花は多くの文化や芸術において、感情や意味を象徴する存在です。
ただし、宗教によっては供える花に制約があったり、避けるべきとされる品種があったりします。
では、イスラム教はいったいどうでしょうか。
本記事では、イスラム教における花の扱いやタブーとされる可能性のある花について、宗教的背景や文化的側面から解説します。
HanaPrimeでは、イスラム教の文化を象徴するおすすめのお花を多数取り揃えていますので、ぜひ確認してみてください。
目次
イスラム教とはどんな宗教?タブーとされているものは?
イスラム教は、中東地域で発祥し、唯一神アッラーへの信仰と、預言者ムハンマドによって伝えられた教えを核とする宗教です。
以下に、イスラム教で禁止または慎まれるとされる主な項目をまとめました。
- 偶像崇拝の禁止
- 豚肉やその加工品の摂取
- アルコールの摂取
- ギャンブル行為
- 利子を伴う金銭の貸し借り
- 死や不浄に関わるものとの接触
- 男女の過度な接触や露出の多い服装
偶像崇拝は、神の絶対性を損なうものとされて厳しく禁じられています。
「清浄」に重きをおくイスラム教において「不浄」は避けるべきとされ、豚肉やアルコールなども摂取されません。
こうした信仰の価値観は、日常生活や文化的表現にも強く影響を与えているでしょう。
イスラム教ではタブーの花は存在しないとされる3つの理由
イスラム教では、特定の花そのものがタブーとされることは基本的に存在しません。
植物や花は、神の創造物として尊ばれており、多くの文化的・芸術的表現に用いられてきました。
以下にその理由を3つ紹介します。
- イスラム教と花(植物)の関係性
- イスラム教の花の歴史|芸術と文化
- イスラム芸術を代表するアラベスク模様
① イスラム教と花(植物)の関係性
イスラム教は、自然界に存在するすべてのものはアッラー(神)が創造したとされています。
そのため、花や植物もその美しさをたたえる存在です。
植物は楽園の象徴としてコーラン(聖書)にも登場し、生命や再生、神の慈悲を表すものと考えられ、タブーではありません。
花はイスラム教徒にとって禁止の対象ではなく、むしろ神の慈悲や豊かさを感じる手段とされています。
② イスラム教の花の歴史|芸術と文化
イスラム教の世界では、偶像崇拝を避けるため人や動物の描写が制限されてきました。
しかし、古くから花や植物は装飾や美術の重要なモチーフとされ、幾何学模様とともに植物文様を使った洗練された芸術文化が見受けられます。
また、写本装飾、陶器、建築のタイルなどには繊細な花模様が多く見られ、神の創造の美を賛美する手段として尊重されてきました。
③ イスラム芸術を代表するアラベスク模様
アラベスク模様とは、花や葉、蔓(つる)などの植物をモチーフに、繰り返しや連続性を持たせて描かれるイスラム特有の装飾文様です。
神の無限性や宇宙の秩序などを視覚的に表現したもので、単なる美術的要素ではなく信仰の象徴でもあります。
アラベスクはモスクの壁面や天井、礼拝用のカーペット、写本装飾などに幅広く用いられているのが特徴です。
植物が神聖な芸術の中核を成していることから、信仰と美の象徴として高く評価されていることが分かります。
タブーではないが避けたほうがいい花
イスラム教において、特定の花が明確に禁止されているわけではありません。
しかし、文化的・宗教的な背景から避けた方がよいとされる花も存在し、シンボル性や色、香りなどが関係しています。
イスラム教では、緑や白は礼拝や葬儀でも使用されますが、黒は死や喪を連想させるため、注意が必要です。
以下に、贈る場面や文化的背景を考慮して避けたほうがよいとされる花の例を紹介します。
- 死や不吉と結びつく花
- ほかの宗教を象徴する花
- アルコールや快楽と結びつく花
① 死や不吉と結びつく花
葬儀や別れの象徴とされる花である菊やユリなどを贈るのは控えたがほうが良いです。
イスラム教徒にとって、死は神のもとへ帰る重要な概念ですが、不浄とも結びつくため慎重な扱いが求められます。
特にアジア文化圏で仏花とされる種類は、イスラム教徒に誤解を与える恐れがあるので配慮が必要です。
② ほかの宗教を象徴する花
イスラム教徒に花を贈る際には、他宗教と深く結びついた花を避けることが望ましいでしょう。
例えば、蓮の花は仏教やヒンドゥー教の象徴として広く知られ、ポインセチアはキリスト教のクリスマスを代表する花です。
イスラム教では、宗教の純粋性や唯一性が重要視されているため、他宗教や宗教行事と結びつく花の選定には注意が必要です。
③ アルコールや快楽と結びつく花
イスラム教では、アルコールや過度な快楽を慎むよう教えられているため、それらを連想させる花も場面によっては避けたほうが良いです。
チューベローズ(月下香)は、甘く濃厚な香りが官能的とされ、香水や媚薬のイメージを持たれることもあります。
また、カサブランカも、欧米では恋愛や情熱を表す花とされることがあり、場面によっては慎重な配慮が必要です。
媚薬的な連想を生む場合や、情熱的な雰囲気を想像できる花は避けるのが無難でしょう。
イスラム教の文化を象徴するおすすめのお花
イスラム教の文化や美意識の中で、花は信仰・芸術・自然への賛美を象徴する大切な存在です。
ここでは、それぞれの花が持つ象徴的な意味と魅力をご紹介します。
- ジャスミン
- チューリップ
- バラ
① ジャスミン
ジャスミンは香り高く、神聖さや癒しを象徴する花です。
「ラマダン期間中には、花(特にジャスミンなど香りの良いもの)は贈られ、歓迎される」文化があります。
多くの国で家庭の庭やモスクの周辺に植えられ、清らかな空気と落ち着きをもたらします。
爽やかな香りは、祈りや瞑想にも適しており、心を整える効果があるとされ、控えめで品のある花として、日常使いにも最適でしょう。
参考記事:KKOCH「The Symbolism of Flowers in Ramadan & Eid Celebrations
② チューリップ
チューリップはオスマン帝国時代からイスラム世界で愛されてきた花で、アッラーの名と文字の形が似ていることから、信仰の象徴とされています。
トルコの伝統装飾や陶器、絨毯の文様にも多く見られ、格式ある美しさをはなっているでしょう。
洗練された印象と控えめな華やかさが好まれ、贈り物としてもおすすめです。
③ バラ
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バラは、イスラム詩や神秘主義の中で、神の愛や美、魂の純粋さなどを象徴する花として語られてきました。
特に、白やピンクのバラは純粋さや穏やかさを表し、礼儀や祈りの場にも適しています。
贈り物にする際には落ち着いた色味を選ぶと、敬意を示すことができるでしょう。
イスラム教徒の人へ花を贈るときのよくある質問
文化や宗教の違いを考えると、イスラム教徒の方に花を贈るのは問題ないのか、気になる方も多いでしょう。
イスラム教において花は禁忌ではありませんが、色や種類、贈る場面に注意が必要です。
ここでは、よくある質問とともに、花を贈る際のポイントをご紹介します。
イスラム教徒の方に花を贈っていいの?
基本的に、イスラム教徒に花を贈ることは失礼にはあたりません。
花は自然の美しさとして受け入れられており、喜ばれることも多いです。
ただし、宗教的に不適切とされる種類(他宗教の象徴や死や不吉と結びつく花など)を避けることが望ましいでしょう。
イスラム信者の文化や慣習に配慮した花選びをすることが大切です。
イスラム教徒の方の結婚祝いに花はあり?
イスラム教徒の結婚祝いに花を贈ることは可能です。
特に、白や淡い色の花は純粋さや祝福の意味を持ち、結婚式にふさわしいでしょう。
また、落ち着いた色味のアレンジメントが好まれる傾向があります。
ただし、過度に香りの強い花や恋愛的意味が強すぎる花などは避けるのが無難です。
イスラム教徒の方に供花を贈ってもよい?
イスラム教では葬儀における供花の文化は一般的ではありません。
花を飾るよりも、祈りや哀悼の意を伝えることが重視されます。
そのため、イスラム教徒の方の葬儀に花を贈ることは避けたほうが良いでしょう。
ファトワー(宗教的判断)によれば、イスラムの公式な教えには「死者に花を供える」という習慣はなく、むしろ非イスラムの慣習とされるため控えるべき
家に花を贈ることも一般的ではなく、墓地に花を置くことはなおのこと適切ではないとされています。
参考記事:https://islamqa.org/hanafi/darululoomtt/150120/giving-flowers-to-a-deceased-person/?utm_source=chatgpt.com
哀悼の意を表したい場合は、簡潔な弔意のメッセージが適しています。
イスラム教で花を贈らないほうがいいケースは?
イスラム教徒の方への花の贈り物は、場面によって慎重な配慮が必要です。
例えば、喪中の家庭や、断食が行われるラマダン中の贈り物には気を遣うべきでしょう。
また、花に限らず相手の信仰を尊重し、宗教行事や慣習を考慮した対応を心がけることが最も重要ではないでしょうか。
イスラム教の文化を理解して花を贈ろう
イスラム教では花自体が禁じられているわけではありませんが、文化的・宗教的な背景を尊重した花選びが大切です。
種類や色、香り、贈る場面によっては誤解を招くこともあるため、相手の信仰や価値観に配慮することが求められます。
特に供花や結婚祝いなどの特別な場面では、慎重に選ぶ心遣いが信頼や敬意につながるでしょう。
イスラム文化への理解を深めた上で、心のこもった花を贈ることが、よりよい関係を築く第一歩になるはずです。
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