実施する際に必要な道具と、用意する際に注意するべきポイントは以下の表を参考にしてください。
道具 | ポイント |
---|---|
水 | 家庭の水道水で問題ない |
ハサミ | 園芸用が使いやすいためおすすめ |
水挿しに使用する容器 | 水を入れるため、漏れるリスクや深さを考慮する |
発根(芽)促進剤 | 観葉植物専用のものを用意する |
水挿しの手順
- 植物の枝や茎などをカットする(約30cm)
- 切り口の近くにある葉はすべて除外する
- 容器に入れて根元を水に浸す
① 植物の枝や茎などをカットする(約30cm)
枝の断面を斜めにカットし、発根(芽)促進剤を断面に塗ってください。
② 切り口の近くにある葉はすべて除外する
水挿しをする際に邪魔になる葉っぱは切り落とします。
③ 容器に入れて根元を水に浸す
茎の約5~10cm程度を水に浸します。
水挿しの手順は、カットした枝や茎を水に挿しておくだけと非常にシンプルです。
水に挿した後は根が出てくるまで待つのみですが、根元を浸す水は常に新鮮なものを用意してあげましょう。
1〜3日に一回水を交換しながら、発根するまでじっくりと様子を見てください。
株分け
「株分け」は、成長した株を根や茎の部分から切り離して分割することで、植物の数を増やす増やし方です。
必要な道具や手順についてひとつずつ解説していきます。
株分けのメリット
植物を分割して育てる株分けは、数を増やすのと同時に親となる植物の管理ができるのが特徴です。
根詰まりや葉の密集が起きてしまう前に根や茎を分割することで、親株の健康状態が維持できます。
また、株分けによってひとつずつの株が小さくなると、風通しや日の当たる範囲が増えるため植物がスムーズに育つようになるでしょう。
株分けに適したタイミング
株分けは、基本的に暖かい時期に実施します。
観葉植物の場合適切なタイミングは主に5〜9月頃となり、寒い真冬はもちろん猛暑日などもなるべく避けるのがおすすめです。
株分けに必要な道具
株分けを実施する際に必要な道具と、用意する際に注意するべきポイントは以下の表を参考にしてください。
道具 | ポイント |
---|---|
用土 | なるべく無菌で清潔なものを使用する基本的には、親株で使用している土と同じものを使う 【種類】赤玉土、鹿沼土、バーミキュライト、パーライト、挿し木専用土など |
ハサミ | 園芸用が使いやすいためおすすめ |
根かき | 根の絡まりや土をほぐすために使用する |
じょうろ・霧吹きなど | 水圧が優しく、日常的に使いやすいサイズを選ぶ |
軍手 | 土に触れるため、あると便利 |
株分けに使用する容器 | 小さめの植木鉢など |
鉢底網・石など | 使用する容器や植物のサイズに合わせる |
株分けの手順
- 親となる株を鉢から取り出す
- 根元をほぐしながら、株をいくつかに分割する
- 分割した株を新しく用意した容器に入れる
- 上まで土をかぶせる
- 水をたっぷり与えて、日陰で育てる
① 親となる株を鉢から取り出す
② 根元をほぐしながら、株をいくつかに分割する
③ 分割した株を、新しく用意した容器に入れる
先に土を半分ほど入れておき、その上から株を入れます。
④ 上まで土をかぶせる
株を入れた後に、高さを調整しながら鉢の上の方まで土をかぶせましょう。
⑤ 水をたっぷり与えて、日陰で育てる
株分けは親株となる植物を根元から使用するため、作業の際には周りが土で汚れやすくなるので注意してください。
株を分割する時は、根や葉が密集しないようにバランスよく調整するのが全ての株を上手に育てるためのコツです。
茎伏せ
「茎伏せ」は挿し木の一種であり、植物の節を土に寝かせて根を生えさせる増やし方です。
必要な道具や手順についてひとつずつ解説していきます。
茎伏せのメリット
茎伏せは、土の上に茎を置いて放置するだけという手軽さが最大のメリットです。
茎が土や水の中に隠れることなくしっかりと目視できるので、成長の様子が確認しやすいという特徴もあります。
茎伏せに適したタイミング
茎伏せは、水挿しと同様に植物の成長が盛んな時期に実施します。
特に適しているのは5〜7月頃で、気温が高く暖かい時期に行うのがベストです。
茎伏せに必要な道具
株分けを実施する際に必要な道具と、用意する際に注意するべきポイントは以下の表を参考にしてください。
道具 | ポイント |
---|---|
用土 | なるべく無菌で清潔なものを用意し、湿らせた状態で使用する 【種類】水苔、赤玉土、鹿沼土、バーミキュライト、パーライト、挿し木専用土など |
ハサミ | 園芸用が使いやすいためおすすめ |
じょうろ・霧吹きなど | 水圧が優しく、日常的に使いやすいサイズを選ぶ |
軍手 | 土に触れるため、あると便利 |
茎伏せに使用する容器 | 茎を寝かせて複数並べる場合は、間隔をあけて並べても余裕があるサイズを選ぶ |
鉢底網・石など | 使用する容器や植物のサイズに合わせる |
茎伏せの手順
- 容器に網や石と、土を入れておく
- 親となる植物から元気のある茎をカットする
- 茎を横に倒すようにして土の上に置く
- 後日無事に発芽したら、土へと植え替える
① 容器に網や石と、土を入れておく
植木鉢などの容器に底網や石と、土を入れて準備をしておきましょう。
用土は湿った状態を保ちやすい水苔などがベストです。
② 親となる植物から元気のある茎をカットする
親となる植物から元気のある茎を選び、約10cmほど、必ず節を残してカットします。
③ 5cmほどの間隔をあけながら、茎を横に倒すようにして土の上に置く
茎と茎の間に5cmほどの間隔をあけながら、茎を横に倒すようにして土の上に置きます。
鉢の上に茎を並べる際には、茎を横に倒した際に下半分が土の中に埋まるようにしましょう。
④ 後日無事に発芽したら、土へと植え替える
2か月ほど経つと根が長く伸び小さな芽が出てくるので、発芽が確認できたら新たな土へ植え替えをするタイミングです。
茎伏せを実施している間は、土が乾燥し水分が蒸発してしまわないようにこまめに水の管理を行い、植え替え後も多めの水を与えて育ててください。
種まきで増やす
観葉植物のなかには、シンプルに「種まき」をすることで量を増やせる種類も多く存在します。
挿し木や水挿しなどの方法ができない場合でも、種から育てることで量を増やせる場合があるので、諦めずにチェックしてみてください。
観葉植物を種から育てるのは大変?
発芽して、ある程度成長した状態の観葉植物を育てることと比較すると、種から育て上げるのは手間や時間が掛かります。
観葉植物は一般的にあまり種から育てるというイメージがないため、種からの育成は大変だと思われやすいのですが、正しい手順で実施すれば決して難しいことではありません。
使用する用土や与える水の量などを適切に管理して、無事に発芽することができればあとは他の植物と同様に順調に成長していくでしょう。
手間暇が掛かる分、植物への愛情も深くなるので非常におすすめです。
種で増やすメリット
観葉植物を種まきによって増やすメリットは、やはり成長の過程を一から実感することができる点でしょう。
発芽から茎や葉が大きく育つ様子まで、日々少しずつ変化していく植物の姿を楽しめます。
他の増やし方と比較すると手間と時間が掛かる分、無事に育った際の喜びも大きいでしょう。
発芽させる手順とコツ
種から育てた植物を無事に発芽させるためには、適切な手順やコツを押さえておく必要があります。
まず、発芽までの手順は以下の通りです。
- 種を植える前に、種の健康を確かめるために水没検査を実施する
- (1)にて水の底に沈んだ種を、湿らせた水苔に包んで放置する
水没検査にて選別された元気な種を選んで植えたり、発芽までの期間はしっかりと種を湿らせてあげたりと、コツを押さえることがスムーズな発芽に繋がります。
発芽を待つ間は、なるべく室温を20℃程度に保ちつつ水苔と種が乾燥しないように、しっかりと管理をしましょう。
適切な環境のなかで育ててあげると、大半の植物が2日程度で発芽を開始します。
発芽した後の管理方法
種が無事に発芽した後は、芽がスムーズに育ち続けるように改めて育成環境を整えてあげましょう。
日当たりや水やりの頻度、さらに肥料の目安や虫や病気などの対策が重要となります。
日当たり(置き場所) | なるべく日当たりのいい場所を選ぶ しかし、直射日光に当たりすぎないようにする |
水やり | 発芽直後は腰水や霧吹きなどで水を与える 土が乾燥しないように、気候や気温によって量を調整する |
肥料 | 必要に応じて適量よりも少なめから様子を見て与える 苗がある程度成長し、本葉が伸びてきたタイミングがベスト |
虫や病気 | 発芽後は「カビ」の対策をしっかり行う 予防としては、殺菌剤を霧吹きでかけるのがおすすめ |
多肉植物の増やし方
観葉植物と同じように、室内でも育成しやすいと人気がある「多肉植物」も、観葉植物のように数を増やすことができます。
多肉植物の増やし方の種類
多肉植物の増やし方は、主に以下の7種類です。
特徴や手順と、それぞれの増やし方に合う代表的な植物を紹介します。
増やし方 | 手順 | 合っている植物 |
---|---|---|
挿し木 | 茎を切り取って挿し穂を作り、土に植えて発根させる | エケベリア属、グラプトセダム属、アロエ属、パキフィツム属など |
株分け | 親となる株を分割して子株を作り、それぞれを鉢に植えて育てる | エケベリア属、グラプトセダム属、アロエ属、パキフィツム属など |
葉挿し | 親となる株から葉をとり、トレイなどの容器に並べて発根させる 発根後は土に植えて育てる | グラプトペタルム属、エケベリア属、セデベリア属など |
根挿し | 親となる株から太い根を茎と一緒に切り取り、湿った土に植える 芽が成長次第、植え替えを行う | ハオルチア(一部) |
胴切り | 茎を水平に切って断面を乾燥させる 土に挿して発根させる | サボテン、アガベ、ハオルチアなど |
縦割り | 子株が出にくい種類に実施する 株の中心をカッターなどで切り、切り込みを入れた部分に小石などを差し込んで放置する ※上級者向けの方法 | アロエ、アガベ、エケベリアなど |
種まき(実生) | 立派に成長するまでに時間が掛かるものの、株分けができない種類のものを増やしたり丈夫な茎を育てたりすることが可能 | ほとんどの植物で可能 |
大切に育てた観葉植物を自分で増やしてみよう
本記事では、観葉植物を自分で増やす方法について紹介しました。
適切な方法とお世話をすることで、誰でも簡単に植物を増やすことができます。
観葉植物は、インテリアとして楽しんだり植物の力による空気の浄化作用も期待できたりと、メリットが非常に多い植物のひとつです。
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